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2019-08

24時間戦えますか



☆ 世は平成史ブームでおめでたいことでアル。平成はバブルの頂点とその終焉からスタートしているため(それはまるで「王様のレストラン」(CX系 1995年4月19日~7月5日 脚本:三谷幸喜、演出:鈴木雅之、河野圭太)で主人公(原田 禄郎:演 筒井道隆)の兄(水原 範朝:演 西村雅彦)がフォーク歌手時代に歌った曲の題名(「下り坂」)及びその歌詩のようであったが),必然的に平成史はバブル崩壊史の側面があり,これまた必然的にバブル再訪というところから始まることになる。本当はバブル期の思想的バックボーンだった「ポストモダン」だの「構造主義」だのの "ニューアカ" 辺りから入るのが本筋だろうが,そういうことは学者やアナリストに任せたいので,いきなりドリンク剤のコピーから始めることにする。

☆ 三共(当時)が「リゲイン」を出した頃,ドリンク剤(とは書いているが実際にはエナジードリンクに近いものと思っている)の世界では大正製薬のリポビタンDと大塚製薬のオロナミンCが双璧だった。さらに中外のグロンサンや田辺のアスパラなどがあったが,そこに武田薬品がアリナミンVを投入し,三共もこれに続いたということになる。ご本家CX「カノッサの屈辱」ならそれらしきイラストが出てくるところだがそんな器用な技術は無いのでカット。

☆ ドリンク剤最大の効用は疲労回復・滋養強壮であるから,リゲインが意味するところのものは明白である。そこにこのコピーが付いているわけだが,コピーの付け方に対する誤解が定着しているような気がする。それとリゲインの最初のコマーシャルには歌や牛若丸三郎太が全く無かったことも見過ごされている。

☆ リゲインの最初のコマーシャルはワケワカラン系の疑問文「24ジカン、タタカエマスカ?」という音声で,うまく言えないのだがケンミン食品のアンドロメタビーフンのCMのテイストに似たキモさがあった(爆)。あのコンセプトは明らかに日本(地球)の外部から見てフランスの女性政治家エディット・クレッソンが当時の日本人を揶揄して「日本人は兎小屋のようなアパートに住み、2時間もかけて通勤し高い物価に耐える蟻のような生活をしている(出典元:Wikipedia)」と発言したのと同じ文脈であろう。つまりこちらから見てもおかしな「人間を幸福にしない日本というシステム(カレル・ヴァン・ウォルフレン 1994年)」に対する自己パロディでしかなかったということだ。この「自己パロディという武器」こそがポストモダン/ニューアカデミズムの延長線上でわれわれが面白おかしく取得した武器だったのである。

☆ だから「24時間戦えますか」の裏には「んなアホな...」がくっついていたはずで,最近の平成史分析にその視点が全く抜け落ちていることは拙いと思う。ただアンドロメタビーフン風のメッセージは世の中に通用しなかったので,それを分かりやすくアレンジしてパロディ度だけをパワーアップしたのが牛若丸三郎太ということになるし,牛若丸三郎太をたまたま時任三郎がやっていたことで三谷幸喜が「古畑"任三郎"」を創出したのも,さっきの「下り坂」とも相まってなかなか興味深く感じるのである(笑)。

☆ ここまで書いてきたようにこのCMは別に「24時間戦うこと」を奨励などしていない(笑),そういうのは,いにしえの丸善石油が小川ローザさんのスカートをめくり上げて「オーモーレツ」と言わせていた(#me tooの時代でなくとも㌧でもないセクハラ画像)時点でとうに終わってい(て,その次の時代には富士ゼロックスが「モーレツからビューティフルへ」とパラダイムシフトをコピーにし)た。だからクレッソン女史がどう喚(わめ)こうと,城山三郎が『真夏のワンマンオフィス』で描いた世界(同様に清水一行が『燃え尽きる』で示した世界)はすでに過去のものであり,「24時間戦えますか」は実際に阪急電車の始発と終電で通勤していたどこかの銀行や証券会社の従業員以外カンケーない話だったのである。

☆ それが平成史文献ではどういう訳か24時間戦う気概のように扱われている。どうにもミョーな話だ。「24時間戦えますか」は「モーレツから(タモリ的な)パロディへ」の証跡に過ぎない。「勇気のしるし」の時代に続いて出てきたシャインズの歌の元歌が「365歩のマーチ」の劣化したパロディであったように。

And She Was (Talking Heads 1985年)




「元号博士」がNHKで浮かれていたのでこの曲も贈呈


きょうのPS
「いまどきの乃木坂は娘っ子ばかりで,いい女はどこにもないいよ,喜多條さん。これぞ「メランコリー」だね。」
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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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