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2019-10

「Biggest Part of Me」 (Ambrosia 1980年5月19日)



☆ 「回帰」とは一般にはもとの位置または状態に戻ること、あるいはそれを繰り返すこと(Wikipedia)とある。回帰の一番分かり易い例がいわゆるファッション(流行物)だろう。これを直線的に捉えればレトロ(回顧)となるが,大抵の場合螺旋状に捉えられている。螺旋状というのは平面に表せばよくあるマネジメントサイクルのようなものであり,それを三次元的に表す理由は社会進化論的「上からの視点(目線などともいう^^;)」が無意識に潜んでいるからだろう。

☆ ポピュラー音楽も「音楽」の一翼を担う(?)存在として,この螺旋状のパターンを辿っているように思えた(80年代くらいまでは。ただし,そのあとのシーンについては,ぼくが個人的に知らないので評価できないだけの話)。回帰パターンはまずシンプルな形から始まり,やがて複雑な形に向かい,同時に分化する。そしてある程度分化が進んだところで最初の形への揺り戻しが起きる。個人的なポピュラー音楽リスナー史からこういうパターンを導き出している。

☆ ロックンロール(カントリー/ヒルビリー音楽とブルーズ/リズム&ブルースのマリアージュとしての)からスタートしたロック音楽は,そのルーツへの再接近(フォークロック,カントリーロック/ブルースロック)や分化(アヴァンギャルド/アートロック,プログレッシヴ・ロック,ハードロック/ヘヴィ・メタル・ロック,ソフト・ロック)を経てロックンロール・リヴァイバル/パンク・ロックで揺り戻される。50年代からの四半世紀はざっくりこういう流れだったように思う。

☆ もちろんロック音楽と並行してリズム&ブルースから進化したソウル音楽や,モダン・ジャズから発展したクロスオーヴァー現象(フュージョン音楽)があり,そのバックグラウンドにカウンター(ヒップ)カルチャー⇒サブカルチャーの流れがあった(芸術から薬物までの多彩な共演者を含む)。本来こういうことは「文化史」として相互・総体的に取り上げるべきことであるにもかかわらず,文化人類学を筆頭に史学(音楽史・文学史・美術史・風俗史)などの専門家たちはせっせと自分たちの壺を大きくすることに血道を上げているので当事者へのオーラルヒストリー採取すら全然進まないまま「風化」の憂き目に遭おうとしている。なさけないことだ。

Biggest Part Of Me (David Pack) Album version


☆ アンブロージアやジノ・ヴァレリがプログレッシヴ・ロックからAORと称されるソフト・ロックに移行してきた(ように見える)のは,プログレッシヴ・ロックの方法論に大きな変化が起きたからだと思う。その引き金を引いたのはロック側で言えばスティーリー・ダンであり,ジャズ側でいえばウエザー・リポートやボブ・ジェームズであるように思う。

☆ 以前ディープ・パープルのところで書いたように,プログレッシヴ・ロックの本質は「新奇なことを行うこと(シド・バレットの時代のピンク・フロイド)」から「複雑で構成力のある音楽世界を描き出すこと(イエスの『クロース・トゥ・ズィ・エッヂ』など)」に変わっていった。複雑で構成力のある音楽だったらメインストリーム・ロックになっていく70年代前半のロックの主要作品(言うまでもなく「ハイウエイ・スター」だったり「ステアウエイ・トゥ・ヘヴン」,或いは「ボーン・トゥ・ラン」だったりする訳だが)の特徴でもある。

☆ その昔のモンキービジネスなお歴々がミュージシャンの才能をこき使って(搾取というより収奪して)シンプルで分かり易いティニーホップ(10代向け使い捨て音楽(および金蔓)と彼らは思っていた)からスタジアム/オーデトリアムでの巨大ツアーを併せ持つビッグ・ビジネスにポピュラー音楽「産業」が進化していく背景に,この「複雑化」及び「構成力の進化(深化)があった。

