2017-04

恋とはどうしようもないもの(第二夜)





Angie (Jagger/Richards)



☆ ストーンズにもバラードの佳曲がいくつかあって,「悲しみのアンジー」はその頂点に立つ作品かもしれない。シングルは1973年8月20日にリリースされ,2か月後の10月20日にビルボードHot100のNo.1となった。同時期のNo.1にはグラディス・ナイト&ザ・ピップスの代表曲「夜汽車よジョージアへ(Midnight Train to Georgia)」などがある。Wikipedia(日本版/英語版)の解説によると,「アンジー」のモデルとなった特定の女性はいないとのこと。ちなみにこの曲が出来た時期に生まれたキースの娘の名前もアンジェラだという。

☆ 曲のポイントとなるのはニッキー・ホプキンスの弾くピアノとニック・ハリソンのストリングス・アレンジだ(後者はもしかして井上陽水『氷の世界』のアレンジをしたヒトではないか?)。しかし今回のテーマは歌詩の主題。曲を聴いただけで原題に「悲しみの」と付け加えた本邦(当時のディストリビューションはワーナー・パイオニア)スタッフのセンスの良さに脱帽したい。こういうシチュエイションは恋愛ソングの定番である。今さら偉そうに言う話でもないが恋愛ソングには①上手く行く系②上手く行かない系があって,ポピュラー・ソングでは②の方が優勢である。なにせ「トーチ・ソング(失恋💔ソング)」なるジャンルが密かに存在するくらいであるから。そういう曲が人口に膾炙していく理由は,やはり人間が「感情の動物」であって,失恋や上手く行かない恋愛の苦しみの方が人の心をより揺さぶるからだろう。このシチュエイションに近いのはそういうハードな状況から抜け出す(あるいは立ち向かう)というものであって,以前にもスプリングスティーンやボン・ジョヴィで紹介したとおりである。

☆ この曲のシチュエイションは色々読める。当時のゴシップネタに沿って不倫ソングとも読める(少し前にオリジナル・ラブ「アイリス」について触れた)。あるいは次回以降に紹介する身分差恋愛系の匂いもする。いずれにせよ本人たちは燃え上がっているのだが,周囲に強力な障害が立ちはだかっており,先行きは上手く行きそうもない気配が濃厚な時,こういう作品が生まれる。そして「アイリス」の時に述べたように,曲の主人公たちの純粋さは周囲や世間の判断や評価とは別に,純粋であるがゆえにそうした「世間的なもの」を超えた何者かが(ちょうどザルツブルクの小枝の結晶が大きくなっていくように),この曲を(利害関係なく)聴く者の心を揺さぶるのである。

PS.「悲しみのアンジー」の歌詩の「引用」例には甲斐バンド「安奈」がある。あれはあれで上手く引用していると思う。


↑ これはまあ「アンジー」の話に引っ掛けた「お約束」。この時点でキャリアに比べかなり高い評価を得たことが彼女にとって吉と出るか凶と出るかは,今からさらに15年くらい先に振り返らないと分からないのではないかと素人目には思う。
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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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