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2019-07

「More Than a Feeling(宇宙の彼方へ)」(ボストン 1976年9月)


初出:2011年2月28日

☆ 先日,内舘牧子のエッセイを読んでいたら映画の邦題が原題のカタカナ版ばかりで寂しいような内容だったが,洋楽も洋画と似たようなもので気の利いた邦題をつける人がどんどん減っていった。

☆ ボストンのデビューシングルの邦題は,おそらくアルバム・ジャケットとブラッド・デルプのスーパーヴォーカルの成せる技だとは思うが,それにしても曲のイメージを上手く捉えて見事なタイトルと言えると思う。下に掲げた歌詩はそこ(宇宙の彼方)までは連れて行ってくれないが(爆),ある朝起きたら何かが変わっていたという「変身」パターンの深い歌詩だと思う。

More Than a Feeling (Tom Scholz)


I looked out this morning and the sun was gone
今朝,外を見た時 陽は既に去っていた
Turned on some music to start my day
ぼくは一日をスタートさせようとラジオのスイッチを入れた
I lost myself in a familiar song
そして聞き覚えのある曲に魂を奪われた
I closed my eyes and I slipped away
ぼくは目を閉じ,その音楽の世界に滑り込んでいった

It's more than a feeling (more than a feeling)
それは全ての感覚を超越していた(感性を超えていた)
When I hear that old song they used to play (more than a feeling)
ずっと昔にかけたことのある筈の,その古い曲を聴いた時
I begin dreaming (more than a feeling)
ぼくの中で夢が広がり始めた(感性を超えたまま)
'till I see Marianne walk away
マリアンヌ(自由の女神)が歩き去るまで
I see my Marianne walkin' away
ぼくは女神がそこから歩き去るのを見ていた

So many people have come and gone
あまりにもたくさんの人々が行き交う中
Their faces fade as the years go by
彼らのことはいつの間にか忘れ去られてしまう
Yet I still recall as I wander on
でもぼくはさまよい歩きながら,その人達を呼んでいる
as clear as the sun in the summer sky
なつぞらに燦然と輝く太陽のように

It's more than a feeling (more than a feeling)
When I hear that old song they used to play (more than a feeling)
I begin dreaming (more than a feeling)
'till I see Marianne walk away
I see my Marianne walkin' away

When I'm tired and thinking cold
この暮らしに飽きて,心が寒々とするとき
I hide in my music, forget the day
ぼくは音楽の中に身を隠し,嫌な一日を忘れようとする
and dream of a girl I used to know
そしてかつて馴染んでいた女の子の幻影がそこにある
I closed my eyes and she slipped away
ぼくはそっと目を閉じ,彼女はそこへ滑り込んでいく
She slipped away
彼女は静かに滑り込んでいく

It's more than a feeling (more than a feeling)
When I hear that old song they used to play (more than a feeling)
I begin dreaming (more than a feeling)
'till I see Marianne walk away

2019年7月15日
☆ 1976年はアメリカン・ロックにとって重要な結節点だったと思う。ボストンとフォリナーの登場は当時ハード・プログレ(今はなぜか「アメリカン・プログレ・ハード」と呼ばれるようだ)という新しいジャンルを開拓した。それまでのアメリカン・ロックは地域性(ウエスト・コースト/イースト・コースト/サザン・ロック)が重要視されていたが,アメリカン・ハード・プログレは重厚な音と分かりやすい曲調というこれから10数年の音楽(メインストリーム・ロック)を形成する画期となった。

☆ 上に書いた古いレビューでは主人公がどう変わったのかを読み切れなかったが,ヘタクソなりに訳してみて曲のテーマが温故知新(古いモノの中に新しいものを見出す)が転機になるということにあるところから,トム・ショルツ自身の体験が反映していることが想像できる。

☆ この曲やアルバムが出た当時のアナログ技術を考えると,作品は驚異的であり,一部に「これは人工的に合成した音(ギター・シンセサイザー=そういうモノがあったのかどうかついぞ知らないのだが)の使用だ」という断定もあり,ショルツは次のアルバム(『Don't Look Back』 1978年8月2日)の注意書きにわざわざ「このアルバムではシンセサイザー類は一切使用していない」と書くくらいこの噂に悩まされたようだ。

☆ ただシングルやこのようつべのPVを見てもショルツ自身が少なくともエフェクターをフル活用して「ボストンの音」を紡ぎ出しているのは分かる。この「力強さ」こそが80年代を通じてメロウメタルやパワーバラードなどの形で再演されるメインストリーム・ロックの鍵だった。だから1976年はロック音楽の歴史の結節点だと,ぼくは考えている。
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テーマ:Musically_Adrift - ジャンル:音楽

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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