2017-01

「エイリアンズ」(Covered by Original Love)



エイリアンズエイリアンズ
1,080円
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☆ 田島貴男のキングス・ロードにキリンジが入っているとは知らなかった。『キングスロード』以外にもユーミンなら「時のないホテル」,山下達郎なら「あまく危険な香り」をカヴァーして来たたじまんが,堀米弟のキーでやや無理めに歌っているけれど気にする必要は一切ない(笑)。「エイリアンズ」という曲を聴いていると「疎外」という言葉が浮かんでくる。言うまでもなく疎外(alienation)という言葉の前半分は「エイリアン」である。これをウィキペディアから引用するとこうなる。

> 人間が作ったもの(商品・貨幣・制度など)が人間自身から離れ、逆に人間を支配するような疎遠な力として現れること。またそれによって、人間があるべき自己の本質を失う状態をいう。
> ラテン語のalienato(他人のものにする)に由来する疎外概念は、経済、社会、歴史的には、客体として存在するようになったものを操作する力を主体が失っている状態のことを指す。たとえば、あるものが私とは無関係であるという場合、そのあるものに対して私は無力なものとして疎外されていることになる。

☆ そこからマルクスは「経済学用語に鋳直し」(ウィキペディア),今は専らマルクス経済学の用語になっているが,キリンジの曲で描かれる「疎外」は,ひとつの「(倫(みち)ならぬ)恋愛」対「世間」の図式を借りながら純粋なるものがその意に反して汚されていくさまを静かに語っているようにも思われてならない。

「エイリアンズ」(キリンジ 2000年10月12日)



☆ 夜明け前が一番暗い。その場所と時間には最大の苦悩が待っている。堀米弟はそれに「魔法をかけてみせる」と宣言し,堀米兄は「ムーンリバーを渡るようなステップで二人で踏み越えていく(Drifter)」と宣言する。この二人,なかなか見上げたものじゃないか(^o^)。

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On the Beach (Chris Rea 1986年)


初出:2013年9月23日
初出:Musically Adrift@Ameba 2010.08.29
http://ameblo.jp/definitivegaze/entry-10632968470.html


オン・ザ・ビーチオン・ザ・ビーチ
(2006/07/26)
クリス・レア

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Chris Rea「On The Beach」(1986 Original Version)



On The Beach (Chris Rea 1986)

Between the eyes of love I call your name
Behind the guarded walls I used to go
Upon a summer wind there's a certain melody
Takes me back to the place that I know
On the beach

The secrets of the summer I will keep
The sands of time will blow a mystery
No-one but you and I
Underneath that moonlit sky
Take me back to the place that I know
(Down) on the beach

Forever in my dreams my heart will be
Hanging on to this sweet memory
A day of strange desire
And a night that burned like fire
Take me back to the place that I know
(Down) on the beach

Chris Rea「On The Beach」(Second Version Fast Take)



Chris Rea「On The Beach」(Second Version Slow Take)



Chris Rea「On The Beach」(Second Version Fast Take Official Version)



☆ クリス・レアの『On The Beach』を初めて見たのは石川町にあったタワーレコードだった。当然輸入盤(カセットだったような気がする)で小さなレコメンドのポップがついていた。その時はまだこの曲じたいを聴いてなかったので買わなかったが,あの時買っておけばよかったと思う。なぜならこの曲のシングル・ヴァージョンは7インチシングルしかなさそうだからだ。

