2017-10

「Ain't No Mountain High Enough」(Marvin Gaye & Tammi Terrell 1967年4月20日)


ユナイテッドユナイテッド
1,028円
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☆ 「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」は,アシュフォード&シンプソン(Nickolas Ashford & Valerie Simpson)のペンによる作品で世に知られたヴァージョンは1970年7月16日リリースされたダイアナ・ロスの熱唱(同年9月19日付全米No.1)だが,オリジナルはモータウン史上最高のデュエットだったマーヴィン・ゲイとタミー・テレルのヴァージョン(1967年4月20日リリース)だ。
Ain't No Mountain High Enough (Nickolas Ashford & Valerie Simpson)



☆ Wikipedia(英語版)を見るとアシュフォード&シンプソンは英国のソウル・シンガーであるダスティー・スプリングフィールドからのオファーを断り,彼らの本拠であるデトロイトのレーベルにこの曲を売り込んでいた。この曲を歌った時マーヴィンは28歳,テレルは22歳になろうとするところだった。そして彼女にとって事実上のデビューアルバムがマーヴィンとのデュエット・アルバム『ユナイテッド』であり,1枚のソロアルバムを除き彼女の短いキャリアは常にマーヴィンとのデュエットにあった。

☆ 彼女は癌(脳腫瘍)で亡くなった。僅か24歳の文字通りの夭折だった。

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「Let's Get It On」 (マーヴィン・ゲイ 1973年7月15日)



Let's Get It On(Marvin Gaye / Ed Townsend)



I've been really tryin', baby
そろそろ始めようぜ,ベイビー
Tryin' to hold back these feeling for so long
この感じ,ずっと続けるのさ,そのまま,ずっと
And if you feel, like I feel baby
もしもおまえが俺みたいに感じてるのなら
Then come on, oh come on
こっちに来いよ,さあ,おいで

Let's get it on, oh baby
このまま続けようぜ,ああ,ベイビー
Lets get it on, let's love baby
このまま続けるのさ,愛し合おうぜ,ベイビー
Let's get it on, sugar
そのままでいいのさ,シュガー
Let's get it on, whoa
続けるのさ,おぅ

We're all sensitive people
俺達は皆,感じやすいものなのさ
With so much to give, understand me sugar
与えるべきものをたくさん持ってる時はね,
この感じ,分かるだろシュガー
Since we got to be here
ここに辿り着いた時からずっとそうなんだ
Let's live, I love you
俺達らしくいようぜ,愛してるよ

There's nothin' wrong with me
俺には都合の悪いことなんて何んにもないぜ
Lovin' you, baby love, love
ただ愛するだけさ,ベイビー,それだけ,ただそれだけ
And givin' yourself to me can never be wrong
そしておまえが自分を投げ出してくれるなら
俺は決して悪いようにはしないから
If the love is true, oh baby
この愛が本物だと言えるならね,ベイビー

Don't you know how sweet and wonderful life can be?
俺達がどれだけ甘くて素敵な人生が送れるか,分かってるだろ?
I'm askin' you baby to get it on with me, oh oh
だから俺はお前に訊きたいんだ,
このまま俺とずっと一緒にいないかと,ああ,そうさ
I ain't gonna worry, I ain't gonna push
俺はこれっぽちも悩んでないぜ
だからっておまえに無理強いさせたくもないけど
I won't push you baby
決して無理は言わないから
So come on, come on, come on, come on baby
だから来いよ,さあ,こっちに,おいでよベイビー
Stop beatin' round the bush, hey
狩りの獲物を駆り立てるような真似はやめてさ,ほら

