2016-08

夏の終わり頃になったら,またこれかよ=2016=



「夏に恋する女たち」 (大貫妙子 1983年8月5日)



「夏のクラクション」 (稲垣潤一 1983年7月21日)



「音楽のような風」 (エポ 1985年8月5日)



「プールサイド」 (南佳孝 1978年9月21日=アルバムリリース)



「最後のサーフ・ホリデー」 (杏里 1988年5月21日=アルバムリリース)



「ヴィーナス」 (ORIGINAL LOVE 1993年12月8日=本ヴァージョン収録アルバムリリース)



「SWWET CANDY」 (森高千里 1997年6月11日)




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「愛ゆえに(The Things We Do for Love)」 (10cc 1976年12月)


愛ゆえに+3/10cc



¥1,851

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The Things We Do For Love
(Eric Stewart, Graham Gouldman)




Too many broken hearts have fallen in the river
あまりにもたくさんの傷ついた心が川の中に沈んでいく
Too many lonely souls have drifted out to sea,
あまりにもたくさんの孤独な魂が沖合に流されていく
You lay your bets and then you pay the price
君は掛け金を差し出して,その代償を払うのだ
The things we do for love, the things we do for love.
ぼく達が愛のためにできるのはそんなこと

Communication is the problem to the answer
会話こそがその問題の解決策で
You've got her number and your hand is on the phone
君は彼女の電話番号を手に受話器を握る
The weather's turned and all the lines are down
心もようはすっかり変わり,総ての回線が故障している
The things we do for love, the things we do for love.
ぼく達が愛のためにできるのはそんなこと

Like walking in the rain and the snow
行くあても無いというのに
When there's nowhere to go
雨や雪の街の中をとぼとぼ歩くように
And you're feelin' like a part of you is dying
君は自分の中で何かが死んでいくことに気付く
And you're looking for the answer in her eyes.
それなのに君は彼女の瞳の中に答えを見出そうとする
You think you're gonna break up
君は君達の関係がもうお終いだと思っているから
Then she says she wants to make up.
彼女に「こんな事もう止めにしましょう」と言いだしてもらいたいのだ

Ooh you made me love you
ああ でも君がいたから君を好きになった筈なのに
Ooh you've got a way
ああ 君は君の道を選んでしまう
Ooh you had me crawling up the wall.
ああ そして君はぼくの心を苛立たせてしまうのだ


Like walking in the rain and the snow
行くあても無いというのに
When there's nowhere to go
雨や雪の街の中をとぼとぼ歩くように
And you're feelin' like a part of you is dying
君は自分の中で何かが死んでいくことに気付く
And you're looking for the answer in her eyes.
それなのに君は彼女の瞳の中に答えを見出そうとする
You think you're gonna break up
君は君達の関係がもうお終いだと思っているから
Then she says she wants to make up.
彼女に「こんな事もう止めにしましょう」と言いだしてもらいたいのだ

Ooh you made me love you
ああ でも君がいたから君を好きになった筈なのに
Ooh you've got a way
ああ 君は君の道を選んでしまう
Ooh you had me crawling up the wall.
ああ そして君はぼくの心を苛立たせてしまうのだ

A compromise would surely help the situation
何かを妥協すれば少しは今の状態をよくするのに役立つだろうが
Agree to disagree but disagree to part
賛成でも不賛成でも部分的に不賛成でも
When after all it's just a compromise of
どっちにせよ,それはただの妥協に過ぎないのさ
The things we do for love, the things we do for love
ぼく達がお互いへの愛情を生き延びさせるためのね

最高位
全米第5位(ビルボード)キャッシュボックス:第4位)
全英第6位
カナダ第1位,アイルランド第2位,豪州第5位

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「スプリンクラー」 (山下達郎 1983年9月28日)


「スプリンクラー」(作詩・作曲 山下達郎) ⇒うたまっぷの歌詞にリンク


Wikipediaの解説⇒ここからリンクにあるように,「“君なしでは生きられない”って言葉はいらない」というのがこの曲のテーマであり,「薄暗い地下道へと流れ落ちる雨」を「壊れたスプリンクラー」に譬(たと)えたのは,愛(情)は双方向的なものであるべきで,そのバランスが崩れた時から喪われていくものだという山下の認識を示している。恋愛における依存関係は,捩(ねじ)れた,もしくは歪(ひず)んだ人間関係になり,そこには対等なものは無いので「それは愛とは呼べない(=”言い出したら それで終り 愛は・・・・・・”)」ということである。

東京メトロ 表参道駅(2)

☆ 山下達郎は歌詩を自分で書くようになって,こうした内省の考察に磨きがかかってきた。それが彼の80年代の収穫である。「自分自身への内省」に重きがあった70年代の詩から「人間関係」への考察,さらに大きな「世界」との関係に広がっていく(「The War Song」や「蒼茫」を聴けばわかる)。それはたぶん彼自身の「家族」というものの捉え方に繋がっている。家族を持ったことで視野が広がったのだろう。また1980年代前半がミニマリズムの時代であったことも微妙な影を落としている。人と人との関係に対して,係わるのか係わらないのかを含めて「あるべき姿」がテーマとなった時代でもあったと思う。

東京メトロ 表参道駅(1)

0613yamatatsu.jpg

山下達郎 : Electric Guitar, Acoustic Guitar, Electric Piano, Synthesizers, Glocken, Percussion, 大正琴 & Background Vocals
青山純 : Drums
伊藤広規 : Electric Bass
井上大輔 : Tenor Sax
吉田保 : Mixing Engineer



