2017-10

朱夏 (「サンシャイン ロマンス」 (オリジナル・ラブ 1993年5月7日)から)


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Wikipedia の解説
> 青春とは、元は春を表す言葉である。古代中国の五行思想では、「春」には「青(緑)」が当てられる。同様に、「夏」を「朱(赤)」、「秋」を「白」、「冬」を「玄(黒)」に当て、それぞれ「青春(せいしゅん)」、「朱夏(しゅか)」、「白秋(はくしゅう)」、「玄冬(げんとう)」という。これらは季節を表す言葉であり、これが転じて、日本では特に「青春」について人生における若く未熟で、しかしながら元気で力に溢れた時代を指すようになった。ちなみに、「青春」以外が人間の年代を表す言葉として用いられることは、一般的な用法ではない。

☆ 木原龍太郎の詩の視点からこの曲を読み解くと,前年の作品「THE VENUS」(1992年4月8日)の延長線も窺えるが,実際は違うのではないかと思う。「THE VENUS」の描く "夏の終わり" は,彼にとっての「(青)春の終わり」だったのではないか。そしてこの曲の夏は文字通り「朱夏のはじまり」としての夏だったのではないかと思われるのだ。

「サンシャイン ロマンス」 (作詩:木原龍太郎 / 作曲:田島貴男)
(Original 1993.05.07 Release /
※ “New Version” 1993.12.08 Release)


☆ それは「THE VENUS」のヒロインが水平線にその姿を消した=ひとつの季節の黄昏=後に,新たに生まれていく季節(とうぜん別のヒロインが主人公の横にいる)を象徴するものとして彼女の姿があり,さらにまた「いつかは暮れる世界と憂う人々にさよならを告げ」ることで,新しい季節を受け入れていく主人公の姿が見えるからでもある。そういう意味で二つの作品の間には「人生の季節」の移り変わりが潜んでいるのだ。だからここに歌われる「夏」は単なる季節としての「夏」ではなく,人生の夏の日,つまり「朱夏」なのである。

☆ 田島貴男の曲は「楽曲至上主義」の代表的作品ではあるが,60年代の歌謡曲(例えば原信夫が作曲して美空ひばりが歌った「真赤な太陽」(1967年5月25日)を典型とする)からの継承がハッキリ窺える。それは日本のポピュラー音楽が豊穣なものであることの証明に他ならないと思うのだ。

PERSONEL
オリジナル・ラヴ ORIGINAL LOVE
田島貴男 : ヴォーカル、コーラス、ギター
宮田繁男 : ドラムス
木原龍太郎 : キーボード
森宣之 : サックス
村山孝志 : ギター

プロデューサー : 田島貴男
アレンジメント : オリジナル・ラヴ
<ゲスト・ミュージシャン>
ベース : 沖山優司
パーカッション : 三沢またろう
トランペット : 荒木敏男
トロンボーン : 村田陽一
テナー・サックス : 平原まこと
コンピューター・プログラミング : 岸利至

レコーディング・エンジニア : 森岡徹也 (SME) 太田安彦 (SME)
ミキシング・エンジニア : 太田安彦 (SME)
マスタリング・エンジニア : 中里正男 (ONKIO HAUS)

沖山優司 appears by thecourtesy of PONY CANYON, VIBRASTONE


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「アイリス」 (オリジナル・ラブ 1997年7月2日=アルバムリリース)



ELEVEN GRAFFITIELEVEN GRAFFITI
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☆ 前作『Desire』から打って変わって「打ち込み期」に入る最初の作品。『ELEVEN GRAFFITI』は,そのトップバッターとしての役割はちゃんと果たしたが,オリジナル・ラブを玄人好みに少しずつやって行ったという意味では「二歩目のステップ」だったかもしれない。だけどちゃんと聴いてみるとこの曲のように「作品至上主義」の香りが残っていたり,シングルにもなった「GOOD MORNING GOOD MORNING」みたいなポップも残っている。いろんな意味で田島貴男がOLという「それなりの大きさを持った船」の向きを変えようとしていたことが分かる。

「アイリス」 (作詩・作曲 田島貴男)



☆ この路線はOLの定番で特にたじまんが歌詩を手掛け始めてから増えている。次のアルバム『L』はそのピークでシングルになった「Crazy Love」や「羽毛とピストル」のような名作をものしている。歌詩は「歌詩の通りのシチュエイション」で,特に付言することもない(爆)。周囲から見れば不純な倫(みち)ならぬものでも,そうであるがゆえの純粋さや美しさがあるというのは当事者もしくはそれを引用する者の言い分である。それに対して石部金吉で拳を振り上げたところで,作品としての絶対的な美しさを前にすれば,契約違反を主張する者以外は皆色を失うだけのことである。

☆ プラチナ外せないけど...という苦悩は反面,曲の発表から20年を経た今日,どこぞの投稿欄やコメントの嵐や炎上が日常風景となったこの国にあって,恐ろしいことに「演歌的な」様相さえ帯び始めている。そういう情景で「演技」される方もいらっしゃいますし,悲しいことにシャレにすらならなくなってしまった。とはいえ作品としての絶対的美がこんな「現実」で汚されることもないのが唯一の救いである。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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