2017-11

愚かにも彼はそれを信じて 「What A Fool Believes」 (The Doobie Brothers 1979年1月)



初出:2011年10月17日(大幅改稿)

☆ 異論があるのを承知で書くならば,ドゥービー・ブラザーズというバンドは,マルチ・リズムでソウル・ミュージックの影響を反映させたアメリカン・ロック・バンドである。このコンセプトで見てみると「チャイナ・グローブ」や「ザ・ドクター」のようなトム・ジョンストン時代の曲でもこの曲でも同じ地平にある。ましてモータウンの代表的チーム、ホランド/ドジャー/ホランドの「君の腕に抱かれたい」をロックンロール・ヴァージョンにしてカヴァーしている事実は,このことを補強こそすれ否定するものではない。

☆ この曲の特徴はマルチ・リズムを生かした独特のシンコペーションにあり,すぐに亜流が出てきたがリズムパターンとして定着するまでには至らなかった。なんだかんだ言っても,やはり難しいのだろう。ところで曲の作者であるケニー・ロギンスとマイケル・マクドナルドが演奏したヴァージョンを以前聴いたことがあるが,そこではドゥービーズの特徴であるマルチ・リズムを抑えた,よりAOR的なアプローチで演奏されている。ロギンスにはこちらの方が心地良かったのだろう。

2017年11月13日付記

What A Fool Believes (Michael McDonald / Kenny Loggins)



He came from somewhere back in her long ago
彼は彼女がまだ彼の許にいた大昔の記憶に戻っていった
The sentimental fool don't see
その愚かしい感傷は彼に気付かせなかったのだ
Tryin' hard to recreate
もはや元に戻るには遅すぎることや
What had yet to be created once in her life
かつて彼女の暮らしの中にあったものを
再び生み出すことなどできないことを

She musters a smile
彼女は彼の「昔は良かった」話に
For his nostalgic tale
なんとかして微笑みを返すけれど
Never coming near what he wanted to say
決して彼が言い出したいことには近づこうとしない
Only to realize
はっきり分かっていることがひとつある
It never really was
もうそんな昔のふたりには決して戻れないということ

She had a place in his life
彼女にもかつては彼の暮らしの中に居場所があった
He never made her think twice
そのことを彼は一度だって振り返ろうとしなかったけれど
As he rises to her apology
彼が彼女の謝罪の言葉を聞いて思わず立ち上がった時に
Anybody else would surely know
周囲の者は確かに分かったのだ
He's watching her go
彼女が出ていくのを彼は見送ることしかできないことを

But what a fool believes he sees
それなのに愚かにも彼は信じているのだ
No wise man has the power to reason away
誰にその理由を放置する力があるというのか
What seems to be
物事がそのように流れていくその先には
Is always better than nothing
虚しさの他に何があるというのか
And nothing at all keeps sending him...
そして全てを失ってしまう。そのことが彼を...

Somewhere back in her long ago
彼女を遠い昔の日々に戻す時
Where he can still believe there's a place in her life
そこには確かの彼女の居場所もあったと今でも信じていいけれども
Someday, somewhere, she will return
だから,いつか,どこかで,彼女は彼の許に還ってくると彼は信じてしまう

She had a place in his life
He never made her think twice
As he rises to her apology
Anybody else would surely know
He's watching her go

But what a fool believes he sees
No wise man has the power to reason away
What seems to be
Is always better than nothing
There's nothing at all
But what a fool believes he sees...

Personnel
Patrick Simmons - guitar, vocals
Jeff "Skunk" Baxter - guitar
Michael McDonald - keyboards, synthesizers, lead vocals
Tiran Porter - bass guitar, vocals
John Hartman - drums

Additional players
Bill Payne - synthesizer (with Michael McDonald)

最高位
No.1:全米('79/4/14)、全加
第5位:ニュージーランド、第10位:蘭、12位:豪、28位:アイルランド、31位:全英

☆ この曲が80年のグラミーで最優秀曲(Song of the Year and Record of the Year)を獲った時,一部に異論があった。確かにどちらかの賞は他のミュージシャン(敢えて名前は挙げないが大変貌を遂げた黒人グループのバラード曲とだけ指摘しておく)が獲っても相応しかったと思う。ただ,この曲の持つ意味はシンコペーションを特徴的に使った曲のアレンジにあったのではなく,その歌詩が時代の雰囲気を良く示していたからではないかという気がする。それはこの年の暮れに封切られたこの映画に色濃く出ていないだろうか?


