2016-06

「真夜中を突っ走れ」(ジョン・レノン 1974年9月23日(米)10月4日(英))


心の壁,愛の橋/ジョン・レノン



¥2,621

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Whatever Gets You Through The Night(John Lennon)
Released 23 September 1974 (US) 4 October 1974 (UK)
Billboard Hot 100 number-one single 16 November 1974 (one week)




Whatever gets you through the night 'salright, 'salright
君にこの夜を切り抜けさせるものだったらどんなものでも問題ないのさ,それでいい
It's your money or life 'salright, 'salright
それがお金だったり君の生き方だったとしても,まあ問題ないさ
Don't need a sword to cut through flowers oh no, oh no
この美しい花を切り取るための刃なんていらないよね,ああ全く,いらないよね

Whatever gets you through your life 'salright, 'salright
君にどん詰まりの人生を切り抜けさせるものだったらどんなものでも問題ないのさ,それでいい
Do it wrong or do it right 'salright, 'salright
間違っているだとか正しいだとかは後から考えればいいのさ,とにかくそれで良いから,それで行こう
Don't need a watch to waste your time oh no, oh no
君の貴重な時間を無駄にするためじっとしてるなんて必要ないことさ,ああ全く,必要ないのさ

Hold me darlin' come on listen to me
しっかり僕にしがみついてダーリン,僕の話を聞いてくれ
I won't do you no harm
何も傷つけることなんてしやしないから
Trust me darlin' come on listen to me, come on listen to me
ぼくを信じてダーリン,話を聞いてくれ,こっちに来て話を聞いてくれよ
Come on listen, listen
頼むから聞いてくれないか

Whatever gets you to the light 'salright, 'salright
君にこの光の中を切り抜けさせるものだったらどんなものでも問題ないのさ,それでいい
Out the blue or out of sight 'salright, 'salright
突然現れたものだろうが目に入らなかったものだろうが,まあ問題ないさ
Don't need a gun to blow your mind oh no, oh no
君を脅かすための銃なんて何も必要ないのさ,ああそうさ,とんでもない

Hold me darlin' come on listen to me
しっかり僕にしがみついてダーリン,僕の話を聞いてくれ
I won't do you no harm
何も傷つけることなんてしやしないから
Trust me darlin' come on listen to me, come on listen to me
ぼくを信じてダーリン,話を聞いてくれ,こっちに来て話を聞いてくれよ
Come on listen, listen
頼むから聞いてくれないか

PERSONEL
John Lennon – lead vocals, guitar
Elton John – harmony vocal, piano
Ken Ascher – clavinet
Jesse Ed Davis – electric guitar
Arthur Jenkins – percussion
Jim Keltner – drums
Bobby Keys – saxophone
Ron Aprea - saxophone
Eddie Mottau – acoustic guitar
Klaus Voormann – bass
心の壁、愛の橋(紙ジャケット仕様)/ジョン・レノン



¥2,880

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変わるのは、自分から。 「ハロー・トゥデイ〜Hello Today」 (松原みき 1980年)



☆ 1980年。昭和55年。何かの区切りになる年だったのか,そうではなかったのか。日本のポピュラー音楽は2年前にゲーム・チェンジして,歌謡曲がニュー・ミュージックに取って代わられようとしていた。それはベル・カーブを辿るようなピンク・レディー旋風の終焉や山口百恵のファイナル・ステージへの進化が予感させていた。もっとも歌謡曲の側が偶然見つけた切り札も前後して登場する。それによってゲーム・チェンジはポピュラー音楽自体の拡散(分散化)の道を辿る。

☆ ニュー・ミュージックが中村東洋の許から商業的に剥ぎ取られたように,インディーズの走りである東京や福岡のロック・ムーヴメントもいちおうの「商業パッケージ」に絡め取られていった。その商業の枠から離れたところから,後年までしぶとく生き残るミュージシャン(一部は作家になったりしているが)も出てくるが,そういうのもまた別の話である。

☆ 「ハロー・トゥデイ〜Hello Today」は松原みきの3枚目のシングル。と言っても良く意味の分からない2曲連続リリースのデビューから考えると実質的にはセカンド・シングルに等しいかもしれない。かなり早いディスコ・ビートで進行するのは,彼女の「勢い」にポイントを置きたかったからだと思う。ただそれは一歩間違うとディスコ・ビートの欠点である単調さに繋がってしまう。ぐいぐい攻めているはずが,空振りになってしまうこともある。Aメロで畳み込むように歌い,Bメロ(フック)でそれを料理してまたAメロに返すのだが,やはりどこか単調さは抜けない。

