2018-05

「The Headmaster Ritual」 (The Smiths 1985年2月11日=アルバムリリース)




☆ 1984年頃にはザ・スミスがいちばん注目されるべきバンドだという声がブリティッシュ・ニュー・ウエイブ小僧の間では定番になりつつあった(当然そういう連中はデュラン・デュランやカルチャー・クラブのブームをせせら笑っていた)。自分が手にしたのはスミスのスタジオ・アルバムとしては2作目になる『ミート・イズ・マーダー』だった。このアルバムを購入した経緯は以前何度か書いた柄にもないデートの途中の宇田川町時代のタワレコである(要するに女の子に精一杯粋がったワケよ^^;スミスとTFTで=自爆=)。

☆ そっちの方の哀れな顛末な何回となく書いたので省略するとして(再爆),問題はその日買った2枚の英国盤(そうです粋がってわざわざ英国盤で買った)だった。よく考えると2枚とも英国のバンドのスタジオ盤としては2作目のアルバムだった。片方(つまり『ミート・イズ・マーダー』)は本国では絶大な評価を受けたが(No.1)他はさっぱり(下記参照)。他方(『Songs From The Big Chair』)は英米をはじめ世界中でこのデュオ・ユニット(ティアーズ・フォー・フィアーズ)の大出世作となった。作品の立ち位置が全然異なるので単純な比較はできないが,どちらも1980年代を代表する英国ロックの名盤には違いない。という訳で「転んでも只では起きなかった」という負け惜しみを書いておく(再々爆)。

The Headmaster Ritual (Morrissey / Johnny Marr)


Belligerent ghouls
run Manchester schools
spineless swines
cemented minds
Sir leads the troops
jealous of youth
same old suit since 1962
he does the military two-step
down the nape of my neck
I wanna go home
I don't want to stay
give up education
as a bad mistake
mid-week on the playing fields
Sir thwacks you on the knees
knees you in the groin
elbow in the face
bruises bigger than dinner plates
I wanna go home
I don't want to stay

Belligerent ghouls
run Manchester schools
spineless bastards all
Sir leads the troops
jealous of youth
same old jokes since 1902
he does the military two-step
down the nape of my neck
I wanna go home
I don't want to stay
give up life
as a bad mistake
please excuse me from the gym
I've got this terrible cold coming on
he grabs and devours
kicks me in the showers
and he grabs and devours
I want to go home
I don't want to stay

☆ モリッシーの歌詩はサリンジャーのホールデン・コールフィールド (Holden Caulfield=The Catcher in the Ryeの主人公)を否が応でも思い出させる。彼は自分自身を投影したと思われるこの主人公の口を駆使して彼が入れられた寄宿学校の全て(それはホールデンの口癖で言えばPhoney(えせ,いんちき,嘘っぱち)に値する)を否定する。ただホールデンが多少なりとも(大いに屈折はしているのだが)強がりを示そうとする=そしてより酷い失敗に繋がっていく=のに対し,この主人公は「イヤよイヤよ」と呟きまくっているのだ。

☆ それは当時増井修などが指摘していたように「弱者であることを最後の武器(拠り所)にする」というモリッシーの方法論の顕われと言って良く,ロックをオトコジェンダー的なものから解放する働きを示したとも言える。このダイバーシティを遥か昔に先取りする動きはパンク/ニューウエイブの中でもトム・ロビンソンや(やや逆説的ながら)イアン・デューリーらに見られていたが,スミスはそれをはっきり旗印として掲げたことで少なくともカルト・ヒーロー(実態はそれ以上であるし,音楽的貢献は計り知れない)としての地位を確立したとも言えると思う。

☆ 音楽的な面ということでいえば,レコードに針を落として最初にこのイントロが聞こえてきた時,正直ノックアウトされた。アコギのイントロが凄い曲はたくさんあるが(自分の好みでいえばアイズレー・ブラザーズ「ハーヴェスト・オブ・ザ・ワールド」など),この曲のイントロはその中でも1,2を争う傑作だと思う。



☆ なぜか英語版のWikipediaにも書いていないが,この曲の最も優れたカヴァーはレディオヘッドのそれで,YouTubeのコメント欄にもそういうコメントは少なからずあった。
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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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