2017-04

「エイリアンズ」(Covered by Original Love)



エイリアンズエイリアンズ
1,080円
Amazon





☆ 田島貴男のキングス・ロードにキリンジが入っているとは知らなかった。『キングスロード』以外にもユーミンなら「時のないホテル」,山下達郎なら「あまく危険な香り」をカヴァーして来たたじまんが,堀米弟のキーでやや無理めに歌っているけれど気にする必要は一切ない(笑)。「エイリアンズ」という曲を聴いていると「疎外」という言葉が浮かんでくる。言うまでもなく疎外(alienation)という言葉の前半分は「エイリアン」である。これをウィキペディアから引用するとこうなる。

> 人間が作ったもの(商品・貨幣・制度など)が人間自身から離れ、逆に人間を支配するような疎遠な力として現れること。またそれによって、人間があるべき自己の本質を失う状態をいう。
> ラテン語のalienato(他人のものにする)に由来する疎外概念は、経済、社会、歴史的には、客体として存在するようになったものを操作する力を主体が失っている状態のことを指す。たとえば、あるものが私とは無関係であるという場合、そのあるものに対して私は無力なものとして疎外されていることになる。

☆ そこからマルクスは「経済学用語に鋳直し」(ウィキペディア),今は専らマルクス経済学の用語になっているが,キリンジの曲で描かれる「疎外」は,ひとつの「(倫(みち)ならぬ)恋愛」対「世間」の図式を借りながら純粋なるものがその意に反して汚されていくさまを静かに語っているようにも思われてならない。

「エイリアンズ」(キリンジ 2000年10月12日)



☆ 夜明け前が一番暗い。その場所と時間には最大の苦悩が待っている。堀米弟はそれに「魔法をかけてみせる」と宣言し,堀米兄は「ムーンリバーを渡るようなステップで二人で踏み越えていく(Drifter)」と宣言する。この二人,なかなか見上げたものじゃないか(^o^)。

スポンサーサイト

テーマ:Musically_Adrift - ジャンル:音楽

「千年紀末に降る雪は」 (キリンジ 2000年1月19日=c/w)


2012年12月30日記

33
(2000/11/08)
キリンジ

商品詳細を見る


☆ エリザベス女王が "Annus Horribilis(恐ろしくひどい一年)" と漏らしたのは今から20年前の年(2016年注:1992年)の暮れのことだった。女王はなお健在であるが,わが国にとっての酷い一年は大英帝国のそれに勝るとも劣らないように思う。2012年はどん詰まりだったのか「どん詰まり一丁目一番地」だったのか,それはもっと先になってみないと分からない。

☆ 年の暮れに思い出す曲の一つにキリンジ「千年紀末に降る雪は」がある。この作品もまた「ねじれたクリスマス・ソング」ではあるが,堀米高樹の人物観が良く出ていると思う。

KIRINJI 19982008 10th Anniversary CelebrationKIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
(2008/12/10)
キリンジ

商品詳細を見る


☆ このベスト盤が高樹、泰行の兄弟別に編まれていることが,今年届いた残念な知らせ(2016年注:堀米泰行のキリンジ脱退)の伏線になったのかどうかは良くわからない。ただ「段ボールの宮殿」から「Drifter」まで一直に伸びた線は,まぶしい。


2013年9月28日記

アルカディアアルカディア
(2000/01/19)
キリンジ

商品詳細を見る





「千年紀末に降る雪は」(作詩・作曲 堀込高樹)

戸惑いに泣く子供らと嘲笑う大人と
恋人はサンタクロース 意外と背は低い
悲しげな善意の使者よ

あいつの孤独の深さに誰も手を伸ばさない
歩行者天国 そこはソリなんて無理
横切ろうとするなんて気は確かかい?
「赤いオニがきたよ」なんて洒落てみるか

遅れてここに来たその訳さえ言わない
気弱なその真心は哀れを誘う
永久凍土の底に愛がある
玩具と引き替えに何を貰う?
My Old Friend.慰みに真っ赤な柊(ひいらぎ)の実をひとつどうぞ
さあ、どうぞ

砂漠に水を蒔くなんておかしな男さ
「ごらん、神々を祭りあげた歌も、貶める言葉も今は尽きた。」
千年紀末の雪に独り語ちた

君が待つのは世界の良い子の手紙
君の暖炉の火を守る人はいない
永久凍土の底に愛がある
玩具と引き替えに何を貰う?
My Old Friend.慰みに真っ赤な柊の実をひとつどうぞ
さあ、どうぞ

帝都随一のサウンドシステム 響かせて
摩天楼は夜に香る化粧瓶
千年紀末の雪!
嗚呼、東京の空を飛ぶ夢をみたよ

君が待つのは世界の良い子の手紙
君の暖炉の火を守る人はいない
この永久凍土も溶ける日がくる
玩具と引き替えに都市が沈む
My Old Friend.慰みに真っ赤な柊の実をひとつどうぞ

