2007-04

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由紀さおりを読んで

由紀さおり全曲集~35周年記念~コレクションI由紀さおり全曲集~35周年記念~コレクションI
(2004/09/29)
由紀さおり、安田祥子 他

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☆ 先週,日経新聞の夕刊に由紀さおりさんが連載記事を載せていた。あれは何というか「私の履歴書」のミニ版みたいなもので,なかなか興味深いのだが,今の人から見れば童謡を歌うオバサン姉妹というかそんなことになってしまうのだろうが(苦笑),70年代前半から中盤あたりまでのいわゆる「歌謡曲の人気歌手としての最盛期」を知っている者としては,童謡歌手というのは一面に過ぎないと思う。しかし,この話をとある巨大掲示板で始めると,あまりにも不毛なことが起こってしまうので(爆),それは脇に置いといて(苦笑),時計の針を逆戻ししたい。

☆ 「夜明けのスキャット」という作品が当時与えたインパクトというのは結構なものがあった。歌詞がなかなか始まらないのである。こういう方法論は一度しか使えない。二番煎じをするとグッと力が落ちてしまうのである。もっともかつて,イントロに続くスキャットの部分に "Hello, darkness...(「Sound of Silence」の歌詞)" と歌詞をつけたらどうだろうかと言って,洋楽ファンの人達に結構受けたことがあったので,まあその辺はプロダクション(事務所ではなく生産物)の巧(うま)さを褒めるべきなのだろう。

☆ 連載を読むと,この姉妹がどちらもクラシックの声楽の基礎が出来ていることが分かる。童謡を歌うには「ハッキリ歌う」ことが大事だ。詞(ことば)が,ハッキリ音になるように歌うこと。それは子供のための音楽だからではない。そういうふうな音楽なのだ。

☆ 連載の最後の方で彼女自身,自分ひとりでリサイタルをやろうにも「今の(自分自身のヒット)曲」を歌わないと。。。という苛立ちのようなものが書かれていたのが目を引いた。確かに「大人のための音楽」のマーケットがない。ジャズ(ヴォーカル)やシャンソンにはそれがかろうじて残っているが,マーケットとしては,やはり大きくはない。どうしても人目を引くヒット曲(この場合のイメージは例えば「千の風になって」みたいな広がりを持ってじわじわと人の心に浸透していく曲なのだろうが)が必要なのだと思う。

☆ もちろん彼女は現役の歌手であり,かつては星の数ほどのヒット曲(捨て曲は一曲も無し!)を持っていた。その彼女ですらこう考え込んでしまうところに,日本のポピュラー・ミュージックやその制作サイドの底の浅さが透けて見える。今の制作の姿勢が浅いと言っているのではない。マス志向→若者志向→「かつての若者」志向のアプローチの中に,円熟というキーワードが見事に抜け落ちていることが「浅い」と言っているのである。

由紀さおり35周年記念スペシャルミレニアムコレクション由紀さおり35周年記念スペシャルミレニアムコレクション
(2005/03/09)
由紀さおり

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