2017年1月27日付記
☆ ここで石川町と書いているのは,石川町で降りて元町(さらに言えば中華街)の方に歩いていく途中にあったという意味である。

☆ その後アルバムを借りてきて聞いたが,(LPの)各面の曲が繋がる構成になっていて,次の曲が始まってしまう。ベスト盤でも出ればその時に買えばいいと思っていた。

☆ しかしこの曲のアレンジには二つ(以上の)パターンあり,彼自身にも思い入れがあるのかベスト盤にも関わらずヴァージョンを録り直していくので,All Musicなどで見ていると色んな長さのヴァージョンが出て来る。だいたいシングル・エディットと同じくらいの長さのヴァージョンが収録されていると,これかなと思ってアルバムを買うのだが,それがまた違うヴァージョンだったりする(笑)。基本は上に示した二つのパターン(イントロが特に違う)で,クリス自身は後者のパターンを好んでいるようだ。しかもそれも速いヴァージョンとオリジナルに近い遅いヴァージョンとがあるようで,なんだか大滝さんのアルバム収録曲を追いかけているかのような錯覚に陥る(爆)。どちらにしてもこの曲は「夏の(想い出を歌った)曲」の名作であることに間違いない。実にほろ苦く,良い曲だと思う。

ヴェリー・ベスト・オブ・クリス・レアヴェリー・ベスト・オブ・クリス・レア
(2001/11/28)
クリス・レア

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2016年1月27日付記
☆ この曲はアルバムが発売されてから相当経った後にマツダのエチュードという車のCMに使われたので,割と知られている作品だと思う。このビーチは,ちょうど今頃の人気のない浜辺であろう。この曲の10年前に南佳孝は「忘れられた夏」で似たようなシチュエイションを描いていた。そういえば「忘れられた夏」にもシングルとアルバムのテイクがあって前者はボッサ,後者はブルーズである。

忘れられた夏忘れられた夏
1,572円
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「Ramblin' Man」 (The Allman Brothers Band 1973年)



ブラザーズ&シスターズ<スーパー・デラックス・エディション>(初回限定盤)ブラザーズ&シスターズ<スーパー・デラックス・エディション>(初回限定盤)
(2013/07/24)
オールマン・ブラザーズ・バンド、ビル・グラハム 他

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Ramblin' Man (Dickey Betts)



初出:2011年10月9日
Wiki解説

☆ このアルバムはこの曲や「ジェシカ」が入っているせいか,車でハイウエイを飛ばす時に聴きたくなる。サザン・ロックを聴いていて感じるのはその乾いた音の心地良さだ。木綿の肌触りのようだ。

2012年3月27日
ブラザース&シスターズブラザース&シスターズ
(2006/06/21)
オールマン・ブラザーズ・バンド

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☆ オールマンズといえばデュアン(デュエイン)オールマンだが,彼が若くして自動車事故で亡くなるまでのオールマン・ブラザース・バンドは明らかにブルース・ロックの影響の強いバンドだった。60年代色が強いのは,有名なフィルモア・イーストのライブでも分かるようにインプロヴィゼイションを多用するスリリングで熱い演奏からも覗える。だからサザン・ロックの範疇にオールマンズを入れないという人も中にはいる。彼らがオールマンズの作品をサザン・ロックとして評価するのは,この『ブラザーズ&シスターズ』であり,極端な人はこれだけと言っている。そうかどうかは人それぞれなのだが(苦笑)間違いなくディッキー・ベッツのペンによるこの曲は,歌詩も含めてサザン・ロックの代表的なヒット曲に挙げて良い。たぶん一番のうるさ方も同意してくれるだろう(笑)。

Ramblin' Man

☆ ベッツのギターに絡むのはセッション・ギタリストの名手レス・デューデック(この曲の録音時には二十歳そこそこだった!)。彼のプレイをあまり聴いたことがない人でも,この曲とボズ・スキャッグスの『シルク・ディグリーズ』の中の1曲「ジャンプ・ストリート」でのスライド・ギターの演奏に思い当たるかもしれない。そう言えば彼はこのアルバムを代表するもう一つの名曲「ジェシカ」でアコースティック・ギターを弾いている。

2015年6月1日
Ramblin' Man (Dickey Betts)

Lord, I was born a ramblin' man,
おうよ,俺(おい)らぁ 生まれついての風来坊よ
Tryin' to make a livin' and doin' the best I can.
生きてくために,出来るだけのことをするだけよ
And when it's time for leavin',
そうしてこの街を出ていく時が来たから
I hope you'll understand,
おまえさんも分かってくれようが
That I was born a ramblin' man.
俺らぁ生まれついての風来坊ってことさ

