2017-07

ソングライター・チームの変遷(その1)





☆ コカコーラのボトラーがファンタの宣伝に「ファンタスティック」というコピーを使っていたのは,70年代も初めの方だったと思う。この宣伝は彼らのターゲットと思われるティーンエイジャーの聴取率が高かった日曜日の昼のラジオ番組にはしっかり入っていた筈だ(笑)。もっともその宣伝効果はファンタジーの形容詞はファンタジックではなくファンタスティックであることを多くの学生に教えたのだから,そこいらの学校や塾の英語教師以上だったかもしれない。

☆ エルトン・ジョン(作曲家)とバーニー・トーピン(作詩家)は1970年代を代表するソングライター・チームのひとつである。もっともエルトンが70年代初頭のシンガー・ソングライターのムーヴメントの中から英国で頭角を現した過程や,実際にこのチームはエルトンの諸作品を創っていくことがメインの作業であったことを思えば,ロックがポピュラー音楽の主流として機能分化していく70年代を象徴していたともいえる。日本でも吉田拓郎や矢沢永吉のように作曲家であるが作詩家ではないソングライターは数多くいたので,彼らにとって重要なことはいかに優れた作詩家をパートナーにつけるかということになる。エルトンとバーニーはその最大の成功例であり,そうであるが故に80年代前半のエルトンの不振の遠因ともなった。

Someone Saved My Life Tonight (Elton John / Bernie Taupin)



☆ 邦題「僕を救ったプリマドンナ」は,おそらく曲の初めに「プリマドンナ」という歌詩があるから,これをインパクトにしたのだろう。直訳すれば「誰かが僕を今夜救ってくれた」なので,やや意味不明な邦題の方が耳に残るということか。この曲に限らず,このソングライターチームの特色は「大きなストーリーをそのまま大きなバラードで表現する」ところにあった(だから少し前の土曜に選んだ曲は数ある例外のひとつ)。エルトンのベストはそのキャリアを反映して数多くあるが,この曲とか「人生の壁」とか「僕の瞳に小さな太陽」とかそういう曲ばかりを選んだバラード・ベストを作れば,大半がこのチームの手による作品となるだろう。

Someone Saved My Life Tonight (1975年6月23日)
NOTES (英語版Wikipediaを参照した)
☆ この曲は全米チャート史上初めて初登場1位となったエルトンの9枚目のスタジオアルバム『Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy(邦題:キャプテン・ファンタスティック)』から唯一シングル・カットされた曲。全米最高位はビルボード第4位,キャッシュボックスNo.1,全英22位(ほかにカナダ2位,ニュージーランド13位など)。トーピンの描く歌詩はまだ無名のミュージシャンだった頃のエルトンとトーピンとの出会いやその後の無名時代の苦悩を描いている。

☆ 70年代半ばに6分45秒もの壮大なバラードはラジオ局向きではないと彼が所属していたMCAレコーズはシングルカット盤の編集を依頼したがエルトンはこれを断った。一部の国でこの曲のチャートアクションは芳しくないのはそのせいである。ところでこの曲の邦盤はどうだったのだろうか?実はこの時期のエルトンのシングルはどれも演奏時間がやたら長く,当時ディストリビュートしていた東芝EMIは困った挙句33 1/3回転のシングルを発売したことがある(確かビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイヤモンズ」のカヴァーだったかと)。でもまあ,よくよく考えてみれば東芝EMIはオデオンもしくはアップル(レーベル)からビートルズの「ヘイ・ジュード」をシングルにしているのだから(当然カットなぞしていない7分盤),別に困ることもなかったのではないか(爆)。

☆ ちなみにこのシングルの前のシングル(1975年2月24日リリース)「フィラデルフィア・フリーダム」(全米No.1・・・記憶違いでなければ全米チャート史上初の初登場第1位シングル曲である)も,オリジナル5分38秒でエディット5分20秒というなんだか訳の分からないシングルエディットをしている。この曲のバックグラウンドはキング夫人(ビリー・ジーン・キング 60~70年代の名高いテニスプレーヤー)があることを英語版Wikipediaに記述がある。曲名が何でも彼女が所属したテニスクラブだとのことで,なんだかスティーリー・ダンの「ディーコン・ブルース」に出てくるアラバマ大の「クリムゾン・タイド」みたいである(笑)。

Philadelphia Freedom (Elton John / Bernie Taupin)



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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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