2017-10

Whatever Gets You Through The Night(ふたたび)



☆ 外国のポピュラーソングに興味を持ち始めた頃に,ビートルズはいなかった。ビートルズが解散したのは大阪万博が始まって直ぐのことで,その頃は外国のバンド(ロックという言葉も知っていたかどうか怪しい)の「事件」よりも野球やレスリングの漫画(今で言うアニメ)の方が大事だったから仕方がない。

☆ 1970年代に入るとビートルズ再結成という言葉だけが喧(かまびす)しかった。4人はそういう外野と関係なく,いろんな作品を届けてくれた。敢えて個別の順位は言わないが,この曲(「真夜中を突っ走れ」)がリアルタイムで聴けたことは幸せだったと思う。ロック音楽自体が一種のテンペストのように襲いかかって来たこと。その音楽に塗(まみ)れるのはとても幸せだったこと。これだけは生きている間にいくら言っても言い尽くすことはないのだろうと思う。

☆ 以前にも言ったことがあるが,大滝(詠一)さんがよく言っていた「早いビートに載せて朗々と歌う」という黄金律がこの曲にもあるような気がする。ボビー・キーズのサックスは確かに薄闇をぶち破る感覚があるし,この一音で全ての空気を変えてしまう。そこからドヤドヤとなだれ込んでくる豪快なロケンロールは邦題の通り最後まで「突っ走って」いくのだが,ヴォーカルの言葉数(かず)が少ないことが「朗々と」いうイメージを呼び起こしている。

☆ 同じような方法論はブルース・スプリングスティーンの「明日なき暴走」にも取り入れられている。ボスはあの曲を幾つかの要素で構成しているので,見かけと違ってこの曲ほどシンプルではない。むしろ考え抜いて作り込んだ末に「自然に」ロックしているような演奏に仕上げている。それはもちろん方法論であってギミックではないが,ジョンとエルトンやこの曲のパーソネルは,まるでジャムセッションから1曲の構想を得てそれを仕上げていったかのように,もっとぶっきら棒な演奏になっている。たぶんその「自然さ」は作り込んだものではなく,まぐれの産物であるように感じる。だからこの曲は恰好よいのである。

Whatever Gets You Through The Night (John Lennon)




☆ ヴォーカルを含むすべての楽器がてんこ盛りのフルスピードなのだ。たぶんそこが格好良いのだろうと思う。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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