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2018-08

ロックのことば(1) ちゃんと税金払ってるぜ(RCサクセション 1980年4月5日 久保講堂)



☆ 福岡から上京した井上陽水が忌野清志郎と出会ったのは渋谷にあった「青い森」というフォーク喫茶だった(昨年,ある番組にゲストに出た陽水がそう話すのを見た)。このお店はフォークからロックに移り変わっていく1970年代の日本のポピュラー音楽にとって最も重要な場所のひとつとなった。古井戸/RC・泉谷しげる・陽水という流れ(ホリプロやキティ・レコーズが背後にいる)がここから生まれているのは確かだ。

☆ 話が泉谷に脱線するが,彼がデビューした頃のプロフィールでは出身地が青森になっている。実際には彼の親の代で青森から上京しているので事実は異なるんだが,当時のノリとしてフォークは地方出身者の方がサマになるという㌧でもない発想でこうなったという都市伝説がある。これは半分当たっているが,泉谷からすれば「青い森」で皆と出逢っているのだから出身地が「青い森」→「青森」でもそんなに不都合なことはなかったのかもしれない(笑)。

☆ キヨシローとRCの浮き沈みはWikipediaをはじめあちこちに書かれていて,概ね正しい。興味深かったのは吉見祐子の再発運動に応じた数少ないレコード店にハイド・パイパー・ハウスがあったことで,山下達郎がここでRCのレコードを見た可能性は低くない(彼の音楽性から考えて東芝音工時代のRCの曲には触れる機会がなかった)と思う。

☆ それにしても「ちゃんと税金を払っているぜ」と歌うセンスは凄い。確かにキヨシローは陽水に書いた曲が『氷の世界』に収録されていたから,陽水ほどではないにしろ印税も入ってきただろうし(その辺の経緯は「あきれてものも言えない」で歌われている),サラリーマン諸氏よりは税金を払わされただろうとは思う。それがあったからフォーライフ騒動のあおりを食らって「日干しにされた」時期も何とか生きていけたのだとはいえるが,この歌詩にはその辺の感情が間違いなくこもっていて,傍から見れば「煽りワード」のようにしか見えないこの言葉も歌っている本人にとってはリアルなものであるといえるのだ。

ブン・ブン・ブン (作詩・作曲:忌野清志郎)


☆ この曲はスタジオレコーディングには向かなかったようで,最も優れたこのヴァージョンしか知らない。もっともこれ一つあればじゅうぶんだと思う(笑)。


☆ 元日の続きのような話。ぼくたちは「あの街」のことを「イーン」と呼ぶが,オーストリアやドイツの人は「ヴィーン」と呼び,英語圏では「ヴィエナ」となる。たぶん最初に聞いた人が聞き間違えたか読み方が分からずローマ字読みしたのがそのまま残ったのだと思う。こういう例は人名にはすごく多い。ロナルド・レーガンのように,本人が申し出て読み方を変えた(リーガン→ーガン)例が無い訳でもないが,ルーズヴェルト(ーズヴェルト)だとかマイルス(マイル)・デイヴィスだとかデュアン(デュえいン)・オールマンだとかアレサ(アーサ)・フランクリンだとか山ほどある。そういえばドイツを代表する総合電機メーカーのことを「シーメンス」と呼んで久しいが,あれも戦前に「シーメンス事件」が起きる前はちゃんと「ーメンス」と呼んでいた筈だ。なぜなら古河組(今の古河機械金属の前身)がジーメンスと合弁で作った会社がいまも有力メーカーとして残っているからで,その会社は古河の「」とジーメンスの「」を取って「富士電機(製造)」と言ったし,そこから分かれた会社は「富士通」と今でも名乗っているからである。とか書いてたら今朝(1/3)の日経(今日は朝刊のみの日)にシーメンスの創始者をヴェルナー・フォン・ジーメンスと正確に表記していたので,念のためWikipediaを見てみると,英語圏ではシーメンスと呼んでいるらしい。となってくると話はトヨタ自動車のようなもので聞き取りやすいように清音で呼ばれるようになったのかもしれない。かようにシーメンスは自社がそう呼んでいる以上これが正しいのかなと改めて思っていたら年末年始休暇が終わってしまった(自爆)。

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コメント

明けましておめでとうございます
今年も宜しくお願い致します

泉谷の産地偽証は有名な話ですよね
「青い森」→「青森」、面白過ぎます(爆笑)

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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