2017-10

「It's Only Rock 'n Roll (But I Like It)」 (The Rolling Stones 1974年7月26日)


初出:2012年5月2日
イッツ・オンリー・ロックン・ロールイッツ・オンリー・ロックン・ロール
(2011/10/12)
ザ・ローリング・ストーンズ

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☆ 本格的にストーンズを聴き始めた時のリアルタイマーがこのアルバムだった。ストーンズの裏話が面白おかしく吹聴され,肝心のバンドはモスクワでさえ(当時は社会主義ソ連邦の首都)コンサートが出来たのに来日は拒否され「ローリング・ストーンズは来なかった」なんて曲まで出て来る有様だった。この辺は(ポールの失点があったとはいえ)ウイングスも似たり寄ったりで,日本の洋楽・ロックファンにはストレスの溜まる時期だった。
It's Only Rock 'n Roll (But I Like It) (Jagger/Richards)


☆ この曲がどうというより,ストーンズに対して最初に思ったのは,ダルい格好良さだった。なんか遠くの方からドカドカとやって来て,大音量でかったるいロックンロールを響かせて,その歌詩が「たかがロックンロールだって分かっちゃいるが,俺は好きだね」だってさ!そういう感じ。この何とも猥雑な感じがストーンズのロックンロールだと思った。曲のコーダだってそうで,いったん緩みかけた曲を締めあげて,またドカドカっと去っていく。これが良かった。


☆ この曲について書かれた色んなこと。これはプレスを揶揄した曲だとか,そうではなくて聴き手に挑んでいるだとか。まあそれはそれで一面を衝いているかもしれないが,この曲と入れ替わるようにストーンズ自体もミック・テイラーが抜け(この作品タイトルのインスピレーションを与えたという)ロン・ウッドが入ってくるし,ロック自体も60年代ロックの方向性が出尽くした頃にパンク/ニューウエーブが燎原の火のように燃え上がる。その寸前の世界にあってこの曲が存在したというのは興味深い。70年代のクスリ漬けでかったるいストーンズが,そのかったるさを行き着く所まで行き着かせたのがこの曲(とこのアルバム)だったような気がしないでもない。じゃあその次のもっと真っ黒なアルバムはどうなのかというのは,また別の話。

2017年10月7日付記
☆ 日本版Wikipediaの解説より引用。
> 作者クレジットはジャガー/リチャーズとなっているが、曲の原型はウッドが作ったという。このため、クレジットには"Inspiration by Ronnie Wood"と注釈がつけられることがある。「たかがロックンロール、でもそれが大好きなんだ」というフレーズは、ジャガーとケニー・ジョーンズが起こしたちょっとした口論から生まれたものだという(ベストアルバム『フォーティ・リックス』日本版(2002年)の寺田正典による解説より)。こうして原型が出来上がったものをストーンズのセッションに持ち帰り、ミュンヘンのミュージックランド・スタジオに於いて更に練り上げた結果としてできたのが本作である。ミュンヘンに持ち帰ったセッションテープには幾つかの改変が為されており、イアン・スチュワートのピアノが追加されている(『ローリング・ストーンズ/レコーディング・セッション』 マーティン・エリオット著、渡辺淳・訳 (シンコーミュージック) P171)。歌詞にはデヴィッド・ボウイの「ロックン・ロールの自殺者」(1972年のアルバム『ジギー・スターダスト』収録)からの影響が見られるとする指摘がある(『ザ・ローリング・ストーンズ全曲解説』 ジェイムス・ヘクター著、山崎智之・訳 (シンコーミュージック) P194 - P195)。

> シングル盤のジャケットには大きなペンを自分の胸部に突き刺すジャガーのイラストが描かれている。このイラストの意味についてジャガーは「まぁ、気楽なアンチ・ジャーナリズムってやつかな」と説明している(ベストアルバム『ジャンプ・バック〜ザ・ベスト・オブ・ザ・ローリング・ストーンズ』(1993年)付属のライナー・ノーツより)。マイケル・リンゼイ=ホッグの監督によるプロモーション・ビデオも制作され、水兵隊の衣装を着たメンバーが船内をイメージしたセットの中で演奏するシーンが中心となって収められているが、後半からセット内にシャボン玉が充満していくシーンで、シャボン玉の勢いが強すぎて泡が見る見るうちに充満してしまい、後方でドラムを叩いていたチャーリー・ワッツが逃げ遅れる場面も映されている。この映像はYou Tubeのストーンズ公式ページで視聴できる(上のYouTube参照)。