Let's get it on, let's get it on
このまま続けようぜ,このまま続けるのさ
You know what I'm talkin' 'bout
俺が何の話してるか,分かってるだろ
Come on baby, let your love come out
さあ,こっちに来て,ベイビー,おまえの愛を俺に見せてくれよ
If you believe in love
俺達の愛を信じることができるのなら
Let's get it on, let's get it on baby
このまま続けようぜ,このまま続けるのさ,ベイビー
This minute, oh yeah let's get it on
この瞬間(とき)を,ああ,そうさ,このまま続けるのさ
Please, let's get it on
だから,このまま続けて
I know you know what I been dreamin' of, don't you baby?
俺がおまえのことをどれだけ想っていたか,
おまえだって分かっていただろ?
My whole body makes that feelin' of love, I'm happy
俺はからだ全体で,おまえを愛したくてたまらないのさ
とても幸せさ
I ain't gonna worry, no I ain't gonna push
俺はもう躊躇しない,でも,無理強いもしない
I won't push you baby, woo
そうさ,無理なことなんて何もしない
Come on, come on, come on, come on darling
だから来いよ,さあ,こっちに,おいでよダーリン
Stop beatin' round the bush, hey
狩りの獲物を駆り立てるような真似はやめてさ,ほら
Oh, gonna get it on, threatin' you, baby
ああ,このまま続けさせてくれ,もっとお前に迫りたいのさ,ベイビー
I wanna get it on
このまま続けたいんだ
You don't have to worry that it's wrong
悪いようにはしないから,何も心配しなくていいぜ
If the spirit moves you
もしおまえがその気になっているのなら
Let me groove you good
俺におまえを気持ち良くさせてくれ
Let your love come down
おまえの愛が俺達のもとに降りてくるようにしてくれ
Oh, get it on, come on baby
ああ,このまま続けさせてくれ,ベイビー
Do you know the meaning?
それがどんなことだか分かってるだろ?
I've been sanctified, hey hey
俺はもう十二分なんだ,そうさ,そうとも
Girl, you give me good feeling
ガール,おまえが俺をこんなに感じさせているんだよ
So good somethin' like sanctified
なんだかもう,聖なるものに触れたかのようにね
Oh dear I, baby
なんとまあ,ああ,ベイビー
Nothing wrong with love
愛があれば何も良くないことなんかないんだぜ
If you want to love me just let your self go
おまえが俺を愛したいと思うのなら,
そのまま突っ走ればいいんだよ
Oh baby, let's get it on
だからベイビー,俺達,このまま続けようぜ

☆ このだらだらのラブ・ソングは,間違いなく1970年代を代表する「口説き文句リスト」のトップページを飾った事だろう(爆)。ここから先の話は「大人向け」なので(笑)そのつもりで。

☆ あまりにも有名なエピソードだが,70年代のマーヴィンのライブでは興奮した(主として)若い女性の観客が穿いていたアンダーを脱いでは彼に投げつけていたという。この話は有名な割にYou Tubeなどで「現場」を確認したことがない(爆)。少なくとも70年代半ばに女性歌手(今でいうアイドル)に若い男性客(その大半は「親衛隊」)が雄叫(おたけ)びながら紙テープを投げつけていたことには覚えがあるが(立ち会ってはいない=苦笑=),この「アンダーパンツ投げ」の伝統はマーヴィンからTP(テディ・ペンディーグラス)に引き継がれた後どうなったのだろう?ちなみにテープ投げは松田聖子が出てきたり山口百恵が引退したころに自然消滅している。

☆ 口説くという行為をここまでセクシィで格好良く歌える人は,男では元々多くなかったし,そういう人達が実際に減っているのか,筆者が年齢(とし)を取って「そういうものを見ようとしなくなった」のかは,何とも言えない(自爆)。それにしてもとんねるずの番組名ではないが「生でダラダラ」以外の言葉が思いつかない名曲である(再爆)。


↑ その名も高い1980年モントルーでのライブ


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「Sweet Love」 (Anita Baker 1986年8月)


初出:2008年1月9日
RaptureRapture
(1994/06/17)
Anita Baker

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☆ 1980年代のスウィート・ソウルで一番好きな曲。もっともアニタ・ベイカーのヴォーカルはただ甘いだけでなく,野太いというか迫力がある。実際に歌ってみればわかるが(笑),この曲は相当な難曲で,おそろしく微妙なバランス感覚が求められる。非常にテクニカルなAメロを持ち,サビのところはシャウトに近い思い切った歌い方を要求される。だけどアニタの力強い歌唱はそんなことを一切感じさせず,典型的なスウィート・ソウルの甘さが溢れ出してくる。

☆ この曲で彼女は,その声質を駆使して溢れ出しそうな感情の迸(ほとばし)りを歌い切っているのだが,こういう歌い方は一歩間違えると自己満足というか「のど自慢」と化してしまうのだが(どこのマイケル・ボルトンとは言わん(笑)),この歌には「感情の寸止め」とでも言えばいいのか,ナチュラルに抑制がかかっていて,その絶妙のバランスがこの曲を80年代を代表する名作に押し上げている。

☆ さっき野太いと書いたが,ただ声(低音域)が太いのではなく,まるで建物の基礎のように彼女の「歌」をしっかり支えている。言うならば頑丈なヴォーカルなのだ。この曲を聴いていてイメージしたのは絶頂期の八代亜紀。どっちも癖があって嫌いな人は絶対受け付けないだろうし,非常に似たようなタイプである(スウィート・ソウルも演歌も本質似ているところがあるというのはある種の人には暴論かもしれないが,何より「歌」が証明していると思うのだが)。

