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2018-10

ロックのことば(2) あの娘,本当に彼と行っちゃったの? (1964年)



☆ パンク/ニューウエイブ史上最大の「問いかけ」は,1960年代のガール・グループが発した。シャングリラス(The Shangri-Las)1964年No.1ヒットLeader of the Packの冒頭の問いかけ "Is she really going out with him?" である。
Leader of the Pack (Dee Snider)


☆ 1960年代にアメリカにヘルズ・エンジェルスがいたように,日本にもカミナリ族という暴走族の元祖がいた。さすがに70代で旧車會をなさっているご機嫌なシルヴァー人材がどの程度現存しているかは,ぼくも寡聞にして知らない。ただ直訳の「暴走族のリーダー」では当時の世相や交通警察関係のリアクションを見るまでもなく邦題としては些(いささ)か不適切であったので,「黒いブーツでぶっ飛ばせ」というやや無難なタイトルに落ち着いている。

☆ この曲の直前(1964年10月31日~11月21日)のNo.1がスプリームス(シュープリームス)のセカンド・ナンバー・ワン曲「Baby Love」なので,ガール・ポップの競演の感がある。ただ今回はシャングリラスの話ではないので,曲の作者が80年代に(こちらも)カルト的人気を誇ったハード・ロック・バンドのツイステッド・シスターを率い,セルフカヴァーしているなんて話も含めてここまでにしておきたい。

☆ 十二支で一回りした1976年,この囁きは大西洋を越えてロンドン・パンクを発火させる。言うまでもなくザ・ダムド「ニュー・ローズ」(1976年10月26日)冒頭の囁きである。

New Rose (Brian James)


☆ ローズは言うまでもなく英国(イングランド)を指し,そこだけ拡張すると一種の革命歌やプロパガンダと曲解されそうだが,ブライアン・ジェイムズがやりたかったのは単なる破壊であって,そこから先のことはクラッシュだとかストラングラーズ(やや怪しいが)に任せておけという感じだったのだろう。それにしてもプロデュースしたニック・ロウの英断(笑)で一切手の入ってない一発録りが「パンク」の本質を遠慮なく示しているのだが,デイヴ・ヴァニアンは何の思い付きでこのセリフを口にしたのだろうか?そしてこの囁きを聞いてそれをそのまま曲にしてしまった(1978年9月/再発:1979年5月3日)者がいる。ジョー・ジャクソンだ。

Is She Really Going Out with Him (Joe Jackson)


☆ ジャクソンは曲のモチーフとしてこのセリフを使っているだけだが,彼の音楽履歴から考えてもシャングリラズスのオリジナルは間違いなく耳にしていると思う。しかし曲を書くきっかけはどう考えてもデイヴ・ヴァニアンの囁きでとしか思えない。こうしてこの「問いかけ」はジャクソンのデビュー曲名としてパンク/ニューウエイブ史にその名を刻むことになったのである。
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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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