☆ そうすると「アメリカン・ハード・プログレッシヴ・ロック(ところで "アメリカン・プログレ・ハード"って何なん?)」という音楽ジャンルは「複雑で構成力に富み(=ちゃんと聴かせるところは聴かせて)」その凄さ(=新しさ+分かり易さ)で人気を得るポピュラー音楽ということになる。

☆ プログレッシヴ・ロックが「分かり易さ(ポピュラリティ)」に目覚めた時点がAORのスタートの一端であったと思う(もう片方はニューソウル⇒スウィート・ソウル⇒ソフト&メロウ路線からのアプローチ)。口の悪い奴らは「かくして彼等は両方とも仲良くAORに回収されました」と言うかもしれんが,そうじゃないぞ(苦笑)。

PERSONNNEL

David Pack – vocals, guitars
Joe Puerta – bass guitar, harmony vocals, backing vocals
David C. Lewis – fender Rhodes, piano, Prophet
Christopher North – organ
Royce Jones – percussion, harmony vocals, background vocals,
Burleigh Drummond – drums, percussion, harmony vocals, backing vocals
Ernie Watts – saxophone

最高位
全米
Billboard Hot 100 3位
アダルト・コンテンポラリーチャートも3位
Cashbox Top100 2位
Radio & Record No.1



☆ この時代,ビルボードのチャートを提供していたのはミュージックラボ誌で,オリジナル・コンフィデンス誌が提供していたのがラジオ&レコード。キャッシュ・ボックスは日曜深夜24時からレコード針のナガオカが提供するチャート番組をJFN4局(東京・大阪・愛知・福岡)で小林克也のDJで放送していた。
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「Rat Race」 (The Specials 1980年)


初出:2007年4月14日(YouTube追加:2019年10月23日)

Rat Race(Roddy Byers)


You're working at your leisure to learn the things you'll need
お前らは自分達に必要なことを学ぶべき時間を遊び呆けている
The promises you make tomorrow carry no guarantee
明るい将来でも約束されたかのように勘違いしているが,そんなもの誰も保証しないぞ
I've seen your qualifications, you got a Ph.D.
お前らの取得できる資格とやらを見たぜ,学士号が取れるんだって
I've got one art O-level, it did nothing for me
俺にはどんな「学」もないけれど,そんなもん俺にとっちゃ何の意味もねえや

Working for the rat race
結局,いたちごっこをやってるだけのことじゃないか
You know you're wasting your time
お前らがやっていることはただの時間の浪費ってヤツさ
Working for the rat race
生存競争に汗水流せよ
You're no friend of mine
そんな奴らは俺の友達なんかじゃねえ

You plan your conversation to impress the college bar
カレッジのバーで気取った会話でもやって好印象を植えつけようと必死みたいだな
Just talking about your mother and daddy's Jaguar
お前らのお袋の話だの親父が乗っているジャギュァーの話なんてやつさ
Wear your political T-shirt and sacred college scarf
政治信条が書かれたTシャツなんか着込んだり,ご大層なカレッジのスカーフなんか巻いて
Discussing the world situation, but just for a laugh
世界情勢を討論するんだっていうのかい,とんだお笑い種(ぐさ)だぜ

Working for the rat race
結局,いたちごっこをやってるだけのことじゃないか
You know you're wasting your time
お前らがやっていることはただの時間の浪費ってヤツさ
Working for the rat race
生存競争に汗水流せよ
You're no friend of mine
そんな奴らは俺の友達なんかじゃねえ

(Interlude)

Working for the rat race
結局,いたちごっこをやってるだけのことじゃないか
You know you're wasting your time
お前らがやっていることはただの時間の浪費ってヤツさ
Working for the rat race
生存競争に汗水流せよ
You're no friend of mine
そんな奴らは俺の友達なんかじゃねえ

