2017-08

日本経済新聞 2017年(平成29年)8月10日号(朝刊 第47221号)


カバーズカバーズ
2,057円
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☆ 日本経済新聞の1面コラム「春秋」に忌野清志郎の名前が載っている。1988年6月22日の『COVERS』発売中止広告の話だ。コラムニストは東芝の有価証券報告書(PwCあらた監査法人が同日=2017年8月10日に提出予定。実際に「有報」は提出されたが,コラムが予見した通り「限定つき適正」意見に「救われた」ようである。それは半ばどうでもいいのだが,反原発をテーマに「ラブ・ミー・テンダー」を歌っているかの記載になっているが,これは正しくない。

☆ 「サマータイム・ブルース」は明らかに反原子力発電所がテーマで,人気(ひとけ)が無い海岸で泳いでいて,どうして誰も泳がないのかとあたりを見回したら原子力発電所が立っていたからだという歌詩は,確かにアルバム発売前年のソ連・チェルノブイリ原子力発電所事故や10年ほど前の米・スリーマイル島原子力発電所事故をモチーフにしている。

☆ これに対し「ラブ・ミー・テンダー」は反核ソングであり,原子力発電所は(表面上)関わっていない。東芝EMIがこのレコードの発売を中止した背景は,昨今の同社の窮状に繋がる「原子力ムラ」からの圧力があったことは容易に想像できる(コラムニストの指摘通り)。しかし反核には二つの意味が隠されていると思われる。ひとつは米ソの(といいつつ「主役」は米国の)核兵器にある。もうひとつは,原子力の平和利用という大義名分でプルトニウムをせっせと貯めこんでいく作戦を取った当時の自民党政権(この時は竹下登に代わっていたが,実際に推し進めたのは中曽根康弘であり,その知恵袋になった面子が讀賣新聞社の歴代の首脳陣である)に対しても吐かれた「毒舌」であったからだ。

☆ コラムが皮肉に触れているように,東日本大震災は福島原子力発電所事故を引き起こしたが,幸か不幸か忌野清志郎が癌で亡くなったのはその2年ほど前のことだった。そして「ラブ・ミー・テンダー」の矛先は(彼が後年タイマーズの曲として痛罵した)北朝鮮に移り,東芝はERの中にいる。

☆ こんなコラムが載るほど世の中は大きく変わってしまったのかと立ちすくんでいるのだ。

Three Mile Smile (エアロスミス 1979年11月1日=アルバムリリース)
(Steven Tyler/ Joe Perry)



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こちらロンドン




☆ こちら,ロンドン。よぅ,ジョー。今日も元気かい?こっちはテリーザが下手打ってまたもや「ハング・パーラメント」の悲劇だよ。まったく君が予言したように,氷河期が来るっていうのに太陽はにじり寄ってきているようなフラストレーションが重~い雲のように「にわかムジャヒディン」が暴れるこの街にのしかかって来ちまった。もう本当にウンチって感じだよ。

☆ まったくボンクラばくち打ちのデーヴィッドちゃんのおかげで「ブレグジット」が決まってから,ポンドが叩き売られてフランス旅行がお楽しみになった以外に何にもいいことなかったぜ。フランスに行ったところでお姐ちゃんの尻を追いかける足で突撃テロを避けまくるなんて全くサイテー以外の何物でもないよ。おまけにロチルドの若番頭みたいなエマニュアル・マクロンなんてまるでキャメロンがドーバー海峡を渡ってきたかのようなのが,成り行きで大統領になっちまって,ここもどうなることやら。

☆ そう言えばジョー,こんな話もあるんだ。むかし君たちが熱心に支援していたサンディーノの子ども達は今世紀になって政権に返り咲いたよ。だけどいつの間にか中国の援助と資本を入れてパナマ運河のバイパスみたいな計画をぶちあげているぞ。そうそう。パナマと言えば老ノリエガ将軍がついに君のところに行ったみたいだぜ。えっ?あんなヤツは反対側だろって?それこそ「コントラ」な話じゃないか(爆)。パナマと言えば「パナマ文書」なんてのもあったし,レーガンはノリエガよりもずっと前にそっちに行ったし,関係者がどんどんこの世からいなくなっちまう。因果な話だね。