> 1974年7月26日に英米同時にリリースされ、イギリスでは何とか10位につけたものの、アメリカでは最高位16位(ビルボード)に甘んじている。ストーンズの先行シングルがアメリカでトップ10に入らなかったのは1968年の「ストリート・ファイティング・マン」(48位)以来であるが、この曲の場合は全米中のラジオ局で放送禁止の措置をとられたという背景もある(公式写真集『The Rolling Stones 50』(ローリング・ストーンズ著、佐藤志緒訳、ヤマハミュージックメディア刊、2012年、ISBN 978-4-636-88707-5) 175頁)。この結果にストーンズの商業的スランプの端緒と見る向きも多かった。しかしその一方、後述の通りコンサートに採り上げられる機会は多く、また多くのベスト、コンピレーション盤に収録されるなど、ストーンズの代表作の一つという評価を得ている。

Personnel
The Rolling Stones
Mick Jagger – lead vocals, backing vocals
Keith Richards – electric guitar, backing vocals

Basic track on "It's Only Rock 'n Roll (But I Like It)"
Kenney Jones – drums
Willie Weeks – bass guitar
David Bowie – backing vocals
Ronnie Wood – twelve–string acoustic guitar, backing vocals

☆ PERSONELは英語版Wikipediaから採った(同名アルバムのパーソネル)。その結果はご覧の通りである。で,上の日本語版Wikipediaに書いてあるミックとケニー・ジョーンズ(ロン・ウッド同様この時はまだフェイセズに在籍)の話とかロンへの献辞などの意味がここから分かることになる。

☆ この曲,シングルとアルバムはヴァージョン違いの筈で,シングルヴァージョンが収録されているCDもあると思うが,なぜかこの辺の言及がどこにもない気がする。B面の「Through the Lonely Nights(スルー・ザ・ロンリー・ナイト)」は,ストーンズファンには有名なオーファン(孤児)曲(その盤以外に収録されていない)だった。この曲の「その後」については日本語版Wikipediaに次のように書いてある(良かった,良かった(*^_^*))。

> 尚、シングルのB面に収録された「スルー・ザ・ロンリー・ナイト」は、アルバム『イッツ・オンリー…』からの曲ではなく、1973年のアルバム『山羊の頭のスープ』のアウトテイクである。この曲にはジミー・ペイジが参加したとする説がある(アーカイヴシリーズvol.4「ザ・ローリング・ストーンズ['69-'74]」(シンコーミュージック刊、2002年、ISBN 4-401-61774-6)111頁)。この曲は以後、ストーンズのアルバムには全く収録されず、レア・トラックとなっていたが、2005年のコンピレーション盤『レアリティーズ 1971-2003』で初めて公式アルバムに収録されている。

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「いつか街で会ったなら」 (吉田拓郎 Covered 1977年4月25日)




☆ 数年前から新聞の一面広告で五十嵐淳子の姿を見かける。いまふうの言い方をすれば美魔女なんだろうが,彼女の不在を思う時,この曲が思い浮かばれる。日本テレビの刑事ドラマは案外興味がなく,見ていない。後から見たのも探偵ドラマ(「傷だらけの天使」)だし,中村雅俊に至っては出世作の青春ドラマも見ていない。

☆ かくも長きテレビドラマへの不在は,単に塾通いのラジオっ子だったからというあっけない理由である。学校から戻って夕方に軽食を取って学習塾に通うという中学生時代のパターンがゴールデンタイムのテレビを遠ざけ,深夜枠のラジオに生活の楽しみが移った後では,高校になってもそのパターンのままラジオを聴きながら殆ど集中しない勉強をダラダラとやって過ごすなんて日常だったのだろうと思う。

☆ というわけでドラマ自体にはトンと縁がなかったのに,ヒット曲という繋がりでこの時代のドラマの主題歌には深い思い入れがある。日テレの刑事ものなどそんな名曲のオンパレードだったりするが,この曲はその中ではわりと初期の方の作品。

「いつか街で会ったなら」 (作詩:喜多条忠 / 作・編曲:吉田拓郎)



