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2020-03

カラフルな19世紀 じいさん学 第15講



☆ 昔も今も意味不明なことには内輪の事情というものがあるもので...



☆ クリームの「サンシャイン・ラブ(Sunshine Of Your Love 米:1967年12月,英68年9月 リリース)」が収録されている彼らのセカンド・アルバムは『Disraeli Gears(ディズレーリ・ギアーズ)』が原題だが,意味不明を察した日本のレコード会社はジャケットの極彩色と彼らのファースト・アルバム『Fresh Cream(フレッシュ・クリーム)』を無理やり結び付けて『カラフル・クリーム』という意味不明な邦題で売り出した(👇笑)。まあ確かにクリーム(という名前のバンド)の極彩色(カラフル)なレコードではあるのだが(爆),世界史,特に19世紀英国史(ヴィクトリア女王の時代ですな)をかじった人間なら別のことに気が付く。

「Sunshine Of Your Love」
(Pete Brown / Jack Bruce,Eric Clapton)



☆ イギリスとアメリカは二大政党制の国だと言われていて,イギリスの方はかなりあやしくなってきたが今でも一応そういう形になっている。アメリカはずっと共和党と民主党だが,イギリスは19世紀と20世紀では組み合わせが異なってくる。片方はBrexitを強行した保守党なのだが,カウンターパートが異なる。19世紀は自由党(今の英:自由民主党の源流)であり,20世紀以降は労働党だ。で,その保守党の党首かつ英国首相を二度務めた政治家の名前がベンジャミン・ディズレーリ(Benjamin Disraeli, 1804年12月21日 - 1881年4月19日,在任:1868年、1874年 - 1880年)で,その名が何故か彼の時代の百年後に同じ国のロック・バンドのアルバムタイトルになっているのである。ちなみにディズレーリの好敵手である労働党党首はウィリアム・グラッドストン(William Ewart Gladstone 1809年12月29日 - 1898年5月19日,在任:第一次: 1868年-1874年、第二次: 1880年-1885年、第三次: 1886年、第四次: 1892年-1894年)。

☆ ちなみにベンジャミン・ディズレーリは若い頃に小説を出版した経験はあるが,機械工学に関する業績は特に残していない(爆)。この謎解きは『ディズレーリ・ギアーズ』についてのWikipedia英語版に書いてある。

> Drummer Ginger Baker recalled how the album's title was based on a malapropism which alluded to 19th-century British Prime Minister Benjamin Disraeli:
クリームのドラマーだったジンジャー・ベイカーは当時のことを思い出し,アルバムのタイトルが,とある言い間違いの結果,19世紀の英国首相を務めたベンジャミン・ディズレーリを思い起こされるような名前になったかをこう語った。
> You know how the title came about – Disraeli Gears – yeah? We had this Austin Westminster, and Mick Turner was one of the roadies who'd been with me a long time, and he was driving along and Eric [Clapton] was talking about getting a racing bicycle. Mick, driving, went 'Oh yeah – Disraeli gears!' meaning derailleur gears...We all just fell over...We said that's got to be the album title.
「どうしてアルバムタイトルが『ディズレーリ・ギアーズ』になったのかって?当時俺たちはオースチン・ウエストミンスター(注:自動車の車名)を持っていて,ローディーのひとりだったミック・ターナーって奴が俺と長いこと一緒にいたのさ。で,ある時,奴がエリック(クラプトン)と遠乗りに出掛けた時,クラプトンがレース用の自転車が欲しいという話をし始めたんだ。
「その時にミックの奴が車を運転しながらこう言った "おい,それってディズレーリ・ギアの付いてるやつだろ...あいつはderailleur gears(ディレイラー・ギアーズ:変速ギア)と言うつもりで言いそこなったんだ...それが皆んなに大受けして,「じゃあ,アルバムタイトルもそれでいこうぜ」ってなことになったのさ」

☆ 70年代ブリティッシュ・ロックのヘンテコリンな邦題はたいてい直訳が原因(その代表的なものはデヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』とピンク・フロイドの『アトム・ハート・マザー』あたりが双璧(爆)だが,原題のせいで邦題の作題に苦しんだと思われるものはその後も続いており,ひと頃はこれをネタに取り上げていた。
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コメント

言い間違い

昔から曲名にしてアルバムタイトルにしても、邦題は原題の意訳どころか、まったく関係ないタイトルが多いので、仮にディレイラーの言い間違いとわかっても、「極彩色三段変速装置」や「恐怖のギヤチェンジ」などとはしなかったでしょうね。

「ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!」の原題である「A Hard Day's Night」も、リンゴの言い間違いからついたそうで、DayでNightはおかしいとのことですが、何がどう間違っているのか、いまだにピンとこないです。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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