2017-09

「Birdland」 (Weather Report 1977年3月=アルバムリリース)


初出:2013年7月9日
ヘヴィー・ウェザーヘヴィー・ウェザー
(2013/10/09)
ウェザー・リポート

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☆ クロスオーヴァーとかフュージョンとかいう言葉を耳にしたころの代表的な作品。AORには入れて貰えない(笑)が,エレクトリック・ジャズ起源のクロスオーバー音楽の格好良さがプンプンする作品。このアルバムと言えば天才ジャコ・パストリアスだけど,スタジオ録音ではわりと大人し目に弾いているのがかわいい(笑)。

Birdland (Zawinul[Joe Zawinul])




☆ ジャコ・パストリアス在籍時の傑作といえば『8:30』。このライブでの「バードランド」は疾走しながらスウィングするという今ならネ申技とか書かれるような素晴らしい演奏。このスウィングを体感して分かるように,何だかんだ言っても彼らは骨の髄からジャズの人達なんだなあ。百歩譲ってもAORには入れられないか(苦笑)。

Birdland (『Weather Report 8:30』Version)




☆ この曲の神技ヴァージョンといえば,既出ですが(汗)マンハッタン・トランスファーのあれ。完コピのイントロからあっという間にマン・トラ・ワールドに引きずり込む(笑)。いろいろ言う人がいるが,原曲へのリスペクトなしにこのチャレンジは無い。原曲に対する「遊び」の部分も含めヴォーカル・グループの底力をまざまざと見せつけたこのヴァージョンこそ,AOR的解釈に相応しいと思う。




2014年3月17日記

☆ 「バードランド」は東京都中央区銀座にあるやきとり屋さんではなく,ニューヨーク・ブロードウエイの52丁目にあったジャズ・クラブ。ビリー・ジョエルが1978年に『52番街』で描いたようなジャズ・クラブ。今ある店は1986年に営業を始め,44超目に移転して現在に至るとウィキペディアの解説に書いてあった。

バードランド

☆ 「バード」がチャーリー・パーカーの仇名であることを知っている人も減ってきたかもしれない。同名の歌手がいるが,彼女はたぶん解っていると思う(同じようにSuperflyもカーティス・メイフィールドのことを知っていると思いたい)。

☆ 「バードランド」は,ウエザー・リポートの1977年作品『ヘヴィー・ウエザー』の冒頭を飾る曲だが,このアルバム『ヘヴィー・ウエザー』は,この時代のジャズ/フュージョン最大の成功作のひとつというべき作品だ。これはエレクトリック・ジャズがロックやポップ・ミュージックに文字通りクロス・オーバーしていく過程そのものであり,その最大のカタリスト(触媒)となったのは言うまでもなく文字通りの天才ベーシスト,ジャコ・パストリアスの存在だろう。彼のベースが全てを支配したわけではない。そうではなく総てのミュージシャンの想像力を最大限に刺激した。だから天才だと思うのだ。しかしこの曲,いやこの時代のウエザー・リポートの破壊力はライブにおいてその神髄を如何無く発揮した。その時期の最高の演奏が彼等の公式ライブ盤『8:30』に記されている。

☆ 『8:30』のヴァージョンでは,ジャコのベースが走り出すと同時に,レコードのピッチを上回るスピードで演奏が展開されていく。その圧倒的速さ,そして破壊力。レコーディングされた演奏を聴き返すだけでこうなのだから,この会場にいたかった。至福を味わいたかった。シャッフル・ビートでだんだん熱を増していく演奏は,俗な言い方で言えば「クールな熱情」そのものだ。この曲をジャズとかクロスオーバーとかそういうカテゴリの中に入れておくのが勿体ない。これは間違いなくこの時代のポップ音楽のひとつの到達点だった。彼らは先駆者であり,挑戦者であり,革命家だったのである。

☆ ところで『Heavy Weather』は1977年作品,『8:30』は1979年作品だ。マンハッタン・トランスファーが「バードランド」をカヴァーした『エクステンションズ』を発表したのは1979年10月31日。おそらくレコーディングの頃に『8:30』はリリースされていたから,『8:30』のライヴ・ヴァージョンは耳にしていたかもしれない。というのもマン・トランのヴァージョンはヴォーカルで出来るだけ途中の楽器音を再現しようとしているふしがあるからだ。

2017年3月20日付記

Live Concert, Offenbach, Germany, Sept. 29, 1978



PERSONEL
Wayne Shorter - soprano and tenor saxophones, lyricon, percussion
Joe Zawinul - electric and acoustic pianos, synthesizer, organ, percussion, guitar
Jaco Pastorius - electric bass, drums, percussion
Peter Erskine - drums, percussion

☆ オッフェンバッハでのライブはラフな部分(ミスタッチ等)が若干あるが,ウエザー・リポートが単なるクロスオーヴァー/フュージョン的なジャズをやっていたのではなく,最もロック的なアプローチをジャズの形を失うことなく果敢に挑戦したことを如実に表している記録だと思う。そこにあるのはリードギター(とリード・ヴォーカル)の代わりをベースとサックスとキーボードが担うフォーピースのロック・バンドの変形である。その音楽の再現性はロックに通じ,そのリズムの精髄はドラムスのスキッフルビートとベースのフォービートがミックスしたポリリズムであり,コーダ部分のジャムり方はロックの即興演奏では全くなく,ジャズ以外の何でもない。そんな革新的いや革命的な曲にリアルタイムで出逢えて本当に幸運だったと思う。




個人的に凄いと思うベースプレーヤー
1960年代後半~70年代前半
ジョン・エントウィッスル(ザ・フー)
1970年代
ジャコ・パストリアス
(ウエザー・リポート)
1980年代
マーク・キング
(レベル42)
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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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