☆ ドゥービーズがグラミーを獲ったのは,まさにこの時代の空気に乗ったからで,いかにライオネル・リッチーがその後の時代を代表する優れたバラード・シンガーに成長したからといって,この「空気」には勝てなかったのかもしれないと思うのだ。

Kenny Loggins - What a Fool Believes (from Outside: From The Redwoods)


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聖子ママは大忙し(「Lady Madonna」(The Beatles 1968年3月15日)



Lady Madonna (Lennon–McCartney)


Lady Madonna
聖子ママは大忙し
Children at your feet
足元で子供たちは大暴れ
Wonder how you manage to make ends meet
どうやってこの決着つけようかしらと大弱り

Who finds the money
ところでお金の当てはあるの?
When you pay the rent?
何時になったら家賃が支払えるの?
Did you think that money was heaven-sent?
まさかお金は天からの授かりものなんて思ってなかったでしょ?

Friday night arrives without a suitcase
金曜の夜にはスーツケースがどっかにいっちゃってるし
Sunday morning creeping like a nun
日曜の朝は尼さんみたいにそっと寄ってくるし
Monday's child has learned to tie his bootlace
月曜日には子供達は靴紐の結び方を身を以て学ぶしかないので
See how they run
彼らが慌てて走り出すのを見てごらん

Lady Madonna
聖子ママは大忙し
Baby at your breast
胸元には赤ん坊がしがみついてる
Wonders how you manage to feed the rest
さてどうやって残りのおっぱいをやろうかなと思いながら

Ba-ba-ba-baaa ba-ba ba-ba-baaa
Ba-ba-ba-baaa ba-ba baaa ba-baa ba-baa
Wa-ba-ba-baaa ba-ba ba-ba-baaa
See how they run

Lady Madonna
聖子ママも一休み
Lying on the bed
寝台に横に伸びては
Listen to the music playing in your head
ヘッドフォンでお気に入りの曲を聴いている

Tuesday afternoon is never ending (ba-ba-ba-baaa)
火曜日の午後はいつまでも終わらなかったし
(Ba-ba ba-ba-baaa)
Wednesday morning papers didn't come (ba-ba-ba-baaa)
水曜はポストに朝刊が来てないし
(Ba-ba baaa ba-baa ba-baa)
Thursday night your stockings needed mending (ba-ba-ba-baaa)
木曜の夜には靴下のほつれを直さないとまずくなってるし
(Ba-ba ba-ba-baaa)
See how they run
そんなドタバタ具合を見てやってよ

Lady Madonna
Children at your feet
Wonder how you manage to make ends meet

☆ タイトルはMadonnaは聖母だから日本語でいちばん座りが良いのが「聖子」というだけの話。たった2分16秒で嵐を呼ぶこのドタバタぶりはママドルと呼ばれた松田聖子というよりも野原みさえの方が明らかに適任(爆)。しかしビートルズ(むしろポールと特定すべきで,どう考えてもジョンがあの時期にこんな詩を書けるはずがない)が凄いのは,一方で愛だ平和だとやっていながら,ごく平凡な主婦の毎日をサラッと絵にした曲を作ってしまうところ。勿論バランスを取るためにB面にジョージの「ジ・インナー・ライト」を入れるというシングルの妙もまたビートルズだった(笑)。



PERSONEL
The Beatles
Paul McCartney – lead vocal, piano, bass, handclaps
John Lennon – backing vocal, lead guitar, handclaps
George Harrison – backing vocal, lead guitar, handclaps
Ringo Starr – drums, drums (with brushes), handclaps

Additional musicians and production
Ronnie Scott – tenor saxophone
Bill Povey – tenor saxophone
Harry Klein – baritone saxophone
Bill Jackman – baritone saxophone
George Martin – production
Ken Scott – engineering
Geoff Emerick – engineering

最高位
No.1:英、墺、豪、蘭、スイス、ニュージーランド
第2位:加、ノルウェー、西独
第3位:ベルギー、アイルランド
第4位:米(ビルボード)

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「ミセス・ロビンソン」 (サイモン&ガーファンクル 1968年4月5日)




Mrs. Robinson (Paul Simon)



And here's to you, Mrs. Robinson
さて乾杯しましょうか,ロビンソン(の奥)さん
Jesus loves you more than you will know, wo wo wo
神の御子は貴女が思っている以上に貴女を愛していらっしゃる
God bless you please, Mrs. Robinson
貴女に神様のご加護が有りますように,ロビンソンさん
Heaven holds a place for those who pray, hey hey hey
天国は真摯に祈る者達のためにあるものなのですからね,ええそうです
Hey hey hey
ええ,そうですよ...

