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2018-08

愚かにも彼はそれを信じて 「What A Fool Believes」 (The Doobie Brothers 1979年1月)



初出:2011年10月17日(大幅改稿)

☆ 異論があるのを承知で書くならば,ドゥービー・ブラザーズというバンドは,マルチ・リズムでソウル・ミュージックの影響を反映させたアメリカン・ロック・バンドである。このコンセプトで見てみると「チャイナ・グローブ」や「ザ・ドクター」のようなトム・ジョンストン時代の曲でもこの曲でも同じ地平にある。ましてモータウンの代表的チーム、ホランド/ドジャー/ホランドの「君の腕に抱かれたい」をロックンロール・ヴァージョンにしてカヴァーしている事実は,このことを補強こそすれ否定するものではない。

☆ この曲の特徴はマルチ・リズムを生かした独特のシンコペーションにあり,すぐに亜流が出てきたがリズムパターンとして定着するまでには至らなかった。なんだかんだ言っても,やはり難しいのだろう。ところで曲の作者であるケニー・ロギンスとマイケル・マクドナルドが演奏したヴァージョンを以前聴いたことがあるが,そこではドゥービーズの特徴であるマルチ・リズムを抑えた,よりAOR的なアプローチで演奏されている。ロギンスにはこちらの方が心地良かったのだろう。

2017年11月13日付記

What A Fool Believes (Michael McDonald / Kenny Loggins)



He came from somewhere back in her long ago
彼は彼女がまだ彼の許にいた大昔の記憶に戻っていった
The sentimental fool don't see
その愚かしい感傷は彼に気付かせなかったのだ
Tryin' hard to recreate
もはや元に戻るには遅すぎることや
What had yet to be created once in her life
かつて彼女の暮らしの中にあったものを
再び生み出すことなどできないことを

She musters a smile
彼女は彼の「昔は良かった」話に
For his nostalgic tale
なんとかして微笑みを返すけれど
Never coming near what he wanted to say
決して彼が言い出したいことには近づこうとしない
Only to realize
はっきり分かっていることがひとつある
It never really was
もうそんな昔のふたりには決して戻れないということ

She had a place in his life
彼女にもかつては彼の暮らしの中に居場所があった
He never made her think twice
そのことを彼は一度だって振り返ろうとしなかったけれど
As he rises to her apology
彼が彼女の謝罪の言葉を聞いて思わず立ち上がった時に
Anybody else would surely know
周囲の者は確かに分かったのだ
He's watching her go
彼女が出ていくのを彼は見送ることしかできないことを

But what a fool believes he sees
それなのに愚かにも彼は信じているのだ
No wise man has the power to reason away
誰にその理由を放置する力があるというのか
What seems to be
物事がそのように流れていくその先には
Is always better than nothing
虚しさの他に何があるというのか
And nothing at all keeps sending him...
そして全てを失ってしまう。そのことが彼を...

Somewhere back in her long ago
彼女を遠い昔の日々に戻す時
Where he can still believe there's a place in her life
そこには確かの彼女の居場所もあったと今でも信じていいけれども
Someday, somewhere, she will return
だから,いつか,どこかで,彼女は彼の許に還ってくると彼は信じてしまう

She had a place in his life
He never made her think twice
As he rises to her apology
Anybody else would surely know
He's watching her go

But what a fool believes he sees
No wise man has the power to reason away
What seems to be
Is always better than nothing
There's nothing at all
But what a fool believes he sees...

Personnel
Patrick Simmons - guitar, vocals
Jeff "Skunk" Baxter - guitar
Michael McDonald - keyboards, synthesizers, lead vocals
Tiran Porter - bass guitar, vocals
John Hartman - drums

Additional players
Bill Payne - synthesizer (with Michael McDonald)

最高位
No.1:全米('79/4/14)、全加
第5位:ニュージーランド、第10位:蘭、12位:豪、28位:アイルランド、31位:全英

☆ この曲が80年のグラミーで最優秀曲(Song of the Year and Record of the Year)を獲った時,一部に異論があった。確かにどちらかの賞は他のミュージシャン(敢えて名前は挙げないが大変貌を遂げた黒人グループのバラード曲とだけ指摘しておく)が獲っても相応しかったと思う。ただ,この曲の持つ意味はシンコペーションを特徴的に使った曲のアレンジにあったのではなく,その歌詩が時代の雰囲気を良く示していたからではないかという気がする。それはこの年の暮れに封切られたこの映画に色濃く出ていないだろうか?


☆ ドゥービーズがグラミーを獲ったのは,まさにこの時代の空気に乗ったからで,いかにライオネル・リッチーがその後の時代を代表する優れたバラード・シンガーに成長したからといって,この「空気」には勝てなかったのかもしれないと思うのだ。

Kenny Loggins - What a Fool Believes (from Outside: From The Redwoods)


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ドゥービー・ブラザーズ

ドゥービーブラザーズは、LP時代にベスト盤を買い、アマチュアバンドの定番曲、「チャイナ・グローブ」「ロング・トレイン・ランニング」「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」を練習したというくらいの関わりでした。

初期の頃から16ビートを基調にした曲も多く、コーラスワークも含めて、ソウルっぽさを感じましたが、マルチリズムとは思いつきませんでした。

イーグルスが、ドン・フェルダー、ジョー・ウォルシュの参加で、カントリーからアメリカンロックへと移行したように、ドゥービーは、ジェフバクスター、マイケル・マクドナルドの参加で、もろにスティーリー・ダンではないにしても、シティ・ミュージック、AORへと変貌したようにも思います。

ケニー・ロギンスとマイケル・マクドルドのルックスが、いつの間にか似てきて、そのうえ晩年の尾崎紀世彦にも似ているような。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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