2018-02

「King of the World」 (Steely Dan 1973年7月=アルバムリリース)


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King of the World(Walter Becker / Donald Fagen)


Hello one and all
やあ諸君
Was it you I used to know
諸君はぼくがかつて知っていた君達であろうか
Can't you hear me call
ぼくの名を呼ぶ声が聞こえないのかな
On this old ham radio
この古臭いアマチュア無線で
All I got to say
ぼくが話したいことはといえば
I'm alive and feeling fine
自分はまだ生きていて,気分上々ということだ
If you come my way
もし君達が僕を捕まえにやって来るのなら
You can share my poison wine
ぼくが残した毒入りワインでも分かちあってもらおう

CHORUS:
No marigolds in the promised land
約束の土地に咲くマリーゴールドはもはや無く
There's a hole in the ground
大地には穴ぼこが残されているだけだ
Where they used to grow
それらのものがかつて生まれ育ったしるしとして
Any man left on the Rio Grande
リオ・グランデ川の流れに乗って去って行った者こそが
Is the king of the world
世界の王たるものであったのだ
As far as I know
ぼくが知るのは,そういうこと


I don't want your bread
ぼくは別に君のパンが欲しいのではない
I don't need your helping hand
ぼくは別に君の助けを借りるつもりもない
I can't be no savage
ぼくは別に獰猛な人間でもなければ
I can't be no highwayman
その辺に潜んでいる追剥ぎの仲間でもない
Show me where you are
何処に居るのか知らせてくれ
You and I will spend this day
この日を二人で過ごしたいのだ
Driving in my car
ぼくの車を走らせて
Through the ruins of Santa Fe
サンタ・フェの廃墟を抜けて進もうじゃないか

CHORUS

I'm reading last year's papers
ぼくが読んでいるのは去年の新聞で
Although I don't know why
どうしてだかは知らないけれど
Assassins cons and rapers
殺し屋とか詐欺師とか強姦魔なんて連中は
Might as well die
せいぜいくたばっちまった方が良いのさ

If you come around
もしも君がやって来たら
No more pain and no regrets
これ以上痛みや後悔を感じることは無くなるだろう
Watch the sun go brown
太陽が茶色に灼けるのを見て
Smoking cobalt cigarettes
蒼空に紫煙を燻らせていればいいのさ
There's no need to hide
いまさら逃げ隠れする必要なんかないだろう
Taking things the easy way
さっさとなるようになっちまえばいいんだ
If I stay inside
もしぼくがここに潜伏していたとしても
I might live til Saturday
土曜日までは確かに生きていられるかもしれないね

CHORUS

Personnel
Steely Dan
Donald Fagen – acoustic and electric pianos, synthesizer, lead vocals
Walter Becker – electric bass, harmonica, background vocals
Denny Dias – electric guitar, mixing
Jeff "Skunk" Baxter – electric and pedal steel guitars
Jim Hodder – drums, percussion, background vocals

Additional musicians
David Palmer, James Rolleston, Michael Fennelly – background vocals

Notes(From Wikipedia English)
In his 1999 autobiography A Cure for Gravity, British musician Joe Jackson described Countdown to Ecstasy as a musical revelation for him, that bridged the gap between "pure pop" and his jazz-rock and progressive influences, while furthering his attempts at songwriting.

☆ スティーリー・ダンのセカンド・アルバム『エクスタシー(Countdown to Ecstasy)』の掉尾を飾る隠れ名曲。70年代後半の華麗で奇妙なスティーリー・ダン・ワールドの萌芽が早くもこの曲の中にはある。ホーボー(流れ者)とか無法者という存在は西部劇の時代から大恐慌の時代に至るアメリカのアウトサイダーの典型であり,ベッカーとフェイゲンが曲の題材によく使っている。もっともダンの音楽歴が進むにつれてそれはアップデイトされ,最後は60年代末のサンフランシスコから70年代末のカリブ海に至る華麗なるドラッグ・ワールドと化してしまうのだが。

☆ ところで曲の中に出てくる
No marigolds in the promised land
という一節が気になっていろいろ見ていたら,最近読んだこの本に(またそれかよ)...


