「Honey Coral Rock」 (Stuff 1979年)
ライヴ・スタッフ/スタッフ

初出:2015年4月13日
☆ All Musicなどを筆頭とする欧米音楽メディアが軽視しているが,日本では全く異なる高評価されたバンドのひとつがスタッフだと思う。スタッフの評価はあちらでは「優雅な課外活動」くらいなものだろう。腕っこきの売れっ子ミュージシャンが自分たちのやりたい音楽をやっているという図式が「優雅な課外活動」なんてステロタイプな評価につながるのは仕方がない。でもスタッフの最大の功績は,さまざまな音楽が重なり合い(クロスオーバー),混じりあった(フュージョン)時代に,音楽でいちばん大切なものは技巧ではなくグルーヴだということを身をもって示したことにあるのではないかと思う。
☆ 確かにスタッフは1980年あたりの東海岸のシーンの一断面ではある(3年くらい前の東京におけるキャラメル・ママ/ティン・パン・アレーのように)。しかし例えばポール・サイモンの『時の流れに』に聴かれるように,ミュージシャンの個性を引き立てながら独自の色合いは決して失わない,このバランスこそが腕っこきの腕っこきたるゆえんであり,ミュージシャンのバックという制約から解き放された時,スタッフのグルーヴは大きなうねりとなってシーンに足跡を残したのである。
Live:新宿厚生年金会館大ホール 1977年11月19日
2019年12月09日追記
☆ 「Honey Coral Rock」 はエリック・ゲイル(September 20, 1938 – May 25, 1994)の作品で彼のソロ作品にも同名の曲があるが,同名異曲という気がする。
『More Stuff』に収録のヴァージョン(5:09)
ゲイルのソロ作品『Negril』に収録の曲(4:02)
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「Sometimes Bubba Gets Down」 (Stuff 1980年 Live at Mikell's New York)
初出:2015年6月18日
モア・スタッフ/スタッフ

Sometimes Bubba Gets Down (Chris Parker)
☆ 邦題を「ブラザーがのった時」というこの曲は,クリス・パーカーの作品でCD化されているミケールズのライブでも冒頭に収録されている。スタジオ盤は4分足らずの短さだが,当時からライブではこんな感じで延々とグルーヴを聴かせていたのだろう(笑)。まったく,このうねるグルーヴがなくてスタッフはないだろうし,ソリッドなフュージョンがクロスオーバーに代わる前のひとときを代表する音だと思う。
イン・ニューヨーク/スタッフ

2019年6月1日追記
Richard Tee (Piano), Cornell Dupree & Eric Gale (Guitars), Gordon Edwards (Bass), Steve Gadd (Drums), Chris Parker (Percussion)
☆ 「リチャード・ティーのようなピアノ」を弾きたい人は多いと思うが,ティーのコピーを超えることは至難の業だろうと思う。
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