Well my father was a gambler down in Georgia,
親父はしがない博打打ちで,ジョージアじゅうを流れてた
He wound up on the wrong end of a gun.
しまいにゃ銃の餌食になっちまった
And I was born in the back seat of a Greyhound bus
俺らぁと言やぁグレイハウンド・バスのバックシートで生まれ
Rollin' down highway 41.
41号線を揺り籠にして育ったのさ

Lord, I was born a ramblin' man,
おうよ,俺らぁ 生まれついての風来坊よ
Tryin' to make a livin' and doin' the best I can.
生きてくために,出来るだけのことをするだけよ
And when it's time for leavin',
そうしてこの街を出ていく時が来たから
I hope you'll understand,
おまえさんも分かってくれようが
That I was born a ramblin' man.
俺らぁ生まれついての風来坊ってことさ

(alright)

I'm on my way to New Orleans this mornin',
今朝ニューオーリンズに向けて旅立つところだ
Leaving out of Nashville, Tennessee,
ここテネシーはナッシュビルを離れて
They're always having a good time down on the bayou,
バイユーの街じゃあお楽しみも待ってるしな
Lord, them Delta women think the world of me.
デルタの女達が両手を広げて迎えてくれるのさ

Lord, I was born a ramblin' man,
おうよ,俺らぁ 生まれついての風来坊よ
Tryin' to make a livin' and doin' the best I can.
生きてくために,出来るだけのことをするだけよ
And when it's time for leavin',
そうしてこの街を出ていく時が来たから
I hope you'll understand,
おまえさんも分かってくれようが
That I was born a ramblin' man.
俺らぁ生まれついての風来坊ってことさ

Lord, I was born a ramblin' man
おうよ,俺らぁ 生まれついての風来坊よ
Lord, I was born a ramblin' man
Lord, I was born a ramblin' man
Lord, I was born a ramblin' man

Released September 1973
#2 on Billboard Hot 100 (Oct.13 '73)
#1 on Cashbox Top 100

PERSONEL

The Allman Brothers Band

Gregg Allman – vocals, organ, backing vocals
Dickey Betts – lead guitar, vocals
Berry Oakley – bass guitar
Jai Johanny Johanson – drums, congas
Butch Trucks – drums, percussion
Chuck Leavell – piano, backing vocals
Lamar Williams – bass guitar

Additional musician
Les Dudek – co-lead guitar

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「冬の散歩道(A Hazy Shade of Winter)」 (Simon & Garfunkel 1966年11月)付記あり





初出:2011年1月4日


サイモン&ガーファンクルのすべて/サイモン&ガーファンクル
¥2,520 Amazon.co.jp




☆ Hazyって何だろうとずっと考えていた。ウエブ辞書を見ると「靄(もや)った」とある。冬の朝,冷たい外気が靄のようになって,しんしんと冷え込んでいる。そんな光景だろうか。Shadeは木陰とか物陰と書いてある。だが冬木立は常緑樹でも針葉樹なら木陰とは言い難い。まして落葉樹の広葉樹と来た日には枝ぶりをさらすだけである。この曲の邦題は「冬の散歩道」だが,やはり葉が落ちて裸になった木立と朝靄の冴えるように冷え冷えとした朝。陽は差し込んでも,暖かいと思う前にただ眩しいだけという冬の朝をイメージさせる。


A Hazy Shade of Winter (P.Simon)

Time, time, time, see what's become of me
While I looked around
For my possibilities
I was so hard to please
But look around, leaves are brown
And the sky is a hazy shade of winter

Hear the salvation army band
Down by the riverside, it's bound to be a better ride
Than what you've got planned
Carry your cup in your hand
And look around, leaves are brown now
And the sky is a hazy shade of winter

Hang on to your hopes, my friend
That's an easy thing to say,
but if your hope should pass away
It's simply pretend
That you can build them again
Look around, the grass is high
The fields are ripe, it's the springtime of my life

Ahhh, seasons change with the scenery
Weaving time in a tapestry
Won't you stop and remember me
At any convenient time
Funny how my memory slips while looking over manuscripts
Of unpublished rhyme
Drinking my vodka and lime

I look around, leaves are brown now
And the sky is a hazy shade of winter

Look around, leaves are brown
There's a patch of snow on the ground...

