2018-05

「スモール・タウン(Small Town)」 (ジョン・メレンキャンプ 1985年11月2日)


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☆ 最初(「青春の傷あと(Hurts So Good 1982年4月)」がヒットした頃)ぼくはこの人の本名がジョン・クーガーだと思っていた。後で知ったのはこの変てこりんな(まるでリングネームのような)芸名を本人はたいへん嫌っていたが,この芸名で大ヒット(最高位:全米第2位)してしまったので容易に改名しにくくなってしまった。その結果妥協案として85年の『スケアクロウ』から本名と芸名を並記したジョン・クーガー・メレンキャンプになった(その後91年の『Whenever We Wanted』から,ようやくジョン・メレンキャンプ名で作品を発表することができるようになった)ということだった。

☆ ジョン・メレンキャンプは合衆国の中西部インディアナ州の小さな町に生まれた。だからこの曲は彼の自叙伝的な作品でもある。そう言えば少し前出たこの本を読んでいて気が付いたことがあった。


☆ 名前のとおり代表的農機具であるトラクターをその生い立ちから世界各国(本邦も当然一章割かれている)での利用の変遷を辿ったものだが,第二次世界大戦後の米国の状況を読んでいて,ふと気付いたことがあった。この本の134ページのあたりで米国のトラクター産業の斜陽化,「ドナルド」と誤記されているがいわゆるレーガノミックスで貿易自由化が進んだ80年代に米国の農家は深刻な不況に陥ったことがかかれている。

☆ 実はメレンキャンプがこのアルバムのテーマに掲げたもののひとつに都市と農村,繁栄する金融業と疲弊する農業,そして荒廃する故郷に対する思いとか一方的に繁栄を享受する者への隠しようのない怒りといったものが,通奏低音として流れている。メレンキャンプのファンなら知っていることだが,彼や同時代のカントリー音楽の頂点にいたウイリー・ネルソンらは「ライブ・エイド」(1985年7月13日)に出演したボブ・ディランの発言をきっかけに「ファーム・エイド」という有名なチャリティー・コンサートを行っている(1985年9月。その後もたびたび開催されている)。ちなみにメレンキャンプはディランのデビュー30周年コンサートでは(1992年10月16日)ヘッドライナーを務め「ライク・ア・ローリング・ストーン」を熱唱している。

Small Town (John Mellencamp)



☆ ジョン・クーガーはポスト・(ブルース)スプリングスティーンという売り込みで見事に成功したのだが,ジョン・メレンキャンプは確かにスプリングスティーンのような行動するロックンローラーではある。ただ東海岸のサーキットから出てきたスプリングスティーンと異なり,ヒルビリーと言っては失礼かもしれないが,中西部の田舎育ちであることを強く自覚していたメレンキャンプは実はスターダムに上る前から,自分というものを強烈に持っていたミュージシャンだったのだと思う。

☆ 1985年はぼくの音楽リスナー暦の中ではかなり収穫の多い一年だった。ポール・ヤング,ジョン・メレンキャンプ,ティアーズ・フォー・フィアーズ,いずれも何枚かのアルバムを出しヒットも持っていたミュージシャンだが,その中でも最良の作品群に巡り合えた一年だったから。メレンキャンプにとって唯一不幸だったのは,このシングル(全米最高位6位)の次の作品「R.O.C.K. in the U.S.A.」(1986年)が惜しくも最高位2位で終わったことだろう。

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コメント

本人には不本意でも…

やっぱり彼のイメージは「ジョン・クーガー」が強いです。
「夜が泣いている」のスマッシュヒットで彼を知り、アルバム「アメリカン・フール」での大ブレイクの頃は、個人的にも洋楽に一気に傾倒している頃で、シングル「青春の傷あと」や「ジャック&ダイアン」は今聴いても、その時代独特の感覚を甘酸っぱさとともに私に届けてくれます。
deaconblueさんにとっての(ブログタイトルにある)1977年が私にとっては1982年なのかもしれません。
話は戻しますが、ジョン・クーガー。
ディスコグラフィーをあらためて見ると、アメリカン・フールの後も89年の「Big Daddy」までのアルバム計5作はよく聴いていたようです。(奇しくも「クーガー」が表記されなくなると同時に私の彼への興味もなくなったようです。)
骨太なロッカーではありますが、カントリー色の絶妙なブレンド具合が彼の最大の魅力だったのかもしれませんね。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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