☆ この本の中でエピソードとして出てくる「死者の日(Día de Muertos)」の花がマリーゴールドで,Wikipediaの「死者の日(メキシコ)」の解説には「メキシコでは死者の花とも呼ばれるマリーゴールド」なんて紹介のされ方をしている。逆にWikipediaの「マリーゴールド」の解説には「メキシコでは死者の日の祝祭を彩る花として大量に栽培される」と書いてあった。

☆ アメリカの南部は米墨戦争(1846-48)まではメキシコ合衆国の領土だった。リオ・グランデ川(本当はリオが「川」でグランデが「大きな」だから,サハラ砂漠同様に重言になってしまう)は,その流域が元のメキシコ(今のアメリカ)から今のメキシコにわたっているので,当然メキシコの文化的なものの影響は色濃く残っているだろう。そう考えると「世界の王」たるお尋ね者の主人公はリオ・グランデ川を辿ってメキシコに逃げようとして追っ手に包囲されている(なんだか「明日に向かって撃て!」みたいだな)という感じが出てくる。

☆ この北アメリカ的なものと南アメリカ的なものの出会いはダンの音楽(詩)の中では有力な世界観を持っており,それは『ガウチョ』まで一線で辿ることができると思う。
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「Sail the Waterway」 (スティーリー・ダン 1972年)


☆ Wikipedia英語版のスティーリー・ダンにはこんな記述がある。
In 1972, ABC issued Steely Dan's first single, "Dallas", backed with "Sail the Waterway".
> 1972年ABCレコーズはスティーリー・ダンの最初のシングル盤として「ダラス (B面「セイル・ザ・ウォーターウエイ」)」を発売した。

☆ そして「ダラス」の解説はこうなっている。
"Dallas" is the first single by Steely Dan. It was not on the band's debut album Can't Buy a Thrill but was included on the 1978 compilation Steely Dan. It was later covered by Poco in 1975 on their Head Over Heels album.
> 「ダラス」はスティーリー・ダンのファースト・シングルだったが,デビューアルバム『キャント・バイ・ア・スリル』には納められなかった。ただし,1978年に(日本でのみ発売された)コンピレーション盤『スティーリー・ダン』は収録されている。後年この曲は,ポコが75年作品『ヘッド・オーヴァー・ヒールズ』でカヴァーしている。

☆ そのコンピレーション盤の解説はこうなっている。
Steely Dan is a compilation album by Steely Dan, released in Japan in 1978. It is notable as being the only album release of both sides of the 1972 single "Dallas" b/w "Sail the Waterway", although these are in mono and were sourced from a copy of the single.

> 『スティーリー・ダン』は1978年に日本で(のみ)発売されたコンピレーション盤である。このアルバムは彼らが1972年に発表したシングル「ダラス/セイル・ザ・ウォーターウエイ」の2曲ともが収録されていることで有名なアルバムである。しかし残念なことに収められてる2曲はシングルのコピーから採られたモノラル音源である。

Sail the Waterway (Walter Becker / Donald Fagen)



☆ 見れば分かるようにジャケットは山口小夜子(彼女は本当に,この時代の「スーパーモデル」だった)。彼女の登場はたぶん『彩(Aja)』繋がりだと思うが,こちらのジャケットの方が怖そうである(爆)。ちなみに「ダラス」のクレジットは以下のとおり。

Donald Fagen – electric piano, backing vocals
Walter Becker – bass guitar
Denny Dias – guitar
Jeff Baxter – pedal steel guitar
Jim Hodder – drums, lead vocals
David Palmer – backing vocals
Tim Moore – backing vocals

☆ 「セイル・ザ・ウォーターウエイ」もほぼ同じクレジットだろうと思う(フェイゲンのピアノがアコースティックとかはあるけど)。この2作が『シチズン』(スティーリー・ダンのボックス・セット)にすら収録されなかった理由は良く分からない。とにかく二人とも(あるいはゲイリー・カッツを加えた三人が)この件についてどこかで話をしたというニュースを見たことがないのだ。

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「Doctor Wu」 (スティーリー・ダン 1975年3月=アルバムリリース)




Doctor Wu(Walter Becker / Donald Fagen)


Katy tried
ケイティがそれを試した
I was halfway crucified
ぼくは殆ど磔(はりつけ)にされたようなものだった
I was on the other side
ぼくはどこか違う世界にいたのだ
Of no tomorrow
明日の無い世界に