2012年4月12日記
☆ オハイオ州トレド生まれでデトロイトで活動してきたアニタ・ベイカーの28時の時の大出世作で,おそらく80年代のソウル・バラードの最高傑作の一つである。アニタのこのアルバム『ラプチャー(Rapture)』については,アマゾンのレビューが指摘しているように,現代に至るソウル・ディーヴァの基本形を作り上げたと言って良いと思う。それは70年代的スウィート・ソウルにビートと力強さを加味し,ディジタル処理を暗黙の前提にした「ニュー・ニューソウル」だった。この点ではアニタとホイットニー・ヒューストンの役割は非常に大きかった。それは例えば英国のソウル・シーンがシャーデーに代表的なように70年代型のスウィート・ソウルをよりソフィスティケイトしたアップデートを試みた事とは対照的でもあった。

Sweet Love(Anita Baker / Louis A. Johnson / Gary Bias)



☆ 豪華なイントロは甘ったるい70年型ソウル・バラードを思い起こさせる(例えばフィリー・ソウルのように)が,スウィートと言うよりは迫力すら感じさせるアニタの熱情的なヴォーカルは,この曲をクリーミィにする代わりに力強く生き生きとした作品にしていく。それこそが,80年代型のソウル・ディーヴァとしての彼女の立ち位置でもあった。アルバムは翌年(1987)のグラミーで最優秀R&B女性シンガー,この曲は最優秀R&B作品に選ばれている。

2015年12月25日記
☆ アニタ・ベイカーの1986年のブレイクは,60年代のアレサ(アリーサ・フランクリン),70~80年代のチャカ・カーンの継承者という印象が強い。それは強力なライヴァルとしてのサラブレット,ホイットニー・ヒューストンや革新者としてのジャネット・ジャクソンら実に好敵手の揃った時代でもあった。アニタは今の分類ではクワイエット・ストームのはしりのように位置付けられているが,このヴォーカルを聴いてクワイエット・ストームはちょっと気の毒な気がする。クワイエット・ストームがハンチクな音楽だと貶しているのではなく,アニタはどう考えたってアリーサやチャカの系譜に連なるソウル・レディに他ならないからだ。

☆ 例えばアドゥ(シャーデー)をクワイエット・ストームの先駆というのなら納得できる。別にこれはブラック・ミュージックの十八番(おはこ)だった訳じゃなく,例えばスウィング・アウト・シスターのコリーン・ドリュリーだって(特にセカンド・アルバムからの路線では)クワイエット・ストームの本流にいると思う。アニタは確かに80年代のよりソフィスティケイテッドされたスウィート・ソウルの路線に沿ってはいたが,それはたまたまその時代が要請したからに過ぎない(陽水や清志郎がフォークのフォーマットで世に出てきたようなもの)。アニタの本質はやっぱストレートなソウル・シンガーなのだと思う。

☆ それにしても,いつ見ても面白い振付だ。多分本人がエモーションを自然に表現しているだけなのだろう。『ラプチャー』で第一線に躍り出た時の彼女はアラサーだったが,このパフォーマンスはなかなか可愛く感じる(^∇^)。

PS.後で思ったのだけれど,ランディ・クロフォード(クルセイダーズをバックに「ストリート・ライフ」を歌っている)の方がよほどクワイエット・ストームに先行しているなと。

2017年4月14日追記
☆ 上に書いたことで書きたいことは大抵書いているが(笑),アニタが20年早く生まれたら(彼女にも下積み時代があったので)アリーサ・フランクリンの好敵手になっただろう(70年代のダイアナ・ロスに対するグラディス・ナイトのように),当然のことながら,10年早かったらチャカ(カーン)の好敵手だっただろう。ではリアルタイムでは?間違いなくホイットニー・ヒューストンやジャネット・ジャクソンなのだが,若い二人と比較するより音楽的傾向ならやはりシャーデー・アドゥになるのだろうな。

☆ アニタにとってクワイエット・ストームという「時代的な評価」は,ドナ・サマーにとっての「ディスコ」と同じく,ミュージシャンとしての栄光とその限界を刻印したもののようにも感じる。しかし上のパフォーマンスを見れば分かるように彼女は音楽の神様に使える歌姫という名の巫女なのである。恋人同士の体温を超えた何か神々しいものがあり,そこに見えるものの本質は,一種の陶酔の中に身を委ねる彼女は,確かに音楽の神様に選ばれた歌姫の姿であった。



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Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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