☆ で,「俺たちの勲章」に関連するデータをWikipediaから。
・1975年4月2日から1975年9月24日まで、東宝製作により日本テレビ系列で放送された刑事ドラマ。放送時間は毎週水曜日20:00 - 20:55、全19話。
・吉田拓郎が音楽を手がけたのは、本作が中村主演の『われら青春!』と同じプロデューサーで、気心知れていたため、中村が大ファンだった拓郎に音楽を頼めないかと、プロデューサーに依頼したことによるもの。

☆ 中村雅俊の「いつか街で会ったなら」は,1975年5月1日リリース。編曲は大柿隆。オリコン最高位は週間4位,75年度年間16位。累計130万枚のヒット曲であり,彼の歌唱法をほぼ決めた作品である(スージー鈴木はこのことをよ~く確認すること=爆)。

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「Sail the Waterway」 (スティーリー・ダン 1972年)


☆ Wikipedia英語版のスティーリー・ダンにはこんな記述がある。
In 1972, ABC issued Steely Dan's first single, "Dallas", backed with "Sail the Waterway".
> 1972年ABCレコーズはスティーリー・ダンの最初のシングル盤として「ダラス (B面「セイル・ザ・ウォーターウエイ」)」を発売した。

☆ そして「ダラス」の解説はこうなっている。
"Dallas" is the first single by Steely Dan. It was not on the band's debut album Can't Buy a Thrill but was included on the 1978 compilation Steely Dan. It was later covered by Poco in 1975 on their Head Over Heels album.
> 「ダラス」はスティーリー・ダンのファースト・シングルだったが,デビューアルバム『キャント・バイ・ア・スリル』には納められなかった。ただし,1978年に(日本でのみ発売された)コンピレーション盤『スティーリー・ダン』は収録されている。後年この曲は,ポコが75年作品『ヘッド・オーヴァー・ヒールズ』でカヴァーしている。

☆ そのコンピレーション盤の解説はこうなっている。
Steely Dan is a compilation album by Steely Dan, released in Japan in 1978. It is notable as being the only album release of both sides of the 1972 single "Dallas" b/w "Sail the Waterway", although these are in mono and were sourced from a copy of the single.

> 『スティーリー・ダン』は1978年に日本で(のみ)発売されたコンピレーション盤である。このアルバムは彼らが1972年に発表したシングル「ダラス/セイル・ザ・ウォーターウエイ」の2曲ともが収録されていることで有名なアルバムである。しかし残念なことに収められてる2曲はシングルのコピーから採られたモノラル音源である。

Sail the Waterway (Walter Becker / Donald Fagen)



☆ 見れば分かるようにジャケットは山口小夜子(彼女は本当に,この時代の「スーパーモデル」だった)。彼女の登場はたぶん『彩(Aja)』繋がりだと思うが,こちらのジャケットの方が怖そうである(爆)。ちなみに「ダラス」のクレジットは以下のとおり。

Donald Fagen – electric piano, backing vocals
Walter Becker – bass guitar
Denny Dias – guitar
Jeff Baxter – pedal steel guitar
Jim Hodder – drums, lead vocals
David Palmer – backing vocals
Tim Moore – backing vocals

☆ 「セイル・ザ・ウォーターウエイ」もほぼ同じクレジットだろうと思う(フェイゲンのピアノがアコースティックとかはあるけど)。この2作が『シチズン』(スティーリー・ダンのボックス・セット)にすら収録されなかった理由は良く分からない。とにかく二人とも(あるいはゲイリー・カッツを加えた三人が)この件についてどこかで話をしたというニュースを見たことがないのだ。

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「Parade」 (Magazine 1979年6月=アルバムリリース)


リアル・ライフリアル・ライフ
1,080円
Amazon


初出:2013年5月14日(訳詩追加)

☆ マガジンのデビューアルバム『リアル・ライフ』の最後を飾る曲で,珍しくベーシストのバリー・アダムソンが詩を書き(ディヴォートが捕作している)デイブ・フォーミュラが曲をつけている。個人的にはこの曲をもって後のニュー・ロマンティックス(フォーミュラ,ジョン・マッギオーク,アダムソンの三人はそれに深く関わっている)につながるサウンド・プロダクションの原始的萌芽と捉えている。間奏部分のマッギオークのサックスが曲に深みを与えている(彼のような器用なプレーヤーがいなかったから,ニュー・ロマは広がりにかけたのかもしれない)。

Parede (Barry Adamson/David Tomlinson/Howard Devoto)


