2017-11

ポップ・ソングの定義(その1「嵐の恋」(バッドフィンガー)に3分間の鮮烈を見る)



ノー・ダイス/バッドフィンガー
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☆ 昔アップルといえばビートルズのレーベルだった。スティーヴ・ジョブスもそのことは十分に承知していたがその辺の話はジョブスの評伝を見てほしい,ビートルズが「いなくなる前」にレーベルは何組かの有望新人ミュージシャンを送り出しており,バッドフィンガーはその代表格だったと言えると思う。

☆ バッドフィンガーの日本での出世曲はこの「嵐の恋(No Matter What)」で,あまりに有名な邦題のためオリジナルタイトルが分からず,ネット時代の初期まで入手に苦労した思い出がある。最初にバッドフィンガーのベスト(英米盤)を買って初めてオリジナルタイトルが分かった。和訳サイトを調べていた時にFC2のブログで紹介されているものがあったのでリンクを掲載したい。

http://magicaldoor2009.blog63.fc2.com/blog-entry-30.html


☆ 上記リンクでも紹介されているように,60年代後半にロックが分岐していく中で,複雑化(アート・ロック/サイケデリック・ロック→プログレッシヴ・ロック)、単純化かつ増量(ブルース・ロック→ハード・ロック/ヘヴィ・メタル・ロック)、単純化かつ筋肉化(パンク・ロック)、その他の流れ(グラム・ロック、パワー・ポップ、ソフト・ロック→アダルト・オリエンテッド・ロック、クロスオーヴァー・ロック→フュージョン)とさまざまなスタイルが登場する。ポップ・ロックは他のロックに比べて軽く見られたのも事実だと思うが,音楽が音楽として生き残っていく力では,その当時思われたよりは軽くなかったと言える。

No Matter What (Pete Ham 1970年11月6日)



No matter what you are
I will always be with you
Doesn't matter what you do, girl
Ooh girl, with you

No matter what you do
I will always be around
Won't you tell me what you found, girl
Ooh girl, want you

[CHORUS:]
Knock down the old, grey wall
Be a part of it all
Nothing to say, nothing to see, nothing to do
If you would give me all
As I would give it to you
Nothing would be, nothing would be, nothing would be

No matter where you go
There would always be a place
Can't you see it in my face, girl
Ooh girl, want you

[guitar solo (Joey Molland)]

[CHORUS]

[REPEAT VERSE 1]

Ooh girl, you girl, want you
Ooh girl, you girl, want you.

☆ きっちり3分間にまとめ上げた極上のポップ・ソングである。複雑化させ長く(言い換えれば広大な音のカンバスに)♪の絵を描くプログレッシヴ・ロックやブルーズの連続性を組み立てながら,一つには構造的様式美に向かうヘヴィ・メタルを先導したり,他方では民族音楽など他のルーツの中に更なる発見を見ようとしたハード・ロックなど,音のテーマをどう構成するかという課題がロックという新しい音楽の中で興味を引く最新のモードであった時代に,音楽としてのロックンロールへの本家帰りには,ひとつはロックンロール・リバイバルがあり,他方にパンクへと繋がっていくシンプル・ロックの復権があった。

☆ ポップ・ロックやパワー・ポップは後者の系譜であり,アプローチはお手本とすべき先人(例えばエジソン・ライトハウスであればモータウン・サウンドだし,バッドフィンガーは言うまでもなくマージービートだろう)を,いかに1970年代という最新モードの中で表現するかという点に課題があったのだろう。

Love Grows (Where My Rosemary Goes)
(「恋のほのお」 Edison Lighthouse 1970年1月)




☆ その一つの答えが「嵐の恋」であり,ジューク・ボックスでかかる「3分間の現代芸術(ポップ・アート)」は,こうしてアップデートされていったのである。そしてその普遍性が曲のいのちをこれからも伸ばしていくことになるのだろう。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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