上記Wikipediaの解説に付け加えておけば最高位34位という結果に「タイアップもない曲がここまで行けば上出来」というのが当時の達郎の自己評価だった。ちなみにその次のシングルは,クリスマス企画用に12インチのピクチャー盤で発表された「クリスマス・イブ」(1983年12月14日)である。

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「Dancing in the Dark」 (ブルース・スプリングスティーン 1984年5月3日)



ボーン・イン・ザ・U.S.A./ブルース・スプリングスティーン



¥2,097

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初出:2007年4月8日

Dancing In The Dark(Bruce Springsteen)



I get up in the evening, and I ain't got nothing to say
俺は夕方に起き出す,でも何も手に入れることはできない
I come home in the morning, I go to bed feeling the same way
俺は明け方過ぎに家に戻り,同じ気分を引きずりながら寝床に就く
I ain't nothing but tired, man I'm just tired and bored with myself
俺はただ疲れているんじゃない。そうとも,俺は自分という存在にいい加減ウンザリしているんだ
Hey there baby, I could use just a little help
だからベイビー,俺にささやかな救いの手を差し出させてくれないか

You can't start a fire, you can't start a fire without a spark
お前の心に火を点けられないのなら,ただの一瞬でも心がときめかないというのなら
This guns for hire even if were just dancing in the dark
たとえ闇の中で踊るようなものだとしても,この俺を使ってみてくれないか

Message keeps getting clearer, radios on and I'm moving round the place
つけっぱなしのラジオからの音がハッキリ分かるようになると,俺は所在無くそのあたりを動き回る
I check myself out in the mirror I wanna change my clothes my hair my face
姿見に映った自分を見ながら俺は思う。この衣装も,この髪型も,この顔も全部変えてしまいたい!と。
Man I ain't getting nowhere just sitting in a dump like this
そうさ,俺はどこへも行けないまま,ここにただ座ったままで年老いていくなんてゴメンだぜ
There's something happening somewhere baby I just know that there is
どこかで何かが始まろうとしているのさ。ベイビー,俺にはそれが分かるんだ

You can't start a fire, you can't start a fire without a spark
お前の心に火を点けられないのなら,ただの一瞬でも心がときめかないというのなら
This guns for hire even if were just dancing in the dark
たとえ闇の中で踊るようなものだとしても,この俺を使ってみてくれないか

You sit around getting older there's a joke here somewhere and it's on me
お前はここで大人しく年老いていくつもりかい,そんな冗談を言う前に俺がいるじゃないか
I'll shake this world off my shoulders come baby this laughs on me
俺が世間をアッと言わせてやるさ,だからついて来いよ。ベイビー,俺を笑ってもいいから

Stay on the streets of this town and they'll be carving you up alright
この町の街角で大人しくしてれば,世間がお前を良くしてくれるとでも言うのかい
They say you got to stay hungry hey baby Im just about starving tonight
世間はお前はひもじい思いをするだけと言うだろう,ベイビー。だけど俺は今夜飢え死にしそうなんだ
I'm dying for some action I'm sick of sitting round here trying to write this book
俺は今,動き出したいんだ。もうこんな所に座って夢の続きを綴っているのに飽き飽きしてるんだ
I need a love reaction come on now baby give me just one look
俺には愛情の反応が必要なんだ,だからベイビー。俺を一瞬見つめたらついて来いよ

You can't start a fire sitting 'round crying over a broken heart
お前の心に火を点けられないのなら,座ったまま破れたハートで泣き濡れ続けるのなら
This gun's for hire even if we're just dancing in the dark
たとえ闇の中で踊るようなものだとしても,この俺を使ってみてくれないか

You can't start a fire worrying about your little world falling apart
お前の心に火を点けられないのなら,お前の小さな世界が引き裂かれたままなのを悩んでいるのなら
This gun's for hire even if we're just dancing in the dark
たとえ闇の中で踊るようなものだとしても,この俺を使ってみてくれないか

Even if we're just dancing in the dark
たとえ闇の中で踊るようなものだとしても
Even if we're just dancing in the dark
たとえ闇の中で踊るようなものだとしても
Even if we're just dancing in the dark
たとえ闇の中で踊るようなものだとしても

Hey baby
さあ,ベイビー

初出:2015年7月14日:1984年の夏のこと

☆ ブルース・スプリングスティーンの新譜は,豪快なロックンロールにしては軽やかに聴こえ,PVもまたそういうイメージに溢れていた。あとから思えば,曲を聞いて歌詩の意味が分からないことが,どういう誤解を招くのかをつくづく考えさせられるのだが,多分それに気付いたのはCDになって初めて国内盤を買って歌詩カードを見るよりは早く,村上春樹の「ハングリー・ハート」の話を読んだ時だったのだろうと思う。

☆ ぼくは当時「ダンシング・イン・ザ・ダーク」が1位になれないの事に苛立っていた。デュラン・デュランは彼らにとっても代表曲のひとつであろう「ザ・リフレックス」(いまだに内容のためボツになったオリジナルのPVを見たことがない。中村真理さんの番組で見ていたPVを長いことオリジナルのものだと思っていた。どうでもいい話だが同じ頃にリリースされて同じようにボツにされたサザン・オールスターズの「ミス・ブランニュー・デイ」のPVはようつべで見て大爆笑したが,LGBTやダイバーシティーを思えばまず永遠に今のテレビでは放映されないだろうと思う(爆))にせよ,異様に高い湿気を感じた(再爆)プリンスの「When Doves Cry(タイトルを考えあぐねて「ビートに抱かれて」と邦題を付けたワーナー洋楽部の大ヒット)」も確かに今まで聴いたことのない「肌触り」を残す作品ではあったが,その頃は邪魔で邪魔でしょうがなかった(大爆笑)。この曲はなぜか1年後にオランダやベルギーでNo.1になっている(1985年6~8月)が,同時期のヒット曲がポール・ハードキャッスル「19」であることも興味深い。

