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2020-01

「Lowdown」 (ボズ・スキャッグス 1976年6月)


初出:2013年9月10日
シルク・ディグリーズシルク・ディグリーズ
(2013/03/06)
ボズ・スキャッグス

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☆ 今でこそAORを代表する名盤のように紹介される『シルク・ディグリーズ』だが,発売された当初はさほど注目を浴びたわけでなかった(最近出ているこのアルバムの邦盤にはその辺の解説も書かれていると思う)。アルバムからの先行シングル「イッツ・オーヴァー」はビルボードTop40にようやく顔を出した(最高位38位)のが精一杯だった。ところがクリーブランドのあるR&BステーションのDJがシングルカットもされてなかった「ロウダウン」を気に入って,何度もエアプレイしたことがきっかけとなり,この曲をかけるR&B局が増えていった。

☆ その話が伝わった米コロムビアは恐る恐るこの曲をシングル・カットしたのが76年6月。すると燎原の火のようにとは言わないが(笑)たちまち火がついて彼自身全く縁のなかったTop10ヒット(最高位第3位,R&B/ディスコチャート最高位第5位)となり,32歳の遅咲きヴェテラン・ミュージシャンを一気にトップ・スターの座に押し上げた。

Lowdown (Boz Scaggs / David Paich)




☆ ボズ・スキャッグスというミュージシャンはR&Bやサザン・ソウルをルーツに持っている(だから今世紀に入ってのジャズやソウル・アルバムへの展開は良くわかる)。またそのスウィート・ヴォイスは「バラードうたい」としては超一品である。つまり彼の歌は概して「重い」。ところが「ロウダウン」という歌だけが例外的に「軽い」のである。それが偶然選ばれたことで彼は世に出ることとなった。音楽の神様の気紛れには違いないのだろうが,なかなか興味深いことだと思う。ちなみにこの曲は1976年度のグラミー賞で最優秀R&B楽曲賞を獲得しているが,これは彼の獲得した唯一のグラミーである。


2020年1月9日付記

☆ 去年(2019年11月17日)スティーヴ・ミラー・バンド「ロックン・ミー」のチャートを追いかけた時に気付いたが,この2曲のヒットのピークは近い。周囲を見渡せば「シェイク・ヤ・ブーティー」「プレイ・ザット・ファンキー・ミュージック」「ディスコ・ダック」「運命'76(ザ・フィフス・オブ・ベートーヴェン)」など,まさにこの年でなければ出なかったであろうナンバー・ワン・ヒットがゾロゾロ(笑)。その中で異彩を光るのが『昼顔』ソング(爆)「アフタヌーン・ディライト」だったりする非常に騒々しいチャートだが,まだ前半はウイングスの「シリー・ラブ・ソング(心のラブ・ソング)」の長期No.1があり,お終いの方にはスティ-ヴ・ミラーのところでも触れたロッドの「今夜決めよう(トゥナイツ・ザ・ナイト)」がでんと控えている。

Billboard Hot 100 1976
7/3 82位(New Entry)→70位(7/10)→66位(7/17)→56位(7/24)→46位(7/31)→36位(8/7)→27位(8/14)→22位(8/21)→16位(8/28)→9位(9/4)→7位(9/11)→6位(9/18)→5位(9/25)→5位(10/2)→3位(10/9:最高位)→3位(10/16)→4位(10/23)→25位(10/30)→33位(11/6)→33位(11/13)→41位(11/20:3rd Single "What can I say":85位New Entry)→44位(11/27)→チャート外(12/6)

"What can I say"
11/20 85位(New Entry)→72位(11/27)→60位(12/6)※以下略(最高位42位)

☆ この曲が「特別なヒット」になったのは音楽の神様に導かれたのは確かだろうが(すべてのヒット曲(出世曲)に共通する)やはりディスコ音楽のカテゴリにピタッとはまるホワイト・ソウルだったことが大きいと思う。ボズ的には最初のシングル「イッツ・オーバー」の熱唱の方が似合っていたし,「何と言えばいいんだろう(What can I say)」もアルバムの中では割とアップテンポな曲だ(だから最後のシングルは「リド・シャッフル」になる)。要はダンスフロア向きの曲を選んでシングルカットしている。

☆ ところが日本では「港の灯(ハーバー・ライツ)」だったり「二人だけ(ウイアー・オール・アローン)」のようなどっちかといえばチークタイム向けの曲(笑)が大当たりして(CBSソニー洋楽部もちゃっかり「ソフト&メロウ」なんて名付けて)ボズ=ミスターA.O.R.みたいなイメージができあがったという気がする。結果論としてどちらもボズ・スキャッグスであるし,初期のソウルフルな歌唱のボズも現在の彼もまたボズ・スキャッグスという懐の深いミュージシャンの一部なんだなあと思っている。

PERSONNEL

Boz Scaggs – lead vocals
David Paich – keyboards
Fred Tackett – guitar
Louis Shelton – guitar
David Hungate – bass
Jeff Porcaro – drums
Carolyn Willis – background vocals
Marty McCall – background vocals
Jim Gilstrap – background vocals
Augie Johnson – background vocals
Joe Wissert – producer

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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