2017-05

「その春」の使者 について



愛しのニコレット愛しのニコレット
(2008/05/28)
ニコレット・ラーソン

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☆ ニコレット・ラーソン(1952.07.17~1997.12.16)がニール・ヤングの「溢れる愛(Lotta Love)」を引っ提げてデビューした頃,ぼくはしがない受験生だった。彼女の曲がビルボードやキャッシュ・ボックスでトップ10に入った頃(最高位第8位),ぼくは偶然に助けられて受験を突破していた。だから「溢れる愛」は僕にとっては幸運の女神のような曲だったのだろう。

Lotta Love (Neil Young)

1978年10月リリース
最高位8位(ビルボード/キャッシュボックス/レコードワールド)
※かつての三大誌が揃って同じ最高位というのは珍しい気がする。
※全米のイージーリスニングチャートと全加アダルト・コンテンポラリーチャートではNo.1
その他の国の最高位 カナダ4位,豪州11位,ニュージーランド22位

☆ それは当時の感覚で言うなら,この曲のイントロが,ぼくにとっての冬の終わりであり,春の扉を開く音だったのだと思う。その曲がヒットしている時期,時代が個人的な記憶に織り込まれているのだと思う。後年作者であるニール・ヤングのヴァージョンも聴いたが,テッド・テンプルマンのプロデュースは彼女に当時のアーバン・ソウルのセンスを思い切り振りかけた(彼がドゥービー・ブラザーズにやったように)。そしてシングル・カットに際してインパクトのあるサックスをイントロにもってきたことも幸いしたのだと思う。

☆ この曲はシンプルな構造でAメロ(A→A)→Bメロ(B→B’)で,間奏の後にブリッジが入る。アルバムヴァージョンのイントロはサックスの前から始まっているが,シングルではサックスのところから始まる形にショートカットしている。それはちょうどブリッジの後と同じなのでいわばメロディがサークル状(A→A→B→B’→ブリッジ→A →リピート&フェイドアウト)になっているともいえる。そこが良いのである。

☆ アメリカのポピュラー音楽で人気のある女性歌手は割とクセ声の人が多い。ニコレットの声を聴いていると,スティーヴィー・ニックスやベリンダ・カーライルの様な少しザラッとした声質がいかに当時(1970年代後半~80年代後半)の全米で人気があったかに気付かされる。またこうした声質のヴォーカルは必然的に「強い歌唱」に走る傾向があり,それもまたステーション向きだったのかもしれない。

Lotta Love (Neil Young) ※Disco Purrfection Version



☆ 非常に申し訳ないのだが,ぼくにとってのニコレット・ラーソンはこのデビュー曲とデビュー盤に尽きてしまい,その後の彼女は残念ながら亡くなるまでほぼ未聴である。それでも今回,これを書くために曲を浴びるように聴いた(シングル,アルバム,そして上の長い長いディスコ・ミックス)が,思い出されるのは1979年春のことでしかなく,それも断片的な光景でもない,ラジオから流れてくるのこの曲だったり,やけに暖かく感じたあの春の陽気だったり,そういうことだけだった。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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