2018-05

ぼくを「こども農場」に連れてって 「Junior's Farm」 (Paul McCartney & Wings 1974年10月25日)




Junior's Farm (Paul McCartney)


You should have seen me with the poker man
きみは,ぼくがポーカーをやっている男と一緒にいるのを見たのかもしれないね
I had a honey and I bet a grand
その時ぼくは「いいひと」と一緒で派手に賭けてたということらしいけど
Just in the nick of time I looked at his hand
ぼくが間一髪でヤツの手を見抜いたんだって,とにかくそんなことさ

I was talking to an Eskimo
ぼくはエスキモーの人と話をしていたんだよ
Said he was hoping for a fall of snow
かれはその時,もっと雪が降り積もればいいのにねと言ったとか
When up popped a sea lion ready to go
「あしか祭り」(注1)を見に行く準備ができたって飛び上がってさ

Let's go, let's go, let's go, let's go
じゃあ,行ってみよう,みんなで,一緒に,行こうじゃないの
Down to junior's farm where I want to lay low
「こども農場」にさ。そこで寝転んで思いっきり手足を伸ばすのさ
Low life, high life, oh, let's go
悪しき暮らしも,良き暮らしもなく,まあ,行こうじゃないの
Take me down to junior's farm
ぼくを「こども農場」に連れてってくれよ

At the Houses of Parliament
議会では上院も下院も
Ev'rybody's talking 'bout the President
だれもが大統領がこの先どうなるのかって話を止めようとしない(注2)
We all chip in for a bag of cement
ぼくらはその話の断片をセメント袋の中にこっそりと詰め込んでいくのだけれど

Olly Hardy should have had more sense
オリヴァー・ハーディー(注3)なら,もっと気の利いたリアクションで行くだろうね
He bought a gee-gee and he jumped the fence
かれなら「お馬さん」を買って,それに乗ってそこの塀を飛び越えていくかもしれないね
All for the sake of a couple of pence
そんなネタで2,3ペンスもいただけるって分かればね

Let's go, let's go, let's go, let's go
Down to junior's farm where I want to lay low
Low life, high life, oh, let's go
Take me down to junior's farm

Let's go, let's go,
Down to junior's farm where I want to lay low
Low life, high life, oh, let's go
Take me down to junior's farm
ぼくを「こども農場」に連れてってよ
Ev'rybody tag along
みんな付き添いでおいでよ


I took my bag into a grocer's store
ぼくは袋片手に食料品店(注4)に入ってみた
The price is higher than the time before
食料品価格は以前よりずいぶん高くなっていた(注5)
Old man asked me why is it more
おやじ(注6)がぼくに訊いた「なぜこんなふうになっちまうのかね?」

I said you should have seen me with the poker man
そこでぼくは言った。「きみも,ぼくがあのポーカー野郎と一緒にいるところを見てるのかもしれないね」
I had a honey and I bet a grand
「ぼくが「いいひと」を伴って派手にやってたなんて話をさ」
Just in the nick of time I looked at his hand
「あいつの持ち札を間一髪で見破ったとか,そういう話をさ」

Let's go, let's go, let's go, let's go
Down to junior's farm where I want to lay low
Low life, high life, oh, let's go
Take me down to junior's farm
Let's go, let's go,
down to junior's farm where I want to lay low

Low life, high life, oh, let's go
Take me down to junior's farm
Ev'rybody tag along
Take me down to junior's farm

Take me back, uh
ぼくを連れ戻してくれよ,ああ
Take me back
あそこに戻してよ
I wanna go back
ぼくは戻りたいんだ
Yeah, yeah
ああ,そうさ