Look around, leaves are brown
There's a patch of snow on the ground...

Look around, leaves are brown
There's a patch of snow on the ground...





☆ でも上に載せた歌詞を読んでいくと,木々が裸になった真冬の光景ではなく晩秋から初冬にかけて落葉が始まる時節を歌ったものだと気付かされる。返す刀でこの「季節」が人生の「季節」にもダブらせられていることにも気付いてしまう。

2013年1月24日 付記

☆ 日本盤のファーストリリースは1967年1月。約21年後にバングルスがカヴァーして全米2位の大ヒットとなる。ポール・サイモンらしい都会人の孤独を内省的に歌った作品で,彼らの築き上げた名作「The Boxer」に連なる作品だ。




2017年1月24日付記
☆ この邦題が興味深いのは,曲のどこにも出てこない「散歩道」という言葉を入れたことだ。サイモンとガーファンクルの作品,専らポール・サイモンの視点なんだと思うが,松本隆の詩の世界における「東京という街に対する感情」と同質のものを感じる。もちろんそこがニューヨークになることは「ボクサー」を聴かなくても分かるだろう。

☆ こういう「視点」は「都会の中で生きていく市井の人々」と括ってしまえば早い気がする。ポール・ウイリアムスもルパート・ホームズもそうだ。例えばこの曲には当てもなく彷徨うとまでは言わないが,何かそういう思いを抱きながら街を歩く若者の姿が見える。それは思索する姿のようでもあり,そう考えていくと「散歩道」という言葉もそんなに違和感が無くなる。


☆ 散歩道と言えばむかしNHK第1で「ひるの散歩道」という番組をやっていた。おそらく今,総合でやっている「スタジオパークからこんにちは」の原型みたいな番組で内容はいろんな歌手の人がゲストに出て(毎日一人ずつ)プロモーション的なライブをやるようなものだった記憶がある。

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「二人の架け橋(Make It with You)」 (ブレッド 1970年6月)





☆ 先日のアメリカがフォーク・ロックだとすると,ブレッドはソフト・ロックの典型になるのかもしれない。デヴィッド・ゲイツのヴォーカルはゆらぎを持ちつつ滑らかというより柔らかで,艶はあるのだけれど例えばフランク・シナトラのようにテカり(だからフランキーはビロード・ヴォイスなのだけれど)はなく,そのビブラートのように自然な魅力がある。彼の声はまさにジェントル・ヴォイスだった。この作品はカーペンターズの「遥かなる影(They Long to Be) Close to You」とエドウィン・スター「黒い戦争(War)」という対照的な2曲に挟まれた1970年8月22日にビルボードHot100のNo.1に輝いている。グループにとって最初かつ最大のヒット曲で全英(第5位)カナダ(第2位)などでも大ヒットしている。

Make it with you (David Gates)



☆ 60年代後半にロックンロールは「ロック」という括れないカテゴリに変化し,70年代に向けてスパークしていった。それはこのポピュラー音楽のビッグ・バンの時代だったのではないだろうか。その大半が先鋭化し,重く,激しくなり,やがて疲れて斃れていったのに対して「自分で作る音楽」としてのロックを取り戻す動きがシンガー・ソングライターの時代を招いた。ロックは同時にエレクトリック・ジャズやアコースティック・フォークとも轍を重ね百花繚乱の様相を呈する。そして音楽という壁すら超えて美術や演劇や映画に直接的影響を与えるようになっていく。そういう意味では,70年代はワクワクするような時代だったのかもしれない。