We'd like to know a little bit about you for our files
私たちは少しだけ貴女についての調査をやらせていただいたのですが
We'd like to help you learn to help yourself
貴女ご自身にも少し知っといて貰いたいところがあるんですよ
Look around you, all you see are sympathetic eyes
もう少し周囲をよく見てくださいな,あなたを取り巻いているのは憐みの瞳たちですよ
Stroll around the grounds until you feel at home
気を落ち着かせるためにその辺を少し散歩なさってはどうでしょう

And here's to you, Mrs. Robinson
でもこれは貴女のためですよ,ロビンソンさん
Jesus loves you more than you will know, wo wo wo
神の御子は貴女が思っている以上に貴女を愛していらっしゃる
God bless you please, Mrs. Robinson
貴女に神様のご加護が有りますように,ロビンソンさん
Heaven holds a place for those who pray, hey hey hey
天国は真摯に祈る者達のためにあるものなのですからね,ええそうです
Hey hey hey
ええ,そうですよ...

Hide it in a hiding place where no one ever goes
誰かが来る前にそれを隠すべきところに隠しておかないとだめですよ
Put it in your pantry with your cupcakes
あのカップケーキの素と一緒に食糧棚の中あたりに押し込んでおかないと
It's a little secret, just the Robinsons' affair
こんなのは,ロビンソン家の中じゃほんのちょっとした隠し事なんでしょ
Most of all, you've got to hide it from the kids
子供の頃からたくさんやってた,そんな隠しものの一つだったんじゃないですか

Coo coo ca-choo, Mrs. Robinson
ほんのちょっとしたことですよ,ロビンソンさん
Jesus loves you more than you will know, wo wo wo
神の御子は貴女が思っている以上に貴女を愛していらっしゃる
God bless you please, Mrs. Robinson
貴女に神様のご加護が有りますように,ロビンソンさん
Heaven holds a place for those who pray, hey hey hey
天国は真摯に祈る者達のためにあるものなのですからね,ええそうです
Hey hey hey
ええ,そうですよ...

Sitting on a sofa on a Sunday afternoon
日曜の午後にソファに腰を落ち着かせ
Going to the candidates' debate
大統領候補の公開テレビ討論を見守っている
Laugh about it, shout about it
それを見ながら失笑したり,思わず大きな声でテレビに反論したりしても
When you've got to choose
やがて貴女が物事を決めていかざるを得ないんですよ
Every way you look at it you lose
すべての方法が敗北に繋がっているように思えたとしてもね

Where have you gone, Joe DiMaggio?
そういえばあの強打者のジョー・ディマジオさんは今ごろどうしているんでしょうね
A nation turns its lonely eyes to you, wo wo wo
この国はその寂しげな瞳をあなたに捧げるでしょうに,ええ,たぶん
What's that you say, Mrs. Robinson
そしてこれをどう言えばいいんでしょうね,ロビンソンさん
'Joltin Joe' has left and gone away, hey hey hey
あの「凄いジョー」もグラウンドを去って遠くに行ってしまうって,そうですよね
Hey hey hey
ねえ,そうですよね

☆ この曲は歌詩の中に「ジーザス」という言葉が出てくる最初の全米No.1曲。サイモン&ガーファンクルにとって2曲目の全米No.1ヒットであるが,彼らの最初のNo.1である「サウンド・オブ・サイレンス」にも「馬鹿ども」という当時としてはあまり好ましくない歌詩が入っている。この時期のポール・サイモンの歌詩は曲に比べてやや過激なのかもしれない(笑)。ポール・サイモンとジョー・ディマジオの件は,Wikipediaの「ミセス・ロビンソン」の項及び「ジョー・ディマジオ」の項を参照。なおマリリン・モンローが彼の妻だった時期があり,二人が新婚旅行で来日した際に出されたメニューが現在のロイヤルホストの源流になるレストランに残っている(これは「ジョー・ディマジオ」の項,もしくはロイヤルホールディングスのHPを参照)。

