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2019-08

【補正・追加済】 「Daydream」 (山下達郎 1980年9月19日=アルバムリリース)



「Daydream」 (作詩:吉田美奈子 / 作・編曲:山下達郎)


たくさんのペイントを
空に向け撒き散らすと
ビル街に跳ね上げて
砕ける スカーレット グラスグリーン
流れる バイオレット ショックピンク
渦巻く ローズグレー ペールブルー
たちまちに

街並みに細い糸
限り無くからまって
水玉に弾み出す
砕ける ワインレッド カーマイン
流れる ココブラウン イエロー
渦巻く チェリー ダークオレンジ
またたく間に

DAYDREAM 遅い夏の午後
DAYDREAM UH
DAYDREAM 眠りに落ちたなら
見えて来る!

スプレーで描かれた
虹色のステップを
翔け昇り飛び出して
見渡すと色のパレード


DAYDREAM 遅い夏の午後
DAYDREAM UH
DAYDREAM 眠りに落ちたなら
見えて来る!

金色の粉の雨
風に乗せ放り投げる
高くから降りそそぐ
光に シルバー メタリック
眩しい カッパー プラチナ
輝け キャンディー ブライトゴールド
溢れ出る色の渦
巻き込むパレード DAYDREAM!

Wikipediaの解説
> 山下によれば吉田美奈子が彼に提供した詞の最高傑作だとし、日本語の乗りにくい細かな譜割りのメロディーをクリアするために、アクリル・カラーのチャート表から詞を作り上げる発想は彼女以外には出来ないワザだという。ライブ映えする曲ということで、その後も数多く演奏されている。シングル「MY SUGAR BABE」のB面に収録された。

☆ 山下達郎が「夏男」にされていった過程は,例えば「Let's Kiss the Sun」のような従前の作品にも傾向性はある(よく考えればソロデビュー作にも「夏の陽」があるし)。しかしこのアルバムからはかなり意識的に行われたのではないか。この曲のラインは直接的には次作『FOR YOU』も2曲目の「MUSIC BOOK」(吉田/山下作品)に引き継がれているが,『FOR YOU』は鈴木英人のイラストやアルバム(LPのA・B面)のそれぞれ1曲目「SPARKLE」と「LOVELAND, ISLAND」が典型的なように「夏」がポイントになっている。

☆ そのことはこの曲と「MUSIC BOOK」を比べて見れば分かる。この曲は吉田美奈子の抜群の詩のセンス(色彩感覚!)は光るものの音の面では「MUSIC BOOK」のポップさに比べるとまだ落ち着きがある。また曲の流れを考えてもキラキラ感満載の「SPARKLE」を引き継いで色彩感覚のポップさを生かしながら少しクールダウンさせようとする「MUSIC BOOK」の流れの方がより「暑さ」を感じさせる。

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【追記あり】「マーマレイド・グッドバイ -Marmalade Goodbye-」 (山下達郎 1988年10月19日=アルバムリリース)


☆ ポピュラー・ソングにはその作品が作られた時代が反映される。バブルの時代に山下達郎はただ一言「ぼくはおしゃれじゃないから」と書いて,その時代の喧騒から抜け出す主人公を描いた。この曲に関する(彼自身の)解説はWikipediaの『僕の中の少年』の各曲解説の中にあるので,そちらを参照していただきたい。このアルバムが異彩を放つのは,彼の今までに発表したアルバムの中で唯一タイトルが日本語であることや私生活や自分の感情を抒情的に曲の中に表すことを極力避けている彼にしては珍しく私生活や私的感情を垣間見ることができる部分が多くあることだ。

「マーマレイド・グッドバイ -Marmalade Goodbye-」
(作詩・作曲:山下達郎)


☆ 例えばアルバム冒頭曲の華やかさや掉尾を飾るタイトル曲の主題は明らかに彼ら夫妻に生まれた子供のことを暗示しているし,この曲と「蒼茫」には明らかに時代に対する彼のスタンスが明示されている。それはWikipediaの「解説」を見る限り意識的なものではないが,そうであるからこそ,図らずも時代の本質を衝くことになったのだと思う。それと同じ感覚をぼくは村上春樹の『ダンス、ダンス、ダンス』の中でも強く感じている。あの小説を書いた時,村上は日本にはいなかったと思う。しかし彼が描いたもの,たとえば五反田君のマセラッティに象徴されるもの,あれは紛う事なきあの時代の日本のバブルの煌びやかさであり,空疎さであったと思う。