☆ しかしほんとうに苛立っていたのは,ぼくではなく,スプリングスティーンの歌の主人公だった。何一つ変わらない現実から逃れたいという苛立ちこそ,この軽快なビートとEストリート・バンドの丁寧に組み立てたサウンドに乗せ,彼が何気なくむしろ淡々と歌うロックンロール・ソングの真髄だった。それはかつて自分たちが打ち負かした国から思わぬ追い上げを喰らい,その国よりもさらに小さな国に負け,自分たちは何をやっていたのか,どうあるべきなのかと思う間もなく80年代という時代に漂っていた(少なくとも70年代からの底打ちはあっただろうが,ロナルド・レーガンにこの国を任せてよかったのかという疑念も消え去ってはいなかっただろう=皮肉にもレーガンに任せたことは結果オーライとなるのだが)この時代の合衆国の苛立ちを代弁していたのだ。

☆ 同時にその時代の苛立ちのひとつの現れが欧州でこの曲の前後にヒットしていた「19」の歌詩である。そこにはレーガン政権が戦略として打ち出した軍拡競争(でソ連を破綻させる作戦)の陰影が残る。「19」のテーマが「地獄の黙示録」の回帰というか再帰というべきであろうし,そこで使われたサンプリング手法は,人間をディジタルな存在(戦死者数のように数で纏める存在)にすることへの生理的な嫌悪感が深く反映されているように感じる。この二つの苛立ちは同根のものではなかったか?

最高位
第1位 ベルギー,オランダ(この2国のみ1985年、他は84年)
第2位 アメリカ,アイルランド,スウェーデン,ニュージーランド
第3位 カナダ  第4位 南アフリカ,英国 第5位 豪州

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「Oliver's Army」 (Elvis Costello and the Attractions 1979年1月5日) その2



エルビスコステロ詩集エルビスコステロ詩集
(1998/12/10)
エルヴィス コステロ

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☆ 前回「おまけ」のように載せた昔(2012年確認)のYou Tubeコメントを再掲する。

> I always took it to be about the British army's long tradition of sending Irish soldiers across the globe to die for the glory of England.
> この歌を聴くと,僕は大英帝国の軍隊がアイルランド出身兵を世界各地に送り込んで大英帝国の栄光のための踏み台(犠牲)にしてきたということに思い当たる。
> Costello's family was Irish.
> エルヴィスコステロの先祖はアイルランドの出身だ。
> Oliver's Army is a reference to Oliver Cromwell, who subjugated Ireland in the 17th century and confiscated large amounts of land.
> 「オリヴァーズ・アーミー」は17世紀にアイルランドを支配しその大半を征服したオリヴァー・クロムウエルについて言及した作品である。
> Despite the Irish resentment of the English and the fact that they were treated like dirt and called "white niggers", many Irish were poor and the army was the only opportunity open to them.
> アイルランド人のイングランド人への憤激は,イングランド人たちが彼等アイルランド人を不潔なものとして扱い「白ンぼの黒人」と呼んだことにある。それはイングランドの支配下に入ったアイルランド人達にとって軍隊が唯一の彼等に残された出世の機会であったからだ。

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☆ 世界史(事実上の欧州史)における近代の幕開けは17世紀にある。それは大陸欧州では30年戦争とウエストファリア(ヴェストファーレン)体制の成立であり,ブリテン島では護国卿オリヴァー・クロムウエルによる清教徒革命であった。エルヴィス・コステロがこの曲を発表した1979年には北アイルランドはIRAが独立闘争(爆弾テロ)を繰り返し,この年(1979年)の8月27日に第2次世界大戦の英雄であったルイス・マウントバッテン卿を爆殺している。IRAの名前は言うまでもなくセックス・ピストルズの「アナーキー・イン・ザ・UK」(1976年11月26日)の中に歌われているが,1994年に暫定的な休戦に入っている。

Oliver's Army (Elvis Costello)



Don't start me talking
オレに声を掛けない方がいいぞ
I could talk all night
一晩中でも喋り続けるから
My mind goes sleepwalking
俺の心は夢遊病のように彷徨っている
While I'm putting the world to right
物事が収まるべきところに収まるのを見届けるまでは

Called careers information
ハローワークにでも電話すれば
Have you got yourself an occupation?
何かお探しの職種はありますか?ってなものさ

(Chorus)
Oliver's army is here to stay
オリヴァーの兵隊が駐留中さ
Oliver's army are on their way
オリヴァーの兵隊が行動開始だ
And I would rather be anywhere else
オレと来たら,どこでもいいから出発したいのさ
But here today
ここでウダウダしているのは,もうゴメンなんだよ

There was a checkpoint Charlie
検問所にはチャーリーが陣取ってる
He didn't crack a smile
冗談のひと言も言いそうもないヤツさ
But it's no laughing party
もっとも楽しい催しなんてどこにも無いのさ
When you've been on the murder mile
おまえがスケジュールに忙殺されている間はね

Only takes one itchy trigger
チョッとばかり銃爪(ひきがね)を引いてやれば
One more widow, one less white nigger
また一人未亡人が増えて,また一人白ンぼの黒人が減っていく

(Chorus)
Oliver's army is here to stay
オリヴァーの兵隊が駐留中さ
Oliver's army are on their way
オリヴァーの兵隊が行動開始だ
And I would rather be anywhere else
オレと来たら,どこでもいいから出発したいのさ
But here today
ここでウダウダしているのは,もうゴメンなんだよ