They will show me what I want to see
彼らはぼくが見たいと思うものを見せてくれるだろう
We will watch without grief
ぼく等は悲しみに沈むことなく見つめることになるだろう
We stay one step ahead of relief
ぼく達は安堵のためほんの一歩そこから歩み出すのだ

You tell me we've been praying
きみは教えてくれる,ぼく達が祈りの中にあるということを
For a bright and clever hell
輝かしく,賢い修羅場のための
I think we've been forced to our knees but I can't tell
ぼく達はたぶん無理やりそこに跪(ひざまず)かされている,だけど僕はそれを告げられない

Sometimes I forget that we're supposed to be in love
ぼくは時に忘れてしまうのだ,たぶんぼく達はお互いのことが好きだということを
Sometimes I forget my position
時にぼくは,自分のいる場所を忘れてしまうのだ

It's so hot in here
ここは何となく暑くないかい
What are they trying to hatch?
彼らは何を企んでいるのだろう?
We must not be frail, we must watch
ぼく達は挫(くじ)けてはいけない,ぼく達はその正体を見届けないといけない

Now that I'm out of touch with anger
今やぼくは,苛立ちを抑えきれなくなっている
Now I have nothing to live up to
今はぼくには,なす術は無くなってしまっている
And I don't know when to stop joking
それなのに,ぼくはいつこの取り止めもない話を止めればいいのか分からない
When I stop I hope I am with you
ぼくにそれをやめる時があれば,たぶんきみがその傍にいる時だろう

Sometimes I forget that we're supposed to be in love
ぼくは時に忘れてしまうのだ,たぶんぼく達はお互いのことが好きだということを
Sometimes I forget my position
時にぼくは,自分のいる場所を忘れてしまうのだ

What on earth is the size of my life ?
いったい全体,ぼくの人生ってものは何なのだ?

It's so hot in here
ここは何となく暑くないかい
What are they trying to hatch?
彼らは何を企んでいるのだろう?
We must not be frail, we must watch
ぼく達は挫(くじ)けてはいけない,ぼく達はその正体を見届けないといけない

Now that I'm out of touch with anger
今やぼくは,苛立ちを抑えきれなくなっている
Now I have nothing to live up to
今はぼくには,なす術は無くなってしまっている
And I don't know when to stop joking
それなのに,ぼくはいつこの取り止めもない話を止めればいいのか分からない
When I stop I hope I am with you
ぼくにそれをやめる時があれば,たぶんきみがその傍にいる時だろう

Sometimes I forget that we're supposed to be in love
ぼくは時に忘れてしまうのだ,たぶんぼく達はお互いのことが好きだということを
Sometimes I forget my position
時にぼくは,自分のいる場所を忘れてしまうのだ

Personnel
Howard Devoto – vocals
John McGeoch – guitar and saxophone
Barry Adamson – bass guitar
Dave Formula – keyboards
Martin Jackson – drums

2017年10月2日付記
NOTE: クレジット中,David Tomlinsonは,Dave Formulaの本名。彼が芸名を使った理由は本名と同姓同名の著名人(俳優)がいたため。本邦における同様な例として,ケラリーノ・サンドロヴィッチ(本名が著名実業家と同姓同名)がある。

☆ マガジンの歌詩の世界はハワード・ディヴォートの美意識に左右されているが,彼のそうした意識がマガジンというバンドを形成していたということもできる。この曲はアダムソンがクレジットされているが,曲のテーマは単純であり複雑でもある。人が誰かを意識し始め,どうやらそれが恋らしいと気付くにはどれほどの時間がかかるのか。それはもちろん一つ一つで異なる。この曲の主人公は,自分の気持ちに素直になれないまま,立ち止まっている。彼の目の前を通り過ぎていく「パレード」はもちろん彼にしか見えない幻想で,それは「輝かしく,賢い修羅場」であることを彼はじゅうぶん認識している。

☆ この曲がニュー・ロマンティックスの原型になったかどうかは評価が分かれる。ただ(ここまで過大評価するのも気恥ずかしいのだが)『クリムゾン・キングの宮殿』の「エピタフ」のような)そのアルバムを通して「その時代」を象徴する作品であることは疑いない。『リアル・ライフ』というアルバムが「ディフィニティヴ・ゲイズ」から「パレード」までの全曲が統一した美意識の中で創作されていることは「パンク/ニュー・ウエイブ」の時代が大きな曲がり角を曲がったことを何より雄弁に示している。「ショット・バイ・ボース・サイズ」は1978年のベスト・ロックンロール作品(「ローリング・ストーン」誌)かもしれないが,『リアル・ライフ』は偶然邦題が何気なしに使った「明日に撃て」のままのアルバム。つまり「ポスト・ニューウエイブ」の時代の号砲となったのだ。