Just working at your leisure to learn the things you don't need
どうでもいいことばかり身につけるためにせっせと余暇に励んで
The promises you make tomorrow carry no guarantee
何の保証もされない将来の約束のために追いまくられるって訳か
I've seen your qualifications, you got a Ph.D.
お前らの取得できる資格とやらを見たぜ,学士号が取れるんだって
I've got one art O-level, it did nothing for me
俺にはどんな「学」もないけれど,そんなもん俺にとっちゃ何の意味もねえや

Working for the rat race
結局,いたちごっこをやってるだけのことじゃないか
You know you're wasting your time
お前らがやっていることはただの時間の浪費ってヤツさ
Working for the rat race
生存競争に汗水流せよ
You're no friend of mine
そんな奴らは俺の友達なんかじゃねえ

注 : Ph.D. 英国では「学士」号に相当する。

Song Review(From "All Music Guide" Reviewed by Stewart Mason)

The first single from the Specials' somewhat unfocused second album, "Rat Race" is both a restatement of the group's ska roots and something of a retrenchment.
・ザ・スペシャルズのセカンド・アルバム(注『More Specials』)は,どこか焦点ボケした感じがあったが,そこからの最初のシングル・カット曲である「ラット・レース」はこのグループがスカに音楽的なルーツを持つことを再確認させると共に,その度合いがどことなく減ってきたことを表し始めていた。

The first Specials single not written or co-written by leader Jerry Dammers, "Rat Race" is a Roddy Radiation-penned attack on the unthinking snobbery of the upper-middle-class university life.
・リーダーのジェリー・ダマーズのペンによらない初めてのシングルとなったこの曲「ラット・レース」はRoddy Radiation(Byers)が書いたが,中の上クラス(上級中産階級)の何も考えていない俗物根性丸出しの学生生活を攻撃するような内容の曲だった。

(Given that students were a huge chunk of the Specials' audience, as shown in the song's cheeky video, there's an admirably "bite the hand that feeds" aspect to the lyrics.)
(この曲のちょっと面白いPVにも見て取れるような,スペシャルズのファンの多くを占めていたこういう学生連中にたたきつけたこの歌詞は,「飼い犬に手を噛まれる」を地で行くようなあっぱれな側面を持っていたのだ)


In the midst of the stylistically diverse More Specials, "Rat Race" comes off as a nod to the band's ska roots, which the rest of the album tends to ignore; as a result, it feels slightly stale both in comparison to similar early singles and to more wide-ranging contemporary material like the soundtrack-inspired "Stereotypes."
・さまざまなタイプの曲を持つ『More Specials』の中において,「ラット・レース」はバンドがスカを根っ子に持つことを認めながらも,その音楽性がそこから他へ移ろうとしていることを示していた。アルバムの残りの曲はスカ的な要素をなおざりにしがちだったので,その結果として,初期の似たような作品と比べても,あるいは彼等が音楽の幅を広げ,もう少し当時の流行に沿ったような作品,例えばサウンドトラックに影響を受けたという「ステレオタイプ」のような曲と比べても,この曲はやや気の抜けたものに感じられた。

On its own, however, it's a rollicking good piece of second-wave ska.
・まあ,そうは言っても,この飛び跳ねるような作品が「スカ第二世代」の優れた作品のひとつであることは間違いないのではあるが。。。

2019年10月23日付記
☆ 結局この曲から何も学ばなかった連中の成れの果てが大英帝国を欧州共同体から蹴り落そうとしているように思えるのだ。

最高位 全英第5位,アイルランド第17位

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「アントニオの歌」 (マイケル・フランクス 1977年)