Hong Kong is up for grabs
香港では一事が万事,早い者勝ちで
London is full of Arabs
ロンドンにはアラブの金持ちが溢れている
We could be in Palestine
俺たちゃパレスチナにいるかもしれないし
Overrun by a Chinese line
中国の国境を踏み越えているかもしれないし
With the boys from the Mersey and the Thames and the Tyne
そういう時にはマージーとかテムズとかタインあたりからやって来た野郎どもと一緒さ

But there's no danger
だけど別にヤバイ事じゃないぜ
It's a professional career
これがプロのお仕事っていうものさ
Though it could be arranged
たとえその話が
With just a word in Mr. Churchill's ear
チャーチル殿の耳に入ったほんの一言が原因で準備されたとしてもね
If you're out of luck or out of work
もしもあんたが身の不運を嘆いたり仕事からあぶれて困っていたとすれば
We could send you to Johannesburg
俺たちが喜んでヨハネスブルグにお届けしてやるから

(Chorus)
Oliver's army is here to stay
オリヴァーの兵隊が駐留中さ
Oliver's army are on their way
オリヴァーの兵隊が行動開始だ
And I would rather be anywhere else
オレと来たら,どこでもいいから出発したいのさ
But here today
ここでウダウダしているのは,もうゴメンなんだよ

☆ Wikipedia(英国版)の解説を見ると,1645年に清教徒革命による英国内戦の中でクロムウエルが組織した「New Model Army」が英国軍の母体になったとある。「オリヴァーズ・アーミー」はそのことを指しているが,もちろん英国の「歴史的事実」を歌っているのではなく,先に書いた1979年の「現実」を歌っている。たとえば

Hong Kong is up for grabs
香港では一事が万事,早い者勝ちで ⇒香港の中国返還まであと18年
London is full of Arabs
ロンドンにはアラブの金持ちが溢れている ⇒アラブ諸国の「オイルマネー」最盛期
We could be in Palestine
俺たちゃパレスチナにいるかもしれないし ⇒イスラエルとエジプトのキャンプデービッド合意は1978年3月
Overrun by a Chinese line
中国の国境を踏み越えているかもしれないし
⇒中越戦争が起きたのはこの年の2月17日(ただし国境を越えていったのは中国軍)

こんな感じだ。

☆ その一方,Wikipediaの英国版ではこういう指摘もある。

> A reference in the lyrics to "a word in Mister Churchill's ear" suggests, however, that the Oliver in question is Oliver Lyttelton, Churchill's President of the Board of Trade in the early stages of the Second World War.

☆ 「チャーチル卿の耳に一言入れた」という歌詩の部分で第2次世界大戦時に英国枢密院で "President of the Board of Trade" などの職にあったOliver Lytteltonという人物に言及がある。彼は初代シャンドス子爵(1st Viscount Chandos)でもあるそうだが。この辺は全く読み切れていないことを認めざるを得ない。結局ポピュラーソングは,その国が持つ「背景」を理解していないと分からない部分がある。英国の場合であればグレートブリテン島とアイルランド島の関係であり,身分制度でありそれらを背景とした人間関係である。

さらに

If you're out of luck or out of work
もしもあんたが身の不運を嘆いたり仕事からあぶれて困っていたとすれば
We could send you to Johannesburg
俺たちが喜んでヨハネスブルグにお届けしてやるから

☆ ローデシア紛争は最終盤にさしかかっていた(ジンバブエ・ローデシアの成立はこの年の6月1日,ローデシアとしての独立は1980年4月17日)が,南アフリカはアンゴラへの介入や自国が統治していたナミビアの独立問題(1990年3月21日独立)など様々な問題を抱えていた。ヨハナスブルグはその象徴的な都市でもある。もちろん南アフリカ共和国の成立にはボーア戦争があり英国が大きな役割を果たしていることお考えておかないといけない。

☆ パンクロックが政治的であったのは,政治的な時代背景(イギリスの場合は内政・外交の両面で)もあるし,その当時は誰も予期していなかったが冷戦末期に向かう過程であり,現在に至る中東情勢の決定的な要素となったソ連(当時)のアフガニスタン介入があったからだ。ピストルズやクラッシュは内政問題としての政治をその視座に置いた。ストラングラーズはもう少し広い視点があった。エルヴィス・コステロのこの曲もその視座に近い。

☆ この曲は彼の全英チャート最高位(第2位)を記録した作品でもある。この曲の解説では当時のコステロは売り出し中のパンク・ミュージシャンであり,活動はフル回転であったため一種の躁状態になって書かれたのがこの作品であるという話があるが,あるいはそうかもしれない。ただパンクががなり立てるだけの音楽ではなく,ニュー・ウエイブ(としてのパワー・ポップ)であることを強く意識させた作品でもあり,それはやはりこの時期のコステロをプロデュースしたニック・ロウの手腕によるのだろうとも思う。

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「Oliver's Army」 (Elvis Costello and the Attractions 1979年1月5日) 前



初出 2007年5月11日(2008年8月3日・2012年3月10日)

アームド・フォーセスアームド・フォーセス
(2009/03/04)
エルヴィス・コステロ

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Oliver's Army


Don't start me talking
オレに声を掛けない方がいいぞ
I could talk all night
一晩中でも喋り続けるから
My mind goes sleepwalking
俺の心は夢遊病のように彷徨っている
While I'm putting the world to right
物事が収まるべきところに収まるのを見届けるまでは

Called careers information
ハローワークにでも電話すれば
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何かお探しの職種はありますか?ってなものさ

(Chorus)
Oliver's army is here to stay
オリヴァーの兵隊が駐留中さ
Oliver's army are on their way
オリヴァーの兵隊が行動開始だ
And I would rather be anywhere else
オレと来たら,どこでもいいから出発したいのさ
But here today
ここでウダウダしているのは,もうゴメンなんだよ