☆ 三浦徳子の歌詩も,どこか小さな苛立ちを感じさせる。主人公が東京だとして女友達のいるマドリッドは,確かに1980年では相当な距離感がある(スペインが王政復古したのは1975年)。リーガ・エスパニョーラもサクラダ・ファミリアも知る人ぞ知る存在だった頃のスペインのマドリッドである。作詞家が地名を選ぶ時に彼我の距離の差を強調するなら,それは意識の差を暗喩している。そこにいる彼女には「別の人生」があり,ここにいる主人公には「別の人生」を選ぶことも出来ず,ここに留まっているという感覚(孤独感とも読める)が色濃くある。

☆ 主人公が「何か言ってね」と依存するのは誰だろう?彼女は白い傘を「思い切り」開いて "恋人が欲しい" と「ふと,思う」のである。その暗喩には何より無人島や砂漠に置き去りにされている感があるのだが,一方で動き出す勇気のない自分が鏡に映っているだけなのかもしれない。そう考えていくと「何か言う」べき者は自分自身ではないかとも思われるのだ。そこでタイトルに戻る。「ハロー・トゥデイ〜Hello Today」。朝起きて,鏡を見て,自分に「おはよう」を言う。自由であり独立しているが,何かが足りない。(自分を)支えるものがない。都会は孤独であり,その孤独も自分が選んでいる。自分を変えなければいけないと気づいた友達は今はスペインにいる。きっかけは誰も与えてくれないが,自分が動き出さないと何も変わらない。そういう情景がある。彼女は半分以上気が付いている。そして彼女が見ている鏡の中に映っている彼女自身が出す結論はただひとつ。「変わるのは、自分から。」




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ラッパとおじさん



セロニアス・モンクを弾く/八木正生



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☆ 「モーニング・ムーンは粗雑に」の音楽監督をしたのが八木正生で,桑田佳祐は彼のことを日本のセロニアス・モンクと称していた。その評価が間違いないのは,上に掲げたアルバムでの演奏からも分かる。また個人的な話になるが,セロニアス・モンクの音楽に触れる機会を与えてくれたのは八木氏が監修したリヴァーサイド/プレステージ期(1950年代)のセロニアスのベスト盤を偶然某関西学院の近くの貸レコード店で見つけて,何の気なしにカセットに録音したことだった。

☆ 「ラッパとおじさん」は『ステレオ太陽族』に収められた曲で桑田佳祐が八木正生に捧げたブギーだ。もちろん50年代のモンクのあの「引っかかり感」は全然無い(笑)。そうじゃなくて,ミュージシャンが別のミュージシャンを自分の曲でレスペクトするというのはこういうことを言うのだという見本みたいな曲である。曲そのものはサザン好きな人のカヴァーがYouTubeに散見されるので,良かったら後で聴いてほしい。

セロニアス・モンクのいた風景/村上春樹



¥2,160

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☆ セロニアス・モンクと言えば村上春樹のこの本も思い出す。村上主義者(爆)の端くれとして,自分のいちばん読んでいる作家が,自分の数少ないファイバレッツと袖すり合うことを知るというのは,ミーハー的に非常にうれしい事だったりもする(笑)。

Crepuscule with Nellie (Thelonious Monk)



Recorded June 26, 1957
Personnel
Thelonious Monk – piano
Ray Copeland – trumpet
Gigi Gryce – alto saxophone
Coleman Hawkins – tenor saxophone
John Coltrane – tenor saxophone
Wilbur Ware – double bass
Art Blakey – drums

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「ストランドで行こう(Do the Strand)」(Roxy Music Live 1976年8月)



Viva/Roxy Music


¥1,077

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Do the Strand (Bryan Ferry)

There's a new sensation
A fabulous creation
A danceable solution
To teenage revolution

Do the strand love
When you feel love
It's the new way
That's why we say
Do the strand

Do it on the tables
Quaglino's place or Mabel's
Slow and gentle
Sentimental
All styles served here
Louis seize he prefer
Laissez-Faire Le strand

