2009-11

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「冬の色」 (山口百恵 1974年)

☆ 「冬の色」を歌っていた頃の山口百恵は,まだ普通のアイドル的歌手だった。もちろんその前の夏「ひと夏の経験」でセンセーションを巻き起こしたのは事実だが,逆に言えば「青い果実」や「ひと夏〜」のような性典路線には大っぴらに眉を顰(ひそ)める「オトナ」も少なからずいた。それに1974〜5年の百恵はお世辞にも歌が上手いとは言えない状態だった。つまり半端でなく「下手っぴ」だったのである。

☆ この曲や翌年の「ささやかな欲望」が典型的なのだが,Aメロを音域の下の方から歌い始め,Bメロで徐々に盛り上げていくというのは,バラッドの王道だ。そこに幾ばくかの切なさ(胸キュン)が混じれば「アイドル歌謡」としては「合格」である。辛口だが,1976年の春までの彼女はまだ蛹(さなぎ)に至る途上でしかなかった。

☆ ところで曲名の「冬の色」を訊かれて,どんな色を思い出すだろう?筆者は「青」だ。抜けるような凛とした青(蒼)である。この曲ではまだ不十分だが「ささやかな〜」のBメロあたりになると,この「凛とした感じ」を上手く表現できるようになっていた。蛹は蛹のままではなかったということかもしれない。

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