There was a checkpoint Charlie
検問所にはチャーリーが陣取ってる
He didn't crack a smile
冗談のひと言も言いそうもないヤツさ
But it's no laughing party
もっとも楽しい催しなんてどこにも無いのさ
When you've been on the murder mile
おまえがスケジュールに忙殺されている間はね

Only takes one itchy trigger
チョッとばかり銃爪(ひきがね)を引いてやれば
One more widow, one less white nigger
また一人未亡人が増えて,また一人白ンぼの黒人が減っていく

(Chorus)
Oliver's army is here to stay
オリヴァーの兵隊が駐留中さ
Oliver's army are on their way
オリヴァーの兵隊が行動開始だ
And I would rather be anywhere else
オレと来たら,どこでもいいから出発したいのさ
But here today
ここでウダウダしているのは,もうゴメンなんだよ

Hong Kong is up for grabs
香港では一事が万事,早い者勝ちで
London is full of Arabs
ロンドンにはアラブの金持ちが溢れている
We could be in Palestine
俺たちゃパレスチナにいるかもしれないし
Overrun by a Chinese line
中国の国境を踏み越えているかもしれないし
With the boys from the Mersey and the Thames and the Tyne
そういう時にはマージーとかテムズとかタインあたりからやって来た野郎どもと一緒さ

But there's no danger
だけど別にヤバイ事じゃないぜ
It's a professional career
これがプロのお仕事っていうものさ
Though it could be arranged
たとえその話が
With just a word in Mr. Churchill's ear
チャーチル殿の耳に入ったほんの一言が原因で準備されたとしてもね
If you're out of luck or out of work
もしもあんたが身の不運を嘆いたり仕事からあぶれて困っていたとすれば
We could send you to Johannesburg
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(Chorus)
Oliver's army is here to stay
オリヴァーの兵隊が駐留中さ
Oliver's army are on their way
オリヴァーの兵隊が行動開始だ
And I would rather be anywhere else
オレと来たら,どこでもいいから出発したいのさ
But here today
ここでウダウダしているのは,もうゴメンなんだよ


Notes : Mersey ・・・ ご存じマージービートの「マージー」。州都リバプールを含む "Merseyside" のこと。
Thames ・・・ こちらはテムズ川のテムズ。ロンドン周辺という意味か?
Tyne ( and Wear)・・・イングランド北東部の州;州都Newcastle-upon-Tyne。





Reference

> I always took it to be about the British army's long tradition of sending Irish soldiers across the globe to die for the glory of England.
> Costello's family was Irish.
> Oliver's Army is a reference to Oliver Cromwell, who subjugated Ireland in the 17th century and confiscated large amounts of land.
> Despite the Irish resentment of the English and the fact that they were treated like dirt and called "white niggers", many Irish were poor and the army was the only opportunity open to them.

This comment posted by BlonkyLaRue

☆ You Tubeのコメントの中にこの曲の歌詩は深いというのがあったが,確かに英国近世史とパンクの融合は深い。エルヴィス・コステロが一筋縄の人物ではなかった何よりの証拠でもある。この歌詩の解題が2016年夏の集中講座。



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「こぬか雨」 (伊藤銀次 1977年5月25日=アルバムリリース)


GOLDEN☆BEST 伊藤銀次~40th Anniversary Edition~/uncle-jam



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☆ 40年くらい前はよく夕立が降っていた。陽水が「夕立」をリリースしたのは1974年9月1日で,この頃は夕立は毎日のように降ったものだ。ところがここ数年,夏がより暑くなると共に酷い夕立が時々降るようになってきた。スコール系の曲だったら松田聖子のデビューアルバムのタイトル曲とか山下達郎の「スプリンクラー」とか,まあいろいろあるのだけれど(笑),そういう激しい雨(ボブ・ディランやらモッズなんかが思い出される)じゃなければ銀次のこの曲も風情があって良い。

こぬか雨(作詩/作曲:伊藤銀次)
うたまっぷ 「こぬか雨」




コーラス編曲:大貫妙子、ホーン&ストリングス編曲:坂本龍一
THE BAND
斉藤ノブ (Perc)
上原裕 (ds)
田中章弘 (b)
緒方泰男 (Key, g)

坂本龍一 (Key)
高橋知己 (sax)
向井滋春 (tb)
妹尾隆一郎 (harp)
村松邦男 (g)
国吉征之 (H)
島田耕 (dobro)

大貫妙子 (cho) Through the Courtesy of CROWN Records
大上留利子 (cho)
Sentimental City Romance (cho)

☆ 粉糠雨(小糠雨)は霧雨のもっと細かいもののようなイメージがある。この頃の銀次の言葉のセンスは頭抜けていた(『ナイアガラ・トライアングル(Vol.1)』参照)。「こぬか雨」を最初にカヴァーしたのはEPOで,ぼくも彼女のヴァージョンで知った。『DEADLY DRIVE』が2008年に再発(紙ジャケ)でようやく手にしてオリジナルを聴くことができた。その途中には山下達郎(シングス・シュガー・ベイブ)の素晴らしいヴァージョンもあった。

☆ 1970年代後半。確かにショウビズは新しい「方向性」を探していたと思う。アイドル歌謡が方法論として確立されると,そこには陳腐化の罠が待ち受けていた。ヒトはみな年を取るという当たり前のことが障壁となっていた。そういう世間に付かず離れずで「ニューミュージック」が商業ベースに乗り始めていた。しかし「ここにはスコールさえもない」と銀次が嘆声を呟く場所はまだ,世間様には発見されていなかったのである。

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「Summer Breeze」 (アイズレー・ブラザーズ Covered 1974年3月)