You walked in
あなたがその部屋に入ってきたので
And my life began again
それでぼくの人生がふたたび動き出した
Just when I'd spent the last piaster
まさにぼくが借りることのできる
I could borrow
最後の小銭を差し出した時に

All night long
一晩中
We would sing that stupid song
ぼく達はあのまぬけな歌を歌っていた
And every word we sang
それでもぼく達が歌ったことは
I knew was true
全てが真実だとぼくは知っていた

Are you with me Doctor Wu
ぼくと一緒にいてくれますか,呉(Wu)先生
Are you really just a shadow
あなたはまるで
Of the man that I once knew
ぼくがかつて知っていた,あるかたの影のよう

Are you crazy are you high
あなたはイカれていて,ハイになっているのか
Or just an ordinary guy
それともその辺の真っ当な人のように
Have you done all you can do
出来ることはなんでもやってしまうのか
Are you with me Doctor
そしてぼくとここに居てくれますか,先生?


Don't seem right
正しいことのようには見えないのに
I've been strung out here all night
一晩中クスリに頼って暮らし
I've been waiting for the taste
いまだにその味を試したいと
You said you'd bring to me
あなたが連れていくと話したことを当てにして,待っている

Biscayne Bay
フロリダのビスケーン湾は
Where the Cuban gentlemen sleep all day
キューバからの紳士たちが一日中居眠りをしている
I went searching for the song
ぼくはあの歌を探し続けていた
You used to sing to me
むかしあなたがぼくに歌ってくれたあの歌を

Katy lies
ケイティは嘘つき
You could see it in her eyes
その嘘は彼女の瞳の中に浮かんでいる
But imagine my surprise
だけどあなたと出逢った時の
When I saw you
ぼくのあの驚きを想ってごらん

Are you with me Doctor Wu
ぼくと一緒にいてくれますか,呉(Wu)先生?
Are you really just a shadow
あなたはまるで
Of the man that I once knew
ぼくがかつて知っていた,あるかたの影のよう

She is lovely yes she's sly
彼女は愛らしく,そう,そして小狡(ずる)い
And you're an ordinary guy
それなのにあなたはまるで普通の人のように
Has she finally got to you
彼女は最後にあなたのところに向かうのでしょう
Can you hear me Doctor
聞こえていますか,先生?
Are you with me Doctor
ぼくと一緒にいてくれますか,先生?

☆ 前回のエントリーにコメントいただき,どうもありがとうございました。


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サヨナラだけが,人生だ。


ウォルター・ベッカー氏が死去 米ギタリスト
2017/9/4 11:34 (記事出典:日本経済新聞 電子版)

> ウォルター・ベッカー氏(米ギタリスト)公式ウェブサイトによると3日に死亡、67歳。死因など詳細は明らかにしていないが、米メディアによると病気療養中だった。

> 大学在学中に知り合ったドナルド・フェイゲンらと米ジャズ・ロックバンド「スティーリー・ダン」を結成、70年代を中心にヒット曲を連発した。(ニューヨーク=共同)

☆ ウォルター・ベッカーの訃報を見て最初に思ったことは,90年代にスティーリー・ダンの公演を何度か見ることが出来たことが,ぼくの人生にとってどれだけの幸運であったか,ということだった。

☆ 当時,再び活動を始めたスティーリー・ダンのコンサートは,最初は比較的大きなホール・コンサートから始まった。その中でベッカーは発表したばかりのソロアルバムから「Book of Liars」を歌った。彼のコーナーは,ストーンズにおけるキースのコーナーのようなものになってしまったので,その後小規模なライブハウスで見た時に,曲が「親父の嫌いなニューヨーク・シティ(Daddy Don't Live in That New York City No More)」に差し替えられていた。たぶんベッカーが歌った唯一のフェイゲンの持ち歌だろうと思う。


☆ 皮肉な話だが,スティーリー・ダンについて書かれたブライアン・スウィートのこの本が間もなく(9月8日)復刊される。この本には80年前後の彼等,特にベッカーにまつわるひとつの悲しいエピソードが綴られている。この話は当時,ウエスト・コーストでミュージシャン達が引き起こした性質(たち)の悪い醜聞のひとつとして面白おかしく語られたこともあったが,スウィートは全く異なる真相を明らかにしており,本を読んだ時にほっとしたことを思い出す。

