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2018-06

「あいまいな日本語」と私


☆ 大江健三郎がノーベル文学賞を受賞した後の講演の題は「あいまいな日本の私」だった。これは同じ賞を先に獲った川端康成の講演が「美しい日本の私」だったか由(よ)る。安倍晋三がこれをさらに流用しているのだがまあそれはどうでもいい。

☆ 日本語の曖昧さは例えば「ハルキスト」という用例にも見える。これは村上春樹のミーちゃんハーちゃん読者のことを指しているらしいが,作家自身は20年くらい前から「ハルキスト」ではなく「村上主義者(とでも)」呼んで欲しいと言い続けている。

☆ ハルキストの語感的な「出本(でもと)」はマルキストだろう。だけど考えるまでもなく,マルキストは「マルクス主義者」であり,マルクスはカール・マルクスのファミリー・ネームである。村上春樹が主張しているのはファミリーネームとファーストネームを語感だけ同一視する「日本語のあいまいさ」なんだろうと思う。

☆ マルキスト=マルクス主義者なら,日本語としてそれに対等な表現は彼が言う「村上主義者」であり,それは「ハルキスト」ではなく「ムラカミスト」になるからである。

「バイブレイション」 (笠井紀美子)
作詩(日本語詞):安井かずみ/作曲(オリジナル):山下達郎/編曲:鈴木"コルゲン"宏昌





2018年7月1日追記
☆ 山下達郎の「Love Celebration」は彼の78年アルバム『Go Ahead!』に収められている作品でケメ(笠井紀美子)のカヴァーは安井かずみ(ズズ)が独自の歌詩を付けて彼女の『Tokyo Special』に収め,このようつべにある通り,目出度くシングル・カットされている。それだけじゃなくこの曲忘れてしまったが何かのタイアップ曲になっていて結構ガンガンかかっていた(大ヒットまでは至らず)。

☆ 山下達郎もこのシングルに関しては「独自の解釈でなされたカヴァー曲」という認識があり,否定的なコメントは聞いたことがない。ズズの歌詩によって曲の相貌が完全に変えられていることもあり,山下のオリジナル作品に溢れていた「粘っこいファンク」をここまでふわふわさせた(中身が無いという意味ではなく,徹底的にファンクの「湿気」を取り去った後で軽く霧吹きで湿らせたかのような)彼女のヴォーカルの腕が凄すぎるのである。もっともこの頃から飛翔を始めていた(結果,太平洋を越えた上に,ジャズ界からも飛び去ってしまった)笠井紀美子に日本のオールドタイマーなジャズおじさんたちはあまり良い顔をしなくなっていたように感じる。だから本当はこの時期から80年代までの彼女を評価し直すなら,フュージョンを含むAORに近い筋が頑張らないといけないわけで,昨年ようやくそういう動きがみられて,ああ良かったなと思っているところなのである。
PS.知っている人も多いけどこのジャケ写のフォトグラファーは篠山紀信です。
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テーマ:Musically_Adrift - ジャンル:音楽

「Heads」 (Bob James 1977年10月14日)


Heads (Reis)Heads (Reis)
(2006/06/06)
Bob James

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初出:2011年9月22日 / 2015年5月1日

☆ ボブ・ジェームスが自分のレーベル「タッパン・ジー(Tappan Zee Records)」から出した最初のアルバムのタイトル曲。Wikiの説明によればレーベル名はハドソン川に架かる橋の名前から取ったそうで,いかにも後年(このアルバムの3年少し後)サントリーが彼やマン・トラン(Manhattan Transfer)を大規模にフューチャーした時に「ミスター・ニューヨーク」とおおいに持ちあげたのも,むべなるかな(笑)。

Heads (Bob James 6:40)



☆ 70年代半ばまでのインスト曲はディスコ・ブームやバリー・ホワイト(ラブ・アンリミテッド・オーケストラ)の功績大でソウル系が圧倒的に多かった。ところがこのアルバム辺りからクロスオーバー系が増えていき,ボブ・ジェームス,アール・クルー,ジョージ・ベンソン,チャック・マンジョーン(マンジョーネ),デヴィッド・サンボーン,スタッフなんて具合に代わっていく。当時はクレジットも出さずにバンバン使い回しをしていたから曲だけは頭に残って,ミュージシャンの名前は後から付いてくる始末だった。