Tired of the tango
Fed up with my fandango
Dance on moonbeams
Slide on rainbows
In furs or blue jeans
You know what I mean
Do the strand

Had your fill of quadrilles
The Madison and cheap thrills
Bored with the beguine
The samba isn't your scene

They're playing our tune
By the pale moon
We're incognito
Down the lido
And we like the strand

Arabs at oasis
Eskimos and Chinese
If you feel blue
Look through who's who
See La Goulue
And Nijinsky
Do the strand sky

Weary of the waltz
And mashed potato schmaltz
Rhododendron
Is a nice flower
Evergreen
It lasts forever
But it can't beat strand power

The sphinx and Mona Lisa
Lolita and Guernica
Did the strand




Original Live Source Recorded at Newcastle City Hall, 27 or 28 October 1974

PERSONEL
Bryan Ferry - vocals, keyboards
Eddie Jobson - strings, synthesizer, keyboards
Andy Mackay - saxophone, oboe
Phil Manzanera - guitar
Paul Thompson - drums
John Wetton - bass

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モーニング・ムーンは粗雑に



ステレオ太陽族/サザンオールスターズ



¥2,365

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☆ 「モーニング・ムーンは粗雑に」は1981年6月21日公開の映画。アミューズの初めて製作した映画ではないかと思う。また主演の高樹澪のデビュー作でもある。彼女の役名が栞(しおり)なのでサザンオールスターズ(桑田佳祐がこの映画の音楽監督=たぶん彼にとっても初めてのことだった)の最新作(1981年7月21日)にも「恋の女のストーリー」,「朝方ムーンライト」,「栞のテーマ」の3曲が挿入されている。

☆ 「栞のテーマ」はこのアルバムから2枚目のシングルとしてカットされた(1981年9月21日)。Wikipediaのこの曲の項を見るとサザンオールスターズにとって(現段階では)最後のシングルカット曲(アルバムからのカット曲の意味だろう)だそうで,シングル盤時代の最高位は44位,2005年の12cmシングル一挙リマスター発売時(笑)に35位に更新したということが記されている。

https://www.youtube.com/watch?v=Q_hwsqiZkbE

☆ 「栞のテーマ」は確かにシングルとしては大きなヒットはしなかったが,サザンオールスターズの楽曲としてはかなり早い時期からカラオケのレパートリーに入っていた曲であり,それなりの人気があった曲だった。ハチロク(8分の6拍子=いわゆる「三連符」もの)の作品で親しみやすいからなのだろう。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=147663

モーニング・ムーンは粗雑に [DVD]/斉藤淳之介,高樹澪,古谷一行



¥2,700

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「スピーチ・バルーン」 (大滝詠一 1981年3月21日) Reissue



Original issued 2013.03.12

A LONG VACATION 30th EditionA LONG VACATION 30th Edition
(2011/03/21)
大滝詠一

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☆ 春の別れというとこの曲を思い出す。『ア・ロング・バケーション』が夏のアルバムと言い切れないのは,これと「さらばシベリア鉄道」の歌詩があるからでもある。

Reissue 2056.06.13

☆ 松本隆が『ア・ロング・バケーション』に残した作品は「FUN×4」を除いては全てトーチ・ソングである。にもかかわらずこの作品が支持されたのは永井博のイラストと湯村輝彦のパターンを模したジャケット(実際にその後,あのデザインの紙袋(ビニールカバー付)が市販されている)とA面,特にオープニング「君は天然色」のインパクトが強かったからだろう。両者を並べるとこのアルバムのコピー「BREEZEが心の中を通り抜ける」の通りになってしまうからだ。以前示したように「君は天然色」の血脈はザ・ビーチ・ボーイズ「素敵じゃないか」に届くと思うが,この曲も『ペット・サウンズ』の劈頭を飾る曲である。アルバムの1曲目というのはこのように作品全体にマジックをかける効果があり,コンセプト・アルバムでなくとも何となく全体を聴き通してしまうのはひとえに1曲目の功績であると思う。

☆ しかし曲調と関係なくこのアルバムがトーチ・ソングの集積であるのは(典型は確かに最後を飾る「さらばシベリア鉄道」だけど),松本の個人的な事情(Wikipediaのこのアルバムの項参照)もあるだろうが,意図せざる狙いのようなものがあったかもしれない。楽しい曲がメジャーコードで悲しい曲がマイナーコードというのは,どこの国のポピュラーソングでも大差無いと思うが,そういうスタンダードな考え方に対する多少の抵抗心をこの作品からは感じさせられる(それについてはおいおい示していこうと思う)。



