2018-02

「やさしく歌って(Killing Me Softly with His Song)」 (ロバータ・フラック 1973年1月21日)


やさしく歌ってやさしく歌って
(2013/04/24)
ロバータ・フラック

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初出:2013年7月3日(訳詩追加:2018年2月14日)

☆ 1972年と73年。歌の神様はロバータ・フラックを見出した。最初に起こった奇跡は彼女が1969年のデビューアルバムに収録した曲「愛は面影の中に(The First Time Ever I Saw Your Face)」がクリント・イーストウッドの初監督作品『恐怖のメロディ(Play Misty for Me)』に取り上げられ全米No.1に輝いたことだった。「愛は面影の中に」は1972年度のグラミー賞でRecord Of The Year(最優秀レコード賞)を獲得した。

☆ その年,ロバータは偶然飛行機の中であるメロディーに出会う。それはロリ・リーバーマンという女性歌手が歌った曲でリーバーマンの経験を元にノーマン・キンベルが詩を書き,チャールズ・フォックスが曲を書いた「やさしく歌って」という曲だった。Wikipediaの解説によるとリーバーマンが見たのは無名時代のドン・マクリーンだったという。

☆ この曲を気に入ったロバータは自らレコーディングし,シングルとして発表するとその僅か4週間後に曲は全米No.1に輝いた(1973年2月24日から5週連続)。そして彼女はこの曲で73年度のグラミー賞の3部門(最優秀レコード,最優秀楽曲,最優秀女性ヴォーカル)を独占するのである。長いグラミーの歴史の中で最優秀レコード賞を2年連続受賞したのは他にU2がいるのみである。


Killing Me Softly With His Song (Charles Fox / Norman Gimbel)



Strumming my pain with his fingers
わたしの痛みをそっとつま弾いて
Singing my life with his words
わたしの暮らしをその言葉で歌ってくれる
Killing me softly with his song
彼の歌がわたしをそっと癒してくれる
Killing me softly with his song
彼の歌がわたしをそっと癒してくれる
Telling my whole life with his words
わたしの人生を彼の言葉は語り尽してくれる
Killing me softly with his song
そして彼の歌はわたしをやさしく癒してくれるの

I heard he sang a good song
わたしは彼が素敵な曲を歌っているのが聞こえた
I heard he had a style
わたしは彼はステキな歌い手だと思ったの
And so I came to see him
だからわたしはそこに行った
To listen for a while
ほんの少しの間,彼の歌を聴きたくて
And there he was this young boy
そして彼はほんの少年のようだったのに
A stranger to my eyes
わたしの目には全然違ったヒトに見えたの

Strumming my pain with his fingers
Singing my life with his words
Killing me softly with his song
Killing me softly with his song
Telling my whole life with his words
Killing me softly with his song

I felt all flushed with fever
その時わたしは自分の顔が火照っていることに気付いたの
Embarrassed by the crowd
大勢の人の中で気まずく感じてた
I felt he found my letters
彼がわたしの彼への手紙を見つけて
And read each one out loud
そして彼はそれを朗々と読み上げているように感じていたの
I prayed that he would finish
わたしは思わず彼がその歌を早く終わらせてって願ったわ
But he just kept right on
だけどその歌はまさにその時,歌い続けられていたの

Strumming my pain with his fingers
Singing my life with his words
Killing me softly with his song
Killing me softly with his song
Telling my whole life with his words
Killing me softly with his song

He sang as if he knew me
彼はまるで私を知っているかのようにその歌を歌っていた
In all my dark despair
わたしの絶望の奥底の中までも
And then he looked right through me
そのとき彼の視線はわたしを真直ぐ貫いていたの
As if I wasn't there
あたかもそこにわたしがいないかのように
And he just kept on singing
そして彼はその歌を歌い続けた
Singing clear and strong
ハッキリと力強く,その歌を

Strumming my pain with his fingers
Singing my life with his words
Killing me softly with his song
Killing me softly with his song
Telling my whole life with his words
Killing me softly with his song

[Break]

Strumming my pain with his fingers
Singing my life with his words
Killing me softly with his song
Killing me softly with his song
Telling my whole life with his words
Killing me

He was strumming my pain
Yeah, he was singing my life
Killing me softly with his song
Killing me softly with his song
Telling my whole life with his words
Killing me softly
With his song

