2017-10

「Sail the Waterway」 (スティーリー・ダン 1972年)


☆ Wikipedia英語版のスティーリー・ダンにはこんな記述がある。
In 1972, ABC issued Steely Dan's first single, "Dallas", backed with "Sail the Waterway".
> 1972年ABCレコーズはスティーリー・ダンの最初のシングル盤として「ダラス (B面「セイル・ザ・ウォーターウエイ」)」を発売した。

☆ そして「ダラス」の解説はこうなっている。
"Dallas" is the first single by Steely Dan. It was not on the band's debut album Can't Buy a Thrill but was included on the 1978 compilation Steely Dan. It was later covered by Poco in 1975 on their Head Over Heels album.
> 「ダラス」はスティーリー・ダンのファースト・シングルだったが,デビューアルバム『キャント・バイ・ア・スリル』には納められなかった。ただし,1978年に(日本でのみ発売された)コンピレーション盤『スティーリー・ダン』は収録されている。後年この曲は,ポコが75年作品『ヘッド・オーヴァー・ヒールズ』でカヴァーしている。

☆ そのコンピレーション盤の解説はこうなっている。
Steely Dan is a compilation album by Steely Dan, released in Japan in 1978. It is notable as being the only album release of both sides of the 1972 single "Dallas" b/w "Sail the Waterway", although these are in mono and were sourced from a copy of the single.

> 『スティーリー・ダン』は1978年に日本で(のみ)発売されたコンピレーション盤である。このアルバムは彼らが1972年に発表したシングル「ダラス/セイル・ザ・ウォーターウエイ」の2曲ともが収録されていることで有名なアルバムである。しかし残念なことに収められてる2曲はシングルのコピーから採られたモノラル音源である。

Sail the Waterway (Walter Becker / Donald Fagen)



☆ 見れば分かるようにジャケットは山口小夜子(彼女は本当に,この時代の「スーパーモデル」だった)。彼女の登場はたぶん『彩(Aja)』繋がりだと思うが,こちらのジャケットの方が怖そうである(爆)。ちなみに「ダラス」のクレジットは以下のとおり。

Donald Fagen – electric piano, backing vocals
Walter Becker – bass guitar
Denny Dias – guitar
Jeff Baxter – pedal steel guitar
Jim Hodder – drums, lead vocals
David Palmer – backing vocals
Tim Moore – backing vocals

☆ 「セイル・ザ・ウォーターウエイ」もほぼ同じクレジットだろうと思う(フェイゲンのピアノがアコースティックとかはあるけど)。この2作が『シチズン』(スティーリー・ダンのボックス・セット)にすら収録されなかった理由は良く分からない。とにかく二人とも(あるいはゲイリー・カッツを加えた三人が)この件についてどこかで話をしたというニュースを見たことがないのだ。

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「Doctor Wu」 (スティーリー・ダン 1975年3月=アルバムリリース)




Doctor Wu(Walter Becker / Donald Fagen)


Katy tried
ケイティがそれを試した
I was halfway crucified
ぼくは殆ど磔(はりつけ)にされたようなものだった
I was on the other side
ぼくはどこか違う世界にいたのだ
Of no tomorrow
明日の無い世界に

You walked in
あなたがその部屋に入ってきたので
And my life began again
それでぼくの人生がふたたび動き出した
Just when I'd spent the last piaster
まさにぼくが借りることのできる
I could borrow
最後の小銭を差し出した時に

All night long
一晩中
We would sing that stupid song
ぼく達はあのまぬけな歌を歌っていた
And every word we sang
それでもぼく達が歌ったことは
I knew was true
全てが真実だとぼくは知っていた

Are you with me Doctor Wu
ぼくと一緒にいてくれますか,呉(Wu)先生
Are you really just a shadow
あなたはまるで
Of the man that I once knew
ぼくがかつて知っていた,あるかたの影のよう

Are you crazy are you high
あなたはイカれていて,ハイになっているのか
Or just an ordinary guy
それともその辺の真っ当な人のように
Have you done all you can do
出来ることはなんでもやってしまうのか
Are you with me Doctor
そしてぼくとここに居てくれますか,先生?


Don't seem right
正しいことのようには見えないのに
I've been strung out here all night
一晩中クスリに頼って暮らし
I've been waiting for the taste
いまだにその味を試したいと
You said you'd bring to me
あなたが連れていくと話したことを当てにして,待っている

Biscayne Bay
フロリダのビスケーン湾は
Where the Cuban gentlemen sleep all day
キューバからの紳士たちが一日中居眠りをしている
I went searching for the song
ぼくはあの歌を探し続けていた
You used to sing to me
むかしあなたがぼくに歌ってくれたあの歌を

Katy lies
ケイティは嘘つき
You could see it in her eyes
その嘘は彼女の瞳の中に浮かんでいる
But imagine my surprise
だけどあなたと出逢った時の
When I saw you
ぼくのあの驚きを想ってごらん

Are you with me Doctor Wu
ぼくと一緒にいてくれますか,呉(Wu)先生?
Are you really just a shadow
あなたはまるで
Of the man that I once knew
ぼくがかつて知っていた,あるかたの影のよう

She is lovely yes she's sly
彼女は愛らしく,そう,そして小狡(ずる)い
And you're an ordinary guy
それなのにあなたはまるで普通の人のように
Has she finally got to you
彼女は最後にあなたのところに向かうのでしょう
Can you hear me Doctor
聞こえていますか,先生?
Are you with me Doctor
ぼくと一緒にいてくれますか,先生?