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「You May Be Right(ガラスのニューヨーク)」 (ビリー・ジョエル 1980年3月7日)




☆ この曲がリリースされた時,イントロの効果音に刺激された悪戯が頻発した。たぶんこの効果音をカットする措置が取られたと思う(似たような例としてピンク・レディーのセカンド・シングルが救難信号をイントロにつけていたので,この部分をカットし,フェイド・インで放送したことがある)。それはさておき,前作のジャズマンからいきなりステーキならぬロケンローラーにビリーが化けたのは魂消(たまげ)た。これはニューウエイブが世界的なムーヴメントになっていることの証左でもあった。

☆ ビリーのこの曲は彼のルーツがロックンロールにあることを意味しているのだろうか。あるいはエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズやジョー・ジャクソン・バンドがぶつけてきた英国発のストレートなロックンロールへの大西洋の反対側からの返答であろうか。同じような返答を米大陸の反対側でリンダ・ロンシュタットが準備していたことも併せて考えるとビリーやリンダ,あるいはそれぞれのプロデューサーだったフィル・ラモーンやピーター・アッシャーは1970年代のロックンロール・リヴァイヴァルではない「何か」をロンドンからの音に感じていたのか,あるいはラモーンズ,カーズ,トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ,ジョナサン・リッチマン&ザ・モダン・ラヴァーズそしてトーキング・ヘッズ,B-52ズ,ディーヴォ,ブロンディと揃ってきた米本国からの逆襲に機会を見たのだろうか。

You May Be Right (Billy Joel)


Friday night I crashed your party
Saturday I said I'm sorry
Sunday came and trashed me out again

I was only having fun
Wasn't hurting anyone
And we all enjoyed the weekend for a change

I've been stranded in the combat zone
I walked through Bedford Stuy alone
Even rode my motorcycle in the rain

And you told me not to drive
But I made it home alive
So you said that only proves that I'm insane

You may be right
I may be crazy
But it just may be a lunatic you're looking for

Turn out the light
Don't try to save me
You may be wrong for all I know
But you may be right

Remember how I found you there
Alone in your electric chair
I told you dirty jokes until you smiled

You were lonely for a man
I said "Take me as I am"
'Cause you might enjoy some madness for awhile

Now think of all the years you tried to
Find someone to satisfy you
I might be as crazy as you say

If I'm crazy then it's true
That it's all because of you
And you wouldn't want me any other way

You may be right
I may be crazy
But it just may be a lunatic you're looking for

It's too late to fight
It's too late to change me
You may be wrong for all I know
But you may be right

You may be right
I may be crazy
But it just may be a lunatic you're looking for

Turn out the light
Don't try to save me
You may be wrong for all I know
But you may be right

You may be wrong but you may be right
You may be wrong but you may be right

☆また この曲で軽視してはいけないことは,その歌詩のラフさ(あるいは過激さ)であろう。「マイ・ライフ」で歌詩の一部が「ばか(おそらくstupid)と聞こえる」というクレームを受けていたビリーがこの曲に選んだ単語の中身は出てきた順に "insane,crazy,lunatic,madness" その他にも "crashed,trashed,combat zone,electric chair,dirty jokes" とまるでパンクスのような言葉遣い(パンクスにしてはかなり上品だが,1980年に30歳の米国人が歌う歌詩にすれば随分なもの)ではある。

☆ このラフさ(それはリンダが同じ年に発表した『Mad Love(激愛)』にも十二分に通じる)は,当時からニューウエイブに刺激されたとか(口の悪いヤツに言わせれば「真似した/利用した」となる),ロックンロールの本家帰りしたとか色々言われてきた。確かにそういう側面があって,そこからパワーを貰ったという解釈は無難な正解だろうとは思う。でも,ミュージシャンが表現するやり方はそんな単純なものだけではないと思う。いやむしろもっと単純なのかもしれない。早い話が中堅どころになりつつあった人気者ふたり(ビリーとリンダ)がそれぞれの方法論で若い(と言ってもメジャーでのキャリア上のことだけだが)ミュージシャンに張り合おうとしたという話ではなかったか。それぞれの音楽に「活」を入れるために。