(注1) 「あしか祭り」(村上春樹『カンガルー日和』(1983年9月)所収)は,この曲より10年近く後の話。単に歌詩の "sea lion" からの思いつき
(注2) この議会が米国議会ならリチャード・ニクソンに対する弾劾の話(ニクソンの辞任は1974年8月9日)になる
(注3) オリヴァー・ハーディー(オリ・ハーディー)はアメリカの俳優,コメディアン,映画監督
(注4) 食料品店(グロサリー・ストア)は,いまの感覚ならコンビニなど
(注5) 第4次中東戦争(欧米ではヨム・キプール戦争とも)の影響(第1次石油ショック)で諸物価が高騰した。のちに首相となる当時の蔵相福田赳夫はこれを「狂乱物価」と命名した。
(注6) ”Old man”を「おやじ」と訳し直したのは小鷹信光訳の『赤い収穫』(ダシール・ハメット)を読んでから。そう言えばスリー・ディグリーズもこの手で訳し直せるなと思いついたので追加。

☆ いまさら言うまでもないけど,ポールという人は本当にいろんなタイプの曲をものしていて,この曲はその中でも最もポップ/ロック色の強い作品の一つである。ヘッドホンで聴いていると彼のベースが小気味良く唸っているのがわかる。ドライブ感の強い作品はオンエア・フォーマットとしての狙いを明確にしたものであるから,当然のように大ヒットした。本邦はレコード売上とリクエストカードの数が全くパラレルなチャートしか持ち合わせていなかったので,あとで出てくる最高位の記録に「かすりもしない」が(苦笑),洋楽番組の74年は「ジェット」「バンド・オン・ザ・ラン」「ジュニアーズ・ファーム」で相当長い期間ポールとウイングスがチャートを占めていたのである(シリア・ポールさんなどにお尋ねになればわかる=爆=)。

☆ ポール自身もアメリカのマーケットをかなり強く意識した時期だったと思う。ビートルズの4人のソロ活動がシンクロし始めてくるのは,73年にリンゴがセルフ・タイトルのアルバムを成功させてからだと思う。ジョージは著作権の話が揉めていたから制約があったが,ジョンは74年に『心の壁、愛の橋』でエルトン・ジョンを巻き込みながら改めてロックンロールのメインストリームに戻ってくる。そのジョンとの(よくない)関係に一区切りつける形でポールはウイングスの活動を進めていくことになる。そういう文脈の上にオンエア・オリエンテッドな,今の表現を使えば「メインストリーム・ロック」的な音でアプローチをかけたのが74年のウイングスで75年はそこから一歩離れ,76年はウイングスというバンドに活動の中身まで変えていく。そういうポールの考えを後付けだけどぼくは考えてしまうのだ。

☆ たぶんヨーコがショーンを生んでジョンが主夫(ハウスキーパー)宣言する一方でコンピ盤『ロックン・ロール・ミュージック』やパーロフォンからのビートルズの全シングル再発などのムーヴメントがあった76年が,このバンドを歴史の方に押しやる本当の第一歩の年になったのではないのかなと,ぼくは思ってしまう。

PERSONNEL
Paul McCartney — vocals, bass, background vocals
Linda Mccartney — keyboards, background vocals
Denny Laine — guitars, background vocals
Jimmy McCulloch – guitars, backing vocals
Geoff Britton – drums

最高位
第3位:全米(ビルボードHot100;キャッシュボックスは4位)、ニュージーランド
第9位:ノルウェー、第10位:全加、第12位:全豪、第16位:全英

ちなみに,ポール・マッカートニー&ウイングス名義での曲の発表はこの曲が最後で,次のシングル「あの娘におせっかい(Listen to What the Man Said)」(1975年5月16日)以降はウイングス名義となる。

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コメント

ジュニアーズファーム

この曲は、バンド・オン・ザ・ランやビーナス&マースのアルバムに収録されていなくて、シングル盤だったので、バッドボーイズがVAN99ホールで演奏した時に、初めて聴きました。

リードギターが格好良くて、すぐにシングル盤を買って、ジョージには申し訳ないが、ギターテクニックに関しては、ジミー・マックロウの方が上だなあなんて思って、必死にコピーした曲です。

今聴くと、ちょっとイーグルスのテイク・イト・イージーにも似た感じで、ファーム、農場と言うことで、カントリーテイストだったのでしょうか。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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