☆ マイケル・フランクス1977年作品『Sleeping Gypsy』からシングルカットされた曲で,日本ではかなりのヒットを記録した。1970年代AORの定番曲のように言及されることも多いが,トミー・リピューマらしい手堅い仕事と豪華なミュージシャン陣にもかかわらず,本国では全くのノーヒットに終わった。これは70年代後半の米国シーンがディスコとクロスオーヴァー(フュージョン)の時代だったからで,一方本邦では,丸山圭子「どうぞこのまま」(1976年7月5日)に代表されるようにボッサ(或いはボサノヴァ調)の曲が元々根強い人気を持っていたことがある(南佳孝の「忘れられた夏」もシングル・ヴァージョンはボッサだし)。

Antonio's Song (The Rainbow) (Michael Franks)



Antonio lives life's frevo
あのひとは人生をフレボを踊るように生きている
Antonio prays for truth
あのひとは真なるもののために祈りを捧げる
Antonio says our friendship
あのひとは言う,われわれの友情は
Is a hundred-proof
混り気の無い純粋なものだと
The vulture that circles Rio
ハゲワシはリオの街の上を旋回し
Hangs in this L.A. sky
ロサンゼルスの空にぶら下がっている
The blankets they give the Indians
インディアン達に与えられた毛布が
Only make them die
彼等を死に至らしめたように

But sing the Song
だけど歌おう
Forgotten for so long
長い間ずっと忘れ去られていたあの歌を
And let the Music flow
音楽の漂うままにして
Like Light into the Rainbow
虹の中へ差し込む光のような
We know the Dance, we have
あの踊りを知っている
We still have the chance
まだチャンスは残っているかもしれないから
To break these chains and flow
この足枷を壊して漂い出るため
Like Light into the Rainbow
虹の中へ差し込む光として

Antonio loves the desert
あのひとは砂漠を好んでいる
Antonio prays for rain
あのひとはその場所に雨が降るよう祈っている
Antonio knows that Pleasure
あの人は知っている。すべての快楽を求める心が
Is the child of Pain
やがて苦痛に変わる子供のようなものだと
And lost in La Califusa
そしてラ・カリフューザで迷い子になり
When most of my hope was gone
胸に抱いた希望のあらかたが失われた時も
Antonio's samba led me
あのひとが奏でるサンバは
To the Amazon
わたしをアマゾンの奥地へと誘(いざな)うのだ

We sing the Song
Forgotten for so long
And let the music flow
Like Light into the Rainbow
We know the Dance, we have
We still have the chance
To break these chains and flow
Like Light into the Rainbow

注)
o あのひと:Antônio Carlos Jobim(January 25, 1927 – December 8, 1994)
o フレボ:ブラジルのペルナンブコ州レシフェに由来するダンスと音楽のスタイルで、伝統的にブラジルのカーニバルに関連付けられている。フレボという言葉は、ポルトガル語のferver(沸騰する)の変形であるfreverに由来すると言われている。フレボの音により、リスナーとダンサーはまるで地面に沸騰しているように感じると言われる。フレボという言葉は、フレボ音楽とフレボダンスの両方に使用される。
o ラ・カリフューザ:米国・加州・ロサンゼルス



☆ 100Proofより101Proofのほうが好きなヤツは呑ん兵衛である。
※101Proof=アルコール分50.5°のハードリカー(ウイスキー,ジン,ウォトカなど)のこと。

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「Mind Games」 (John Lennon 1973年10月29日(米)11月16日(英))


初出:2012年9月14日
マインド・ゲームス(ヌートピア宣言)マインド・ゲームス(ヌートピア宣言)
(2010/10/06)
ジョン・レノン

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Mind Games (John Lennon)

We're playing those mind games together
Pushing the barriers planting seeds
Playing the mind guerilla
Chanting the Mantra peace on earth

We all been playing those mind games forever
Some kinda druid dudes lifting the veil
Doin' the mind guerilla
Some call it magic the search for the grail

Love is the answer and you know that for sure
Love is a flower you got to let it, you got to let it grow

So keep on playing those mind games together
Faith in the future outta the now
You just can't beat on those mind guerillas
Absolute else where in the stones of your mind

