2018-07

私が書きました 「Ai No Corrida (愛のコリーダ)」 (チャズ・ジャンケル 1980年)


初出:2013年1月15日
愛のコリーダ愛のコリーダ
(2005/09/25)
チャズ・ジャンケル

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☆ チャズ・ジャンケルはイアン・デューリーの長年の(曲作りの)パートナーだった。イアンのブロックヘッズ時代の名作の過半はデューリーの猥雑な詩にジャンケルがファンキーな曲をつけたものである(その頂点が全英No.1の「Hit Me With Your Rhythmstick」であることはそういう棒をお持ちでない方にも容易にお分かりになることと思ったりする=自爆=)。その唯一の例外がこの曲で,上に掲げたアルバムのセルフレビューで彼自身がその辺の事情を詳しく語っている(彼がクインシーの自宅に招かれた時のエピソードなどもあってなかなか興味深い内容だった)。

Ai No Corrida
(Lyrics:Kenny Young / Compose:Chaz Jankel)


☆ という訳でジャンケルは曲は書いているが,歌詩は書いていない。歌詩はケニー・ヤングが書いているようだ(Wikipedia 英語版)。「愛のコリーダ」はこの映画(日仏合作)の邦題であり,オリジナルタイトルは「L'Empire des sens(仏)」「In the Realm of the Senses(英)」である。

☆ この曲を選んだのは言うまでもなく大島渚の訃報を目にしたからである。R.I.P.

PS.いちおうお約束だから最後に書いておくが,この曲名を「I Know Corrida」と思っていた人がクインシー以下多数居たという都市伝説(出元は小林克也)がある。

2018年3月19日付記
☆ チャズ・ジャンケル(Chaz Jankel)はイアン・デューリーと活動していた時はチャス・ジャンケル(Chas Jankel)と表記していた。理由はよく知らないが,トヨダが米国で車を売るにあたってトヨタと言い換えた(だから自動織機や通商の会社はトヨタではなくトヨダと読む)のに似たような理由があったのかもしれない。

☆ ジャンケル自身のノートによると,この曲が頭に浮かんだ時「しめた!」と思ったらしい。傑作をものしたという勘が働いたのだと思う。だからジャンケルはこの曲をブロックヘッズに渡さず自らのソロ作のメイン作品に選んだ。ケニー・ヤングがこの曲を貰った頃,大島渚の映画はたぶんロンドンでかかっていたのだろう(日本映画にはまだその程度のパワーがあった)。だがどっちにしてもその映画を見たこともなかったジャンケルには関係のなかったことで,同じような事情がクインシー御大にもあったらしい状況は小林克也の広めた「都市伝説」にそれらしさを加えている(笑)。

☆ ディスコでは当然クインシー盤しかかかっていない(笑)。しかしWikipediaの解説を見るとベルギーでかなりヒットしていて(最高位18位),興味をそそるところである。ちなみにクインシー・ジョーンズの名前でクレジットされた「愛のコリーダ」(1981年4月リリース)はパティー・オースチンら若手をゲストに招き,全英14位,全米(ビルボードHot100)28位のヒットとなったが,売上と関係なく一番ヒットしたのは曲のタイトルに過剰反応した極東の島国であろうと思われる(爆)。

☆ チャズ・ジャンケルはその後,ジョーンズに招待されて一度だけその豪邸を訪ねたことがあるという。まあ確かにマイケル・ジャクソンじゃなくて自分の名義でヒットを飛ばせたのだから作者を招待したくなるクインシー御大の気持ちも分からないではない(笑)。でも70年代末の飛ぶ鳥を落とす(と言っても大ヒットは「Hit Me with Your Rhythm Stick」だけだが)ブロックヘッズに親しんだニューウエイヴ小僧の耳にはデューリーの『Do It Yourself』で縦横無尽に暴れているジャンケルの音の骨格がこのヒット曲からもしっかり聴こえてくるのではあるが。そしてミュージシャン(作曲家・アレンジャー)としてのジャンケルの力量は,クインシー御大がほぼ完コピでカヴァーしたという事実からも明白に分かることだろう(笑)。