2018年2月14日付記

☆ ソフト&メロウという言葉がポピュラー・ソングの流行語になる遥か前から,この歌は永遠の生命を得ていたと思う。女のヒトのキラー・センテンス(殺し文句)に「やさしくして」というのがあった頃の話だ。有り体に言えば "Killing Me Softly" って,この「やさしくして」そのものなので,邦題は歌の本質を衝いている。彼女のシンガーとしての力量は[Break]のところに如実に出ているにもかかわらず,全体的にそれを抑えた(控えたと言えるかもしれない)ところもこの曲の価値を上げている。単調なフレーズの繰り返しに堕することなく,曲の余韻を徐々に深めていく。そこには少しずつ継ぎ足されていく感情が交(まじ)り合い,主人公の女性の心裡(心の内側)を「言葉(歌詩)ではなく,歌そのもので」感じさせていくのである。

☆ 冬の寒い夜にホットココアの温もりは身体に染み渡る。ロバータのこの歌はそんな感じがしませんか?
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「The Edge of Heaven(エッジ・オブ・ヘブン)」 (Wham! 1986年6月18日)


ザ・ファイナルザ・ファイナル
1,836円
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☆ ワム!の事実上の最後のシングルで,発売直後(6月22日)に1週だけ全英NO.1になった(マドンナの「パパ・ドント・プリーチ」に1位を譲っている)。1986年は英国のポップ/ロック・シーンが転機を迎えた時期だろうと思う。ニュー・ウエイブの時代が本当に終わり,クラブ文化がチャートの主体となっていく。彼らの解散(というよりジョージ・マイケルの単独化)がその流れに棹差した(加速したという意味)ことは間違いない。

The Edge of Heaven (George Michael)



☆ ジョージ・マイケルの才能は全く衰えておらず,むしろピークはやりたいことを全部やってしまったソロ1作目にあるのだが,ワム!というある意味「能天気ポップ」な無邪気さが翳りを持ちながらも最後までキープされていることには一種の感慨を覚えてしまう。もっとも「フリーダム」(1984年9月13日:英、85年7月:米)以降の「作品至上主義」にエピキュリアンであるアンドリュー・リッジリーは「自分の居場所」を悩む(当時のリッジリーなら「悩みを忘れさせるものへの依存」だっただろう)ことになる。この「分裂」はボーイ・ジョージとは違った悩みだっただろうと思うが,この時期にデュラン・デュランは緩やかに,スパンダー・バレエは急激に下降線を辿ったことも「この時代」の終わりを意味していたように思える。

☆ 時代は賑やかな「ビート至上主義(ZTT⇒ストック/エイトキン/ウォーターマン⇒ユーロビート)」かオータナティブを抜け出した「クラブ・ミュージック」,もしくはアトランティック・クロッシングして来た「ラップ/ヒップ・ホップ」に席を譲っていくのである。

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「Goodnight Tonight」 (Wings 1979年3月23日)


220px-Wings_-_Goodnight_Tonight.jpg

Goodnight Tonight (Paul McCartney)


Don't Get Too Tired For Love
ぼく達の愛にもうウンザリだなんて思わないで
Don't Let It End
終わりをつけようなんてしないで
Don't Say Goodnight To Love
愛にさよならをなんて言わないで
It May Never Be The Same Again
そんな情けないことまた言い出しちゃダメだよ
Don't Say It!
それ言っちゃダメ!
Don't Say It!
Say Anything But Don't Say Goodnight Tonight
今夜は何を言っても構わないけど
さよならだけは言わないで

Don't Say It!
Don't Say It!
Say Anything But Don't Say Goodnight Tonight

Don't Say It!
Don't Say It!
You Can Say Anything But Don't Say Goodnight Tonight

Don't Say It!
Don't Say It!
Say Anything But Don't Say Goodnight Tonight

Don't Say It!
Don't Say It!
Say Anything But Don't Say Goodnight Tonight

Don't Get Too Tired For Love
Don't Let It End
Don't Say Goodnight To Love
It's A Feeling That May Never End

Don't Say It!
Don't Say It!
Say Anything But Don't Say Goodnight Tonight

Don't Say It!
Don't Say It!
Say Anything But Don't Say Goodnight Tonight

Don't Say It!
Don't Say It!
You Can Say Anything But Don't Say Goodnight To

☆ ポールもついにディスコ(でかかる曲)やっちゃったのか!というのが当時のリスナーの素直な感想。特にイントロや間奏のスパニッシュ風のギターソロは思わず「サンタ・エスメラルダ!(爆)」という反応もあった(再爆)。でも彼の創る曲は本当に分かりやすいポップなものだった。

☆ PV見てると,なんだかサザンオールスターズがやりそうなことを先取り(サザンはこの頃新曲「いとしのエリー」をリリース)してたみたいな気がする(笑)。でもこの曲にはどこか「お遊び感」があって,どことなく軽さを感じる。たぶんそれはポールが「時代の音」を意識した音創り(流行)にこだわったからだと思う(その反対「不易」の代表曲は77年の「Mull of Kintyre(夢の旅人)」)。訳詩もそれを意識してあちこちの曲の邦題などをさりげなく流用したりしてそれなりに遊んでみますた。

