2017-08

借景から始まる


FIGHT OR FLIGHTFIGHT OR FLIGHT
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TWO PUNKS (作詩・作曲 / 森山達也)
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=E04193


☆ 明治維新がもたらしたものは日本の西洋化(西欧化)だった。それはキャッチアップ型資本主義のプロトタイプとなった世界で数少ない成功例だった(その最大の理由は非西欧人が助力を受けながらも最終的には独力でやり遂げたから)。このプロトタイプは例えば民族自決が当然のものとして語られるようになった1960年代に「開発独裁」という形でアジアの非共産主義国家(非共というより反共と言うべきであろうが)に引き継がれ,矛盾を抱えながら20世紀後半に多くの成功例を生み出すことになる。

☆ この「西欧化=キャッチアップ」の神髄は模倣から始まる。模倣ということは必ずしも劣化したコピーキャットではない。そこには学習があり自己の技術としての消化・吸収・再創造の過程がある。かつてこの国で行われた「工業化」の本質はそういうことであったし,ここ20年ほど同じ方法論で周辺諸国・地域から「お礼」されているのも同じストーリーである。

☆ 政治経済がそうであれば文化もまた同様のプロセスを辿る。例えば「翻案」というジャンルがある。文芸だけでなく音楽・舞台・映画その他芸術の全般においてそれは見られる。当たり前の話だが翻案は剽窃(パクり)ではない。翻案すべきお手本をいかに自家薬籠中の物に窯変させていくかというプロセスの第一歩に過ぎない。その意味で翻案は借景のようなものであり,それを自分のものにする過程において初めてオリジナルな創造物に近付くことができるのである。




☆ ムーブメントとしてのブリティッシュ・パンクが1970年代半ば(当時)の若いミュージシャンに与えた影響の典型例が上に掲げたザ・モッズ「Two Punks」であり,アナーキーの「Tokyo's Burning」であることは論を俟たない。それは確かに借景から始まっている。共にクラッシュの曲を原景に持ちながら,後者はピストルズの言葉(「God Save The Queen」)をも借り,日本のタブー(と彼らが認識していたもの)に切り込んで行き,永遠に排除(の割にオリジナルをYouTube で...)される逆栄冠を手にしたし(苦笑),後者はクラッシュのファースト・アルバムからさまざまな借景を得ながら最後に辿り着いた結論(=選ばれないことを敢えて選ぶ)によって,めんたいロックを飛び超え,この時代の(ごく一部の)若者に聖歌(アンセム)を与えたのである。




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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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