3+3/アイズレー・ブラザーズ



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Summer Breeze (Jim Seals, Dash Crofts)




See the curtains hangin' in the window
In the evening on a Friday night
A little light a-shinin' through the window
Lets me know everything's all right

Summer breeze makes me feel fine
Blowin' through the jasmine in my mind
Summer breeze makes me feel fine
Blowin' though the jasmine in my mind

See the paper layin' on the sidewalk
A little music from the house next door
So I walk on up to the doorstep
Through the screen and across the floor

Summer breeze makes me feel fine
Blowin' through the jasmine in my mind
Summer breeze makes me feel fine
Blowin' through the jasmine in my mind

Sweet days of summer, the jasmine's in bloom
July is dressed up and playing her tune
And I come home from a hard day's work
And you're waitin' there
Not a care in the world

See the smile awaitin' in the kitchen
Through cookin' and the plates for two
Feel the arms that reach out to hold me
In the evening when the day is through

Summer breeze makes me feel fine
Blowing through the jasmine in my mind
Summer breeze makes me feel fine
Blowing through the jasmine in my mind

PERSONEL
Ronald Isley, O'Kelly Isley, Jr. and Rudolph Isley – lead and background vocals
Ernie Isley – electric and acoustic guitar & percussion
Chris Jasper – piano, keyboards
Marvin Isley – bass guitar and percussion
George Moreland – drums, percussion

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「Master Blaster (Jammin')」 (スティーヴィー・ワンダー 1980年9月12日)


ホッター・ザン・ジュライ/スティーヴィー・ワンダー



¥1,851

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Master Blaster (Jammin') (Stevie Wonder)



Everyone's feelin' pretty
It's hotter than July
Tho' the world's full of problems
They couldn't touch us
Even if they tried

From the park I hear rhythms
Marley's hot on the box
Tonite there'll be a party
On the corner, at the end of the block

(chorus)
Didn't know you
Would be jammin' it
'Til the break of dawn
See nobody ever told me
That you would be jammin' it
'Til the break of dawn
We'll be jammin' it,
Jammin' it, jammin' it
Jam on

They want us to join the fighting
But our answer today
Is to let all our worries
Like the breeze, through our fingers slip away

Peace has come to Zimbabwe
Third World's right on the One
Now's the time for celebration
'Cause we've only just begun

(chorus)
*add refrain;
We're in the middle
of the making of the master blaster, jammin

You ask me; "Am I happy?"
Well, as matter of fact,
I can say that I'm ecstatic
'Cause we've all just made a pact

We've agreed to get together
And join as children in JAH
When you're movin' in the positve
Your destination is the brightest star

chorus

I bet you if someone approached you yesterday
to tell you that you would be jammin'
you would not believe it
cause you never thought that you would be jammin'

(fade out)
NOTES
Zimbabwe 1979年にローデシア紛争が終結,80年ジンバブエ共和国が独立するが1987年よりロバート・ムガベの独裁が始まり現在に至る。
JAH ラスタの神様。

最高位
第1位 豪州、ニュージーランド、スウェーデン
第2位 全英、オランダ
第4位 ノルウェー
第5位 全米
第9位 西ドイツ

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「Summer in the City」 (ラヴィン・スプーンフル 1966年7月4日)



ハムズ・オブ・ザ・ラヴィン・スプーンフル(紙ジャケット仕様)/ラヴィン・スプーンフル



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Summer in the City
(John Sebastian, Mark Sebastian, Steve Boone)



Hot town, summer in the city
Back of my neck getting dirt and gritty
Been down, isn't it a pity
Doesn't seem to be a shadow in the city
All around, people looking half dead
Walking on the sidewalk, hotter than a match head
But at night it's a different world
Go out and find a girl
Come-on come-on and dance all night
Despite the heat it'll be alright
And babe, don't you know it's a pity
the days can't be like the nights
In the summer, in the city
In the summer, in the city

Cool town, evening in the city
Dressing so fine and looking so pretty
Cool cat, looking for a kitty
Gonna look in every corner of the city
Till I'm wheezing like a bus stop
Running up the stairs, gonna meet you on the rooftop
But at night it's a different world
Go out and find a girl
Come-on come-on and dance all night
Despite the heat it'll be alright
And babe, don't you know it's a pity
the days can't be like the nights
In the summer, in the city
In the summer, in the city

Hot town, summer in the city
Back of my neck getting dirt and gritty
Been down, isn't it a pity
Doesn't seem to be a shadow in the city
All around, people looking half dead
Walking on the sidewalk, hotter than a match head
But at night it's a different world
Go out and find a girl
Come-on come-on and dance all night
Despite the heat it'll be alright
And babe, don't you know it's a pity
the days can't be like the nights
In the summer, in the city
In the summer, in the city

シングルスAs&Bs/ラヴィン・スプーンフル



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「Hot Summer Nights」 (Night 1979年)


ホット・サマー・ナイト[EPレコード 7inch]/ナイト



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Hot Summer Nights
(Mark Christopher Batson; Grace Potter)



There was a time not too far gone
When I was changed by just a song
Upon the radio and in the car
The pounding of an electric guitar

Then the time came to make our stand
We started up a four-piece band
And the heat felt like spotlights
In the heart of a hot summer night, yeah

Ooh, hot summer nights
Ooh, hot summer nights

Return with me to when times were best
We were friends that could pass any test
Shared our hopes, our dreams, our goals
And the fundamental rolls

As we sang in the hot, dark rooms
Happy just to play our tunes
It felt good when we got it right
It felt good on a hot summer night, yeah

Ooh, hot summer nights, yeah
Ooh, hot summer nights

So it lives and it always will
The songs we sung are in us still
Ringing out with all of their might
In the heat of a hot summer night, yeah

Ooh, hot summer nights
Ooh, hot summer nights, yeah
Ooh, hot summer nights, oh
Ooh, hot summer nights, yeah

Ooh, hot summer nights (Hot summer nights)
Ooh, hot summer nights, yeah
Ooh

A sextet group, which consisted of lead female vocalist Stevie Lange & lead singer/guitarist Chris Thompson, who was also lead vocalist/guitarist for Manfred Mann's Earth Band. A #18 hit in 1979.

