FC2ブログ

2019-12

訳しにくい曲



☆ 訳しにくい曲には幾つかのタイプがある。ひとつはその時代の風俗に関する知識がないもの。これではその曲が流行った背景やその時代の流行,俗語などが分からない。ふたつめは歌詩に意味があまりない場合。これは詩というよりは詞(ことば)そのものである場合が多い。多くはリズムもしくは韻を踏むための詞であるので,そのニュアンスまで訳すことはかなり難しい。80年代にヒップホップが出てきた頃に,いとうせいこうが話していたように「ラップのアルバムの歌詞カード(訳詩)」は途轍もないものになる。

☆ それ以外にも物語性の強い作品の歌詩は訳しにくい。訳せないというより,どれが正しい訳なのかはリスナーに任されてしまうからだ。というより端(はな)から「正しい訳」なるものが存在し得ないと言っても良い。それゆえ「文学作品の解釈」同様のことがここでも起こる。文学作品の解釈に関する意見は村上春樹が書くように「うんざり」させられることも多いが,古典になった時にその価値が変わってくる。価値が変わるというのは先ほど書いたように「その時代を探る鍵」としての役割が自然と出てくるからだ。

Alone Again (Naturally) (Gilbert O'Sullivan 1972年2月18日)



☆ ギルバート・オ’サリヴァンのこの曲も淡々と綴られる物語が虚実の合間を揺蕩(たゆた)う「深さ」によって世界中のリスナーに響いたことは事実であるが,直訳するほど曲の物語からどんどん離れていってしまう気になる。訳しにくい曲だ。

関連記事
スポンサーサイト



テーマ:Musically_Adrift - ジャンル:音楽

コメント

アローンアゲイン

直訳が無理だからと、あえてやったのか、伊集院のおバ歌謡でも紹介されたのが、なかにし礼の訳詞「私としたことが~」で、本人がゲストで来て、普通にやってもつまらないみたいに語っていたかと思います。

換骨奪胎というのか、イントロを拝借した佐野元春の「グッドタイムス&バッドタイムス」も、ストーリーとして意訳したような気もします。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

プロフィール

deaconblue

Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

最近の記事

最近のコメント

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログランキング

FC2ブログランキング

カレンダー

11 | 2019/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

カテゴリー

月別アーカイブ

RSSフィード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

最近のエントリ

最近のトラックバック