2017-04

猫も杓子も再結成キボンヌだった時代のこと





☆ ビートルズの幻影が一番強かったのは,やはり解散からあまり日が経っていない70年代半ばのことだったと思う。ぼくたちはウンザリするほどビートルズ再結成の噂に振り回されたし(その反動でストーンズに打ち込んだという役得もあった=自滅=),ビートルズのメンバーが部分的に揃ったなんて話は色々あった(その最良の形がリンゴ・スターの『Ringo』だろう。あれはアルバムとしても優れていると思う)。

☆ でも結局そういう話は「おはなし」で終わってしまい,ジョンがショーンの子育てのため休業(主夫宣言)し,『ロックン・ロール・ミュージック』のコンピ盤と共に英パーロフォン(アップル・レコーズではない)が一斉にビートルズのシングルを発売した1976年あたりで「これはどうやっても無いことなんだ」と皆が思ったのではないかと思う。

☆ ジョンやジョージやリンゴにとってそうだったように,ポールにとってもそれは自分の今の音楽活動を考えた時には考えもしない話だっただろう。80年代にジョンがいなくなってからビートルズの名前で出た「新曲」は幾つかあるが,僕にとってはどうでもいいものでしかなかった(ただし世に出たのが悪いとは思っていない)。

Listen To What The Man Said (Paul McCartney & Wings 1975年5月16日)
全米No.1 1975年7月19日(ビルボード)6月12日(キャッシュボックス)



☆ 例えばこの曲のイントロのギターはデイブ・メイスンだし,トム・スコットもそれに色を添えている。素晴らしく目立つイントロだと思う。これが誰が演奏したかということに関わらず,ウイングスの曲である以上,この曲のようにビートルズに関して四の五の言う「Listen To What The Man Said」は邦題の通り「あの娘おせっかい」ということになるのだろう。ホント,それ(ビートルズ再結成)はただの「おせっかい」だった。


☆ ビルボードとキャッシュボックスで1か月も差があるのは珍しい。ビルボードではキャプテン&テニールの「愛ある限り」が超ロングヒット(4週間No.1)だったので,そのせいだろうと思われる
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カラッと晴れた日曜の午後



HALLEHALLE
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☆ 冬場であればR134もそこまで渋滞も酷くないので,ただ単に車を転がす目的でよく乗りに行った。青山通りを遠く離れたR246からR129経由で湘南大橋のところで左折。その当時は今みたいな広い橋じゃなかったような気がする。あの辺は毎年正月に日テレが放送してくれる(箱根駅伝)から昔もあんなふうだったような記憶が埋め込まれそうになるが,そこはトータル・リコールしないといけない(笑)。




☆ 南岸低気圧さえいなければ,この曲のようにカラッと晴れたドライブが楽しめた。

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ぼくは幸福な夢を見ていた,たぶん。


#9 Dream (John Lennon 1975年1月31日 全米最高位9位)




So long ago
Was it in a dream, was it just a dream?
I know, yes I know
Seemed so very real, it seemed so real to me

Took a walk down the street
Thru the heat whispered trees
I thought I could hear (hear, hear, hear)
Somebody call out my name(John) as it started to rain(John)
Two spirits dancing so strange

Ah! böwakawa poussé, poussé
Ah! böwakawa poussé, poussé
Ah! böwakawa poussé, poussé

Dream, dream away
Magic in the air, was magic in the air?
I believe, yes I believe
More I cannot say, what more can I say?

On a river of sound
Thru the mirror go round, round
I thought I could feel (feel, feel, feel)
Music touching my soul, something warm, sudden cold
The spirit dance was unfolding

Ah! böwakawa poussé, poussé
Ah! böwakawa poussé, poussé
Ah! böwakawa poussé, poussé

Ah! böwakawa poussé, poussé...

