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2020-03

中国風邪(チャイナかぜ) じいさん学 第14講



☆ 横浜港の近くにクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が到着したのが2月3日で,6日には鶴見区の大黒ふ頭に着岸し,食料・燃料等の物資の補給が行われたが,乗客乗員約3,700人は厚生労働省の要請で約2週間,船から降りられず,制限された生活が続いているという(産経新聞2020年2月6日配信記事)。欧米の一部メディアはこれを取り上げ批判めいた報道をしているのを見たが,厚労省も必死の対応(一種の「カスハラ自殺」まで出ている)であり,欧州で中国人だけではなく中国人と間違われた日本人も「排斥」されている事実がある以上,この手のポリティカル・コレクトネスには吐き気がすると言わざるを得ない。




☆ 一方で欧州は中世の「ペスト禍」がDNAの中に織り込まれているのだろうという感慨を持つ。ここで感情的になるのであれば池上彰氏が学生に読ませたようにA.カミュ『ペスト』を読ませる方がよほど知性の鍛錬になるだろうと思う。カミュの名を見てムルソー(『異邦人』)かJ.P.サルトル(『革命か反抗か』)しか思い浮かばないのであれば,いや全然ピンと来ないのなら,なおさら。

☆ 2008年に「リーマン・ショック」が起きた時,当時のF.R.B.(米連邦準備制度理事会)前議長だったA.グリーンスパンは「100年に一度(起こるか起こらないか)の事態」と言ったらしいが,ちょうど今から百年少し前に「スペインかぜ(Spanish Flu)」と呼ばれたパンデミックが発生している。

☆ その名に反して「スペインかぜ」の発生源(1918年3月)はアメリカ合衆国であるという。Wikipediaの解説によれば

> 「スペインかぜ」という名称は、英語: Spanish Flu (influenza) に対する日本語の訳語として作られたものであり、第一次世界大戦時に中立国であったため、情報統制がされていなかった、スペインでの流行が大きく報じられたことから名付けられた

☆ スペインかぜの病原体についてもWikipediaの解説で見ていく。

> スペインかぜの病原体は、A型インフルエンザウイルス(H1N1亜型)である。ただし、当時はまだウイルスの分離技術が十分には確立されておらず、また主要な実験動物であるマウスやウサギに対しては病原性を示さなかったことから、その病原体は不明であるとされた。ヒトのインフルエンザウイルスの病原性については1933年にフェレットを用いた実験で証明された。その後、スペインかぜ流行時に採取された患者血清中にこの時分離されたウイルスに対する抗体が存在することが判明したため、この1930年頃に流行していたものと類似のインフルエンザウイルスがスペインかぜの病原体であると考えられた。その後、1997年8月にアラスカ州の凍土より発掘された4遺体から肺組織検体が採取され、ウイルスゲノムが分離されたことによって、ようやくスペインかぜの病原体の正体が明らかとなった。

> これにより、H1N1亜型であったことと、鳥インフルエンザウイルスに由来するものであった可能性が高いことが証明された。よって、スペインかぜはそれまでヒトに感染しなかった鳥インフルエンザウイルスが突然変異し、受容体がヒトに感染する形に変化するようになったものと考えられている。つまり、当時の人々にとっては全く新しい感染症(新興感染症)であり、スペインかぜに対する免疫を持った人がいなかったことが、この大流行の原因だと考えられている。

☆ この記述が意味するところを考えてみると「鳥インフルエンザウイルス」という存在がクローズアップされてくる。今回の「コロナウイルス」報道でよく引き合いに出されるSARS(重症急性呼吸器症候群=2002~03年)にしても,その10年後に中東地域で流行したMERSにしてもコロナウイルスの一種である。ちなみにこのウイルスの名前がコロナという理由は(Wiki引用)「表面に花弁状の突起があり、太陽のコロナ(王冠)のように見えることから命名された」とあり,トヨタが昔発売していた小型乗用車やストーブ,ヒーター,クーラーを発売しているメーカーの名前と同じ語源になる(両社にはまったく「いい迷惑」だとは思うが)。

☆ これらコロナウイルスのパンデミックの強度はスペインかぜが最強で(何せ相手の正体が知れていなかった),新聞報道にもあるように今回のモノはSARSほどは強くないという。しかし致死率の数字があり犠牲者が多く出ている(その中にはウイルスの毒性を警告した中国人の医師もいる)訳で,寒い季節の間は「寒い日々」が続くことになるのだろう。

☆ 今朝来た日経新聞の一面はコロナウイルスが中国本土でどのように発生分布しているかを示す図表が大きく掲載されていた。これを見ていると中国という大きな国のどの都市が何処にあるか改めて良く分かった。日頃「文字情報」として読む地名もこうして図示されると全体の位置関係が見えてくる。「スペインかぜ」が米軍基地を中継地として(米国の対独宣戦を契機に)欧州全体に広がっていったkとと,今回の武漢(ウーハン)が中国でも四通八達の中心地にあることは類比として印象的である。パンデミックが発生している温州は記事にもあるように華南の省都であり日本で言えば「近江商人」のような人々の拠点であるから,ここがパンデミックの「るつぼ」と化して武漢同様の「閉鎖」に至る事情も何となく分かる。そして危機対応能力の高さを示すのが上海や北京の発生者数である(つまりは事実上の封鎖)。

☆ こうしたことを読み解いていくと「ダイヤモンド・プリンセス」号の扱いは拙い面も多くあるが,こうせざるを得ないと言わざるを得ず,軟禁状態に近い船内のケアは今後の事態の参考にもなるので,しっかり対応してほしいなと思ってしまう。こんな事態を「千載一遇」と(ほぼ46年前の石油ショック時と変わらない)いけずな商売をしている人達がいるが,放っておくべきだろう。あとで冷たい目で見ればいいのだ。大事なことは事態が沈静化するまで無理をしないことであり,沈静化への努力は再発防止の観点を見失ってはいけないということだ。政治家が下らないことは十分わかっているが,この事態「そのもの」を政争の具(愚)とせぬよう,強く推奨しておく。

Winter Time (Steve Miller)
From Steve Miller Band's Book of Dreams(Released May 1977)



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コメント

スペインかぜ

スペインかぜがアメリカ発とは知らなくて、香港かぜはどうか調べてみたら、こちらは香港だったようです。

品不足というと、オイルショックのトイレットペーパー騒ぎは印象深いし、本やノートの紙も不足するからと、折り込み広告をホチキス止めして、らくがき帳にしたほどです。
(繁華街のネオンが消えたり、深夜放送がなくなったのも衝撃でした)

それにしても、冷夏で米不足となると、いつもはパンを食べる人まで我先に買いに行き、店頭から米が消えるし、原発事故で飲料水が危ないと言っては、ミネラルウォーターが消えたりと、あおっているマスコミにも責任があるでしょうが、便乗商法で買い占めては高く売りつける輩は、過剰在庫を抱えて痛い目を見ればよいのにと、ひねくれてしまいます。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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