☆ 前回のエントリーにコメントいただき,どうもありがとうございました。


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サヨナラだけが,人生だ。


ウォルター・ベッカー氏が死去 米ギタリスト
2017/9/4 11:34 (記事出典:日本経済新聞 電子版)

> ウォルター・ベッカー氏(米ギタリスト)公式ウェブサイトによると3日に死亡、67歳。死因など詳細は明らかにしていないが、米メディアによると病気療養中だった。

> 大学在学中に知り合ったドナルド・フェイゲンらと米ジャズ・ロックバンド「スティーリー・ダン」を結成、70年代を中心にヒット曲を連発した。(ニューヨーク=共同)

☆ ウォルター・ベッカーの訃報を見て最初に思ったことは,90年代にスティーリー・ダンの公演を何度か見ることが出来たことが,ぼくの人生にとってどれだけの幸運であったか,ということだった。

☆ 当時,再び活動を始めたスティーリー・ダンのコンサートは,最初は比較的大きなホール・コンサートから始まった。その中でベッカーは発表したばかりのソロアルバムから「Book of Liars」を歌った。彼のコーナーは,ストーンズにおけるキースのコーナーのようなものになってしまったので,その後小規模なライブハウスで見た時に,曲が「親父の嫌いなニューヨーク・シティ(Daddy Don't Live in That New York City No More)」に差し替えられていた。たぶんベッカーが歌った唯一のフェイゲンの持ち歌だろうと思う。


☆ 皮肉な話だが,スティーリー・ダンについて書かれたブライアン・スウィートのこの本が間もなく(9月8日)復刊される。この本には80年前後の彼等,特にベッカーにまつわるひとつの悲しいエピソードが綴られている。この話は当時,ウエスト・コーストでミュージシャン達が引き起こした性質(たち)の悪い醜聞のひとつとして面白おかしく語られたこともあったが,スウィートは全く異なる真相を明らかにしており,本を読んだ時にほっとしたことを思い出す。

☆ ただ,そのことはベッカーにとって80年代前半を棒に振るほどの事件であって,彼がハワイで自分を取り戻した時,スティーリー・ダンもまた記憶の彼方から呼び戻されることになのだろうと思う(『ニューヨーク・ロック&ソウル・レビュー・アット・ビーコン・シアター』のこと)。

☆ フェイゲンとベッカー,そしてゲーリー・カッツの三人が創りあげていった70年代後半のスティーリー・ダン(の諸作品)は,ぼくにとって最高の宝物であり,こういう音楽をその誕生の時から長きにわたって楽しむことができたことは,たとえ他のあらゆるものの価値がぼくの人生から喪われたとしても,ぼくにとって「生きていてよかった」と言える,最後の,そして最大最高の証なのである。

R.I.P. ウォルター・ベッカー(1950年2月20日-2017年9月3日)。 あなたの音楽よ 永遠なれ。

2017年9月4日
deacon_blue@Musically_Adrift '77 Revisited

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「Pearl of the Quarter」 (Steely Dan 1973年7月=アルバムリリース)



エクスタシーエクスタシー
2,097円
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☆ 英語版Wikipedhiaの解説によると,スティーリー・ダンのセカンド・アルバム『カウントダウン・トゥ・エクスタシー』はデビュー後のツアーの合間をぬって制作され,最高位は35位,RIAA認定ゴールド・ディスク(50万枚出荷)は獲得しているので,世間で思われたほどコケた訳でもなさそうだ(笑)。前作でヴォーカルを取ったデヴィッド・パーマーはグループを離れ,結果としてフェイゲンがヴォーカルを取ることになり,スティーリー・ダンの顔がここに固まる。ただし音楽の方はファースト・ナンバー「菩薩」の強力なブギウギからこの曲や「マイ・オールド・スクール」のような愛すべき作品,「ショウビズ・キッズ」のように後年のダン(「グラマー・プロフェッション」や「バビロン・シスターズ」を思い浮かべれば納得できるだろう)を彷彿とさせるものなど,まだ可能性の塊だった若きベッカーとフェイゲンの音楽世界があまり手を加えることなく差し出されていることが分かる。

最高位(Billboard誌調べ)
『カウントダウン・トゥ・エクスタシー』 全米35位
「ショウビズ・キッズ」 全米61位
「マイ・オールド・スクール / パール・オブ・ザ・クォーター」 全米63位

☆ 「パール・オブ・ザ・クォーター」はこの曲のYouTubeで紹介している人の解説の通りの作品だ。どことなく南部っぽさが漂うのはそのせいもあるが,「朝日のあたる家」や「ホンキー・トンク・ウイメン」とはまた違う感じ(この曲をB面としてシングル・カットされた「マイ・オールド・スクール」とは同じ匂い)がする。