☆ Wikipediaのこの曲の解説で触れている番組は,まだ全国に4局しか民間FM放送が無かった時代,土曜の正午から放送していた番組のことだ。Wikiではこれが番組タイトルと記しているが,記憶に間違いがなければ番組名は別にあったような気がしていて「スピーチ・バルーン」はその後半にあったトーク・コーナーだったと思う(どなたか82年頃のFM各誌をお持ちの方,お知らせください)。放送の中で記憶に残っているのは,82年にジョン・ベルーシ(1949.01.24~1982.03.05)が亡くなった直ぐ後,このコーナーで彼のことが話題になっていた(たまたまその時この番組を聴いていた)時だった。

☆ 「スピーチ・バルーン」には「どうしようもない別れ」がある。それは松本の作品で言えば太田裕美の「木綿のハンカチーフ」に通底するものがある。太田裕美の出世曲は,主人公の都会に出ていく恋人が「元恋人」に変わっていく様を膨大な手紙の往復(をあれだけの長さに縮め,なおもあれだけの言葉数を残した)に描いて1970年代を代表するトーチソングのひとつになったが,この曲ではそういう「別れ」を明らかに予感させる情景が淡々と語られている。

☆ ようつべのコメントでも多くの人が指摘している「ヘッドライトのパッシング」の行(くだり)は,実はそういう心象風景ではなく,主人公(「冬の港」と自嘲する「残された主人公」)の諦念が吹っ切れるための象徴なのかもしれない。仮にヘッドライトに(もしかしたらまだデッキに佇んで「くれている」かもしれない)彼女の顔が一瞬でも映ったとしても「泣いているのか」(それは彼の希望でありホンネでもある)どうか「分かる術はない」のだから。このリリカルさは「もののあはれ」であり,極めて日本的な歌詩だと思う。

☆ 「スピーチ・バルーン」の血脈はどこに流れたか。たぶんそれは言うまでもなく「ペパーミント・ブルー」だろう。『イーチ・タイム』もまた「銀色のジェット」や「レイクサイドストーリー」があるけれど,個人的には「ペパーミント・ブルー」を置いて他には無いと思っている。


PS.子供の頃から漫画雑誌は理髪店でよく読んでいたが,吹き出しを「スピーチ・バルーン」と呼ぶことを知ったのは,この曲を何度も聴いた後のことだった。よく聴けば歌詩でちゃんとそう歌っているのにね。

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「ライズ(Rise)」 (ハーブ・アルパート 1979年7月20日)



ライズ/ハーブ・アルパート



¥1,888

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☆ 日本でいちばんよく知られているハーブ・アルパートの曲はティファナ・ブラス時代の「ビター・スウィート・サンバ」で,これはニッポン放送が「オールナイト・ニッポン」のメインテーマ曲に長く使ったからだ。とはいえ70年代の半ば過ぎ,ソニーのスカイセンサーにイヤホンをつないで親に隠れてこっそり番組を聞いていた時代には(爆)この曲の誰かのカバー・ヴァージョンを使っていた。80年代には元に戻っていたのであれは一時期のことだったと思う。ちなみにタモリのように独自のオープニング・テーマ(あれが流れてきただけでクスクス笑い出す始末だった)を使っていたパーソナリティーもいた。昔の「ANN」には日曜深夜枠という関東ローカルのような放送もあったと記憶している。90年代の半ば過ぎだったか確か主婦の友社あたりから「ANN」の詳細な分析本が出ていたので,あの本にはもっといろんなことが書いてあると思う。

☆ 「ライズ」はアフガニスタン侵攻のため西側諸国がボイコットしたモスクワ五輪(1980年)を想定したオープニング曲で華々しく始まるが,続くこの曲はまさに「スタジオ54」世代の「大人ディスコ」のテーマ曲という風情があった。その証拠にこの曲(1979年10月20,27日付全米No.1)の前後のナンバーワンは「今夜はドント・ストップ(Don't Stop 'Til You Get Enough)」(マイケル・ジャクソン)と「ポップ・ミューヂック(Pop Muzik)」(M=ロビン・スコット)で,誰がどう見てもディスコ・チャートのような様相であった(爆)。

