2018-05

「Tell Her No」 (The Zombies 米:1964年12月、英:1965年1月)



初出:2012年5月12日

Singles A's & B'sSingles A's & B's
(2002/07/23)
Zombies

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☆ ゾンビーズは1960年代のブリティッシュ・インヴェンジョンの中でも特異な存在で,本国の英国ではTop10ヒットが1曲も無い(英語版 Wikipediaの記述によると,米国での三大ヒット曲のチャートアクションを比較すると「She's Not There」(米国:2位,英国:12位)「Tell Her No」(米国:6位,英国:42位)「Time Of The Season」(米国:3位,英国:チャート圏外)という結果)。更に日本では「I Love You」(英国のみシングルカットするも圏外)をグループサウンズのザ・カーナビーツが「好きさ 好きさ 好きさ」のタイトルで大ヒットさせているので,ゾンビーズの最もコアなファンはもしかすると日本に多かったかもしれない。

☆ ゾンビーズはロッド・アージェントとクリス・ホワイトという二人の優れたソングライターとコリン・ブランストーンという1960年代の英国を代表してもおかしくない才能溢れるシンガーを擁していた。ブリティッシュ・インヴェンジョンのグループサウンズ的な魅力もあったが,そのサウンドの特徴は際立ったクールさで,他のR&Bを母体とする熱いグループとは一線を画していた。それが彼らの人気がいま一つ盛り上がらない理由だったかもしれないが,少なくとも先に挙げた三つの米国でのヒット曲を始めとして,タイムレスなスタンダードたりうる作品群を残している。彼らの60年代最後の作品集『オデッセイ&オラクル』は確かにサイケデリック・ロックの影響を受けた作品であるが,アルバムジャケットほど音はサイケでなく,このアルバムを以てゾンビーズをサイケデリック・ロックの範疇に入れることには同意しかねる。

2017年10月11日追記

ZombiesZombies
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☆ ゾンビーズはブリティッシュ・インヴェンジョンの系譜に属しながら非常に特異なバンドだと思う。バンドには三つの個性(二人のライター=ロッド・アージェントとクリス・ホワイト、一人の卓越したヴォーカリスト=コリン・ブランストーン)があり,三者のバランスが取れればもっと大々的な成功を得られたと思われるが,むしろこの曲,「シーズ・ノット・ゼア」,「タイム・オブ・ザ・シーズン(二人のシーズン)」そして『オデッセイ・アンド・オラクル』と音楽的方向性が見えないまま消えてしまったバンドになってしまった。

☆ Wikipedia英語版の解説では,この曲を書いたクリス・ホワイトは「バート・バカラックとハル・デヴィッドの音楽に影響を受けた」と述べているが,確かにこの曲の個性的なリズム・パターンはバカラックの香りがする。当時は確かジャズ・ロックなんて言われ方をしたのではないかと思う(ただしこの言葉を聞いたのは曲がヒットして10年以上経った頃の話だが)。

Tell Her No (Rod Argent)


☆ この曲でコリン・ブランストーンは "No" という言葉を63回言っているそうだ。こんな名曲だがロックンロール・ベースのヒット曲の全盛期には目立ったヒットになることもなく,英国では65年2月に最高位42位を記録したに留まっている。

☆ 1983年にジュース・ニュートン(当時人気のあったアメリカの若手カントリー・ポップ・シンガー)が「不用意に」この曲をカヴァーしTOP40ヒットになったものの,某山下達郎にケチョンケチョンにされていたのを彼の番組で聞いた記憶がある(爆)。そういえばあまり音楽的に合いそうもない山下と南佳孝の二人が(別々に聴いたのだが)揃ってこの曲を60年代の名曲に挙げていたことは当時の記憶に残っている。

☆ 「ポップ・ソングは3分間の芸術」とはよく聞いた言葉だったが,2分7秒のこれはその基準で言えばたぶんネ申曲なんだろう。

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コメント

ゾンビーズ

ゾンビーズは後追いも後追いで、CDの時代になり、通販で買ったヒットポップ全集に、「二人のシーズン」が入っていて、知ったような感じです。

「シーズ・ノット・ゼア」は、サンタナで聴いていて、格好良い曲だと気に入っていたのですが、「ブラック・マジック・ウーマン」同様にカバーだったのですね。

あらためてゾンビーズの曲を聴くと、ボーカルがコステロに聴こえてきて、コステロは意識しているのか、60年代の香りを出すと、みんなこんな歌声になるのでしょうか。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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