PERSONNEL
Paul McCartney - lead vocals, acoustic and electric lead guitars, bass, drums
Linda McCartney - harmony and backing vocals
Denny Laine - backing vocals, lead guitar
Lawrence Juber - backing vocals, lead guitar
Steve Holley - backing vocals, percussion

最高位
1位:カナダ(2位のものもある)、4位:全米(キャッシュ・ボックス)、
5位:全米(ビルボード)、全英、6位:豪州、ニュージーランド
9位:アイルランド、ノルウェー、24位:蘭、ベルギー、36位:西独
77位:日本(オリコン?)

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「まぼろしの世界(People Are Strange)」 (ザ・ドアーズ 1967年9月)




☆ ドアーズの与えた影響も二世代以上後のロックファンには雑誌の名前(『ストレンジ・デイズ』)くらいにしか残ってないのかもしれない。『まぼろしの世界』はかのデビューアルバム『ハートに火をつけて』ですら廃盤同然の時代にもワーナーパイオニアの洋楽カタログに残っていた(だからその手の洋盤にうるさいレコード屋では目にすることができた)。そして紛らわしいのは同じ邦題「まぼろしの世界」でこの曲がシングルになっていることだ。

People Are Strange (Jim Morrison / Robby Krieger)


People are strange when you're a stranger
Faces look ugly when you're alone
Women seem wicked when you're unwanted
Streets are uneven when you're down

When you're strange
Faces come out of the rain
When you're strange
No one remembers your name
When you're strange
When you're strange
When you're strange

People are strange when you're a stranger
Faces look ugly when you're alone
Women seem wicked when you're unwanted
Streets are uneven when you're down

When you're strange
Faces come out of the rain
When you're strange
No one remembers your name
When you're strange
When you're strange
When you're strange

When you're strange
Faces come out of the rain
When you're strange
No one remembers your name
When you're strange
When you're strange
When you're strange

☆ サイケな時代であれば,この曲の歌詩は「㌧でる最中の幻覚」と捉えてしまえばお終いになるが(笑),ジムが思った以上にこの歌詩には普遍的な力があって,ポスト・モダンの時代に人々がバラバラにされていったあとの景色にも思えてならない。これを「無数のモナドの浮遊」と見るか「ミニマリズムで囲われた私」と見るかは,ロケンロールな主題からはずいぶんズレてしまうが,そういう普遍性の断片をこの「短い繰り返しの詩」は見事に刺しているのである。


☆ でも間違いなくジャックスの『からっぽの世界』の源はここにあると思う。

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「星空のふたり(You Don't Have to Be a Star (To Be in My Show))」 (マリリン・マックー&ビリー・デイヴィス・ジュニア 1976年9月)


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☆ 1976年の暮れはロッド・スチュワート「今夜きめよう(Tonight's the Night (Gonna Be Alright))」のロング・ヒットで終わり(と言いつつ8週目は1977年1月1日付),77年第2週(1月8日)に1週だけNo.1に輝いた夫婦デュオ(というより60年代後半にフィフス・ディメンションの中心メンバーだったと言った方が洋楽ファンには通りが良いかもしれない)マリリン・マックー&ビリー・デイヴィス・ジュニアの名曲「星空のふたり」。このイージーな邦題とは違い(笑),歌詩のイメージはビリー・ジョエルの「素顔のままで」に近い感じがする。

You Don't Have to Be a Star (To Be in My Show) (James Dean / John Glover)


☆ ロッドもある意味ソウルフルな歌手だと思うが,この曲の次のNo.1はレオ・セイヤーの「恋の魔法使い」だし,気が付けば1977年はどっぷりディスコルームのチャートがHot100に定着していたなという感じもする(笑)。しかしグループから中心メンバーがふたり抜けて,最後に結婚するって,なんかチェリッシュみたいだな(爆)。夫婦デュオといえばキャプテン&テニールもいたし,それ以上にさすがこの二人のデュエットは息も合ってるしソウルフルで当時のディスコ(本邦も含めて)ではさぞかし盛り上がっただろうな。ある意味ミュンヘンサウンドや「サタデー・ナイト・フィーヴァー」前夜であるこの時代のディスコはファンクだけでなくこうした歌モノもガンガンかかっていただろうと思うし,80’sのアーバン/スウィート・ソウルに届く寸前のいわば「ブラコン前夜」的なムードも今となっては懐かしく感じる。

お馴染みYouTube名物「Disco Purrfection Version(7:05 ご堪能あれ)」


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deaconblue

Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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