☆ 昨年暮れに紹介した恩田陸『蜜蜂と遠雷』が直木賞に選ばれたというニュースを先日聞いた。一読者としてお祝いを申し上げたい。

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猫も杓子も再結成キボンヌだった時代のこと





☆ ビートルズの幻影が一番強かったのは,やはり解散からあまり日が経っていない70年代半ばのことだったと思う。ぼくたちはウンザリするほどビートルズ再結成の噂に振り回されたし(その反動でストーンズに打ち込んだという役得もあった=自滅=),ビートルズのメンバーが部分的に揃ったなんて話は色々あった(その最良の形がリンゴ・スターの『Ringo』だろう。あれはアルバムとしても優れていると思う)。

☆ でも結局そういう話は「おはなし」で終わってしまい,ジョンがショーンの子育てのため休業(主夫宣言)し,『ロックン・ロール・ミュージック』のコンピ盤と共に英パーロフォン(アップル・レコーズではない)が一斉にビートルズのシングルを発売した1976年あたりで「これはどうやっても無いことなんだ」と皆が思ったのではないかと思う。

☆ ジョンやジョージやリンゴにとってそうだったように,ポールにとってもそれは自分の今の音楽活動を考えた時には考えもしない話だっただろう。80年代にジョンがいなくなってからビートルズの名前で出た「新曲」は幾つかあるが,僕にとってはどうでもいいものでしかなかった(ただし世に出たのが悪いとは思っていない)。

Listen To What The Man Said (Paul McCartney & Wings 1975年5月16日)
全米No.1 1975年7月19日(ビルボード)6月12日(キャッシュボックス)



☆ 例えばこの曲のイントロのギターはデイブ・メイスンだし,トム・スコットもそれに色を添えている。素晴らしく目立つイントロだと思う。これが誰が演奏したかということに関わらず,ウイングスの曲である以上,この曲のようにビートルズに関して四の五の言う「Listen To What The Man Said」は邦題の通り「あの娘おせっかい」ということになるのだろう。ホント,それ(ビートルズ再結成)はただの「おせっかい」だった。


☆ ビルボードとキャッシュボックスで1か月も差があるのは珍しい。ビルボードではキャプテン&テニールの「愛ある限り」が超ロングヒット(4週間No.1)だったので,そのせいだろうと思われる

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「Ventura Highway」 (アメリカ 1972年9月19日)



ホームカミングホームカミング
1,800円
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☆ アメリカはアコースティック・サウンドのソフト・ロック・トリオとしてデビューして少しずつエレクトリックサウンドを導入し(それが70年代アメリカのポピュラー音楽の流れだった),後期はAORのグループとみなされている。「名前のない馬」から「金色の髪の少女」や「ひなぎくのジェーン」あたりまでのフォーク・ロック(ソフト・ロック)の時代は例えばブレッドみたいなバンドと比較されるような音だったと思う。

Ventura Highway (Dewey Bunnell )



☆ この曲は全米Top10ヒット(最高位7位=レコード・ワールド,8位=ビルボード・キャッシュボックス)を記録する初期アメリカの代表曲のひとつだ。9月にリリースされているが,どう考えても夏の終わりの余熱を感じながらオープンカーでカラッとした大地を貫く一本道を走っているイメージがある(なんだか「ロンサム・カーボーイ」時代のパイオニアのカーステレオCM的な光景だが^^;)。

☆ 昔から思っているのだが,さだまさしが本当にやりたかったのはこんな音だったんじゃないかと思う。本人に訊く訳にもいかないし第一そんな機会もないんだけれど,歌詩は別にして純粋に音の問題としてとらえたら,さだが作ってきた音はこういうソフト・ロックとの相性がすごく良いと思っている。まあ独自研究なのでこの意見はスルーされて結構であります(苦笑)。

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「Winter Time」 (Steve Miller Band 1977年10月=シングルB面)



