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2018-10

「Senses Working Overtime」 (XTC 1982年1月)




Senses Working Overtime (Andy Partridge)



☆ XTCの活動をこのアルバムを境に前後半に分けると,このアルバム(『イングリッシュ・セトゥルメント』)が前半の最高傑作になるという人は多い(個人的にはひとつ前の "重低音ポップ" 『Black Sea』がベスト)。確かに3枚目の『ドラムス&ワイヤーズ』辺りからみられたアコースティックの要素がこのアルバムでは前面に出ていて,アンディとコリンの創作意欲も旺盛,バンド初の2枚組アルバム(LP)となったことからも,この作品の評価が高いことは良く分かる(アルバムは全英最高位5位)。

☆ 「Senses Working Overtime」はアルバムからの先行シングル。シングル盤のジャケットが暗示するようにプリミティヴなドラムのリズムから始まるイントロは,どこか土俗的なイメージを漂わせつつ,ブリッジでその音を鮮やかに展開させ,フックでは完全なポップになるという三重構造の凝った展開は,前作の「重低音ポップ」の重さを一気に振り切るだけのパワーがあり,音的にも著しく展開していった。このバンドの本質がポップにあること,それを直截的に示すのではなく形態が異なりながらも(初期はバルー・アンドリュースの跳ねまわるキーボードであり,その後は複雑な音(=『ドラムス&ワイヤーズ』)やひたすら重い音(=『Black Sea』)に託して)「ひねくれたポップ・ソング」を作り出してきたのとは対照的だ。

☆ しかしXTCについて書かれた本(『チョークヒルズ&チルドレン』)にも書かれているようにアンディ・パートリッジはこの辺りから創作へのプレッシャーと一種のステージ・フライト(演奏恐怖症)に取り込まれてしまい,飛躍の機会を失ってしまう。このシングルの題名が "そのこと" を暗示させるという同著の指摘は認めざるを得ないと思う。
Personnel
Colin Moulding – lead vocals, backing vocals, fretless bass, Fender bass, mini-Korg, piano, percussion
Andy Partridge – lead vocals, backing vocals, electric guitar, semi-acoustic electric 12-string guitar, semi-acoustic electric guitar, acoustic guitar, mini-Korg, Prophet V, anklung, alto sax, percussion, frog
Dave Gregory – electric 12-string guitar, electric guitars, nylon-string Spanish guitar, semi-acoustic electric 12-string guitar, Prophet V, mini-Korg, backing vocals, percussion, piano
Terry Chambers – drums, drum synthesiser, percussion, backing vocals



今日のカラオケコーナー(YouTube posted by Jim Schreiber)


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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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