Yeah we're playing those mind games forever
Projecting our images in space and in time

Yes is the answer and you know that for sure
Yes is surrender you got to let it, you got to let it go

So keep on playing those mind games together
Doing the ritual dance in the sun
Millions of mind guerillas
Putting their soul power to the Karmic wheel

Keep on playing those mind games forever
Raising the spirit of peace and love
(I want you to make love, not war, I know you've heard it before)

Personnel
John Lennon: vocals, guitar, slide guitar
David Spinozza: guitar
Ken Ascher: keyboards
Gordon Edwards: bass
Jim Keltner: drums

Confer
Sowing The Seeds Of Love (Tears For Fears 1989年8月29日)




シーズ・オブ・ラヴ+4(紙ジャケット仕様)シーズ・オブ・ラヴ+4(紙ジャケット仕様)
(2010/02/24)
ティアーズ・フォー・フィアーズ

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2019年10月18日追記

☆ 1973年。ヴェトナム反戦運動にウォーターゲート事件がクロスしてアメリカは揺さぶられていたと思う。日本だって連合赤軍事件で決定的に支持を失った新左翼運動は内ゲバの中で明らかに退潮し,保守派は巻き返しというより相手の失策を見ながら自らの基盤をただ強化し続けていた。この構造が後年『永続敗戦論』や『言ってはいけない』の世界を構成していくのだけれど,まずはラブ&ピースは商業的には元気だったと思っている。

☆ 個人史を言えば本当の意味でポピュラーロックを聴き始めた時期だったので,ジョンの曲もメッセージより曲の持つ雰囲気に惹かれたと言えるかもしれない。メッセージがそれなりに分かるようになり,ヴェトナム戦争もリチャード・ニクソンも近過去の歴史分析の対象になった後では,ジョンの言うLoveがヘイトやホステリティと戦う概念であることも理解されるし,ローランド・オーザバルとカート・スミスが80年代末にジョンが「マインド・ゲームス」で歌った "mind guerilla" として,彼が蒔くことのできなかったThe Seeds Of Loveを自分達が代わりに蒔くのだと力強く宣言する背景も分かる。

☆ たしかに腐敗した権力や政治家も「敵」かもしれないが,本当の敵は「憎しみ」や「嫌悪」であると。

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【10月21日追記あり】 「涙に染めて(Trouble Again)」 (カーラ・ボノフ 1979年/リンダ・ロンシュタット(カヴァー1989年)



Trouble Again (Karla Bonoff/Kenny Edwards)
Covered by Linda Ronstadt (Featuring Aaron Neville)
From Her Album 『Cry Like a Rainstorm, Howl Like the Wind』 (Released October 1989)


Well, I wake up in the night now
ああ,起きたらもう夜の帳(とばり)が下りてるわ
And don't you know I think of you?
貴方のことばかり考えてるって,この気持ち分かる?
It's the fire in your eyes
それは貴方の瞳に灯った炎だったわ
It keeps on cutting through
あの炎が,今もわたしの心を突き刺しているの

There's nowhere I can run to
何処にも逃げる場所なんてないわ
Can't seem to lose the thought of you
貴方のことを考えないことなんか,できないみたい
I never really was a bad girl
わたしはいけない娘じゃなかったのに
But you got me in trouble again
また貴方が厄介事にわたしを巻き込むのね

Well, I used to walk a straight line
でもね,昔はわたしも真っ当な道を歩いていたの
I knew what I was doing all the time
自分がやってることがどういうことかくらい分かってた
There was nothing that could move me
どんなものもわたしの心を動かすことはなかったの
I always held my ground
いつだってちゃんと地に足がついていたってこと

But you got me where you want me
だけど貴方はわたしが居てほしいと思ったら何処にでも呼び出して
And now you're always here to haunt me
今じゃすっかりわたしに付きまとっているの
I never really was a bad girl
わたしはこんな女の子じゃなかったのに
But you got me in trouble again
またもやあなたが厄介事に引っ張り込むのね