> One of my favourite Steely Dan songs. It's about a guy in love with a prostitute.
(Script by meltoninyourmouth)

☆ 『カウントダウン・トゥ・エクスタシー』は,この曲に続き「キング・オブ・ザ・ワールド」で幕を閉じるのだが,俗に言う「初期ダンが好き」というヒトのかなりの部分が,この「流れ」を好んでいるだろうと思う(例えばこの曲の最後の最後に,フェイゲンがまるでセロニアス・モンクみたいに添える一音とか)。音はジャケットの写真のような夢見心地を感じさせつつ,詩はあくまでもほろ苦くシュールである。このバランスが初期ダンの魅力なのだから。

Pearl of the Quarter (Donald Fagen / Walter Becker)



On the water down in New Orleans
My baby's the pearl of the quarter
She's a charmer like you never seen
Singing voulez voulez voulez vous

Where the sailor spend his hard-earned pay
Red beans and rice for a quarter
You can see her almost any day
singing voulez voulez voulez vous

CHORUS:
And if you hear from my Louise
Won't you tell her I love her so
Please make it clear
When her day is done
She got a place to go

I walked alone down the miracle mile
I met my baby by the shine of the martyr
She stole my heart with her Cajun smile
Singing voulez voulez voulez vous

She loved the million dollar words I say
She loved the candy and the flowers that I bought her
She said she loved me and was on her way
Singing voulez voulez voulez vous

CHORUS

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「The Goodbye Look」 (Donald Fagen 1982年10月29日=アルバムリリース)


故フィデル・カストロ氏
フィデル・カストロ前議長が死去 
ロイター 2016年 11月 26日 15:14 JST
> 【ハバナ共同】キューバ国営テレビによると、1959年1月の革命以来、約半世紀にわたりキューバの最高指導者として君臨し、世界中の左翼運動に影響を与えたフィデル・カストロ前国家評議会議長が25日、死去した。90歳。弟のラウル・カストロ国家評議会議長が明らかにした。2006年7月に腸内出血で手術を受けた後、08年2月に元首である議長職を引退していた。

> 国民の動揺は避けられないが、跡を継いだラウル氏が安定した政権運営を行っており、社会主義体制は当面、堅持される見通し。

> オバマ大統領は16年3月、現職米大統領として88年ぶりとなる歴史的なキューバ訪問を果たした。

初出 2014年12月27日

キューバと国交正常化交渉、米大統領が開始発表
2014年 12月 18日 06:55 JST

> [ワシントン 17日 ロイター] - オバマ米大統領は17日、1961年以来国交を断絶しているキューバとの国交正常化に向けた交渉を開始すると発表した。両国は相互に大使館を設置する方針。

> オバマ大統領は米東部時間正午(日本時間18日午前2時)に声明を発表。米国のこれまでの対キューバ政策は時代遅れなもので、効果はなかったとし、政策転換は「正しい」との認識を表明。「米国は過去のくびきからの解放を選択した」と述べた。

> オバマ大統領はまた、米国とキューバの間の協議を取り持ったとしてカナダ政府に謝意を表明した。

> オバマ大統領は前日、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長と約1時間にわたり電話で会談している。

> 大統領の発表に先立ち米政府高官は、対キューバ強硬路線は効果を示していないとの考えがオバマ政権内に存在していたことが政策転換につながったとし、「米国の外交政策で賞味期限が切れたものがあったとすれば、それは対キューバ政策だった」と述べた。

> *内容を追加して再送します。

The Goodbye Look
(Donald Fagen 1982年10月29日=アルバムリリース)



NightflyNightfly
(1993/04/21)
Donald Fagen

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以下2016年11月27日付記

☆ ここ数年,キューバに行くことの制約が無くなり始め,向こうに行くと1950年代のアメリカ車(テールフィンも雄々しい,典型的アメ車)がガラパゴス諸島の生物のように走っている姿が評判になりつつあった。その光景はフィデルやチェ(ゲバラ)らがバティスタを倒して以降ほとんど変わっていなかった筈だ。恐らく最近はそうしたヴィンテージカーが好きな人が無邪気にハバナ行きの飛行機に乗っているのだろう。あとお砂糖や葉巻やそれ以上のモノが好きなごく一部の人達も。



☆ フェイゲンの曲はそういうキューバが始まる直前のハバナの光景を鮮やかに描いている。先日たまたま読んだ本にもなぜキューバ革命が成功したかという一節があって興味深かった。



☆ カストロとゲバラが革命に成功したのは無線放送(ラジオ)という当時最先端のツールを得たことだった。これと同じストーリィは「アラブの春」におけるSNSであることは言うまでもない。そういう意味ではやろうと思えば革命が起きやすいという何とも言えない状況が出現している。その革命やそれがイスラム原理主義のジハードや新たな反動政権の誕生にすり替えられていく光景を老いたカストロはどのように見ていたのだろうか?

I know what happens
I read the book
I believe I just got the goodbye look
Won't you pour me a Cuban breeze Gretchen?

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deaconblue

Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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