残り2本で遊びに行きます。
人通りもすっかり減った元商店街から。
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The Motors 「Dancing The Night Away」 (1977年9月9日)




初出:2011年2月21日
☆ モーターズはパブ・ロック・ムーブメントのバンド,ダックス・デラックスのニック・ガーヴェイとアンディ・マックマスターが中心となり結成されたニュー・ウエイブ・バンドである。彼等はヘヴィ・メタルのバンドと一緒のステージに立っても何の違和感もないギター・ポップ・サウンドを引っ提げてシーンに登場した。彼等の登場はニュー・ウエイブに「パワー・ポップ」という新しいジャンルを確立させた。

Dancing The Night Away (Andy McMaster / Nick Garvey)


☆ これは「オールド・グレイ・ホイッスル・テスト」でのライブ演奏だが,アルバムヴァージョンと寸分たがわぬ長さで演奏し切っている所が凄い。これが「パブ・ロック」で鍛えられた演奏だと言わんばかりで小気味良い。最初のアルペジオを弾いているのがガーヴェイで後のソロを弾いているのがブラム・チャイコフスキーである。

2018年2月2日追記
☆ ニューウエイブになった頃に「パワー・ポップ」というサブカテゴリがあった。モーターズはこのカテゴリの先駆者である。パワー・ポップという言葉は90年代にも音楽ジャンルとして存在したが,モーターズからスタートするこの時代のパワー・ポップはエルヴィズ・コステロのアトラクションズにしてもジョー・ジャクソン・バンドにしてもフォーピースのギター・ポップ・バンドと言った方が良いと思う。ただモーターズの音を作っていたアンディ・マクマスターは優れたキーボーディストでもあったので,モーターズ自身の代表曲はギターポップではない。それがバンドの寿命を縮めてしまったことは非常に残念なことであった。


☝ アルバムヴァージョンです。「オールド・グレイ・ホイッスル・テスト」での彼らの演奏が完全に「この音を再現しきっている」ことが良く分かると思います。(差し替え:2018年2月3日)

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「Come Back and Stay」 (Paul Young 1983年)




初稿:2008年12月1日

Come Back and Stay (Jack Lee)
※ 曲が始まるまで約40秒あります。


Since you've been gone
君が出て行ってしまってから
I shut my eyes
僕は自分の殻に閉じこもり
And I fantasize
あの日のことを思い出しているだけ
That you're here with me
君と一緒に暮らしていた日々
Will you ever return?
僕の元に戻って来てくれないか
I want be satisfied
君との満ち足りた暮らし
'Till you're by my side
僕には必要なんだ
Don't wait any longer...
もうこれ以上待つことは出来ないよ

Why don't you come back?
僕の元に戻ってきてくれないだろうか?
Please hurry, Why don't you come back?
お願いだから今すぐ,僕の元に戻ってきてくれないだろうか?
Please hurry...
お願いだから今すぐ...


Come back and stay for good this time
僕の元に戻って来て,あの楽しかった日々にもう一度
Come back and stay for good this time
僕の元に戻って来て,あの楽しかった日々にもう一度

When you said goodbye
君がさよならを告げた時
I was trying to hide
僕は何とかしてこの現実から逃れようとした
What I felt inside
僕の中で崩れていったもの
Until you passed me by
君が僕の元から去ってから
You said you'd return
君は戻って来ると言ったよね
You said that you'd be mine
君は私はあなたのものと僕に言ったよね
'Till the end of time
あれが最後だった,そしてそれからずっと僕は
Don't wait any longer!
まだ待ち続けるなんてもうこれ以上出来ないよ!

Why don't you come back?
僕の元に戻ってきてくれないだろうか?
Please hurry, Why don't you come back?
お願いだから今すぐ,僕の元に戻ってきてくれないだろうか?
Please hurry...
お願いだから今すぐ...