I still remember how it felt
それがどういう気持ちだったか,しっかり覚えているわ
When you put your arms around me
貴方がわたしを抱きしめた時
But if I thought that you would love me
でもあの時,貴方がわたしのことを本当に好きだと思っていたのなら
I was blind
わたしもとんだ初心(うぶ)だったのね

(Interlude)

But you got me where you want me
And now you're always here to haunt me
I never really was a bad girl
But you got me in trouble again

Well, you think I would have learned by now
でもね,わたしも今までの騒動でいろいろ学んだって思わない
And I'd keep away from you, somehow
どうにかして貴方の下(もと)から逃げ出してやろうって
Just like a little child
ちいさい子供みたいに
I keep coming back for more
疲れ果てて舞い戻ることを繰り返すって

But baby, when you called today
でもね,今日うちに電話した時に
Don't you know that I'll come out and play
わたしが何処かに遊びに行ってしまってるなんて思いもしないでしょ
I never really was a bad girl
わたしはこんな女の子じゃなかったのに
But you got me in trouble again
そうやって貴方が厄介事に巻き込むの

I never really was a bad girl
But you got me in trouble again

Ooh,I never really was a bad girl
But you got me in trouble again

☆ 聴かせどころのツボを押さえたリンダのスッキリしたヴァージョンを聴いていると,カーラの声の方が味があるヴォーカルだと思える。「Lose Again(またひとりぼっち)」では一敗地にまみれた原作者のカーラも,これならわたしのほうが...と思ったかもしれない。

【2019年10月21日追記】
☆ リンダの声とカーラの声を比較すれば,リンダがカーラのオリジナルを意識して強めに歌っていることが分かる。一番良く分かるのは "I was blind" のところで,ここでリンダが嫌味なほど「タイ(同じ音をつなぐ)」を利かせている。これは別にリンダが自分の歌唱力を自慢したかったのではなく(苦笑),彼女は主人公の自嘲を強調することで強そうで脆いオンナゴコロを鮮やかに描き出したかったのだろうと思う。

☆ カーラの曲の主人公は彼女の声を反映してかよわい女のささやかな抵抗を歌っている感があるが,リンダはその時代を反映した「強い女」のため息を思い切り強い声で表現して外面の強さと内面の弱さのコントラストを逆説的に示そうとした。そこがカヴァー歌手と陰口を叩かれながらシンガーソングライターの時代のポピュラーソングの海を泳ぎ切ったリンダ・ロンシュタットの歌手としての真骨頂だという気がする。

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「Don't It Make My Brown Eyes Blue(瞳のささやき)」 (Crystal Gayle 1977年8月9日)


☆ 本編は2019年10月7日参照
Don't It Make My Brown Eyes Blue (Richard Leigh)


Don't know when I've been so blue
いつからこんなに憂鬱になったのかしら
Don't know what's come over you
どうすれば貴方のことを吹っ切れるかな
You've found someone new
*誰かいい人出来たでしょ
And don't it make my brown eyes blue
でもね,あたしの茶色の瞳を憂鬱の色に染めるのはやめてね

I'll be fine when you're gone
あなたがいなくなったって,あたしはやっていけるわ
I'll just cry all night long
一晩くらい涙に暮れるかもしれないけど
Say it isn't true
それとも「そんなことはないよ」と言ってくれる
And don't it make my brown eyes blue
あたしの瞳をブルーに染めないでね

Tell me no secrets, tell me some lies
隠し事は無いと言って,ほんのちょっとした嘘でもいいから
Give me no reasons, give me alibis
言い訳するようなことなんか何もないと示して,アリバイを教えて
Tell me you love me and don't let me cry
愛してると言って,あたしを泣かさないでよ
Say anything but don't say goodbye
どんなことを言ってもいいけど,サヨナラだけは言わないで

