2018-05

「Midnight Train to Georgia(夜汽車よ!ジョ-ジアへ)」 (グラディス・ナイト&ザ・ピップス 1973年8月)




Midnight Train to Georgia (Jim Weatherly)


Notes (Wikipedia 日本語・English を参考にまとめた)
☆ グラディス・ナイトは1960年代後半のモータウンを支えた一人で絶頂期はダイアナ・ロスと二分するモータウンの女性シンガーだった。しかし70年代に入りロスがソロ・シンガーとしての絶頂期に向かっていったのに対し,ナイトは自分に対するモータウンの処遇に不満を持ち新興レーベルだったブッダに移籍する。このレーベルは60年代後半にニューヨークで創業し,60年代後半のバブルガム・ポップの代表選手である1910フルーツガム・カンパニーなどがヒットを飛ばして軌道に乗った。ブッダレーベルはソウル・ムーヴメントにも興味を持ちアイズレー・ブラザーズの『イッツ・ユア・サング』(1969年)などを発表していた。

☆ 「Midnight Train to Georgia(夜汽車よ!ジョージアへ)」は,ジム・ウエザリーのペンによる作品だが,元々のタイトルは「Midnight Plane to Houston」といい,彼の1972年作品『Weatherly』の1曲だった。この曲に目を付けたのがシシー・ヒューストン(ホイットニー・ヒューストンの母でもあるゴスペル/ソウル・シンガー 1933 ~ present)だった。ただし彼女はカヴァーするにあたりタイトルと歌詩の一部を書き換えるようウエザリーに依頼し,「Midnight Train to Georgia」となった。

☆ グラディス・ナイト&ザ・ピップスはモータウンから離れブッダで作品を発表することになったが,ウエザリーの出版社が彼らのこの曲をオファーしたのはシシー・ヒューストンが曲をリリースした1973年(米国盤のタイトルは「Midnite Train to Georgia」)だった。グループはこのオファーを受け,シングルをリリースすると9月1日付初登場71位があれよあれよという間に8週間後の10月27日にはローリング・ストーンズ「悲しみのアンジー」を押しのけ堂々のNo.1に輝き,かつてのモータウンの同僚エディ・ケントリックスの「キープ・オン・トラッキン(パート1)」に1位を譲るまでの2週間首位を保った。

☆ ビルボードのソウルチャートでは逆にエディ・ケントリックスから1位を奪い(10月20日付),ビリー・プレストンの「スペース・レース」に1位を譲るまでの4週間首位を保った。よく考えるとここに出てきたミュージシャンはどこかでつながりがある。ストーンズはケントリックスのいたテンプテーションズを広くカヴァーしているし,プレストンは言うまでもなくストーンズの70年代ツアーには欠かせないミュージシャンである。そしてナイトとケントリックスはかつてモータウンの同僚だった。こう考えるとソウル・パワー全盛期はニュー・ソウルとディスコの中間になるこの辺りなのかもしれない。

Midnight Train to Georgia (Jim Weatherly)
※ Purrfection Version (DJDiscoCatV2氏の独自編集超長尺盤 8:07)


☆ この曲は70年代ソウルというより,70年代ポピュラー音楽を代表する名曲のひとつである。この曲でグラディス・ナイトは当然のように第一線に返り咲き,74年のグラミー賞(Grammy Award for Best R&B Vocal Performance By A Duo, Group Or Chorus)を獲得した。ナイトはロスをいちばん意識していたと思うし,アレサ(フランクリン)やチャカ(カーンのいたルーファス)にもライヴァル意識を燃やしていたことは想像に難くない。そしてこの曲は彼女が一時的にもそれらライヴァルを制した証でもあるのだ。

☆ それにしてもディストリビューションの問題はあったかもしれないが,ディスコ(70年代に入る時には当然ありました)を超えた本邦ポピュラー音楽シーンでのニュー・ソウルや彼女の評価が90年代のクラブ・ムーヴメントのレア・グルーヴ人気(基本的には渋谷系のルーツ探しあたりがきっかけだと思うのだが)まで待たされ,なおかつそこでもアンダーレイテッドであることに,ぼくは不満を持っているのだ。というのも,この曲の有名な邦題「夜汽車よ!ジョージアへ」を見ていると,なぜここに「感嘆符(!)」がついているのだろうと思うからである。思うに,この曲の邦題を付けた人はグラディス・ナイトの苦闘時代に思いを馳せて彼女のカム・バックを密かに祝いたかったのではないか。この「!」にぼくはそんな思いを勝手に感じるので,この人(邦盤の担当者)の思いがなかなか通じていないことに微かな苛立ちを覚えてしまったりするからでもあるのだ。
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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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