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2019-12

あの話はどこにいった? (じいさん学 第5講)


☆ ローマ教皇フランシスコが来日した日の夜(2019年11月23日),NHKニュースを見ていたら,それまで「ローマ法王」という呼称を使っていたのを,今回から「ローマ教皇」に改める(政府の呼称変更に右に倣えしたとか云々)と話していた。確かにぼくがこどもの頃はパウロ六世が「法王」だったかと思うが,ずっと「ローマ法王」と呼んでいた。でもこれはおかしいのである。




☆ ローマ教皇は塩野七生の書名にあるように『神の代理人』であるから「法」は関係ない。だいたいここで「法」といえば,ユダヤ教の「律法」だったりイスラム教のそれだったりする。おそらく「法王(法皇でもない)」という呼称は仏教系の呼称に倣ったのだろう。だがしかし,正しい表現をすることは必要なことだ。とはいえ,ぼくたちが中学・高校で世界史を学んだ時にはいろいろな「変化」があった。

☆ 例えばユリウス・カエサル。この "塩野七生女史の永遠の憧れ人" は,ぼくがこどもの頃は英語読み(であることも当時は知らなかった)のジュリアス・シーザーだった。シーザーはシェイクスピアの戯曲ではシーザーだが,ローマ人であるがゆえ「ユリウス・カエサル」であるという理屈を当時聞いたことはなく(笑)シーザーの胸像の写真の下に「カエサル」と書いてあるのを見て最初は「?!」と思ったものだ。

☆ こういう話はたくさんある。今ではイスラム教と言っている宗教も,ぼくがこどもの頃(今日は基本的にこんな話が続く^^;)には「回教」と言われていた。回教とは何か?ウイグル(回紇や回鶻といった表記がある)族の宗教という意味だろう。世界史の教科書には唐代にシルクロード経由で様々な宗教が伝播していることが書かれており,祆教(ゾロアスター教),景教(ネストリウス派キリスト教),明教(マニ教)があった。イスラム教は当初「清真教」と呼ばれたが,ウイグルの人々が多く改宗したことから「回教」になったとWikipediaには書いてある。

☆ そういう意味で名称というものは正しいものに直した方が何かと都合が良いのだが,なかなかそうは問屋が卸さない。ある時,とある文学者がローズヴェルト(米国大統領。伯父の方はクマのぬいぐるみでお馴染みテディことセオドア・ローズヴェルト,甥はF.D.Rことフランクリン・デラノ・ローズヴェルト)が未だに「ルーズヴェルト」と表記されているのはおかしいと新聞のコラムに書いていたが,本人が別の箇所を書き間違えていたため,ぼくをはじめとする数人の問合せを受けて次号で訂正されていた。

☆ 人やモノの名前の呼び方は実際にその発音を聞かないと何とも言えない。数字はディジットなのに「デジタル」が定着し,マイルズ・デイヴィスは何時までたっても「マイルす」だと村上春樹氏は異議を唱え続けているし,オーストリアの首都はいつまでたってもヴィーンでもヴィエナ(英語読み)でもない「ういーん」だし。とキリがない。

You Know My Name (Look Up The Number) (Lennon / McCartney)




☆ この曲で終わらせる以上「最終回」ではないという覚悟の顕れであります(自爆)。
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言ってはいけないこと=さかしまの定義 (じいさん学 第4講)



☆ プライドの高い人とか国なんてのが,世の中にはある。自尊心と書くくらいだから「自分第一主義」の気配がする(笑)。ところがプライドの中には厄介なものが混じっている。そういうのを「さかしまのプライド」という。

Saturday in the Park (Robert William Lamm)


☆ 「さかしま」って何だ?「さかさま」の間違いじゃないのか。確かに「逆さま」のことではあるのだが,元々は1冊の本に遡るようだ。ジョリス=カルル・ユイスマンス(Joris-Karl Huysmans, 1848年2月5日 - 1907年5月12日)の作品 À rebours に訳者の澁澤龍彦が付けた邦題『さかしま』が起源らしい。

☆ 「さかしま」という言葉にはどことなくひねくれ感が漂っている。素直に「さかさま」と書けばいいところを,ざわざわ「さか(し)ま」と書くのである。Wikipediaのこの書物の項にはこう解説してある。

> 1884年に刊行され、象徴主義、デカダンスの作品として、モーリス・メーテルリンク、ポール・ヴァレリーやオスカー・ワイルドなどに影響を与えた。「さかしま」は「逆さま」「道理にそむくこと」といった意味(英訳では"Against the Grain"または"Against Nature")。「デカダンスの聖書」とも評される。

☆ さて今度は「デカダンス」である。とある女性(名前はあえて挙げない)のビヨン...いや止めておこう。そういう意味ではなく「退廃」でしょという声が聞こえそうだから(苦笑)。で,しつこく「デカダンス」の項目に移ると

> デカダンス(フランス語: décadence)は退廃的なことである。
> 特に文化史上で、19世紀末に既成のキリスト教的価値観に懐疑的で、芸術至上主義的な立場の一派に対して使われる。フランスのボードレール、ランボー、ヴェルレーヌ、イギリスのワイルドらを指す(デカダン派を参照)。

