2017-05

引用とレスペクト





☆ 日本のポピュラー音楽は西洋音楽を消化(昇華)することで発展していった。明治期に西洋音階が本格的に導入され,音楽教育が基礎教育の一環として取り入れられたことがそのベースにあることは疑いない。これが我が国のポピュラー音楽発展史を支えた。つまり東洋音階(その中の日本音階)の影響を容易に脱しえたことが西洋(欧米)のポピュラー音楽を受け入れる土台となり,それが我が国において独自の発展を遂げる基礎ともなった。何が言いたいのかというと,それは一面で欧米(特に米英)のポピュラー音楽の影響を受けつつ独自に発展するという日本のポピュラー音楽の「あり方」を示している。またこれは音楽という視点から見るとクラシック音楽の受容にも見られるのである。

☆ それは一面,欧米のポピュラー音楽トレンドに対するコピーから本邦のポピュラー音楽が起こっているという指摘にもつながっている。例えば第二次世界大戦後のジャズは進駐軍のためのエンターテイメントとして再興した。1001と言えば当時のミュージシャンのバイブルであっただろう。そこから日本のポピュラー音楽と興行界に大きな影響を与えるミュージシャンや興行師(こう書いちゃ失礼だろうが,いまだにそういう興行師的体質から抜け切っていないのが本邦ショウビズ界の実情である)を生み出した。



☆ これは受容の問題である。「売れるものの真似をする」ということは,どんな「産業」にも通底する。そこでただ単に猿真似するのではなく,そこにあるものをいかに自分が消化し自家薬籠中の物に窯変させるかが問われている。窯変された音楽にはオリジナルに対するレスペクトがあり,どんなにレベルが高くなかったとしてもそこには "Wannabe's" の「思い」がなければならない。それがないものは良くて引用,そこに志も無ければ単なる剽窃(かっぱらい)である。

LOVE SPACE (山下達郎)



☆ 例えばこの山下達郎の曲(オリジナル発売1977年6月25日)には次の作品群(1974年1月)の影響が色濃くある。しかし,山下が佐藤博らとこの曲を録音していった時にそのことは殆ど意識していなかったであろうと思われる。それは彼の聴いてきた音楽の歴史の中で曲のアイディアとして自然と出てきたとしか思えない。ぼくが言う「窯変」とはそういうことなのである。
Love's Theme~Rhapsody In White (Love Unlimited Orchestra)









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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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