☆ インパクトのある主旋律から起こして展開していく,いかにもこの時期の彼が得意とするパターン。確かタッパン・ジーで出したアルバムはタイトル(アルバムジャケット)が作品数との駄洒落になっていて『Heads』=5セント玉=5枚目,『Touchdown』=6点=6枚目,『Lucky Seven』=ナナホシテントウ=7枚目までは分かっているが(笑)次の『H』は,日本では当時「Eight(「えい」と)」と「8(は「ち」)」で「えいち」じゃないのかなんて,後年の大滝さんの『EACH TIME』と同類の「解釈」が罷り通っていた(爆)。


2018年6月22日付記

☆ サントリーが「スパークリング・ニューヨーク」の一大キャンペーンを打つ前のボブ・ジェームスは上の記事にもあるようにどこか都合の良いBGMとして使い回しされていたミュージシャンの一人だった。確かにこの曲は良く組み立てられた曲でありながら,スーッと耳に馴染んでいく感じがあった。彼もアルバムの中で当時のヒット曲をボブ・ジェームス流にアレンジした演奏をたくさん残しているのだが,一歩間違えば本当に安手のカバー曲と区別がつかなくなってしまう危険性があったと思うし,そういう意味で不当に低い評価に甘んじた時期もあったのではないかと思う(要するに通好みの「真逆」だった)。

☆ このアルバムからだとこの曲とリリカルな「ナイト・クローラー」が代表作だと思う(いずれ再録する後者は,何となくだがクルセイダーズの「ストリート・ライフ」の先行作品のようでもある)。

Album Personnel
Bob James - Arp Odyssey, Arranger, Clavinet, Fender Rhodes, Harpsichord, Keyboards, Oberheim, Piano, Arranger, Conductor
Eric Gale - Guitar, Electric Guitar
Steve Khan, Jeff Layton, Jeff Mironov - Guitar
Steve Gadd, Idris Muhammad, Allan Schwartzberg, Andy Newmark - Drums
Gary King, Alphonso Johnson, Will Lee - Bass
Ed Walsh - Synthesizer Programming
Richard Tee - Keyboards
Ralph MacDonald - Percussion
Hubert Laws - Flute
David Sanborn - Alto Saxophone
Grover Washington, Jr., Michael Brecker - Tenor & Soprano Saxophone
Randy Brecker, Jon Faddis, John Frosk - Flugelhorn, Horn, Trumpet
Lew Soloff, Marvin Stamm - Flugelhorn, Trumpet
Wayne Andre, David Taylor, Tom Mitchell Jr. - Trombone
Peter Gordon, Brooks Tillotson, James Buffington - French Horn, Horn
Jim Buffington - French Horn
Phil Bodner - Bass Clarinet, Alto Flute, Oboe, Alto Saxophone, Viola, Wind
George Marge - Flute, English Horn, Oboe, Recorder, Soprano Recorder, Baritone Saxophone, Sopranino Recorder, Wind
Eddie Daniels - Clarinet, Flute, Tenor Saxophone, Viola, Wind
Gerry Niewood - Alto Flute, Alto & Tenor Saxophone, Wind
Michael Mainieri, Jr. - Vibraphone, Backing Vocals
Gloria Agostini - Harp
Jonathan Abramowitz, Charles McCracken, Alan Shulman - Celli, Cello
Al Brown and His Tunetoppers, Lamar Alsop, The Manny Vardi Strings - Viola
Max Ellen, Concert Master, Harry Cykman, Barry Finclair, Paul Gershman, Harold Kohon, Diana Halprin, Marvin Morgenstern, John Pintavalle, Max Pollikoff, Matthew Raimondi - Violin
David Nadien - Concertmaster, Violin
Patti Austin, Vivian Cherry, Gwen Guthrie, Lani Groves - Lead and Backing Vocals

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スマートホンからのテスト

☆ いろいろ事情があって、PCからの投稿がやりにくくなった。

スマホからだと、制約も多く、内容もひどく薄くなるだろうが、このまま終らせるのも少し残念なので、とりあえずテストしてみる😓

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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