☆ デカダンスの立ち位置は啓蒙主義⇒ロマン主義の流れにあるだろう(ぼくは学者ではないので細かいことは分からん^^)。既存のものへの懐疑から理性優先主義とその反動としてのロマン主義があり,既成秩序への疑念が様々な形で表面化してきたのが19世紀末だと思われる。社会主義や無政府主義もそうだろうし,デカダンスも同じとは言わないが既存の「キリスト教的価値観」への異議申し立て(ここにはたぶんマックス・ヴェーバーのプロテスタンティズムも包含されるのだろう。要は昔々ゲージツ系の若者達がまるで共産主義者のように「プチブル(小市民)」と嗤い飛ばしたあの態度みたいなやつ)なのだろうと思う。

☆ そう考えていくと「さかしまのプライド」は一見プライドを放棄しているようにみえて,実はもっと強固にプライドを維持していることになる。こういうところには用心して近づかない方がよさそうに思える。その典型的な話がやくざに関する話だ。

Gangsters (The Specials 1979年5月4日)



☆ この話はどれほど多くのノンフィクション・ライターが口を揃えるように書いているだろうか,という話だ。とても単純な話で

: やくざに向かって「やくざ」と言ってはいけない。
: やくざが「やくざ」と自称するのは構わない。

☆ あたりまえのことだ。「やくざ」とは「役に立たない」という意味だから,たかだか取材相手から "あなた方「役立たず」の皆さんは..." などと言われたら,それこそ看板で生きている人間の看板に泥を塗りつけるようなことだから。では,なぜ極道の皆様は自ら「役立たず」を意味する「やくざ」を自称するのだろう?

☆ これが「さかしまの定義」である彼らのプライドだということになる。「やくざ」という言葉を本物のやくざに使っていいのは,やくざ本人を別にすれば生涯のカウンターパートであろうマル暴の刑事ということになる。この辺はミステリ/ハードボイルド/警察小説などでおなじみの「文法」であるはずだが,改めて「さかしまのプライド」の強固さに対する感慨を覚えるのである。

☆ やくざの話とは関係ないのだが,日本のロックにもこうした「さかしまのプライド」を描いた名作がある。

TWO PUNKS (作詩・作曲:森山達也)



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「カイシャ夫婦」の考察 (じいさん学 第3講)


☆ われわれが生まれた瞬間から縁を持つ法律は民法になる。この法律にはヒト(自然人)も定義しているし,意思表示という切り口から人がどこから始まり,その権利はどこまで有効になるか書いてある(例えば胎児の権利は出生により遡って有効になる(遡及効)なんて話)。

☆ 実際「民法」は冠婚葬祭ではないが,ヒトの一生に直接係わる法律である。ここは別に「じいさんのやさしい法律教室」ではないので,枕はこのあたりにしたいところだが(苦笑),カンコンソウサイのコンとは関係なさそうな話をしようとしている。それが「カイシャ夫婦」の話だ。

Saturday in the Park (Chicago 1972年7月13日)



☆ と,言いつつ,もう少し「じいさんのやさしい?法律教室」が続く。「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」と書いてあるのは日本国憲法(第24条1項)で,この条文に「両性」と書いてあるから,同性婚ができない(事実婚は当事者が法律上の権利保護を受けられない(そうなりにくい))。だから憲法改正の対象が自衛権に関する項目でなくこの条項であれば賛成という人も少なくはない。

☆ では民法にはどう書いてあるか。「婚姻は、戸籍法 (昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。」(第739条1項)とまあ具体的な手続論に入っている。著名人がブログなどで「入籍しました」と嬉しそうに書いている時は,この手続をしたことになる。とまあ,こういう話を始めると石川達三の『青春の蹉跌』の冒頭部分みたいになってくるのでそろそろ本題に戻さなければいけない(自爆)。

We've Only Just Begun (The Carpenters 1970年9月12日)
(Paul Williams; Roger Nichols)



☆ 「カイシャ夫婦」とは何か?この言葉から考えられる平凡な二つのパターンを挙げる。① 社内恋愛もしくは社内結婚したカップル(がそのまま勤務している)、② 社内の不倫カップル。①は夫婦そのもの,もしくはその予備軍だし,②は事実婚もしくはそれを前提とする関係であることが大部分だ。でも「カイシャ夫婦」には③の道がある。その「第三の道」とは

③ 仕事上のパートナーでありながら「何となく親密すぎる」リレーションシップ

こういうペアがいるでしょ。「シティーハンター」みたいなの(古っ!)。これです。この人達です(爆)。

☆ こう書くと「夫婦って言うけど同性間が最初から排除されているのはおかしいじゃない」という声が聞こえてきそうだ。確かにそうなんだけど,LGBTという話でなく同性間のリレーションシップの場合はむしろ「社内政治」で語られる部分が多い。もちろん「カイシャ夫婦」の構成要素に「社内政治」があって利害得失の関係上「ひっついている」(⇒そういう人は往々にして「腰巾着」と揶揄されている)場合もある。だからそういうケースを別として,あまりそういう利害関係がない部分での「傍から見ても親しすぎるリレーションシップ」についてのみ「カイシャ夫婦」とさせていただきたい。

