2017-08

本邦泡沫語辞典(003) 熱愛



> デジタル大辞泉の解説
> ねつ‐あい【熱愛】
> [名](スル)熱烈に愛すること。また、その愛情。「一人息子を熱愛する」

☆ 読んで字の如くなのである。昔からこれに類する言葉はあった。「わたし,彼にお熱なの。」(1950~60年代)。これはさすがに女性のビジネスパーソンをBG(ビジネスガールって良く考えたらとんでもない言葉なのだが)と称していた時代の用例に近い。BGの意味に誰かが気づいて,OL(オフィスレディ)と呼び直すようになってくっついてきたのがオフィス・ラブ(苦笑)。ちなみに田島君は自分のユニットのことを略すならこういうふうに略してほしいと一時期強調していたな(爆)。

☆ きょうび「熱愛」の用例は過日の「お熱」というのと五十歩百歩だが,その使われ方を見ているとパパラッチ君が一枚ベストショットを物にして「やったぁ!」と叫んでいる風情があって,何とも小五月蝿(うるさ)いのである。それに比例するようにコトバとしての「熱愛(当事者間では一応事実だろう,どんなことをしようがしまいが)」の価値がグーンとインフレしてしまったように思える。今では「熱愛発覚=プライヴェートの管理に失敗」みたいな残念な結果が見えてしまうのである。




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本邦泡沫語辞典(002) 号泣





> デジタル大辞泉の解説
> ごう‐きゅう〔ガウキフ〕【号泣】
> [名](スル)大声をあげて泣くこと。泣き叫ぶこと。「遺体にとりすがって号泣する」
> [補説]文化庁が発表した平成22年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「大声をあげて泣く」で使う人が34.1パーセント、本来の意味ではない「激しく泣く」で使う人が48.3パーセントという逆転した結果が出ている。

☆ 文化庁の調査は平成23(2011)年2月~3月頃に実施された。この調査の3年後に兵庫県で号泣議員なるものが登場した(2014年7月1日)。この「野々村議員(当時)」の一件あたりから「号泣する」という言葉が明らかな泡沫語になっていった。




☆ NHKのどこかの放送局の気象キャスターが号泣したというニュースがあって,ようつべでその際の映像なるものを見たのだが,この女性の名誉のためにも言わせてもらうが,ああいうのは「号泣」とは言わない。文化庁が本来の意味と言っている「大声」などどこにもなく,本来の意味ではない「激しく泣く」にも全く当たらない。ああいう泣き方はその昔からこう言われていた。「彼女は,思わず,べそをかいていた。」

☆ そうなのだ。今どきの芸能マスコミさんが大袈裟に「号泣する」と書くと,その8割以上は上に書いた「べそをかく」以上のモノではない。つまり「号泣(する)」の泡沫語化は現在進行中なのである。ヘンな世の中である。そう言えば「号泣」の泡沫語化が進むにつれて「(泣き)べそをかく」という表現が絶滅しかけている。そちらの方が問題かもしれない。日本語の表現は立体的であるべきと思う。漢語のようにおなじ「なく」を「哭く」や「啼く」と書いて区別しないとしても。




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本邦泡沫語辞典(001) カリスマ





☆ カリスマって英語の発音を聞いていると「クリズマ」と聞こえる。スティーリー・ダン曲(1980年作品)でこれを聞いた。カリスマという言葉にはどこか宗教っぽさがあった。昨年「リヤ王」みたいな晩節を押し付けられた鈴木敏文という経営者の在り様を見ているとアメリカから押し付けられた「フランチャイズ・システム」を一人で換骨奪胎して「コンビニエンス・ストア」というビジネスモデルを作り上げたことだけでも彼がこの言葉に真に相応しい人物であったことは認めざるを得ない。




☆ しかし「カリスマ」が美容界で使われ始めてからその言葉からは宗教がかった部分が急速に消えていった。宗教に対しての言葉で言えば「世俗化」したのかもしれない。美容師がカリスマで悪い道理はない。彼(女)の美的感覚と技能が「余人を以て代え難い」のであれば(つまり「現代の名工」みたいな存在であれば)その名が相応しくないとは言えない。

☆ 美容関係者には気を悪くさせるかもしれないが,何かその辺からこの言葉が泡沫語になっていった気がする。カリスマという言葉の魔力が奪われていった。もっと言えば薄くなったということだ。美容師に相応しい敬称はシザーズを駆使するのだから「凄腕」ではないかと思う。それから会社の経営なんてものを宗教がかってもらうと非常に困るので,ここにも使って欲しくない。そう考えているうちにあっという間にこの言葉は泡沫語として今では「ブラックなんたら」の隣の池に落ちた犬のようになってしまった。

☆ カリスマが惹きつけたものは,宗教的帰依というべきものであり,それはゲマインシャフトに固有なものであってほしい。現代のポピュリスト政治家が成りたがっているのも,こうした一種のカリスマであるのだから。




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本邦泡沫辞典について



☆ 本邦泡沫辞典は,本邦における泡沫語を収集する一つのささやかな試みである。泡沫語とは流行語の中で一時期に過剰に使用され,やがて打ち捨てられたコトバのことである。それは死語のことではないかと訝しがる人もいると思う。しかし泡沫語は単なる死語ではなく,過剰に人口に膾炙し(この過程をバブルとみなす)捨てられる(もしくは捨てられていく運命にありそうな)コトバと理解している。




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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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