2019年7月20日追記
☆ ポピュラー音楽の制約はその音楽が創られた時代(背景)を多かれ少なかれ反映することである。作品を創るきっかけは作家が見聞きした出来事であるから(絵画・彫刻・詩・小説から音楽・映画・演劇まで総ての表現芸術に共通),作品の背景から時代感を掴むきっかけになりうる(もちろん芸術に関しては「近代社会以降の話」という限定もあるが)。

☆ 山下達郎に関して言えば「おしゃれ」という単語がこの曲の詩以外に見当たらないという事実がある。彼の深層心理の中にバブルといわれ始めていた時代に対する違和感があったことは間違いなく,その崩壊前後の作品である「ターナーの汽罐車 -Turner's Steamroller-」(1991年8月25日リリース)には彼の個人的な(目撃した)出来事を通じて,その時代を覆いつつあった閉塞感が絵のようにぼんやりと表出されているのである。



☆ この曲でCMタイアップの最後となったホンダ・インテグラは元々ファミリー層をターゲットにしたクイントという車種だった。クイントは名前の通り5ドアのクルマで当時のホンダはシビック,バラード,クイント,アコード,プレリュードあたりがラインナップだったが,商品力の弱かったバラードとクイントがそれぞれCR-Xとインテグラに代わり80年代ホンダの快進撃が始まる。この時代には2代目 AB/BA1型プレリュードがラベル「ボレロ」を使ったCMで大当たりして「デートカー」の王者として君臨していた(それを追い落としたのが日産S13型シルビアで当時の日産はマッキンゼーの教示を受けたセグメント戦略をポストモダン手法のCM手法で広めることに同社の商品力が追いついた上げ潮の時代だった)。あと『僕の中の少年』絡みの話で定番をひとつ挙げると「踊ろよ、フィッシュ」のANA沖縄ツアーのキャンペンガールはそれが実質デビューの石田ゆり子。

☆ 夏だ!海だ!タツローだ!の話はまた後で。

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「スプリンクラー」 (山下達郎 1983年9月28日)


「スプリンクラー」(作詩・作曲 山下達郎) ⇒うたまっぷの歌詞にリンク


Wikipediaの解説⇒ここからリンクにあるように,「“君なしでは生きられない”って言葉はいらない」というのがこの曲のテーマであり,「薄暗い地下道へと流れ落ちる雨」を「壊れたスプリンクラー」に譬(たと)えたのは,愛(情)は双方向的なものであるべきで,そのバランスが崩れた時から喪われていくものだという山下の認識を示している。恋愛における依存関係は,捩(ねじ)れた,もしくは歪(ひず)んだ人間関係になり,そこには対等なものは無いので「それは愛とは呼べない(=”言い出したら それで終り 愛は・・・・・・”)」ということである。

東京メトロ 表参道駅(2)

☆ 山下達郎は歌詩を自分で書くようになって,こうした内省の考察に磨きがかかってきた。それが彼の80年代の収穫である。「自分自身への内省」に重きがあった70年代の詩から「人間関係」への考察,さらに大きな「世界」との関係に広がっていく(「The War Song」や「蒼茫」を聴けばわかる)。それはたぶん彼自身の「家族」というものの捉え方に繋がっている。家族を持ったことで視野が広がったのだろう。また1980年代前半がミニマリズムの時代であったことも微妙な影を落としている。人と人との関係に対して,係わるのか係わらないのかを含めて「あるべき姿」がテーマとなった時代でもあったと思う。

東京メトロ 表参道駅(1)

0613yamatatsu.jpg

山下達郎 : Electric Guitar, Acoustic Guitar, Electric Piano, Synthesizers, Glocken, Percussion, 大正琴 & Background Vocals
青山純 : Drums
伊藤広規 : Electric Bass
井上大輔 : Tenor Sax
吉田保 : Mixing Engineer



上記Wikipediaの解説に付け加えておけば最高位34位という結果に「タイアップもない曲がここまで行けば上出来」というのが当時の達郎の自己評価だった。ちなみにその次のシングルは,クリスマス企画用に12インチのピクチャー盤で発表された「クリスマス・イブ」(1983年12月14日)である。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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