PERSONEL
Billy Joel - vocals, piano and harmonica
Dave Brown - electric guitar
Richie Cannata - saxophone solo
Liberty DeVitto - drums and percussion
Russell Javors - electric guitar
Doug Stegmeyer - bass guitar

最高位
全米(Billboard Hot 100)第7位,カナダ第6位,南ア第14位,ニュージーランド第23位,豪州第28位,日本(オリコン)第60位


Wikipedia(En)の解説より
.> The song famously begins with the sound of broken glass.
この曲はガラスの割れる音で始まることで有名な作品である。
.> The featured riff of the song loosely borrows from the Buffalo Springfield hit "Rock and Roll Woman" on the Buffalo Springfield Again album.
この曲のリフはバッファロー・スプリングフィールドの『アゲイン』に収録されたヒット曲 "Rock and Roll Woman" のそれを大まかに(サラッと)借用している。

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「Senses Working Overtime」 (XTC 1982年1月)




Senses Working Overtime (Andy Partridge)



☆ XTCの活動をこのアルバムを境に前後半に分けると,このアルバム(『イングリッシュ・セトゥルメント』)が前半の最高傑作になるという人は多い(個人的にはひとつ前の "重低音ポップ" 『Black Sea』がベスト)。確かに3枚目の『ドラムス&ワイヤーズ』辺りからみられたアコースティックの要素がこのアルバムでは前面に出ていて,アンディとコリンの創作意欲も旺盛,バンド初の2枚組アルバム(LP)となったことからも,この作品の評価が高いことは良く分かる(アルバムは全英最高位5位)。

☆ 「Senses Working Overtime」はアルバムからの先行シングル。シングル盤のジャケットが暗示するようにプリミティヴなドラムのリズムから始まるイントロは,どこか土俗的なイメージを漂わせつつ,ブリッジでその音を鮮やかに展開させ,フックでは完全なポップになるという三重構造の凝った展開は,前作の「重低音ポップ」の重さを一気に振り切るだけのパワーがあり,音的にも著しく展開していった。このバンドの本質がポップにあること,それを直截的に示すのではなく形態が異なりながらも(初期はバルー・アンドリュースの跳ねまわるキーボードであり,その後は複雑な音(=『ドラムス&ワイヤーズ』)やひたすら重い音(=『Black Sea』)に託して)「ひねくれたポップ・ソング」を作り出してきたのとは対照的だ。

☆ しかしXTCについて書かれた本(『チョークヒルズ&チルドレン』)にも書かれているようにアンディ・パートリッジはこの辺りから創作へのプレッシャーと一種のステージ・フライト(演奏恐怖症)に取り込まれてしまい,飛躍の機会を失ってしまう。このシングルの題名が "そのこと" を暗示させるという同著の指摘は認めざるを得ないと思う。
Personnel
Colin Moulding – lead vocals, backing vocals, fretless bass, Fender bass, mini-Korg, piano, percussion
Andy Partridge – lead vocals, backing vocals, electric guitar, semi-acoustic electric 12-string guitar, semi-acoustic electric guitar, acoustic guitar, mini-Korg, Prophet V, anklung, alto sax, percussion, frog
Dave Gregory – electric 12-string guitar, electric guitars, nylon-string Spanish guitar, semi-acoustic electric 12-string guitar, Prophet V, mini-Korg, backing vocals, percussion, piano
Terry Chambers – drums, drum synthesiser, percussion, backing vocals



今日のカラオケコーナー(YouTube posted by Jim Schreiber)


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「You Haven't Done Nothin'(悪夢)」(Stevie Wonder 1974年8月7日)



初出:2007年3月27日
You Haven't Done Nothin' (Stevie Wonder)


We are amazed but not amused
ウチらは呆れてるんで,楽しんだりしちゃないよ
By all the things you say that you'll do
お宅らがやりますやりますって言ってる事全ての話だよ
Though much concerned but not involved
深入りしてるような格好しながら決して関わっちゃくれない
With decisions that are made by you
お宅らが並べ立てるのはそんな約束ばっかりさ