☆ マンフレッド・マンズ・アース・バンドはこの数年前にブルース・スプリングスティーンのデビューアルバムの1曲目「光に目もくらみ」の大胆なカヴァーで久々の大ヒットを得ていた。そこから独立したメンバーが作ったバンドがナイトである。1979年は2016年に比べれば熱い夏とは言えなかったが,この曲はディスコ回りを中心に日本でもヒットした。

最高位
3位 豪州
13位 南アフリカ
18位 全米
21位 ベルギー、オランダ
23位 カナダ
28位 ニュージーランド

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暑気払い



Strange Boutique/Monochrome Set



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Love Zombies/Monochrome Set



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化粧品の関ケ原


サーカス ベスト DQCL-2110/サーカス



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☆ 1970年代半ばから80年代いっぱいにかけて,資生堂とカネボウ化粧品が日本のポピュラーソングに貢献した大きさは計り知れない。

Belle~カネボウ・ヒット・ソングス/白井貴子&CRAZY BOYS



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☆ その中で両社のCMソングがバランスを取った上(実はこの表現は個人的に使いたくなかった)に,セールスもそれに相応しい「対決」を挙げるとすれば,1978年夏を外すわけにはいかない。資生堂は矢沢永吉が「時間よとまれ」で日本中にそのソングライターとしての才能を再認識させ,カネボウはまだ無名だったコーラスグループのサーカスをこの1曲でスターダムにのし上げた。サーカスの曲はフレンチ・ポップスの翻案(作詩:Pierre Delanoe 日本語詩:竜真知子 / 作曲:Michel Fugain / 編曲:前田憲男)で,いかにも「サウンド・イン・S」向きだったのだが(笑),楽曲としても甲乙つけ難い2曲が同時期にチャート上位にいたという,ある意味日本のポピュラー・ソングにとって幸せな時代であった。

「Mr.サマータイム」 (サーカス 1978年3月25日)



☆ 楽曲(外国曲の翻案)としての「Mr.サマータイム」を考えた場合,日本語詩を書いた竜真知子が先駆する作品として描いたのは明らかにハイ・ファイ・セットの「フィーリング」(1976年12月1日,日本語詩:なかにし礼)だっただろう。実際,80年代のアイドルブームが到来しなかったなら,「サウンド・イン・S」的なアダルト・コンテンポラリーのマーケットが成立する可能性が無いわけでもなかったと思う。この両グループを筆頭にタイム5やイブが活躍していたのだから。それはCM曲の対バンだった矢沢永吉にも言えた。彼がソロになってまずロッカーとしての自己を確立した。それはヤザワという人間の「居場所」を作る総仕上げだったし,その次にはミュージシャン(有り体に言えばソングライター)としてのヤザワの居場所を高らかに宣言することで,彼自身に纏わりついていたパブリックイメージを打破する必要があったし,それを誰より希求していたのは彼自身であったからだ。

☆ このように1978年夏には,ステップアップした形でのポピュラーソングのマーケットが生まれる可能性があった。時代は確かにフォークやロックやソウルをベースにした「ニュー・ミュージック」がポピュラーソングのマーケットを拡大しつつあり,従来型のショウビズは70年代のアイドルが曲がり角にあったし,演歌はマイナー音楽からの脱却に苦しんでいた(そして「カラオケ演歌」を選び取ることになる)。あらゆる可能性があり,共通の意識が「80年代」という次の時代の区切りであった。

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「追憶の夜(Late in the Evening)」 (ポール・サイモン 1980年7月)



ワン・トリック・ポニー(紙ジャケット仕様)/ポール・サイモン



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Late in the Evening (Paul Simon)




The first thing I remember
最初に覚えていたことは
I was lying In my bed
自分のベッドの中で横になったいたこと
I couldn't of been no more
じっといてはいられないような感じだった
Than one or two
そのままでいるのじゃなくてね
I remember there's a radio
ラジオが鳴っていて
Comin' from the room next door
ドアの向こうの部屋から
And my mother laughed
母さんの笑い声がしていた
The way some ladies do
ある種のご婦人がそうするように
When it's late in the evening
もう夜も更けてきたというのに
And the music s seeping through
そういう音楽って浸みだすように聞こえるものなのさ

The next thing I remember
その次にぼくが覚えていることは
I am walking down the street
通りを歩いていた時のことだ
I'm feeling all right
ぼくはイイカンジだった
I'm with my boys
仲間たちと一緒で
I'm with my troops, yeah
それはちょうど親衛隊に守られてたって感じかな
And down along the avenue
そのままずっと歩いていると
Some guys were shootin pool
男たちがビリヤード台のところにいて
And I heard the sound
ぼくはその音を聞いた
Of a cappella groups, yeah
ア・カペラを歌うグループの声だ
Singing late in the evening
歌声は夜更けに響き渡り
And all the girls out on the stoops, yeah
女の子達は総出でポーチを抜け出しやって来るのさ,イエイ