ペガサスの祈りペガサスの祈り
2,263円
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☆ 米国では『ペガサスの祈り(Book of Dreams)』からのサード・シングル「スウィングタウン」のカップリング曲としてリリースされたが,本邦では「冬将軍」という邦題でシングルカットされている。もしかしたら日本人受けしそうな曲調から「スウィングタウン」とA・B面逆にしてリリースしたのかもしれない。

Winter Time (Steve Miller)



☆ 少し前に石坂敬一氏の訃報を見た。石坂氏は戦後を代表する財界人石坂泰三氏の従兄弟の孫で,泰三氏が戦後直ぐに東京芝浦電気取締役となり同社の再建を果たしたことと縁があったのか,大卒後に東芝音楽工業に進み,言うまでもなくザ・ビートルズの本邦におけるアンバサダー役を果たした,日本のポピュラー音楽界の重鎮のひとりだった。反面,ザ・ビートルズをブランド化し,ビートルズ信仰という状態にポピュラー音楽を進ませ,再販維持制度の助けを借りて,長年の定価(高額)販売の礎を作ったともいえる。毀誉褒貶は棺の蓋を閉じた後に決まるというが,ぼくの目から見るとタイマーズの「素晴らし過ぎて発売できません」問題や定価販売というブランド戦略のマイナスを彼のキャリアは十分凌いでいると思う。やはり,彼の我が国のポピュラー音楽界に対する貢献は非常に大きかった。

☆ 曲に戻る。『ペガサスの祈り』というアルバムの特徴は,やたらめったらシンセサイザーが使われていることで,スティーブ御大を初めとするバンドの面々がシンセに凝りまくっていたという印象が強い(笑)。それが典型的なのはアルバムのオープニングではあるが,この曲でも木枯らしの効果音を上手く取り入れている。

☆ アメリカでは,明るい曲調の「スウィングタウン」はアルバムからのサード・シングルながら,全米Top20(ビルボード17位,キャッシュボックス13位)の好成績だった。

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「Pearl of the Quarter」 (Steely Dan 1973年7月=アルバムリリース)



エクスタシーエクスタシー
2,097円
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☆ 英語版Wikipedhiaの解説によると,スティーリー・ダンのセカンド・アルバム『カウントダウン・トゥ・エクスタシー』はデビュー後のツアーの合間をぬって制作され,最高位は35位,RIAA認定ゴールド・ディスク(50万枚出荷)は獲得しているので,世間で思われたほどコケた訳でもなさそうだ(笑)。前作でヴォーカルを取ったデヴィッド・パーマーはグループを離れ,結果としてフェイゲンがヴォーカルを取ることになり,スティーリー・ダンの顔がここに固まる。ただし音楽の方はファースト・ナンバー「菩薩」の強力なブギウギからこの曲や「マイ・オールド・スクール」のような愛すべき作品,「ショウビズ・キッズ」のように後年のダン(「グラマー・プロフェッション」や「バビロン・シスターズ」を思い浮かべれば納得できるだろう)を彷彿とさせるものなど,まだ可能性の塊だった若きベッカーとフェイゲンの音楽世界があまり手を加えることなく差し出されていることが分かる。

最高位(Billboard誌調べ)
『カウントダウン・トゥ・エクスタシー』 全米35位
「ショウビズ・キッズ」 全米61位
「マイ・オールド・スクール / パール・オブ・ザ・クォーター」 全米63位

☆ 「パール・オブ・ザ・クォーター」はこの曲のYouTubeで紹介している人の解説の通りの作品だ。どことなく南部っぽさが漂うのはそのせいもあるが,「朝日のあたる家」や「ホンキー・トンク・ウイメン」とはまた違う感じ(この曲をB面としてシングル・カットされた「マイ・オールド・スクール」とは同じ匂い)がする。

> One of my favourite Steely Dan songs. It's about a guy in love with a prostitute.
(Script by meltoninyourmouth)