最高位
全米No.1(1968年6月1,8,15日)、全英第4位、アイルランド・オランダ第5位、スイス6位、スペイン7位、ノルウェー8位


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NOTE:
June 5 1968 – U.S. presidential candidate Robert F. Kennedy is shot at the Ambassador Hotel in Los Angeles. Sirhan Sirhan is arrested. Kennedy dies from his injuries the next day.
1968年6月5日米国大統領候補ロバート・ケネディが、大統領選挙のキャンペーン期間中である、1968年6月5日の夜にカリフォルニア州ロサンゼルスで銃撃された。ケネディは、カリフォルニアおよびサウス・ダコタのアメリカ合衆国大統領予備選挙を勝ち抜いたあと、アンバサダーホテルの調理場を通過途中に銃撃を受け、26時間後に病院で死亡した。
☆ この曲がNo.1になっている間に,この大統領候補暗殺事件が起きている。

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流行作家(「Paperback Writer」(The Beatles 1966年5月30日)




Paperback Writer (Lennon–McCartney)


Paperback writer
流行作家
(Paperback writer)
Paperback writer

Dear Sir or Madam, will you read my book?
そこのお父(と)っあんにおっ母(か)さん,あちきの新作,読んでくださいましたか?
It took me years to write, will you take a look?
構想数年の大傑作,お目に入りましたでやんしょうか?
It's based on a novel by a man named Lear
こいつはリア王のお話を底本にしてましてね
And I need a job, so I want to be a paperback writer
そうしてあたしゃ仕事が欲しい,でもって流行作家ってえのになりたいんでさあ
Paperback writer
流行作家

It's a dirty story of a dirty man
そいつはちんけな野郎のいだだけねえお話だ
And his clinging wife doesn't understand
ヨメさんは始終纏(まと)わりついてる割には全然それを理解してないときてる
His son is working for the Daily Mail
彼の子供はデイリー・メール紙で働いてる
It's a steady job, but he wants to be a paperback writer
そいつは堅い仕事だけど,ヤツは実は流行作家になるのが夢なんでさあ
Paperback writer
流行作家

Paperback writer
(Paperback writer)
Paperback writer

It's a thousand pages, give or take a few (Frère)
その本はほとんど千ページくらいあるんだ(フレール)
I'll be writing more in a week or two (Jacques)
もう1,2週間もあれば完全に書き上げることができるんだ(ジャック)
I can make it longer if you like the style (Frère)
この文体がお気に召せば,もっともっと書き継いでもいいんですよ(フレール)
I can change it 'round, and I want to be a paperback writer (Jacques)
どういう風に書き換えることだってできますから,ですからあっしは流行作家てのになりてえんですよ(ジャック)
Paperback writer
流行作家

If you really like it you can have the rights (Frère)
本当にお気に召していただけたら,出版権を差し上げますから(兄貴)
It can make a million for you overnight (Jacques)
そいつはあなたを一晩で百万長者にさせてあげますよ(旦那)
If you must return it you can send it here (Frère)
あなたがこれを突っ返すんだったら,こちらに送ってくださいな(兄貴)
But I need a break and I want to be a paperback writer (Jacques)
だけどあっしはこの壁を突破して,流行作家になりてえんですよ(旦那)
Paperback writer
流行作家ってえのにね

Paperback writer
(Paperback writer)
Paperback writer

Paperback writer
Paperback writer

Paperback writer
Paperback writer

Paperback writer
Paperback writer

Paperback writer
Paperback writer

Paperback...

☆ この歌がヒットしている頃の流行作家って誰だろう?日本だったら松本清張だとかまあそんなところ。英国だったらフレデリック・フォーサイスとかジェフリー・アーチャーとか。で,いまだったらこういう人々なんだろう。





☆ ビートルズのシングルはこの曲や別の機会に紹介する曲など3分どころか2分少しで人の心をしっかり掴んでしまうから凄いなあと思ってしまう。

Release 米:1966年5月30日,英:1966年6月10日,日:1966年6月15日
最高位第1位
英6月23日,30日、米6月25日,7月9日
:豪州、カナダ、アイルランド、オランダ、
ノルウェー、スウェーデン、西独
最高位4位:墺、7位:ベルギー

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The Doors 「Light My Fire(ハートに火をつけて)」 (ドアーズ 1967年4月24日)


初出:2006年9月23日



Light My Fire
(Jim Morrison, Robbie Krieger, John Densmore, Ray Manzarek)


You know that it would be untrue
嘘だと思っているんろ
You know that I would be a liar
ぼくが騙していると思っているんだろ
If I was to say to you
もし君にこう告げたら
Girl, we couldn't get much higher
もっともっと,気持ち良くなれる

Come on, baby, light my fire,
こっちに来て,ぼくを燃やしてくれ
Come on, baby, light my fire,
こっちに来て,ぼくを燃やしてくれ
try to set the night on fire.
この夜を,愛の炎の中に投げ込んでくれ

