2017-06

「黄土高原」 (坂本龍一 1986年4月21日=アルバムリリース)



未来派野郎未来派野郎
3,041円
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2013年7月5日
☆ 『未来派野郎』にはどことなく安定したものを感じる。それはテクノロジーとポップ音楽との「折り合いのつけ方」のようなものが見えるからかもしれない。「黄土高原」であれば途中で輝く吉田美奈子のコーラスの「光」のせいもあるかもしれない。

☆ この曲に流れる穏やかさは坂本龍一というどこか尖(とんが)ったところが売り物だったミュージシャンの地肌というか,彼の音楽のベースにある素養のようなものを感じさせるからかもしれない。

以下2017年3月24日付記
☆ Wikipediaのこの曲の解説を引用する。
> 坂本の作品では数少ない、オーソドックスなコード進行を持つ楽曲のひとつ。テクノの呪縛がとけて、いわゆるフュージョン的なテイストが全面に出ている。エレクトリックピアノの演奏は、手で演奏したものを一度NEC PC-9801対応のカモンミュージック社製音楽制作ソフト“レコンポーザ”に取り込んで細かくエディットされ、人間とコンピュータの中間の独特なノリを狙っている。16分音符と32分音符の組み合わせによる細かなシーケンスフレーズが曲を通して流れ続けているが、このシーケンスフレーズは、Roland社のMC-4とDX-7で作られている。なお、MC-4は4ヴォイスを全て使って打ち込みがされており、打ち込んだのは坂本本人である。加えて背景に流れているフィルターが変化するシンセのパッドはプロフィット5で、Roland社のMC-4のCV-2にフィルターの変化情報を入力し、フィルター情報はプロフィット5に直接繋いで鳴らしている。

☆ 1985年前後は,音楽のディジタル化が制作サイドからCDという手段を経て販売=消費サイドを動かし始めた時期である。まだこの時期はディジタル制作をすること自体に先進性があった(=つまり試行錯誤が多く見られた。例えば山下達郎の『ポケット・ミュージック』の初版のように)。テクノ・ポップを通過することでそのプロセスを体得していった坂本龍一にとっては,そのステップから次のステップへと踏み出していく時期であり「未来派」は単に歴史的な芸術ムーヴメントの象徴としてではなく,坂本にとっての「未来」への図面のひとつであったのかもしれない。

> パッヘルベルのカノンをモチーフとしたコーラスは、吉田美奈子による多重録音による。レコーディング中にたまたま遊びに来た飯島真理が気に入り、歌詞をつけて12インチシングル「遥かな微笑み」としてカヴァーしている。なお、曲名の「黄土高原」は「こうどこうげん」とも「おうどこうげん」とも発音できるが坂本自身は前者を使用している。アルバム『メディア・バーン・ライヴ』にはライヴヴァージョンが収録されている。

☆ この時期の美奈子は80年代初頭のファンクからさらに黒人音楽の根源へと自らのアプローチを掘り下げようとしている過程だった。だからカノンのモチーフ(先行事例として彼女とも縁の深い山下達郎の「クリスマス・イブ」があったが)を美奈子が解釈するとかようにゴスペル的な血の通った瑞々しいア・カペラ・コーラスになるところも興味深い。飯島真理はこの時代には彼女の音楽的立ち位置とは別に「アイドル的」でもあったから,教授はさぞかしお気に召したことだろう(爆)。

『palette(パレット)』 (飯島真理 2007年)
( 「遙かな微笑み ―黄土高原― 」(1986年7月21日)収録)

palette(パレット)palette(パレット)
2,983円
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☆ しかし曲を通しで聴いた印象は「整っている」ということだ。たくさんの音とリズムを重ねながら,端正に整理されている。ヘンな譬えだけれど,図書館で分類目録順に並んだ蔵書のような印象でもある。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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