2017-06

「There, There, My Dear」 (デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ 1980年)



初出:2007年3月13日 をベースに加筆改稿。

☆ そいつらは2トーン・ムーヴメントが終息し始める頃にやってきた。2トーンはイギリスとそのカリブ海の植民地だったジャマイカとの関係線上に起きたムーヴメントの第2世代だった。ここで第2世代と言える理由はその萌芽が既に60年代にあったからだ。いちばん分かりやすいのはビートルズが「オ・ブ・ラ・ディ・オ・ブ・ラ・ダ」でカリプソを取り上げたことだが,例えばマッドネスがファースト・アルバムで敬意を表しているプリンス・バスターやむしろ70年代前半の活動が圧倒的に有名なボブ・マーリィなどの存在があったからだ。しかも帝国主義国たるイギリスは「受け入れるが同化させず放っておく」(佐藤優の指摘)のでジャメイカン・コミュニティがブリクストンとかそういう場所で落ち着く。その辺の暴動に関してはクラッシュのファースト・アルバムのジャケット(裏面)などを見れば分かるし,だから彼らはのこのことジャマイカに行って,酷い目に遭ったと「セーフ・ヨーロピアン・ホーム」のような曲を書く一方で「ブリクストンの銃」みたいな曲も書いている。

☆ 2トーン・ムーブメントじたいは,そうした英国特有の人種や階級の問題を背景にした部分もあった(その代表作がスペシャルズの「ラット・レース」であることは言うまでもない)が,デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズはむしろ60年代のノーザン・ソウルなどの影響を強く受けており,むしろ英国におけるソウル・リヴァイヴァル的な側面が強い。デキシーズが取り上げたジーノ・ワシントンの60年代作品を聴いてみたが,確かにこれはアトランティック・クロッシングした60年代ソウルそのものだった。それを単に復刻するのではなく,「ニュー・ソウル・ヴィジョン」の旗を立てようというケヴィン・ローランドの試みは,時勢の応援もあって本人の思った以上に成功を収める。それは同時にプレス連中の格好のターゲットとなり,デキシーズはデビューアルバム発売に前後して有名なプレス拒絶宣言を出すことになる。その経緯は興味深いところであるが資料(原文)がどこかに消えてしまったので今は記せない(悲)。

There, There, My Dear (Kevin Rowland / Kevin Archer)
全英最高位7位


=ケヴィンの科白の部分のみ訳す=
You see Robin,
分かってくれるかい,ロビン。
I'm just searching for the young soul rebels,
僕はただ若いソウルミュージックの反逆児達を探し続けていたんだ
and I can't find them anywhere.
だけど,そんなヤツ,どこにも居やしなかった
Where have you hidden them?
ヤツらを一体どこへ隠しちまったのさ?
Maybe you should welcome the new soul vision.
でも,おそらく君は
この新しいソウルミュージックの世界を歓迎してくれるだろう
welcome the new soul vision...
新しいソウルミュージックの世界を歓迎してくれるだろう。。。

☆ 天才,ケヴィン・ローランドはここまで成功していた第1期デキシーズをあっさり反故にして,ケルティック・ソウルなる第2期に突入していく。そこでは有名な「カモン・アイリーン」の奇蹟(ワンダー)が起きるが,そのことをぼくの前であまり強調しない方がいいと思う(×××××たくなかったら)。


☆ ちなみにデキシーズが起こしたソウル・リヴァイヴァルの中でQ-Tipsを率いて登場したのがポール・ヤングで,おそらくこのムーヴメントで最も成功したのは彼だろうと思う。
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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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