2017-05

恋とはどうしようもないもの(はじめり)




☆ スタンダールの『恋愛論』の話を聞いたのは,高校の現国あたりだったと思う。もちろん有名なエピソード(出版された当時は全然売れなくて,作家が「この本の進化は百年経たないと分からないだろう」と悔しまぎれに言ったことが現実化して古典になったという,あの話)もその時に聞いた。後年,その本を読んでみて,いちばん印象に残ったのは,これもまた有名な「ザルツブルクの小枝」の話。岩塩が結晶作用で大きくなることを人が人を恋する気持ちに譬えたあの話だ。今頃になって振り返ってみれば化学(自然科学)の視点を心理(人文科学と自然科学の境界)に持ち込んだこと自体が,啓蒙思想(ユマニズム)の本家たるフランス人の面目躍如という気がしないでもないけれど,そういう小理屈は抜きにしても(苦笑)この洞察は当を得ているし,やっぱり「恋愛上手はフランス人かな」と危うく思わせるところもある(爆)。

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☆ このカテゴリ名は当然ザ・ルースターズの曲名から来ている。これもどうでもいい話なのだが,「古典はそれが生まれた時代には最新の流行である(ただし上述のスタンダールの例を見るまでも無く,学術・芸術を中心に例外もまた多い)」という当たり前のことをぼくたちは忘れてしまう。あるいは学生の時に「勉強」させられるために,そう思えなくなってしまう。これは残念な話でもある。そして恋とはそのかなりの部分が「どうしようもないこと」で終わってしまうものであることは,古代ギリシアであろうが中世であろうが,近世(ロココ時代のフランスとか江戸時代とか基本的に場所は選ばない)であろうが変わらない訳で,例えば本邦の古典で言えば源氏や伊勢は明らかに「恋とはどうしようもないもの」の文脈の下にある(はずだ)。分からないのは当時の人が使った言葉が今のぼくたちのそれとは大きく異なっているからに過ぎな(。式部や伊勢の作者に今の若い人が面と向かって「ヤバい」と言っても彼らはキョトンとするだろう。どこの宇宙の言葉かと...)。






☆ 次はここから始める。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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