I didn't mean to treat you bad
あなたのことを悪く言いたくないの
Didn't know just what I had
私が知っていることをあなたが気付いてないとしても
But, honey, now I do
でもね,それを話してもいいのよ
And don't it make my brown eyes
だけど,あたしの瞳を
Don't it make my brown eyes
あたしの瞳を
Don't it make my brown eyes blue
あたしの茶色の瞳を憂鬱な色に染めないでね
Don't it make my brown eyes
Don't it make my brown eyes
Don't it make my brown eyes blue

Don't it make my brown eyes
Don't it make my brown eyes
Don't it make my brown eyes blue



☆ 70年代歌謡曲(演歌系)翻訳作品(^^;)。途中の歌詩*を「うそ」(中条きよし 1974年1月25日=作詩:山口洋子)から引用。

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「涙に染めて(Trouble Again)」 (カーラ・ボノフ 1979年)



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(2009/03/25)
カーラ・ボノフ

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初出:2013年4月15日

☆ 70年代の終わり頃はディスコとウエスト・コーストとトロピカルが三大ブームだった(女の子ならそれ以上にニュートラとハマトラだ。もちろんクリスタルになる前のこと=爆=)。で,その辺で『ホット・ドッグ・プレス』や『ファイン』を読んでいた連中が(誕生まもない)貸しレコード屋で借りて来るのはオフコースやユーミンでなければイーグルスとかリンダ(ロンシュタット)だった(どう間違ってもクラッシュやスペシャルズじゃなかった)。まあ,それはともかく(苦笑)そのブームが少し横に広がるのを見逃さなかったのがご存知CBSソニー(当時)洋楽部で,リンダの人脈からJ.D.サウザーとカーラ・ボノフをうまくピックアップすることに成功した。カーラのこの曲は日本ではかなりヒットした。

Trouble Again (Karla Bonoff/Kenny Edwards)




Well, I wake up in the night now
And don't you know I think of you?
It's the fire in your eyes
It keeps on cutting through
There's nowhere I can run to
Can't seem to lose the thought of you
I never really was a bad girl
But you got me in trouble again

Well, I used to walk a straight line
I knew what I was doing all the time
There was nothing that could move me
I always held my ground
But you got me where you want me
And now you're always here to haunt me
I never really was a bad girl
But you got me in trouble again

I still remember how it felt
When you put your arms around me
But if I thought that you would love me
I was blind

(Interlude)

But you got me where you want me
And now you're always here to haunt me
I never really was a bad girl
But you got me in trouble again

Well, you think I would have learned by now
And I'd keep away from you, somehow
Just like a little child
I keep coming back for more
But baby, when you called today
Don't you know that I'll come out and play
I never really was a bad girl
But you got me in trouble again

I never really was a bad girl
But you got me in trouble again

Ooh,I never really was a bad girl
But you got me in trouble again

☆ 昔ようつべで指摘している人がいたが,イントロはバッドフィンガーの「嵐の恋(No Matter What)」のテイストが強い。ケニー・エドワーズはオールディーズ・タイプの曲に仕上げたかったのかもしれない。もっともこの曲を土台にした別の曲(邦楽)を知っているが,それはまた別の話。

2019年10月10日追記

☆ 日本でカーラ・ボノフのこの曲とアルバム『ささやく夜(Restless Nights)』がプロモートされたのは,ソニーが同じ手を先に使ったJ.D.サウザー『ユア・オンリー・ロンリー』が大当たりしたからだろうと思う。カーラにせよJ.D.にせよ,ウエスト・コーストの人脈で中央にリンダ(ロンシュタット)を置けば大きな輪が出来上がるので(笑),80年頃にこのラインがAORとしてちょっとしたブームになったことは悪くないことだったろう。この曲のパーソネルを下に書いたが,ヴォーカルをリンダに入れ替えても(確か彼女もこの曲をカヴァーしている)何の不自然さもないところがチョッと笑える。

