「Everybody Wants to Rule the World(ルール・ザ・ワールド)」 (Tears for Fears 1985年3月18日)
初出:2013年8月1日
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☆ 世の中に「金字塔」と呼ぶべきアルバムが何枚か存在する。もっとも,見方を変えればリスナーの数だけその人にとっての「金字塔アルバム」が存在するともいえるが,ティアーズ・フォー・フィアーズ(以下TFFと略す)の『Songs from the Big Chair』は,少なからぬ人にとって80年代の金字塔作品に挙げられるものだと言えるかもしれない。
☆ この曲は『Songs from the Big Chair』からの3枚目のシングルとして1985年3月に英国でリリースされ,翌月には最高位2位を記録している。米国ではこの曲はアルバムからのファースト・シングルとしてリリースされ,7月8日,15日の2週にわたり全米No.1に輝いた。それはTFFにとって全米攻略の第一歩になった。ちなみにこの曲の前後のNo.1ヒットはワム!「恋のかけひき(Everything She Wants)」とブライアン・アダムス「Heaven」でまさに当時の新しいスターたちの活躍が窺えるチャートだった。
Everybody Wants to Rule the World
(Roland Orzabal, Ian Stanley, Chris Hughes)
Welcome to your life
君の暮らしにようこそ
There's no turning back
引き返すことはできないけど
Even while you're sleep
君が眠っている時ですら
We will find you
わたしたちは君を容易(たやす)く見つけるだろうから
Acting on your best behaviour
君はここで最上の振舞いを示すことで
Turn your back on mother nature
母なる自然の元に帰ることができよう
Everybody wants to rule the world
誰もが自分の思ったように物事を進めようとするものさ
It's my own design
これはわたしが自分で設計したものだ
It's my own remorse
そしてわたし自身の悔恨でもある
Help me to decide
わたしが決断することを助けてほしい
Help me make the
わたしを助けてほしい
most of freedom and of pleasure
放縦と快楽の大部分を作り出しながら
Nothing ever lasts forever
決して永遠に続くことがないことから
Everybody wants to rule the world
誰もがこの世界を自分のものにしようとしているのだ
There's a room where the light won't find you
その光がきみを照らすことができない余地がある
Holding hands while the walls come tumbling down
その壁が崩れ落ちる前に手を取って抜け出す余地が
When they do I'll be right behind you
それがなされた時,わたしはきみのすぐ背後にいるだろう
So glad we've almost made it
われわれがそれをほとんどなし得たことを喜びたまえ
So sad they had to fade it
奴らがその力を褪せさせなければならないことは残念だ
Everybody wants to rule the world
だって誰もが世の中を自分の思い通りにしたいと思っているのだから
(間奏)
I can't stand this indecision
わたしはこういう優柔不断なことに耐えられないのだ
Married with a lack of vision
向こう見ずな結婚のようなことには
Everybody wants to rule the world
誰だって自分の結婚生活を想った通りに進めたいものだろう
Say that you'll never never never need it
きみはそんなものは絶対の絶対の絶対に願え下げだと言えるか
One headline why believe it ?
その一行の見出しを信じるのはどういう訳だ
Everybody wants to rule the world
だれもが自分の望んだように物事を進めたがっているのに
All for freedom and for pleasure
Nothing ever lasts forever
Everybody wants to rule the world
☆ Wikipedia(En)の解説によると,この曲はアルバムに最後に収録された。ローランド・オーザバルはシャッフル・ビートで作ったこの曲を最初,他の作品と毛色が違うことを理由にアルバムに収録するのを躊躇(ためら)っていたが,最終的にアルバムに収録されることとなり,ヒット(特に全米での大ヒット)につながった。
☆ ここで歌われている「世界」とは,当時エスカレートしつつあるように見えた米ソ軍拡競争下の世界で,曲もそれに対する皮肉を込めた異議申し立て(いわゆる「反核運動」)という面もなきにしもあらずだったが,第一義的にはそうではなく,それぞれの人々の身の回りの小さな「世界」のことである。そういう意味でこの曲はミニマリズム的な世界観がある。それは「個と個」という小さな世界,いや宇宙の衝突や相克,葛藤が個々に与えるものについての洞察ともいえるのだ。
2019年7月9日付記
Credits and personnel
Tears for Fears :
Roland Orzabal – guitar, keyboards, vocals
Curt Smith – bass guitar, lead vocals
Ian Stanley – keyboards, LinnDrum programming, Oberheim DMX
Manny Elias – drums, Oberheim DMX
Additional personnel :
Neil Taylor – second guitar solo
Chris Hughes – producer, drums, Oberheim DMX, MIDI programming
Dave Bascombe – engineer
週間チャート
No.1:全米(ビルボードHot100,キャッシュボックス),カナダ,ニュージーランド
最高位2位:豪州,英国,オランダ,アイルランド
最高位3位:ベルギー
伊,西独:最高位11位
スイス最高位13位
南ア:最高位14位
仏:最高位18位
墺:最高位19位
年間チャート(1985年)
米(キャッシュボックス:3位,ビルボード:7位)
ニュージーランド:9位
カナダ:19位,オランダ:20位,英国:24位,
ベルギー・オランダ:31位,豪州:36位,伊:86位
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