I Won't last a day without you (The Carpenters 1974年3月25日)
(Paul Williams; Roger Nichols)



☆ 「カイシャ夫婦」のペアは仕事ができる(基本的に。あるいはドラマやアニメや映画的に)。息もあっている。それだけだったら,どこのプロジェクトにもみられる。課内全員が「お友達」のような暖かな組織も多い。が,物事には閾値というか限界がある。「カイシャ夫婦」はどうみても「越えている」のである。

☆ 別の角度から見れば「カイシャ夫婦」には依存関係(片方は明確な依存であり,他方は意識せざる共依存であろう)があり,それはフツーの「信頼関係」を超えているように傍から見えるのだ。誰も口に出して言わないが,心の底では羨ましいと思っている。その深層心裡においては,ハッキリ鬱陶しいと思っている。

☆ むかしむかしそんな「カイシャ夫婦」と同じ部署になったことがある。片方は優秀な幹部候補生でもちろん妻子持ち。もう片方は入社時から優秀で知られた実務家でこちらは独身。で,ある日偶然この二人が会社を休んだ。たぶん偶然だろうし,ぼくがその部署にいた時にそういうことはその後二度と無かったのだが,それでも「彼女の同僚」達はざわざわしていた。それから余り経たない時期に忘年会があり,やはり少しだけ座が乱れた。オンナゴコロも微妙だが,「カイシャ夫婦」も微妙な存在だと思った。

I need to be in love (The Carpenters 1976年5月21日)
(Richard Carpenter / John Bettis / Albert Hammond)




じいさん「ココロの川柳」集
カストリの 域に達して ひと安心
果たしたる コミットメントに どや顔で
でも次の 手持ちがなくて 青くなり
なせばなる 開き直りで ネタ探し
(おそまつ...)

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特別補講「くたばれ黒転金曜日」(音楽と「文字」「絵」のみ^^)








👇
Script by Southern Rocker

Track 1 from their fourth album “Katy Lied” released in 1975 copyright ABC Records. This was their first release after the breakup of the original five member lineup due to conflicts over touring and recording schedules. Becker and Fagen were no longer interested in touring. The album was recorded using the best session musicians available, and features Michael McDonald, Jeff Porcaro and Larry Carlton. The album achieved Gold status within a couple of months and went Platinum in 1993. Recorded from CD. Written by Walter Becker & Donald Fagen and produced by Gary Katz. RIP Walter Becker, Hugh McCracken, Wilton Felder, Jeff Porcaro, Victor Feldman, Phil Woods, Jimmie Haskell & Bill Perkins. Featuring:

Donald Fagen – Lead vocals, piano, keyboards & sax
Walter Becker – Bass & guitars. Lead guitar on “Black Friday” & “Bad Sneakers”
Special Guests:
Hugh McCracken – Guitars
Denny Dias – Guitars, lead guitar on “Your Gold Teeth II”
Rick Derringer – Guitars, lead guitar on “Chain Lightning”
Dean Parks – Guitars, lead guitar on “Rose Darling”
Elliott Randall – Guitars, lead guitar on “Throw Back The Little Ones”
Larry Carlton – Guitars, lead guitar on “Daddy Don’t Live In That New York City No More”
Michael Omartian – Piano & keyboards
David Paich – Piano & keyboards
Phil Woods – Alto sax on “Doctor Wu”
Jimmie Haskell – Horn & horn arrangements on “Throw Back The Little Ones”
Bill Perkins – Horn on “Throw Back The Little Ones”
Victor Feldman – Vibraphone & percussion
Wilton Felder – Bass
Chuck Rainey – Bass
Jeff Porcaro – Drums & dorophone
Hal Blaine – Drums on “Any World (That I’m Welcome To)”
Michael McDonald – Background vocals
Myrna Matthews – Background vocals on “Everyone’s Gone To The Movies”
Sherlie Matthews – Background vocals on “Everyone’s Gone To The Movies”
Carolyn Willis – Background vocals on “Everyone’s Gone To The Movies”

※歌詩は上のYouTube参照。
(Note)
Muswellbrook, New South Wales(英語版Wikipediaより抄)

Muswellbrook is a town in the Upper Hunter Region of New South Wales, Australia,about 243 km (151 mi) north of Sydney and 127 km (79 mi) north-west of Newcastle.

The Steely Dan song "Black Friday" from the 1975 album Katy Lied contains the lyrics:
"When Black Friday comes,
I'll fly down to Muswellbrook, gonna strike all the big red words from my little black book.
Gonna do just what I please, gonna wear no socks and shoes, with nothing to do but feed
all the kangaroos."

> Songwriter Donald Fagen explained the lyrics in an interview with Paul Cashmere of Undercover Music; "I think we had a map and put our finger down at the place that we thought would be the furthest away from New York or wherever we were at the time".




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【告知】
理由があって通常講義を1週間延ばすことにしました。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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