PERSONNEL
Drums:Russell Kunkel
Bass:Kenny Edwards
Piano:Don Grolnick
Acoustic guitar:Karla Bonoff
Electric guitars:Dan Dugmore and Waddy Wachtel
Percussion:Steve Forman
Background vocals:Karla Bonoff and Kenny Edwards



☆ その「別の曲」を歌っているのは舘ひろし。まあ,泣きなさんな(爆)。

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竹内まりやの選曲に脱帽:「瞳のささやき」(Crystal Gayle 1977年8月9日)



☆ 竹内まりやのベストといった良いのか良く分からないのだが『Turntable』(2019年9月4日)の選曲で押しナンバーは何曲かある。ユッコ(岡田有希子)に関しては言うまでもないだろう。セルフカヴァーでは広末のデビュー曲も牧瀬里穂の曲も何気に懐かしくて良い。だけどイチオシはこれ(👇オリジナル)

Don't It Make My Brown Eyes Blue(Richard Leigh)


☆ クリスタル・ゲイルの "悲劇のヒット曲"(チャート小僧がこういう表現を使う場合,たいてい上に強力なNo.1がいてトップを獲れなかった曲を指す)「瞳のささやき(Don't It Make My Brown Eyes Blue:1977年8月9日)」をまりやさんが選曲したのは意外感があった。この曲はデビー・ブーンの「You Light Up My Life(恋するデビー)」の特大ヒットに遮られ最高位2位を3週間くらい続けて力尽きた。曲は至ってシンプルな内容で恋人の心変わりを控えめに責めているもの(ちなみにWikipediaのこの曲の項にお決まりのようにこう書いてある「題名とは対照的に彼女の瞳の色はブルーだ」)。

最高位
全米2位(ビルボードHot100。ちなみにキャッシュボックスTop100では無事No.1^^)
全米カントリーチャートNo.1,アダルトコンテンポラリーチャート第4位
全加:N.o1(シングル/カントリー/アダルトコンテンポラリー三冠!)
アイルランド:第4位,全英:第5位,ニュージーランド:第9位
オランダ:第10位,全豪:16位

☆ 彼女は,この曲がヒットした1年後に「戻っておいで、私の時間」(1978年11月25日)でデビューする。



☆ この曲のカヴァーヴァージョンは日本でドラマの主題歌に使われて有名である(既出だったと思うけど)。
☆ そういえば『Miss M』の劈頭曲「Sweetest Music」が今回収録されていたのは良かった(^o^)。

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「スピニング・トー・ホールド (Spinning Toe Hold)」 (クリエイション 1978年2月)


「スピニング・トーホールド (Spinning Toe Hold)」


☆ YouTubeにも思わず書いてしまったが,ザ・ファンクスのテーマだからファンクなんだという単純な現実。

「スピニング・トーホールド No.2 (Spinning Toe Hold No.2)」※Side B



本日のおまけ
「分かってくれるかい(You Know What I Mean)」 (Jeff Beck 1975年3月29日=アルバムリリース)



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「フランス海岸」 (大沢誉志幸 1987年9月21日=アルバムリリース)



「フランス海岸」
(作詩:銀色夏生/作曲:大沢誉志幸/編曲:安部隆雄)


☆ 『まずいリズムでベルが鳴る』(1983年6月21日)で颯爽と大沢誉志幸は登場した(気がした)。銀色夏生とのコンビは1980年代の邦楽を代表するソングライター・チームの一つだと思っている。このコンビは「そして僕は途方に暮れる」(1984年9月21日)の大ヒットを生んだが,ぼく個人は87年の『SCRAP STORIES』が一押しだ。「フランス海岸」のどこか惚(とぼ)けたモダニズムは,ほろ苦さを余韻に残す名曲だと思っている。

テーマ:Musically_Adrift - ジャンル:音楽

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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