☆ 『カウントダウン・トゥ・エクスタシー』は,この曲に続き「キング・オブ・ザ・ワールド」で幕を閉じるのだが,俗に言う「初期ダンが好き」というヒトのかなりの部分が,この「流れ」を好んでいるだろうと思う(例えばこの曲の最後の最後に,フェイゲンがまるでセロニアス・モンクみたいに添える一音とか)。音はジャケットの写真のような夢見心地を感じさせつつ,詩はあくまでもほろ苦くシュールである。このバランスが初期ダンの魅力なのだから。

Pearl of the Quarter (Donald Fagen / Walter Becker)



On the water down in New Orleans
My baby's the pearl of the quarter
She's a charmer like you never seen
Singing voulez voulez voulez vous

Where the sailor spend his hard-earned pay
Red beans and rice for a quarter
You can see her almost any day
singing voulez voulez voulez vous

CHORUS:
And if you hear from my Louise
Won't you tell her I love her so
Please make it clear
When her day is done
She got a place to go

I walked alone down the miracle mile
I met my baby by the shine of the martyr
She stole my heart with her Cajun smile
Singing voulez voulez voulez vous

She loved the million dollar words I say
She loved the candy and the flowers that I bought her
She said she loved me and was on her way
Singing voulez voulez voulez vous

CHORUS

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カラッと晴れた日曜の午後



HALLEHALLE
2,469円
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☆ 冬場であればR134もそこまで渋滞も酷くないので,ただ単に車を転がす目的でよく乗りに行った。青山通りを遠く離れたR246からR129経由で湘南大橋のところで左折。その当時は今みたいな広い橋じゃなかったような気がする。あの辺は毎年正月に日テレが放送してくれる(箱根駅伝)から昔もあんなふうだったような記憶が埋め込まれそうになるが,そこはトータル・リコールしないといけない(笑)。




☆ 南岸低気圧さえいなければ,この曲のようにカラッと晴れたドライブが楽しめた。

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サンカイ記



☆ いきものがかり(日頃このブログに登場しない名前である)の「放牧」宣言は,古い人間にはYMOの「散開」を思い起こさせた。ただ「時代かな」と思うことは,YMOの場合はビートルズ以来定番の「解散説」が吹き荒れていて三人ともそれに飽きて「じゃあいっそ逆さまに読んだらどうだろう」という発想に至り,うまいこと「散開」という具合の良い単語に辿り着いたのだろう。

☆ 事実としてYMOの三人はその語義どおり「散開」し,ひょんなことから90年代に「再会」した時は御丁寧にもその略称(YMO)にバッテン(☓印)をつけて登場した。それに比べていこものがかりの「放牧」が清々(すがすが)しく感じられるのは,「放牧」という言葉は本来的に元に戻ることが前提(でないと畜産業は成り立たない)ところにある。




☆ Chaosという言葉は,日本語(ローマ字)の発音では「ケイオス」に近い。昔はそんな名前の会社が上場していたがブッ潰れてしまった。。。ちなみにこの曲は「君に胸キュン」のカップリングで『浮気なぼくら』に収録されなかった曲である。

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本邦泡沫語辞典(003) 熱愛



> デジタル大辞泉の解説
> ねつ‐あい【熱愛】
> [名](スル)熱烈に愛すること。また、その愛情。「一人息子を熱愛する」

☆ 読んで字の如くなのである。昔からこれに類する言葉はあった。「わたし,彼にお熱なの。」(1950~60年代)。これはさすがに女性のビジネスパーソンをBG(ビジネスガールって良く考えたらとんでもない言葉なのだが)と称していた時代の用例に近い。BGの意味に誰かが気づいて,OL(オフィスレディ)と呼び直すようになってくっついてきたのがオフィス・ラブ(苦笑)。ちなみに田島君は自分のユニットのことを略すならこういうふうに略してほしいと一時期強調していたな(爆)。