Come back and stay for good this time
僕の元に戻って来て,あの楽しかった日々にもう一度
Come back and stay for good this time
僕の元に戻って来て,あの楽しかった日々にもう一度

Since you've been gone...
君が出て行ってしまってから
I opened my eyes
僕は目が覚めた
And I realize
そして本当に分ったんだ
What we had together
僕達が積み上げてきたものの大きさが
Will you ever return?
だから戻って来てくれないか?
I'll have you change your mind
今なら君の心を変えてみせるから
If you won't stay mine
もし僕と一緒にいられなかったとしても
Just love me forever!
僕だけをずっと愛していて欲しいんだ!

Why don't you come back?
僕の元に戻ってきてくれないだろうか?
Please hurry, Why don't you come back?
お願いだから今すぐ,僕の元に戻ってきてくれないだろうか?
Please hurry...
お願いだから今すぐ...
Why don't you come back?
僕の元に戻ってきてくれないだろうか?
Please hurry, Why don't you come back?
お願いだから今すぐ,僕の元に戻ってきてくれないだろうか?
Please hurry...
お願いだから今すぐ...


Just come back and stay for good this time
僕の元に戻って来て,あの楽しかった日々にもう一度
Come back and stay for good this time
僕の元に戻って来て,あの楽しかった日々にもう一度
Come back and stay for good this time
僕の元に戻って来て,あの楽しかった日々にもう一度
Don't ever leave me...
どうかもう僕の元から去らないでくれ..

2013年4月26日
☆ 最初にポール・ヤングの名前を見たのは,Q-Tipsというバンドで1970年代末から80年代初めにかけての2Toneブームがデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズに代表されるノーザン・ソウルの復権とストレイ・キャッツやシェイキン・スチーブンスなどのネオ・ロカ(ビリー)・ブームを呼び込む時代だった。おそらくザ・ジャムの最終盤の活動もこれに影響を与えていたが,ダイアー・ストレイツの「悲しきサルタン」でマーク・ノップラーが描写したロンドンの「管楽器の入っているバンド」のシーンはその曲のヒットの頃には一つの潮流となっていた。

☆ とはいえQ-Tipsはデキシーズほどの成功を収めることなく解散し,ポール・ヤングはソロ活動を始め,ほどなくマーヴィン・ゲイのカバー「Wherever I Lay My Hat (That's My Home)」で1983年7月23日に全英No.1に輝く。この曲はそれに続くシングルとして発表され,全英最高位は4位。

2018年1月31日追記
☆ 音楽の流行も服飾やデザインの流行に似ていて,一定の周期を繰り返すという特徴があるように思う。その理由は温故知新ということで,自分の親の時代に流行っていたものが逆に目新しく感じるということだろう。そしてそこにはゼネレーションの差(進化と言うかどうかは評者次第だと思う)があるので当然アップ・トゥ・デイトされることになる(昨年の山中千尋によるセロニアス・モンクの音楽の解析のように)。

☆ そういう視点から70年代末の英国シーンを見た時,パンクはロックンロールの初期衝動(エルヴィスが自然と腰を回したようなこと)に回帰し,2Toneは60年代後半のカリプソ~レゲエ・ブームを再来させ(ほぼ同時期に米国ではサルサとマイアミ・サウンドがこの動きに同期している),ロックンロールへの本家返りはネオロカビリーになり,プログレッシヴ・ロックとグラム・ロックはニュー・ロマンティックスとネオ・グラムになり,電子音楽はテクノ/エレ・ポップを経てオータナティヴに至る。さらに言えばネオ何とかの類はネオ・モッズブームにまで呼び込んで,こういう状況を百花繚乱というのだろうが,とにかく面白いほど混とんとしていたのが当時の英国シーンだった。

☆ ケヴィン・ローランドが初期のデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズで提示したノーザン・ソウルの復権(New Soul Vision)も,彼らが出てきた2Toneの枠を超えて広がった。あとは2013年の解説に書いている通りで,マーク・ノップラーが「悲しきサルタン」で歌った「トランペットが演奏しているバンド」が全英No.1になったこと(デキシーズの「ジーノ」を指す)がポール・ヤングという英国の80年代を代表するブルー・アイド・ソウル・シンガーのひとりをシーンに押し出したのだから,ブームというものを甘く見てはいけないのである(個人的には彼とシンプリー・レッドのミック・ハックネルがこの時代の双璧であると思うし,この二人は間違いなくこの時代の「ブルー・アイド・ソウル」をアップデイトさせることに成功したと思う)。