☆ そう言えば君が褒めていたアナーキーのギタリストが先日君のとこに行ったと思うので暇だったらジャムってくれよ。よろしくね。以上こちら,ロンドン。本日も暗転なり。






英総選挙、保守党敗北=過半数割れも政権維持へ-EU離脱に影響
 【ロンドン時事】欧州連合(EU)離脱交渉などが争点になった8日投票の英下院(定数650)総選挙は、9日までに開票をほぼ終え、メイ首相率いる与党・保守党が議席を減らして過半数(326)を割り込んだ。事実上の敗北で、解散・総選挙の賭けに出た首相には想定外の裏目の結末となった。保守党は第1党を維持したため、首相は他党の協力を仰ぎながら多数を確保し、新政権の樹立を目指す。党内では首相の責任を問う声が強まりそうだ。
 首相はEUとの経済関係より移民規制を重視する「ハード・ブレグジット(強硬な離脱)」を掲げて選挙戦に挑んだが、有権者の幅広い支持を得られなかった。政権基盤は弱まり、離脱への道のりは混沌(こんとん)としてきた。
 最新の集計によると、議席数は保守党が318(改選前330)、最大野党・労働党が261(同229)、EU残留派の自由民主党が12(同9)、野党・スコットランド民族党(SNP)が35(同54)。
 英BBC放送によると、首相は9日、バッキンガム宮殿でエリザベス女王に面会し、続投の意向を伝える方針。スカイニューズ・テレビは、英北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)が保守党に協力すると報じた。DUPは10議席を獲得した。労働党のコービン党首が首相に退陣要求を突き付けており、首相は動揺を鎮めるため、一刻も早い組閣が必要と判断したもようだ。(2017/06/09-20:19)

・テリーザ=テリーザ・メアリー・メイ(Theresa Mary May、1956年10月1日 - )第76代英国首相
・ハング・パーラメント=議院内閣制の政治体制において、立法府でどの政党も議席の単独過半数を獲得していない状態
・にわかムジャヒディン=2017年6月3日英ロンドン中心部のロンドン橋周辺で7人が死亡したテロ事件。なお「ムジャヒディン」とは「イスラム聖戦士」のこと。
・デーヴィッドちゃん=デイヴィッド・ウィリアム・ドナルド・キャメロン(David William Donald Cameron、1966年10月9日 ‐ )第75代英国首相
・エマニュアル・マクロン=エマニュエル・ジャン=ミシェル・フレデリック・マクロン(フランス語: Emmanuel Jean-Michel Frédéric Macron, 1977年12月21日 - )第25代フランス大統領(第5共和政)
・サンディーノの子ども達=サンディニスタ民族解放戦線。1979年に中米ニカラグアで革命を成功させ,ダニエル・オルテガが大統領となる(1985年)。その後アメリカの支援を受けた右派「コントラ」との間で内戦となる。またその過程で「イラン・コントラ事件」が起きる。
・老ノリエガ将軍=マヌエル・アントニオ・ノリエガ・モレノ(Manuel Antonio Noriega Moreno [maˈnwel noˈɾjeɣa], 1934年2月11日 - 2017年5月29日)。パナマ共和国の軍人、政治家。1983年から1989年の間、独裁者として君臨した同国の最高司令官(将軍)。
・アナーキーのギタリスト=逸見泰成。2017年6月4日、死去。57歳没。元妻JILL(PERSONZのヴォーカリスト)への殺人未遂容疑で実刑を食らう。アナーキーはクラッシュの「ロンドンズ・バーニング」のカヴァーを出している(この項はまた別の話)。

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「天使のささやき」 (The Three Degrees 1974年9月27日) / 「ダイヤモンド・ダスト」 (Jeff Beck 1975年3月29日=アルバムリリース)




☆ 今日やたらあちこちで「天使のささやき記念日」と出ていたので,Wikipediaを見てみた。
> 天使の囁き記念日(てんしのささやききねんび)は、1978年(昭和53年)2月17日に北海道幌加内町母子里(もしり)で日本最寒記録の-41.2℃を観測したことを記念し、1994年に制定された記念日である。