But we are sick and tired of hearing your song
でもウチらはお宅らの「お謡い」にはもう心の底からウンザリしてるんだ
Telling how you are gonna change right from wrong
お宅らの決まり文句は「我々がいかにしてこの間違った現状を正していくか」ってヤツさ
'Cause if you really want to hear our views
もしもお宅らが本気でウチらの考えに耳を傾けたいんなら,この台詞を進呈するよ
"You haven't done nothing"!
「お宅らは,何ひとつ,何んにも,しやしないだろっ!」

It's not too cool to be ridiculed
嘲りの種にされてまで落ち着いてはいられないね
But you brought this upon yourself
だけどそれは,お宅らがここに持ち込んできたものじゃないか
The world is tired of pacifiers
ウチらの世間は調停調停でもうウンザリしてるんだ
We want the truth and nothing else
ウチらは真実を望んでいるだけで他に何も望んじゃないんだよ

And we are sick and tired of hearing your song
それでウチらはお宅らの「お謡い」にはもう心の底からウンザリしてるんだ
Telling how you are gonna change right from wrong
お宅らの決まり文句は「我々がいかにしてこの間違った現状を正していくか」ってヤツさ
'Cause if you really want to hear our views
もしもお宅らが本気でウチらの考えに耳を傾けたいんなら,この台詞を進呈するよ
"You haven't done nothing"!
「お宅らは,何ひとつ,何んにも,しやしないだろっ!」

Jackson 5 join along with me say
ジャクソン・ファイブもいっしょに行くぜ
Doo doo wop - hey hey hey
Doo doo wop - wow wow wow
Doo doo wop - co co co
Doo doo wop - naw naw naw
Doo doo wop - bum bum bum
Doo doo wop

We would not care to wake up to the nightmare
ウチらはこの悪夢に眠りを妨げられるのはもうたくさんなんだ
That's becoming real life
これがウチらの実際の生活だなんて現実にね
But when mislead who knows a person's mind
だけど人の心を誤った方向に向かわせる連中がやってくる日にゃ
Can turn as cold as ice un hum un hum
みんなの気持ちは氷のように冷たくなっちまうだろう,ふむふむ

Why do you keep on making us hear your song
お宅らはいつまでその「お謡い」をウチらに聞かせ続けると思っているのかい
Telling us how you are changing right from wrong
お宅らの決まり文句は「我々がいかにしてこの間違った現状を正していくか」ってヤツさ
'Cause if you really want to hear our views
もしもお宅らが本気でウチらの考えに耳を傾けたいんなら,この台詞を進呈するよ
"You haven't done nothing"!
「お宅らは,何ひとつ,何んにも,しやしないだろっ!」
Yeah Jackson 5 sing along again say
ジャクソン・ファイブがもう一回行くぜ

Doo doo wop Doo doo wop - oh
Doo doo wop - co co co
Doo doo wop - sing it baby
Doo doo wop - bum bum bum
Doo doo wop - um Sing it loud for your people say
Doo doo wop - um um um
Doo doo wop - stand up be counted, say
Doo doo wop - co co co
Doo doo wop - ow
Doo doo wop - bum bum bum
Doo doo wop - ah hum

【Notes】「お謡(うた)い」=選挙公約・マニフェスト。

PERSONEL
Stevie Wonder – lead vocal, Hohner clavinet, hi-hats, crash cymbal, keyboard horns, drum programming
Reggie McBride – electric bass
The Jackson 5 – background vocals

全米No.1 1974年11月2日

2007年5月9日付記
☆ 以前,Stevie Wonderの「悪夢」の訳詞を書いていたが,あの表現は独特な言い回しだ。You havn't done (anything).だけで「おまえたちは何もやらなかった」という意味にもかかわらず,nothingとする表現だ。これは二重否定ではなく,否定の強意「おまえたちは,何ひとつ,何も,やってくれない」という意味である。お前たちは何ひとつやりはしないし,仮に何かひとつでも「何かやる」機会があったとしても,その時も「何もしやしない」という,かなり痛烈な皮肉だ。

2017年9月27日追記
☆ きょう掲示しても選挙妨害にはならないよね(爆笑)。すべての永田町人種(政治家・評論家・マスコミ関係者・その他の利権ピープル)に謹んでこの名曲を進呈する。

☆ 選挙権を持っている若い人達は,この曲を聞いたらYou Tubeあたりでこの曲も探して聴いておくといい。
The Who Won't Get Fooled Again(ザ・フー「無法の世界」)