Then I learned to play some lead guitar
それからぼくはリードギターの弾き方を教わった
I was underage In this funky bar
このイカしたバーじゃひよっ子扱いだったからね
And I stepped outside to smoke
仕方ないので,僕は "J"を吸いに
myself a "J"
外に出たんだ
And when I came back to the room
部屋に戻ってみると
Everybody just seemed to move
皆退屈して気分を変えたそうに見えた
And I turned my amp up loud and I began to play
そこでぼくはアンプのボリュームを上げて演奏を始めた
And it was late in the evening
それは夜更けがたのことだったけれど
And I blew that room away
だからぼくが,そのヤな感じをふっ飛ばしたのさ

The first thing I remember
きみがぼくの人生に関わり始めた
When you came into my life
そのいちばん最初にぼくが覚えていたことは
I said I'm gonna get that girl
君をどこかにさらっていくよ
No matter what I do
どんなことをしたってねって言ったことだったっけ
Well I guess I'd been in love before
だってぼくがそのフロアで君をチラッと見かけた時
And once or twice I been on the floor
それが恋の始まりだったと思っているから。
But I never loved no one
そしてぼくは他の誰にもできないように
The way that I loved you
君のことを好きになってしまったんだ
And it was late in the evening
そうだ。あれは夜も更けた時のことだった
And all the music seeping through
あらゆる音楽がそこから滲みだしていたのさ。

NOTES
☆ ポール・サイモン1980年の作品。映画『ワン・トリック・ポニー』の同名サントラ盤(1980年8月12日)の先行シングルとしてリリースされ,全米最高位6位(9月27日付)。1977年の『Greatest Hits, Etc.』を最後に長年所属したコロンビア・レコーズを離れ,ワーナー・ブラザーズに移籍した第1弾でもある。言うまでもなくポール・サイモンは東海岸を代表するソングライターの一人であり,ボブ・ディランと並ぶフォーク世代の生き残りでもある。

☆ 盟友であったアート・ガーファンクルとの間に微妙な距離を生んでしまった76年の『時の流れに(Still Crazy After All These Years)』から見ると5年間という時間が経過していた。「Still Crazy After All These Years」、「My Little Town」(ぼくはサイモンとたぶん認識が同じで,これはポール・サイモンがアート・ガーファンクルに客演を頼んだだけの作品であり,サイモン&ガーファンクルの作品とは呼べないと考えている)、「50 Ways to Leave Your Lover」、そして「Slip Slidin' Away」と,この5年間(奇妙な符合だが,ジョン・レノンが「子育て」していた時期とほぼ同じだ)は非常に内省的というか苦味を持った作品を出し続けていた。

☆ そういう意味でレノンの「ジャスト・ライク・スターティング・オーヴァー」と同じく,この曲にもどこか「心機一転」という感じを受けてしまう。東海岸の賑やかさは,この界隈にサルサ音楽やトロピカル・カクテルが流行りだすのと軌を一にしており,少し前に昔話で書いたジョー・ジャクソンもそういうニューヨークを感じて『ナイト&デイ』(1982年)に向かったのではないか。この曲にはそういうどこか気分を変えていこうという感覚があるような気がする。

☆ この曲のワクワク感は,村上春樹のいちばん最初の時期の小説2作に,どこか通じる気がする。風の歌もピンボールも別にワクワクするような小説だとは言い切れないけれどね。でも何となくそう思ってしまうのだ。

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「Ten Feet Tall」 (XTC 1979年8月17日=アルバムリリース)



Drums & Wires (Cd+Blu-Ray)/Xtc



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☆ ムーンライダーズの鈴木博文氏がアルバムリリースの頃にこの曲(アルバムではアコースティック・ヴァージョン)を非常に高く評価していた。ネオアコより早い時期に時代を先取りした作品であり,それに対する評価も時代に先んじていた。

Ten Feet Tall (Colin Moulding)



☆ 上に示したアルバム『ドラムス&ワイヤーズ』の2013年のリマスターには,この曲のエレクトリック・ヴァージョンが収められている。YouTubeのピール・セッション・ヴァージョンもエレクトリック・ヴァージョン。ちなみにこのYouTubeに写っている画像は1979年の来日(公演は九段会館だった)時のもの。言うまでもない話だが「ドラムス&ワイヤーズ」というタイトルは,キーボードレス(初期2枚で活躍していたキーボードのバリー・アンドリュースが脱退した=その後,ロバート・フリップらとリーグ・オブ・ジェントルマン結成)だからだ。

☆ このアルバム(LP)の英国盤と米国盤は収録曲が異なっていて,米国盤では英国盤に入っていた曲がボーナスシングルで付いていた。それから「バンド名を人の顔風にしてアルバムジャケットに織り込ませる」アイディアは,TOTOもこのすぐ後で採用している。この頃の輸入盤屋の「米国(・カナダ)盤の売り」は,国内盤に無い曲がボーナスシングルで付いたうえに国内盤より安いことだった。問題は米国盤の塩ビの盤質が良くないこと(クラシックのレコードとと盤質が変わらない英国・欧州盤と違って米国盤は気をつけないとレコードが反ってしまう)と歌詩(および解説)がないことだった。後者にはそれなりの「対策」はあったが,ここには書かない(謎)。

☆ どうでもいいついでに書くと(笑)あの当時の輸入盤屋ではXTCとマガジンが同じ棚に並んでいた。確かにヴァージン・レコードのバンドだったし,デビュー時期も近いし,初期はキーボード奏者がいたし,1980年のオーストラリア・ツアー(その時にはマガジンからジョン・マッキオーグ(g)は脱退し,スージー&ザ・バンシーズにいたけれど)は両バンド合同のツアーだったけれど(マガジンの演奏は彼ら唯一のライヴ盤『PLAY』に収録),それ以外の共通項はなかった気がする。

本日のチャレンジャー: PinkMoonchild08 (2012/11/20)



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deaconblue

Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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