Rise (Andy Armer / Randy Badazz AMS7613)



☆ You Tube の画面に映っているのはシングル・カットしたエディションで,ロング・ヴァージョンは先にも書いたようにアルバムの2曲目に入っている。この曲のアルバートのトランペットはよく聴くと非常に微妙である。出だしから微妙にブレている(より正確に言えば「よれて」いる)。しかしそのブレ方が最後まで変わらないので,どうも意識的に弱く吹いている感じがする。ティファナ・ブラス時代にマリアッチ風作品で一世を風靡した頃のアルパートは最初に引用した「ビター・スウィート・サンバ」とか「蜜の味」とか聴いても,カラッとした歯切れの良い(それがマリアッチの特徴のひとつではあるけれど)トランペットを吹いていた。そういう演奏と比べると明らかに意識的に「ゆらいでいる」ような気がする。イントロの初音がピシャッと入るだけにこの意識的な「ゆらぎ」が大人ディスコの神髄なのもしれない。


PS.記憶違いかもしれないが,この曲は80年代後半から90年代前半にかけて洋酒(たぶんキリンシーグラム(当時)の「ロバート・ブラウン」だったと思う)のCM曲として使われていたと思う。

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「Lately」 (George Benson played "Absolutely Live" (2000) )






☆ スティーヴィー・ワンダー1980年作品『ホッター・ザン・ジュライ』からシングル・カットもされたバラードの逸品をジョージ・ベンソンがジャズ・ギターの真髄のようなカヴァーを見せるこれまた逸品の演奏。スティーヴィーの「泣き」の要素を取り入れつつ,あくまでジャズ・ギターの範疇で料理しようというジョージ・ベンソンのプレイはソウル濃度の高い人には少し物足りなく感じるかもしれないが,これがジャズの「料理法」と思って聴いてほしい気もする。ここで聴けるジャズ・ギターはベンソン自身が一役買ったジャズ/クロスオーヴァー的なプレイとは一線を画していて,スタンダードなジャズの音のように聞こえる。曲のコーダにかけての「弾き」も,とてもジャズ的で格好良いと思う。彼の最後の表情も会心の出来という感じでイイカンジだ。

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「モーニング・ダンス」 (スパイロ・ジャイラ 1979年3月)



モーニング・ダンス(期間生産限定盤)/スパイロ・ジャイラ



¥1,080

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☆ スパイロ・ジャイラ(spirogyra)とは藻の一種(というか,昔は藻と言えばこれだと思っていた)アオミドロのことで,どこかで綴り間違えられ(2説あるようだ)Spyro Gyraとなったそうだ。彼らはニューヨーク州バッファローで大学生のジャズ・バンドとして誕生した。1977年に自主制作に近い形でデビュー・アルバムを発表し,この時代らしいジャズ/クロスオーヴァー的なアプローチをそのサウンドの中核に置いた。

☆ 「モーニング・ダンス」は彼等のセカンド・アルバムのタイトル曲であり,シングル・カットされた曲はビルボードHot100で最高位24位(アダルト・コンテンポラリーではNo.1に輝いた)というヒットとなった。この曲の醸し出すラテン・フレイバーは,単にクロスオーヴァー/フュージョンというより,サルサのような当時の東海岸特有のラテン・テイストを色濃く感じさせる。そのこともあってスパイロ・ジャイラはスムーズ・ジャズのはしりのような評価をされることもあり,それはあながち的外れとも言えない。

Morning Dance (Jay Beckenstein)


PERSONEL
Jay Beckenstein: alto saxophone
Jeremy Wall: electric piano
John Tropea: electric and acoustic guitar
Jim Kurzdorfer: bass
Ted Reinhardt: drums
Rubens Bassini: congas and percussion
Dave Samuels: marimba and steel drums


☆ スパイロ・ジャイラは日本でも大いに受け入れられた。その前年の1978年には渡辺貞夫が『カリフォルニア・シャワー』を発表し,再びの黄金時代を確立させていたが,これらの作品が流行り始めると,「フュージョン=湿度の低い軽快なジャズ」というイメージが確立していった。それは70年代のジャズ・シーンの一面であったが,ジャズがロック/ファンク/ソウルと交流しジャズの枠を自ら広げていったのがこの時代だったとも思う。

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プロフィール

deaconblue

Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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