最高位
No.1:ベルギー,西独,ニュージーランド,スイス、第2位:蘭
第3位:墺,アイルランド,ノルウェー、第4位:英国、第5位:仏
16位:スウェーデン、18位:豪州、22位:米国(ビルボードHot100)、29位:米(キャッシュボックス)、42位:カナダ

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「Thank you for Sending me an Angel(天使をありがとう)」 (トーキング・ヘッズ 1978年7月14日)


モア・ソングスモア・ソングス
1,851円
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☆ トーキング・ヘッズのセカンド・アルバム『モア・ソングス(More Songs About Buildings and Food)』の冒頭を飾るスピード感溢れる曲。ヘッズの初来日は『フィア・オブ・ミュージック』のツアーでたぶん日本青年館(このクラスのバンドがツアーをするにはちょうど良いキャパシティだった)での公演だったと思う。なぜそれを知っているかというと,その当時(まだ全国に4つしかなかった)民放FM局で日曜の夜に放送していた「ゴールデン・ライブ・ステージ」という番組で聴いたから。

☆ 海賊盤には縁が出来にくかった(笑)地方の洋楽ファンにはたまにNHKのテレビやFMでオンエアされる番組同様,非常に有難い番組だった。どういう繋がりでオンエアが決まるのかまで知らなかったが,これと思ったバンドがこの番組でかかるのをFM雑誌片手に楽しみにしていた。当時はFM雑誌の黄金時代で最盛期には4誌も出ていた。そしてそういう雑誌のコンテンツとして,いろんなミュージシャンの対談や連載などがあったが今ではそれ自体が貴重なポピュラー音楽史の資料となっている。

Thank you for Sending me an Angel (David Byrne)


☆ 上のようつべはおそらく「フィア・オブ・ミュージック」のツアーで来日した時と同じセットと思われ,この曲はアンコール曲(セット・リストのいちばん最後)で演奏されている。ぼくはこの曲を聴くとネコ科の動物が獲物に跳びかかる時に身体を縮めるあの動作を思ってしまう。それくらいテンションが凝縮された曲であり演奏だと思う。


☆ この記事を書くためにWikipediaを調べていたが,デヴィッド・バーンが英国人とは知らなかった(驚)。

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「Accidents Will Happen」 (Elvis Costello & The Attractions 1979年5月4日)




Accidents Will Happen (Elvis Costello)


Oh I just don't know where to begin
Though he says he'll wait forever
It's now or never
But she keeps him hanging on
The silly champion
She says she can't go home
Without a chaperone

Chorus:
Accidents will happen
We only hit and run
He used to be your victim
Now you're not the only one
Accidents will happen
We only hit and run
I don't want to hear it
'Cause I know what I've done

There's so many fish in the sea
That only rise up in the sweat and smoke like mercury
But they keep you hanging on
They say you're so young
Your mind is made up but your mouth is undone

(Chorus)

And it's the damage that we do
And never know
It's the words that we don't say
That scare me so

There's so many people to see
So many people you can check up on
And add to your collection
But they keep you hanging on
Until you're well hung
Your mouth is made up but your mind is undone

(Chorus)

I know, I know... (repeat)

Written by
Elvis Costello

Performed by
Elvis Costello & The Attractions

Produced by
Nick Lowe

Musicians
Elvis Costello - vocals, guitar
Steve Nieve - keyboards
Bruce Thomas - bass
Pete Thomas - drums

Recorded
August-September 1978, Eden Studios, London

最高位 全英:28位


☆ そういえば,このアルバムが出た79年10月にブロンディの出したアルバム『Eat to the Beat(恋のハートビート)』の中に「Accidents Never Happen」て曲が入っているが何かの当てこすりだろうか(爆)。

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Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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