☆ ただ,そのことはベッカーにとって80年代前半を棒に振るほどの事件であって,彼がハワイで自分を取り戻した時,スティーリー・ダンもまた記憶の彼方から呼び戻されることになのだろうと思う(『ニューヨーク・ロック&ソウル・レビュー・アット・ビーコン・シアター』のこと)。

☆ フェイゲンとベッカー,そしてゲーリー・カッツの三人が創りあげていった70年代後半のスティーリー・ダン(の諸作品)は,ぼくにとって最高の宝物であり,こういう音楽をその誕生の時から長きにわたって楽しむことができたことは,たとえ他のあらゆるものの価値がぼくの人生から喪われたとしても,ぼくにとって「生きていてよかった」と言える,最後の,そして最大最高の証なのである。

R.I.P. ウォルター・ベッカー(1950年2月20日-2017年9月3日)。 あなたの音楽よ 永遠なれ。

2017年9月4日
deacon_blue@Musically_Adrift '77 Revisited

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「Pearl of the Quarter」 (Steely Dan 1973年7月=アルバムリリース)



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☆ 英語版Wikipedhiaの解説によると,スティーリー・ダンのセカンド・アルバム『カウントダウン・トゥ・エクスタシー』はデビュー後のツアーの合間をぬって制作され,最高位は35位,RIAA認定ゴールド・ディスク(50万枚出荷)は獲得しているので,世間で思われたほどコケた訳でもなさそうだ(笑)。前作でヴォーカルを取ったデヴィッド・パーマーはグループを離れ,結果としてフェイゲンがヴォーカルを取ることになり,スティーリー・ダンの顔がここに固まる。ただし音楽の方はファースト・ナンバー「菩薩」の強力なブギウギからこの曲や「マイ・オールド・スクール」のような愛すべき作品,「ショウビズ・キッズ」のように後年のダン(「グラマー・プロフェッション」や「バビロン・シスターズ」を思い浮かべれば納得できるだろう)を彷彿とさせるものなど,まだ可能性の塊だった若きベッカーとフェイゲンの音楽世界があまり手を加えることなく差し出されていることが分かる。

最高位(Billboard誌調べ)
『カウントダウン・トゥ・エクスタシー』 全米35位
「ショウビズ・キッズ」 全米61位
「マイ・オールド・スクール / パール・オブ・ザ・クォーター」 全米63位

☆ 「パール・オブ・ザ・クォーター」はこの曲のYouTubeで紹介している人の解説の通りの作品だ。どことなく南部っぽさが漂うのはそのせいもあるが,「朝日のあたる家」や「ホンキー・トンク・ウイメン」とはまた違う感じ(この曲をB面としてシングル・カットされた「マイ・オールド・スクール」とは同じ匂い)がする。

> One of my favourite Steely Dan songs. It's about a guy in love with a prostitute.
(Script by meltoninyourmouth)

☆ 『カウントダウン・トゥ・エクスタシー』は,この曲に続き「キング・オブ・ザ・ワールド」で幕を閉じるのだが,俗に言う「初期ダンが好き」というヒトのかなりの部分が,この「流れ」を好んでいるだろうと思う(例えばこの曲の最後の最後に,フェイゲンがまるでセロニアス・モンクみたいに添える一音とか)。音はジャケットの写真のような夢見心地を感じさせつつ,詩はあくまでもほろ苦くシュールである。このバランスが初期ダンの魅力なのだから。

Pearl of the Quarter (Donald Fagen / Walter Becker)



On the water down in New Orleans
My baby's the pearl of the quarter
She's a charmer like you never seen
Singing voulez voulez voulez vous

Where the sailor spend his hard-earned pay
Red beans and rice for a quarter
You can see her almost any day
singing voulez voulez voulez vous

CHORUS:
And if you hear from my Louise
Won't you tell her I love her so
Please make it clear
When her day is done
She got a place to go

I walked alone down the miracle mile
I met my baby by the shine of the martyr
She stole my heart with her Cajun smile
Singing voulez voulez voulez vous

She loved the million dollar words I say
She loved the candy and the flowers that I bought her
She said she loved me and was on her way
Singing voulez voulez voulez vous

CHORUS

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deaconblue

Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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