☆ 先週くらいからアメリカのニュースで繰り返し報道されていたのだが,NFLの試合開始時,米国国歌斉唱の際に大統領発言に批判的な選手が起立せず片膝立ちしたり,出てこなかったりというパフォーマンスをして,怒り狂った大統領がかつて自分が進行していた番組の台詞で反撃するなどという「米国内」子供の喧嘩状況(この人物は国連総会で他の「地域」に対して似たようなことをやっていたが)だった。その波紋のひとつとして,ぼくが先日ニュースで見たのは年老いて肥満した(失礼)スティーヴィー御大がその身体を支えてもらいながら「片膝立ち」パフォーマンスをしている姿だった。

☆ 43年前,スティーヴィーは公民権運動の結果を反故にする白人社会に対して強烈なファンクで指弾した。彼のこの精神は年老いて健在である。ぼくは永田町周りの種族を馬鹿にすることと同じ情熱で,この年老いた反抗者に満身からの敬意を捧げる意味で,この曲を急遽,本日の選曲としたのである。

テーマ:Musically_Adrift - ジャンル:音楽

流行作家(「Paperback Writer」(The Beatles 1966年5月30日)




Paperback Writer (Lennon–McCartney)


Paperback writer
流行作家
(Paperback writer)
Paperback writer

Dear Sir or Madam, will you read my book?
そこのお父(と)っあんにおっ母(か)さん,あちきの新作,読んでくださいましたか?
It took me years to write, will you take a look?
構想数年の大傑作,お目に入りましたでやんしょうか?
It's based on a novel by a man named Lear
こいつはリア王のお話を底本にしてましてね
And I need a job, so I want to be a paperback writer
そうしてあたしゃ仕事が欲しい,でもって流行作家ってえのになりたいんでさあ
Paperback writer
流行作家

It's a dirty story of a dirty man
そいつはちんけな野郎のいだだけねえお話だ
And his clinging wife doesn't understand
ヨメさんは始終纏(まと)わりついてる割には全然それを理解してないときてる
His son is working for the Daily Mail
彼の子供はデイリー・メール紙で働いてる
It's a steady job, but he wants to be a paperback writer
そいつは堅い仕事だけど,ヤツは実は流行作家になるのが夢なんでさあ
Paperback writer
流行作家

Paperback writer
(Paperback writer)
Paperback writer

It's a thousand pages, give or take a few (Frère)
その本はほとんど千ページくらいあるんだ(フレール)
I'll be writing more in a week or two (Jacques)
もう1,2週間もあれば完全に書き上げることができるんだ(ジャック)
I can make it longer if you like the style (Frère)
この文体がお気に召せば,もっともっと書き継いでもいいんですよ(フレール)
I can change it 'round, and I want to be a paperback writer (Jacques)
どういう風に書き換えることだってできますから,ですからあっしは流行作家てのになりてえんですよ(ジャック)
Paperback writer
流行作家

If you really like it you can have the rights (Frère)
本当にお気に召していただけたら,出版権を差し上げますから(兄貴)
It can make a million for you overnight (Jacques)
そいつはあなたを一晩で百万長者にさせてあげますよ(旦那)
If you must return it you can send it here (Frère)
あなたがこれを突っ返すんだったら,こちらに送ってくださいな(兄貴)
But I need a break and I want to be a paperback writer (Jacques)
だけどあっしはこの壁を突破して,流行作家になりてえんですよ(旦那)
Paperback writer
流行作家ってえのにね

Paperback writer
(Paperback writer)
Paperback writer

Paperback writer
Paperback writer

Paperback writer
Paperback writer

Paperback writer
Paperback writer

Paperback writer
Paperback writer

Paperback...

☆ この歌がヒットしている頃の流行作家って誰だろう?日本だったら松本清張だとかまあそんなところ。英国だったらフレデリック・フォーサイスとかジェフリー・アーチャーとか。で,いまだったらこういう人々なんだろう。





☆ ビートルズのシングルはこの曲や別の機会に紹介する曲など3分どころか2分少しで人の心をしっかり掴んでしまうから凄いなあと思ってしまう。

Release 米:1966年5月30日,英:1966年6月10日,日:1966年6月15日
最高位第1位
英6月23日,30日、米6月25日,7月9日
:豪州、カナダ、アイルランド、オランダ、
ノルウェー、スウェーデン、西独
最高位4位:墺、7位:ベルギー

テーマ:Musically_Adrift - ジャンル:音楽

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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