知らない街のホテルで静かに食事
遊ばないかと少女の娼婦が誘う
冷たい枕の裏に愛がある
夜風を遠く聞く 歯を磨く
My Old Friend.慰みに真っ赤な柊の実をひとつどうぞ
さあ、どうぞ

キリンジさん『千年紀末に降る雪は』の歌詞

ムラサキ☆サンセットムラサキ☆サンセット
(2001/11/07)
キリンジ

商品詳細を見る


33
(2000/11/08)
キリンジ

商品詳細を見る


2016年12月24日記

☆ メジャーデビューシングルがクリスマスソングの極南(2016年12月8日参照)だったことと関係があるのかどうかは知らないが,その曲をも超えたキリンジのクリスマス・ソングの極北を2016年のクリスマス・プレゼントの代わりにここに置いておく(笑)。

☆ 堀米高樹がキリスト者なのかどうかは知らないが,この曲の歌詩はサンタクロースやクリスマスの関する伝説に関する高い見識が実は隠れている。最初にユーミン(「恋人はサンタクロース」)が出てくるのはジャブみたいなお約束で(爆),キリンジの歌詩分析サイトの一切を見る前に分かった事だけ書いておこう(自爆)。

↓ 君が待つ世界の良い子の手紙(英文)の書き方
https://eikaiwa.weblio.jp/column/knowledge/santa-claus-letter

↓ 玩具と引き換える意味
http://www.1xmas.com/about/post.html

↓ 柊(ひいらぎ)の実の意味
http://www.y2asmr.net/xmaskazari.html

↓ 少女の娼婦の意味
http://www.pleasuremind.jp/COLUMN/COLUM006.html

☆ 摩天楼が化粧瓶であった時代は,おそらく山下達郎が「あしおと」を発表した1983年から変わっていないだろうから(そうでないと資生堂に合わせる顔が無いということもあるけれど),三菱地所が「見に行こう」と若い女の子に言わせる前(つまり丸ビルが建て替えられる前)からずっとそうだったのだろう。この曲の舞台は中央通りと晴海通りが交わるあたりにあった歩行者天国以外に考えられないのだけれど,永久凍土には東京砂漠(もちろん前川清時代のクールファイブの曲でバブル期まで某建設会社のテーマソングだった)の比喩であるし(苦笑),最後に沈んでしまう永久凍土は「日本沈没」以外の何でもないし(堀米兄はSF世代の申し子であろうし=苦笑=)。そして曲の最後にそんな状況をあっさり横に置く描写が出てくるところは「Drifer」にも通じている。この最後のあっさりとした冷や水のような歌詩が,コーダの長い余韻を招くのである。まさにクリスマス・ソングの極北と言って良いのだと思う。

テーマ:Musically_Adrift - ジャンル:音楽

「双子座グラフィティ」 (キリンジ 1998年8月26日)


ペイパー・ドライヴァーズ・ミュージックペイパー・ドライヴァーズ・ミュージック
(1998/10/25)
キリンジ

商品詳細を見る


初出 2011年12月17日

「双子座グラフィティ」 (作詩・作曲 堀米泰行)

☆ これは南半球のクリスマス・ソングだそうである。確かに歌詩の中に「聖火」や「シュハキマセリ(主は来ませり=♪「もろ人こぞりて」)」といった言葉が潜んでいる。




= 以下2016年12月7日追記 =

☆ という訳で,この曲は正味「クリスマス・ソングの極北」ならぬ「極南」なのである。今年のオリンピックは南アメリカ大陸で初めて行われた。つまり北半球の夏=南半球の冬(8月5日~21日)に「夏季オリンピック」が行われたことになる。オーストラリアで行われた時はどうだったかといえば,1956年メルボルン大会は11月22日~12月8日,2000年シドニー大会は9月15日~10月1日だった。この季節の差が出る理由(地軸の傾きとかそういう話)は中学の理科の時間に習ったが,同じようなことを考えれば「ホワイト・クリスマス」を熱望するのはカリフォルニアの子供だけでなく,南半球(赤道近辺でもいいけれど)の子供たちになるのかもしれない。

☆ という訳で,デュオとしてのキリンジはこの曲でメジャーデビューした。冨田恵一の洒落たアレンジも格好良く,真夏にクリスマス・ソングを引っ提げて(笑)。その後の活躍はまた,別の話。

テーマ:Musically_Adrift - ジャンル:音楽

«  | HOME |  »

プロフィール

deaconblue

Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

最近の記事

最近のコメント

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログランキング

FC2ブログランキング

カレンダー

03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

カテゴリー

月別アーカイブ

RSSフィード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

最近のエントリ

最近のトラックバック