☆ これだけではまだ意味が分からない。コトバンクを見るとこう書いてある。
> 天使のささやきの日
> 2月17日。北海道雨竜郡幌加内町の有志が制定。ダイヤモンドダストを観察する交流イベント「天使の囁きを聴く集い」を開く。1978年2月17日、同町母子里で氷点下41.2度を記録(非公式)したことにちなむ。

☆ どうも「天使のささやき」とは,ダイヤモンドダストのことらしい。しかし70年代フィリー・ソウルを知っている者には「天使のささやき」は日本語盤まで出たザ・スリー・ディグリーズの代表作 "When will I see you again" の邦題に決まっている(爆笑)。

When Will I See You Again (Kenny Gamble / Leon Huff)
全米最高位2位(ビルボード)No.1(キャッシュボックス),全英No.1



☆ しかし「天使のささやき」(タイトルに合わせて日本語歌詩を書いた日本語盤ではなくこのオリジナル盤)はむしろ「ウィル・ユー・スティル・ラブ・ミー・トゥモロー」の系譜に連なる歌詩だったりする。女の子はいつでも不安なのだ。。。

【2017年4月16日追加】
この曲を80年代風に解釈すると彩恵津子の89年盤のようになる。非常に良いカヴァーです。

【ここまで追加】




☆ 「ダイヤモンド・ダスト」といえば,ジェフ・ベックのギター美学の究極かもしれない『ブロウ・バイ・ブロウ』(1975年3月29日)の掉尾を飾る名曲(名演)を思い出す。こちらの方が記念日の趣旨には近いのかもしれない。

Diamond Dust (Bernie Holland)



Personnel

Jeff Beck — electric guitars, bass
Max Middleton — keyboards
Phil Chen — bass
Richard Bailey — drums, percussion

George Martin — producer; string arrangements

↓ 本日の決定打(苦笑)


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サンカイ記



☆ いきものがかり(日頃このブログに登場しない名前である)の「放牧」宣言は,古い人間にはYMOの「散開」を思い起こさせた。ただ「時代かな」と思うことは,YMOの場合はビートルズ以来定番の「解散説」が吹き荒れていて三人ともそれに飽きて「じゃあいっそ逆さまに読んだらどうだろう」という発想に至り,うまいこと「散開」という具合の良い単語に辿り着いたのだろう。

☆ 事実としてYMOの三人はその語義どおり「散開」し,ひょんなことから90年代に「再会」した時は御丁寧にもその略称(YMO)にバッテン(☓印)をつけて登場した。それに比べていこものがかりの「放牧」が清々(すがすが)しく感じられるのは,「放牧」という言葉は本来的に元に戻ることが前提(でないと畜産業は成り立たない)ところにある。




☆ Chaosという言葉は,日本語(ローマ字)の発音では「ケイオス」に近い。昔はそんな名前の会社が上場していたがブッ潰れてしまった。。。ちなみにこの曲は「君に胸キュン」のカップリングで『浮気なぼくら』に収録されなかった曲である。

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今年最後の曲



☆ どうせブロックされて「A Happy New Year」が出せないだろうから「笑ってはいけない」見ながら適当に書いた今年最後のエントリー。改めて拙訳を故モーリス・ホワイト(Maurice White、1941年12月19日 - 2016年2月3日)に捧げます。




September (Maurice White/Al McKay/Allee Willis)
Do you remember the
ねえ,覚えてるだろ?
21st night of September?
9月21日の夜のことさ
Love was changing the minds of pretenders
ぼくの中のコイゴコロはちゃんとした形になったのさ
While chasing the clouds away
心の中のモヤモヤを追い払った後にね

Our hearts were ringing
ぼくたちの気持ちは響き合っていたんだ
In the key that our souls were singing.
ぼくらの魂がその扉の鍵を開けるため声を合わせるかのようにね
As we danced in the night,
ひと晩中君と踊っているうちに
Remember how the stars stole the night away
夜空の星たちがその夜をさらっていったんだ

