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2020-03

「In the Gallery」 (Dire Straits 1978年10月7日=アルバムリリース)



In the Gallery (Mark Knopfler)



Harry made a bareback rider proud and free upon a horse
ハリーは荒馬乗り,鞍もつけずに騎乗できるのが彼の誇り
And a fine coal miner for the NCB that was
国営炭鉱の優秀な鉱夫だった
A fallen angel and Jesus on the cross
十字架のイエスと堕天使の姿
A skating ballerina you should have seen her do the skater's waltz
「スケーターズ・ワルツ」の旋律に乗って滑るように踊るバレリーナの姿
Some people have got to paint and draw
人々は彼に本格的な絵画を描くことを勧めていたが
Harry had to work in clay and stone
ハリーは粘土や石の上にそれらを描くしかなかった
Like the waves coming to the shore
だけどそれは波が岸辺に寄せてくるように
It was in his blood and in his bones
彼の血と骨の中に自然と備わった才能だったのだ
Ignored by all the trendy boys in London and in Leeds
ロンドンとかリーズにいる気の利いた坊やたちには無視されても
He might as well have been making toys or strings of beads
彼はおもちゃやビーズ細工を作ることで事足れりとしていたのだ
He could not be in the gallery
彼の作品は画廊を飾るようなものじゃなかった

And then you get an artist says he doesn't want to paint at all
「彼はそんなところに飾られる絵なんか書きたくなかったのさ」と
他の画家たちが言うのを,きみも耳にするかもしれない
He takes an empty canvas and sticks it on the wall
彼は巨大な空白のカンバスを得て,壁に貼り付けている
The birds of a feather all the phonies and all of the fakes
羽ばたく鳥たちの羽根,その全てが嘘偽りに満ちたもの
While the dealers they get together
さてその噂が画商たちの耳に届くころ,彼等は集団で現れる
And they decide who gets the breaks
そして彼らは誰が人気を得るかを決めてしまう
And who's going to be in the gallery
そして誰の作品が画廊に現れるのかまでも決めてしまうのさ

No lies he wouldn't compromise
彼は妥協するための嘘なんかつかなかった
No junk no bits of string
屑も無ければ,線一本の無駄もない
And all the lies we subsidize
そんなウソの全てをぼくらはありがたく誇張して
That just don't mean a thing
何の意味もないことに重大な意味を持たせてしまう
I've got to say he passed away in obscurity
ハリーはひっそりとその生を終わらせたことは言っておくべきだろう
And now all the vultures are coming down from the tree
でも今やハゲワシどもが樹の上から彼の作品群を見下ろしている
So he's going to be in the gallery.
そうやって彼(の作品)は画廊の中に鎮座するようになるのさ

NOTES:
NCB(全国石炭委員会) イギリスの石炭産業を国営化するために設立された法人。1946年の石炭産業国有化法に基づいて設立され、1947年1月1日の「権利確定日」に英国の炭鉱を引き継いだ。1987年、NCBはBritish Coal Corporationと改名され、その後資産が民営化された。

☆ ダイア・ストレイツの同名デビュー・アルバム(邦題『悲しきサルタン』:ちなみに最初の邦題は『ショック』というらしいが,この初版(LP)の「オビ」と「解説」はかなりレアものだろう)のB面2曲目。「悲しきサルタン」がロンドンの下町で売れないセミプロのバンドが(当時は)時代遅れの音楽をプライドを持って演奏する姿を描いたその後で,売れない無名の画家が死んだ後に人気が出てというゴッホみたいな話が描かれているのがこの曲。

☆ ぼくはバンクシーというアーティストをよく知らないのだが,彼の存在とこの曲がリンクする気がしている。バンクシーの作品にえらい値段が付くこと自体が何かのパロディのようで,バンクシーという人だか集団だか良く分からないアーティストもそんな状況を冷ややかに見ている気がする。マーク・ノップラーが淡々と歌うこの曲の主人公ハリーがあの世から同じ目をして「画廊(にたむろする人々)」を見下ろしているかのように。

☆ 絵画といえば原田マハの小説の題材で,直木賞を獲り損なった幾つかの作品も興味深かったし,近刊の『風神雷神』も新聞小説だったこともあってメリハリの効いた文体に俵屋宗達と天正少年使節という絶妙の組み合わせがストーリー・テラーとしての彼女の腕をさらに一段上げたような感覚を抱かせた。ダンス,楽器の演奏,絵画,数学...こういうものの才能を磨く努力をもっと若いうちからやっておくべきだったなと思いながら,小説を読み,CDを聴く毎日だ。

Dire Straits:
John Illsley – bass guitar, vocals
David Knopfler – rhythm guitar, vocals
Mark Knopfler – vocals, lead and rhythm guitars
Pick Withers – drums
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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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