The time to hesitate is through,
ためらっていないで
no time to wallow in the mire,
ぬかるみに足を取られないで
try now we can only loose,
今、お互いの心を解き放たなければ
and our love become a funeral pyre.
ぼく達の愛なんて,あっという間に終わってしまう

Come on, baby, light my fire,
こっちに来て,ぼくを燃やしてくれ
Come on, baby, light my fire,
こっちに来て,ぼくを燃やしてくれ
try to set the night on fire.
この夜を,愛の炎の中に投げ込んでくれ

The time to hesitate is through,
ためらっていないで
no time to wallow in the mire,
ぬかるみに足を取られないで
try now we can only loose,
今、お互いの心を解き放たなければ
and our love become a funeral pyre.
ぼく達の愛なんて,あっという間に終わってしまう

Come on, baby, light my fire,
こっちに来て,ぼくを燃やしてくれ
Come on, baby, light my fire,
こっちに来て,ぼくを燃やしてくれ
try to set the night on fire.
この夜を、愛の炎の中に投げ込んでくれ

You know that it would be untrue
嘘だと思っているんろ
You know that I would be a liar
ぼくが騙していると思っているんだろ
If I was to say to you
もし君にこう告げたら
Girl, we couldn't get much higher
もっともっと,気持ち良くなれる

Come on, baby, light my fire,
こっちに来て,ぼくを燃やしてくれ
Come on, baby, light my fire,
こっちに来て,ぼくを燃やしてくれ
try to set the night on fire... × 4
この夜を、愛の炎の中に投げ込んでくれ


(訳者メモ)
☆ Ed Sullivan Show(エド・サリヴァン・ショー)に出演した時、Jim Morrisonが歌詞の「higher」(大麻などによる精神の高揚を意味する隠語として70年代まで嫌われていた)を、敢えて歌ったという有名なエピソードは、後年オリバー・ストーンが映画『DOORS』でも描いている。この映画にも例の如く賛否両論あるけれど、少なくともこの曲の誕生についてのエピソードが活写されているところは良いと思う。

↓ オリバー・ストーン監督作品『ドアーズ』



☆ 歌詞を見てもらえばよくわかるが、韻の踏み方がきれいだ。「liar」と「higher」、「mire(マイヤー)」と「pyre(パイヤー)」。この言葉を発する時のJimのヴォーカルも蠱惑(こわく)的で、「higher」が邪推と関係無く、彼の美的センスからもとても譲れなかったのは、思うに当然のことだったのだろう。

2017年9月11日付記
☆ ぼくは画家のいない「神ってる」という昨今の流行語が嫌いなのだが(笑),確かにこの曲でのドアーズの4人(プラス1人は下のPERSONEL参照)は,このチープな流行語を意外にリアルな存在として感じさせるものがあると思う。要するに言葉の本来的な意味で「神懸っている」のである。

☆ この曲,正確には曲のイントロに「引きずり込まれた」のは,曲が実際にヒットしていた大昔かもしれない。それくらいこの曲は「一発で耳に付いた」。それはなんだか呪術的(その頃はそんな言葉は知らなかったが)で,どこか恐ろしくもあり,それ以上に魅力的でもあった。この曲に関しては全くこう言わざるを得ない「好きになるのに理由がいるか?」

☆ 知覚の扉には近づいたことも無い凡人のぼくでも,この曲からは日常は感じられない。歌詩を見れば日常のことを歌っているのに,曲と演奏がそれ(日常に塗れること)を拒んでいる。のんびりした言い方をすれば浮世離れしているのであり,もう少しリアルに言えば鬼気迫るであり,ぶっちゃけ言えばラリってるとしか言いようがないのだ(笑)。

☆ 麻薬(合成麻薬)はしかし,この曲の中では触媒(カタリスト)に過ぎない。この曲が示しているものはその幻影の表皮を剥いだ生々しい肉であり,感情や情念であり,関係性であるのだと思う。ここまでぶつけ合うことをすれば,(麻薬の力があろうがなかろうが)人間はどこかで壊れてしまうであろう。それはジム・モリソンというひとりの人間にも言えたことではなかったのかと思うのだ。

PERSONEL
Jim Morrison – lead vocals
Ray Manzarek – Vox Continental combo organ, keyboard bass
Robby Krieger – Gibson SG electric guitar
John Densmore – drums
Session musician Larry Knechtel – bass guitar, credited by Robby Krieger



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deaconblue

Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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