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2018-08

「Come On Eileen」 (Dexys Midnight Runners 1982年6月25日)~Too Rye Ayeの謎が解ける




☆ アメリカのチャートにしか興味のない人には,80年代を代表する "OHW" の1曲なんだろうが(大ッ嫌いなコトバなので,略称しか書かない),デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの「カモン・アイリーン」は不思議なテイストを持った作品だった。ケヴィン・ローランドが2トーン・ムーヴメントの掉尾にデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズを率いて英国シーンに登場した時,1960年代の英国北部で好まれたノーザン・ソウルの継承者(New Soul Vision)として彼は名乗りを上げ,ほどなくプレス(音楽紙業界)と徹底的に対立する。2トーン・ムーヴメントもThe (English) BeatとUB40の登場で音楽的段階を進めていたし,スペシャルズは分裂し,マッドネスは我が道を歩み始めた(そういえばそのどさくさの中から出てきたのがバナナラマだったりするのだが)。こうしたムーヴメントの変化と関係ないところで「トランペットがプレイするバンド」(マーク・ノップラー:ダイアー・ストレイツ「悲しきサルタン」の歌詩)が新たなムーヴメントを作り出すのに成功し,天才ケヴィン・ローランドはそれに飽き足らずバンドの方向を勝手に変えてしまう。称して「ケルティック・ソウル」。

Come On Eileen
(Kevin Rowland / Jim Paterson / Billy Adams)



☆ アイルランドにルーツを持つミュージシャンは多い。ジョン・レノンもそうだし,数年前の夏に「Oliver's Army」を解析したエルヴィス・コステロもそうだ。ケヴィン・ローランドもそうしたミュージシャンのひとりとして誰も見たことも聴いたこともない「ケルティック・ソウル」を勝手に創り出してしまった。そのアルバムのタイトルが『Too Rye Aye(女の泪はワザモンだ!!)』という滅茶苦茶な邦題がついたセカンド・アルバムである。この原題,長いこと意味が分からなかったのだが,この間偶然読んだ本にその答えらしきものが載っていた。それもデキシーズとは何の関係もないところに。。。


同書P.101より引用(これは19世紀以降の米国の船乗りの歌について書かれた部分である)
> (前略部分には船上では出身や肌の色による差別は陸上ほどないということが書かれてある) また,多人種間で優秀と認められていたのがハワイ人だった。ハワイ人は現地語でハワイ人を意味する「カナカ」を姓にして歌に登場することが多く,「ジョン・カナカ」といえばハワイ人の水夫のことである。「船長の声が聞こえた気がしたぞ / ジョンカナカナカ / トゥーレイアイ / 仕事はあした 今日は休み / ジョンカナカナカ / トゥーレイアイ」(「トゥーレイアイ」はアイルランドの歌にある合いの手で,特に意味はない)。

☆ これだ。確かに「カモン・アイリーン」の中でもこの言葉は合いの手のように使われているし,意味もない。だとしたら,変な邦題付ける前に素直に『トゥー・レイ・アイ』で邦盤リリースしとけばよかったのだろうけど,それじゃあ誰も意味が分からないことになるのか。この記述を見てピンと来たのは,このアルバムが前作の「ノーザン・ソウル・リヴァイヴァル」から "アイリッシュ海を越え" 「ケルティック・ソウル」と展開を遂げたことだ。つまり
> 「トゥーレイアイ」はアイルランドの歌にある合いの手
だということ。

Notes(Wikipedia英語版より)
最高位(週間)
No.1:全米(ビルボード/キャッシュボックスとも),豪州,ベルギー,アイルランド,ニュージーランド,南アフリカ,スイス,全英
第2位:カナダ、第4位:オランダ、第5位:フランス、第6位:西独 
(年間=1982年)
No.1:全英、第5位:ニュージーランド、第8位:ベルギー、12位:豪州、28位:オランダ、32位:カナダ
(1983年)12位=全米(ビルボード)、13位(キャッシュボックス)
> The song reached number one in the United States on the Billboard Hot 100 charts during the week ending 23 April 1983.
この曲は1983年4月23日付ビルボードHot100の第1位となった。
"Come on Eileen" prevented Michael Jackson from having back-to-back number one hits in the US: "Billie Jean" was the number one single the previous week, while "Beat It" was the number one song the following week.
「カモン・アイリーン」は,マイケル・ジャクソンの二つのナンバーワン・ソング(「ビリー・ジーン」と「今夜はビート・イット」)に挟まれる形でナンバーワンになっている。
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コメント

「痛快」

この曲のヒットについてはまさにこの言葉がピッタリかと思います。
マイケル(ビリー・ジーン)の牙城を崩すべく、カルチャークラブにデュランデュランが機をうかがっている中、あれよあれよと1位になり、また1週でマイケル(ビート・イット)に明け渡すというスピード技(笑)
チャート好きには忘れられない1曲です。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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