☆ きょうび「熱愛」の用例は過日の「お熱」というのと五十歩百歩だが,その使われ方を見ているとパパラッチ君が一枚ベストショットを物にして「やったぁ!」と叫んでいる風情があって,何とも小五月蝿(うるさ)いのである。それに比例するようにコトバとしての「熱愛(当事者間では一応事実だろう,どんなことをしようがしまいが)」の価値がグーンとインフレしてしまったように思える。今では「熱愛発覚=プライヴェートの管理に失敗」みたいな残念な結果が見えてしまうのである。




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本邦泡沫語辞典(002) 号泣





> デジタル大辞泉の解説
> ごう‐きゅう〔ガウキフ〕【号泣】
> [名](スル)大声をあげて泣くこと。泣き叫ぶこと。「遺体にとりすがって号泣する」
> [補説]文化庁が発表した平成22年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「大声をあげて泣く」で使う人が34.1パーセント、本来の意味ではない「激しく泣く」で使う人が48.3パーセントという逆転した結果が出ている。

☆ 文化庁の調査は平成23(2011)年2月~3月頃に実施された。この調査の3年後に兵庫県で号泣議員なるものが登場した(2014年7月1日)。この「野々村議員(当時)」の一件あたりから「号泣する」という言葉が明らかな泡沫語になっていった。




☆ NHKのどこかの放送局の気象キャスターが号泣したというニュースがあって,ようつべでその際の映像なるものを見たのだが,この女性の名誉のためにも言わせてもらうが,ああいうのは「号泣」とは言わない。文化庁が本来の意味と言っている「大声」などどこにもなく,本来の意味ではない「激しく泣く」にも全く当たらない。ああいう泣き方はその昔からこう言われていた。「彼女は,思わず,べそをかいていた。」

☆ そうなのだ。今どきの芸能マスコミさんが大袈裟に「号泣する」と書くと,その8割以上は上に書いた「べそをかく」以上のモノではない。つまり「号泣(する)」の泡沫語化は現在進行中なのである。ヘンな世の中である。そう言えば「号泣」の泡沫語化が進むにつれて「(泣き)べそをかく」という表現が絶滅しかけている。そちらの方が問題かもしれない。日本語の表現は立体的であるべきと思う。漢語のようにおなじ「なく」を「哭く」や「啼く」と書いて区別しないとしても。




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本邦泡沫語辞典(001) カリスマ





☆ カリスマって英語の発音を聞いていると「クリズマ」と聞こえる。スティーリー・ダン曲(1980年作品)でこれを聞いた。カリスマという言葉にはどこか宗教っぽさがあった。昨年「リヤ王」みたいな晩節を押し付けられた鈴木敏文という経営者の在り様を見ているとアメリカから押し付けられた「フランチャイズ・システム」を一人で換骨奪胎して「コンビニエンス・ストア」というビジネスモデルを作り上げたことだけでも彼がこの言葉に真に相応しい人物であったことは認めざるを得ない。




☆ しかし「カリスマ」が美容界で使われ始めてからその言葉からは宗教がかった部分が急速に消えていった。宗教に対しての言葉で言えば「世俗化」したのかもしれない。美容師がカリスマで悪い道理はない。彼(女)の美的感覚と技能が「余人を以て代え難い」のであれば(つまり「現代の名工」みたいな存在であれば)その名が相応しくないとは言えない。

☆ 美容関係者には気を悪くさせるかもしれないが,何かその辺からこの言葉が泡沫語になっていった気がする。カリスマという言葉の魔力が奪われていった。もっと言えば薄くなったということだ。美容師に相応しい敬称はシザーズを駆使するのだから「凄腕」ではないかと思う。それから会社の経営なんてものを宗教がかってもらうと非常に困るので,ここにも使って欲しくない。そう考えているうちにあっという間にこの言葉は泡沫語として今では「ブラックなんたら」の隣の池に落ちた犬のようになってしまった。

☆ カリスマが惹きつけたものは,宗教的帰依というべきものであり,それはゲマインシャフトに固有なものであってほしい。現代のポピュリスト政治家が成りたがっているのも,こうした一種のカリスマであるのだから。




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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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