☆ 1975年の冬,これは74年からの続きの冬。ジョン・レノンの『Walls And Bridges(心の壁、愛の橋)』からのセカンド・シングル。9という数字が縁起が良いとか最強だとかいうのは賭け事の世界と占いの世界だろうが(そういえば両社は結構隣接している気がする)この曲に満ち溢れている多幸感は最初に聴いた時から強く印象に残っている。そういえばジョージ・ハリソンも80年代後期に『クラウド・ナイン』を発表している。ナインという数字は日本では「苦」に通じるという迷信があるが,どうもそういうものでもなさそうな気がする。

☆ ジョンのことを考えてみると,この後ロックンロールのオールディーズをカヴァーしたアルバムとベスト盤を出してハウスキーパー(主夫業)をすることで70年代後半をパスした。彼とヨーコにとってはそれは悪いことではなかったと思う。特に80年代に入る瞬間(1980年12月)にジョン・レノンという人間が吹き消されてしまったことを考えれば,それは彼等にとっての良き(方向に向かう)夢の始まりだったのかもしれない。

☆ さすがにここでぼくもジョンと同じ夢を見たなどと宣(のたま)うつもりはないが(苦笑),ぼくはぼくなりに何かの夢の欠片(かけら)をこの曲に感じていたことは確かだ。この曲の存在が同時期の他のヒット曲とは違うという感覚はその頃からぼくの中にはあった。それが何なのかはわからない。確かにわかることは,今ではそれはこの曲の邦題の通りの「夢の夢」と化して,もうどこにもない(ジョン・レノンがこの世のどこにもいないように)ということだけかもしれない。

☆ 今さらのように村上春樹の「蛍」と「ノルウエイの森」を再読しているのだが,死のもたらす喪失感を感じることが出来るのは生者だけであるという当たり前のことに何度も魂を揺さぶられるのである。

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ブルーズなんかわかってなかったろ?


パールパール
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☆ ブルーズの海に煌(きらめ)く唯一絶対の真珠(パール)。安物のコピーをつけてあげても,それでも彼女(ジャニス)は絶対的女王だった(もちろん本人はそんな事望んでもいない)。どこかで誰かが賞を取るの取らないの授賞式に出るのでないのに掲示板の向こう側なんて「くそ安全サイド」から"噛みついている(藁)"腰抜けどもにジャニスの血の色なんか死んでも分かるまい。ジャニスの死はオーバードーズだったかもしれないが,ぼくには失血死のようにしか思えない。彼女は魂から血を吐き続けて失血死したのだと。だから60年代のマリリン・モンローの死のように神聖化されたんだと。そう思うだろ?美里。

「Move Over(ジャニスの祈り)」 (Janis Joplin 1971年1月11日=アルバムリリース)



Dedicated to the late Janis Joplin(January 19, 1943 – October 4, 1970)

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タクシーの中で聴いたジョー・ジャクソン



ナイト・アンド・デイ/ジョー・ジャクソン



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☆ 田舎者が上京するきっかけは就職というのがその時代の通り相場で,就職(内定)のために上京した晩,先輩のご厚意で会社の寮に泊めていただくことになった。その日は遅くまで内定のお祝いのような宴会があり渋谷に着いた時には終電が出ていたのか終電直前の「夜のラッシュ・アワー」だったかで,自分たちも酔い潰れに近かった先輩のご厚意(我々「内定者」はそれしか頼るものがなかった)でタクシーに乗って井の頭通り(就職後に上京して分かった)を寮に向かうことになった。その夜のたぶんTBSラジオでかかっていた当時のヒットナンバーがジョー・ジャクソンの「ステッピン・アウト」だった。

Steppin' Out (Joe Jakson 1982年9月)



☆ 『ナイト・アンド・デイ』のLP盤はA面が「ナイト・サイド」でその最後にこの曲がある。「ナイト・サイド」は5曲がノンストップになっているので,CDで聴くと4曲目の「ターゲット」のコーダにこの曲のイントロのリズム・ボックスが被っていることが分かる。ここに載せたYouTubeは東京や横浜の夜景を選んで作っているが,ここに映っているものの半分足らずしかまだ現実に無かった1982年の夜でさえ,この曲は東京の平日の夜に似合っていた。

☆ 昔,何回か書いたように,こうして夜の街(の世界)に踏み出していくんだなという感覚がその当時も(そういうことと縁の全く無くなった)今も自分の中には残っている。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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