2009-07

Single's Review (43) 「チェリーブラッサム」 (松田聖子 1981年)

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(1991/05/15)
松田聖子

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☆ 松田聖子の4枚目のシングルにして2枚目のNo.1ヒット(デビューから2作は1位を取っていない)。この曲,彼女にはかなり歌いにくい作品だっただろうと思う。理由は最初の音の低さにある。それまで作品での彼女の歌唱の特徴は,音域の狭さを音圧でしのぐというもの。高音部の切れるようなヴォーカルがトレードマーク(例えば「青い珊瑚礁」の♪あ〜私の恋は の「(わた)し」の音が典型)だった。この曲はその全体が大きな抑揚を持っているので,上にヴォイスが切れてしまってはブチ切れになってしまう。まだヴォーカル・レッスンも足りない駆け出しの歌手には,結構な難題だ。財津和夫(作曲者=チューリップ)はすごく良い素材を与えたと思う。

☆ トップ・アイドル歌手である以上,毎日のように同じ曲を歌い続けるのが仕事である。だから嫌でも歌が上手くなっていくのだが,彼女の場合は「最初の低い音」と格闘していたようだ。その過程で問題の低い音を「置く」技術を手に入れたのだと思う。この「音を置く」というのは素人でも出来る技ではあるけれど,どうしても不自然になる。不自然になるのは声量の差が出るからだ。この曲だったら出だしの♪何もかも の「な」を置いて「に」にアクセントをつけるように歌うことになる。が,「に」を強く歌うと「な」が消えてしまう。その辺の微妙な「さじ加減」が歌手としての力量となる。

☆ こうした「低音の置き方」の第一人者は美空ひばりで,「りんご追分」や「柔」の出だしを聴けば,「り」が「い」のように聞こえ,「か」が「あ」のように聞こえる。しかし,よく聴くと彼女はちゃんと「り」「か」と歌っている。その絶妙さが彼女の天才たる力量だ。もちろん若い松田聖子にそこまで要求することはひばりのような天才ではないのだから酷というものだが,毎日のステージやヒットチャート番組での歌唱がそれなりに彼女を鍛え上げていったことは理解出来る。この曲でそうした低音の置き方を学んだ成果は,2曲置いた作品「風立ちぬ」の中で披露された。大瀧さん自身がコメントしているので詳しくは書かないが,♪さよなら と三回繰り返すところの最初の「さ」の音が彼女の成果である。

PS. もっとも「風立ちぬ」の前に出た「白いパラソル」の出だしの音も低いのだが(^o^)。


↓ 当時の「ザ・ベストテン」からチャート・トップの週の放送



テーマ:Single's Review - ジャンル:音楽

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