Ba de ya - say do you remember
Ba de ya - ね,覚えてるだろ
Ba de ya - dancing in September
Ba de ya - 九月のあの夜ぼくたちが踊ったことを
Ba de ya - never was a cloudy day
Ba de ya - 心の中の曇りが一掃されたあの夜のことさ

Ba duda, ba duda, ba duda, badu
Ba duda, badu, ba duda, badu
Ba duda, badu, ba duda

My thoughts are with you
ぼくの思いは君に真っ直ぐさ
Holding hands with your heart to see you
手を取り合っただけできみの心持ちをこんな近くに感じることができる
Only blue talk and love,
さえない話も恋のことも
Remember how we knew love was here to stay
ぼく達が恋することを知って,それがここにあると気付くまでのことだった

Now December found the love we shared in September.
いまは12月,9月にぼく達は恋に落ちそれを育み合ってきた
Only blue talk and love,
さえない話も恋のことも
Remember the true love we share today
ぼく達が本当に愛し合っていることを思い起こさせるだけなんだ

Ba de ya - say do you remember
Ba de ya - ね,覚えてるだろ
Ba de ya - dancing in September
Ba de ya - 九月のあの夜ぼくたちが踊ったことを
Ba de ya - never was a cloudy day
Ba de ya - 心の中の曇りが一掃されたあの夜のことさ

There was a
そうさ
Ba de ya - say do you remember
Ba de ya - ね,覚えてるだろ
Ba de ya - dancing in September
Ba de ya - 九月のあの夜ぼくたちが踊ったことを
Ba de ya - never was a cloudy day
Ba de ya - 心の中の曇りが一掃されたあの夜のことさ

The bell was ringing, aha
ぼく達を祝福する鐘が鳴り響いている,だろ
Our souls were singing
二人の心は響き合っている
Do you remember
覚えているだろ
Never a cloudy day
ぼくらの心の中の曇りは一掃されたんだ

There was a
そうさ
Ba de ya - say do you remember
Ba de ya - ね,覚えてるだろ
Ba de ya - dancing in September
Ba de ya - 九月のあの夜ぼくたちが踊ったことを
Ba de ya - never was a cloudy day
Ba de ya - 心の中の曇りが一掃されたあの夜のことさ

There was a
そうさ
Ba de ya - say do you remember
Ba de ya - ね,覚えてるだろ
Ba de ya - dancing in September
Ba de ya - 九月のあの夜ぼくたちが踊ったことを
Ba de ya - never was a cloudy day
Ba de ya - 心の中の曇りが一掃されたあの夜のことさ

Ba de ya de ya de ya
Ba de ya de ya de ya
ba de ya de ya de ya
De ya

Ba de ya de ya de ya
Ba de ya de ya de ya
ba de ya de ya de ya

↓ もっと良い訳詞ならここ
http://oyogetaiyakukun.blogspot.jp/2013/09/september-earth-wind-fire.html

☆ 上の訳詞サイトの理解は正しい面があると思う。ただどちらとも取れる。あの日に鳴り響いていた「倖せの鐘」は,Only blue talk and love という歌詩からも,この解釈の通り今はないものとも取れるし,それは読み過ぎとも取れる。なぜならこの曲のタイトルの通り話されている物語は9月21日の夜の話だからだ。確かにこの曲の物語が語られているのは12月なのだが,そこで語られているのはやはり9月21日の夜のことでしかないし,それがきっかけになった「物語」のことだからだ。だから正直な感想を言えば,どちらでもいい気がする。

☆ アース,ウインド,アンド ファイヤーはヴォーカルとバンド(及びパフォーマンス)の複合グループで,例えばラジオから聞く分には,ファルセット隊などヴォーカルのインパクトが非常に強いけれど,ヘッドフォンで聴くとベースのドライブ感が実に気持ち良い。このベースは単純な縦ノリを許さず(笑),勝手に身体が横揺れするのである(爆)。


お知らせ

☆ このエントリーのすぐ下にあったエントリーは廃番になりました。

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Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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